ファイアーエムブレム 紺碧のコントレイルⅠ・Ⅱ   作:宵星アキ

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ティトはシャニーを食事に誘う事にします。
姉妹とは言え互いに任務で忙しい身。一緒に食事をするのはいつ振りだろう。
ティトはレストランを予約すると切り出しますが、シャニーが所望したのは意外な場所でした。


第10話 いつか飛び立つあなたへ

 二月も終りの昼下がり。

 カルラエ城には明るい日差しが差し込み、春がそこまで来ているとはっきり伝えてくる。

 シャニーは両手を天へと突き上げ、背を弓のように反らして食後の心地良さに欠伸し始めた。

 その細めた視界の端に見えた、騎士団で一番親しいシルエット。ぱっと笑みを浮かべて廊下の向こうへと駆け出した。

 

「おーい、団長!」

 

 ティトの視界に眩しい笑顔が一杯に映り、自然と心が軽くなる。

 何度叱っても廊下を走る癖は直らないが、今日はどうにも叱る気分にはなれない。あんな元気いっぱいの明るい笑顔で寄って来られたら、そんな気持ちは吹き飛んでしまった。

 ティトの許まで駆けてきたシャニーは、ニコニコしながら手を取って嬉しそう。この様子だと、特に用事があるわけではなさそうだ。

 

「あら、珍しいわね。あなたがちゃんとそう呼ぶのって」

 

 こんな基本的なことも出来ずに「お姉ちゃん」と騎士団内でも平気で口にしてた一年前。イリアの恥と切り捨て、新人部隊へ放り出したのがずっと前のように思える。

 顔つきも入団したての頃の幼さと尖ったものが取れて、凛としながらも丸みを帯びてあか抜けたように見える。

 

「えへへ、あたしだってやればできるんだから」

 

 そう言って得意げに笑うこの顔だけはあの頃と何も変わっていない。

 変えるべきところは変え、変えない勇気も持ち続け……。どれ程この一年で妹は乗り越えてきたのだろう。ソランの言う通りかもしれないとティトは思った。本当にたくましかった。

 

「だったらいつもそうして欲しいわね」

 

 でもやはり、口から出たのは厳しい言葉。

 

「言うと思ったよ」

 

 口を尖らせながらあっさりと返すシャニーも、いつも通りの姉で安心したかのようにすぐ笑顔が戻る。

 ティトが団長室へと歩き出すと、シャニーもついて手を握った。

 嬉しそうにぶんぶんと振るものだから、ティトには恥ずかしくてたまらない。それでも、気持ちを軽くさせる春の日差しの中、もうちょっとの距離だからと妹の温もりを感じながら歩いていく。

 

「お姉ちゃんを団長って呼べるの、もうあと少しだし、名残惜しくてさ」

 

 今日はやたらと妹が甘えてくると思っていたら、ふいにそんな事を言い出した。

 もう二月も最終週。

 籍は年度末まででも、三月はそこまで登城する時間も無く、顔を見られる時間はもっと短い。

 それをシャニーは感じ取っているのか、ふっと差したもの悲し気な眼差し。何か言いたげな、だけどそれを堪えているようにも見えた。

 そんな顔を見せたのも一瞬のこと。すぐ笑みが戻った。

 この朗らかな笑顔と触れ合えるのもあと僅か……妹の横顔をじっと見つめていると、ティトははっと思いだして立ち止まった。

 

「そうだシャニー、ちょうどあなたに言おうと思っていたことがあったの」

「なぁに?」

「近いうちに食事でもどうかしら? ランチでもディナーでもいい。空いてる日を教えてくれれば私が店の予約を取るわ」

 

 おっ、とシャニーの顔がサプライズに揺れて、直後また笑顔に弾けた。

 外食なんてめったに出来ないし、それを姉と一緒に楽しむ機会となると一体いつぶりだろうか。お茶をしたこと自体が、どれだけ遡れば良いか考える程記憶に遠い。

 嬉しい……小躍りする姿からその気持ちが溢れ、日差しのような笑顔を見せていたシャニーは天井を見上げながら「うーん……」と唸って行き先を考え始めたが、返ってきた答えは意外な場所だった。

 

「なら、おうちで食べようよ」

 

 ティトは面食らった。

 シャニーならレストランで食べたいと言うかと思った。幼いころはいつもそればかりで姉二人を困らせていたというのに。

 最後くらい、妹を喜ばせてやろうと思っていたので不思議な気持ちだ。もう、昔のままの妹として見たらいけないほど成長したということか。

 

「家で? いいの? レストランの予約を取ろうと思ったのだけど」

 

 再びの問いにシャニーは静かに首を振った。

 姉の提案は嬉しかったし、一度でいいからエデッサにある貴族街で食事をしてみたい夢は変わっていない。

 だけど、今回は自分でも不思議なほど、シャニーの中で最初からはっきりしていた。頭に浮かんだ、姉と一緒にいる場所は────。

 

「お姉ちゃんとなら、やっぱりおうちが一番いいよ。時間を気にしないでいっぱいお喋りしたいもん」

 

 シャニーが口にした言葉は、やはり彼女は彼女だとティトに思わせるものだった。

 家で妹と食事。昔は当たり前だったのに、その当たり前が失われてしまったここ数年。

 そして、これからそれは永遠になくなってしまうかもしれない。エトルリアに嫁ぐという事は、もうイリアにはほとんど帰れないはずだ。

 二人にとっての世界で一番のプライベートスペースで、帰る時間もテーブルマナーも気にせずに、ただ一緒に居たい────そんな妹の愛情が伝わってくるようで、ティトは妹に抱き着かれように嬉しかった。

 

「お姉ちゃん忙しいでしょ? 日にち教えてくれれば、あたしご飯作っておくからさ」

 

 自分が提案したはずなのに、逆に妹は招待しようとしてくれている。

 何だか目頭が熱くなってくる気がする。

 元から人の懐に飛び込むのは彼女の得意。知らない間に、人の気持ちを知って心を配れる人間になってくれたかと思うと、不思議な喜びが湧いてきて今にも頭を撫でてあげたくなる。

 以前から妹は自分を大好きだと言ってくれて来たが、それが表情や仕草から溢れていて心が温まるばかり。

 

「ありがとうシャニー。じゃあ二人で夕飯を作りましょ」

 

 そんな大事な妹だ。

 もちろんティトだって大好きだったが、今まで口には出してこなかった。

 恥ずかしいではないか。こんなに近しい間柄だし、何より周りにはあらゆる視線があると言うのに。

 だけど、彼女と共に出来る時間を少しでも増やしたい……今はそう思える。

 こんな、終わりが見えて初めてこんなことを考え出すとは。いくらでも時間はあったし、機会だってこの瞬間でさえいくつも脳裏に浮かんでくるというのに。

 そんな後悔はそっと心の底に置き、約束を交わすと互いの戻るべき場所へと帰っていった。

 

 

 

 ◆◆◆

 数日後、非番の日にシャニーは朝からせっせと掃除に精を出していた。

 この日に合わせて仕事を早く切り上げ帰って来る姉を、びっくりさせてやりたい目は真剣に戦場と向き合う。

 いつもなら納戸に押し込むだけの掃除も、ちゃんと置き場に戻して廊下も壁もピカピカに磨き上げた。

 

「あたしだってやればできるじゃん!」

 

 自画自賛してから、また姉に言われた言葉が脳裏をかすめて一人で苦笑いすると、休む間もなく買い出しへと家を飛び出していった。

 野草芽吹く道を駆け、ようやく訪れた春の日差しに心を弾ませながら。

 

 三時過ぎになって天馬の羽音が聞こえ、リビングでお菓子を摘まんでいたシャニーは飛び出した。玄関まで走っていき、ドアの向こうに見えた大好きな姉を招き入れる。

 

「やっぱりここは安心できるわ」

 

 軍服から着替えて戻ってきたティトは、リビングに広がる何も変わらない光景を不思議な気持ちに包まれながら見渡していた。

 何か……昨日もここにいたかのような、夢から醒めて部屋から出てきただけにすら思える。

 互いに軍服を着ていない状態で会うのはいつぶりだろうか。少なくとも去年は一度だってそんなことは出来なかった。

 鎧も、団長と言う肩書も。すべてから解放され、妹に出してもらった熱々の紅茶を一口すると、何だか肩の力が一気に抜ける気がする。

 

「ねえねえ! 結婚式決まった?」

 

 そこに飛び込んできた元気な声。士官着をまとっていない妹は、良く知る天真爛漫が全身を包んでいた。

 

「そんなに気になるの? ご馳走狙いかしら?」

「違うよう! お姉ちゃんのドレス姿を早く見たいなってだけ」

 

 ここなら気軽に冗談も飛ばしあえる。

 妹からストレートな喜びをかけられ、ティトの口元が緩んでいく。こんなに素晴らしい場所があるのに、レストランに行かなくて良かった。

 この一年、様々な敵と相対して疲れ果てた心が一気に癒される気がしてくる。自分の幸せを心から祝福してくれる人がいる事が、こんなにも嬉しいことだとは。

 

「今のところ六月の予定なの」

 

 まだ決まっていないが、ずっとお預けにしておくのも可哀相かと思い予定を口にする。

 

「結構先なんだね……」

 

 えっと、口を空けて驚いて見せたシャニーからは残念そうな声が漏れた。

 

「色々決めないといけないことも多いから。決まったらすぐ教えるわ」

 

 エトルリアに入ったら即式が待っている……最初はそう思ったのだが、なかなかそう言うわけにも行かないらしい。

 式自体の準備にあちこちへの報告に……おそらく四月からもしばらくドタバタすることになる。向こうに行ったらとりあえず何をしようか……そう考えているとふいに手に伝わってくる温もり。

 

「お姉ちゃん、本当におつかれさま」

 

 いつの間にか席について、正面からシャニーが見つめていることに気づいた。

 彼女はしっかりと手を握っていて、笑顔で労ってくれている。

 何でもない光景のはずなのに、どこか妹の視線が恥ずかしくてティトは照れ隠しに笑って見せた。

 

「どうしたのよ、いきなり」

「部隊長になってさ、部隊の子の気持ちを考えるって大変なんだなって分かってさ。お姉ちゃんは団長なんだもん、どんな大変なんだろうってずっと思ってた」

 

 今日は姉を茶化さず、シャニーはそのまま尊敬の眼差しを送る。

 自分の言動一つが部隊に大きな影響を与え、隊員たちの受け止め方も少しずつ違う。ちょっとの齟齬でも隊員を不安にさせ、家族の力を引き出すどころか半減させてしまう。シャニーにとって、強さと重さとを思い知った半年だった。

 たった三人の部下でさえ大変なのに、姉が団長として背負った百を超える想い。重責から解放され、幸せの許へ飛び立っていく姉を労わずにはおれなかった。

 

「ふふ、あなたもなれば分かるわよ、団長の大変さ」

 

 そう言えば、同じことをユーノからも言われた。ティトは口にしてから思い出していた。

 なったものにしかきっと分からないだろう。信を、責を、そして過去を────全てを背負うこの気持ちは、背負ってみなければ分からない。

 それを理解しようと心を寄せ、声をかけてくれる想いは、日差しを浴びるかのように疲れ果てた心を抱きしめて温めてくれる。

 

「あたしが団長かぁ」

 

 天井を見上げながら漏らす妹に、ティトはきっとなれるとエールを送る。

 もう既に彼女は信を集め、それを背負って戦った勲章を手にしているのだから。

 

「シャニーこそ一年ありがとう。特に十月からの活躍は見事だったわよ」

 

 正直、予想外だった。分隊長も経ずにいきなり部隊長──騎士団の幹部に任命したから、最初の半年は勉強くらいに考えていた。

 騎士団をまたいだ大問題を引き起こしてくれるとは、さすがに完全な誤算だった。

 それでも十八部隊の名をここまで知らしめ、イリアへ目に見えた変化を与えて様々な名誉を手にするとは。

 これなら、自分がいなくなってもイドゥヴァときっと戦っていける。

 

「光栄に存じます、お姉ちゃん!」

 

 座ったまま背筋を伸ばして敬礼する、朗らかな笑顔が妙に逞しく見えた。

 もう一年前の、戦場での身の振り方に長けるだけの思慮無き剣ではない。

 守るべきもの、目指すべきもの、それら己の拠り所をはっきりとした誓いが握る剣は、きっともう折れることは無いのだろう。いや、例えどれだけ折られようとも立ち上がり、刃に全てを滾らせ敵へと向かっていくに違いない。

 この半年、その姿をずっと見守ってきた。この人なら信じられる──そう思える一人になってくれた事が嬉しい。目の前で輝く青の瞳が、淹れてくれた紅茶のように心を温めてくれる。

 

 ふざけていたのは僅かな時間だった。笑みをしまったシャニーは姉の手をしっかりと握る。その真顔にはティトも驚くほど。

 

「ただでさえ大変なのにさ、いっぱい迷惑かけちゃってごめんね。ずっとお姉ちゃんが守ってきてくれたの、本当に感謝してるし、ごめんって思ってる」

 

 ずっと言えずにここまで来てしまった。姉が傘となり、どれだけ様々な非難から守ってきてくれたか。きっと自分の想像する以上に辛かったに違いない。

 それを顔に出しもせず、騎士団の長として凛と構える姉は憧れだった。

 姉は自分を見くびっている……そう考えていた一年前が、顔から火が出るほど恥ずかしい。

 

「どうしたのシャニー、今日はやたら素直じゃないの」

「へへっ、あたしだってもう大人だし」

 

 あんなに反抗的だった妹が……。

 あんなに厳しかった姉が……。

 お互いに目頭が熱くなってくるのを止められなかった。

 照れ隠しにティトが笑いかけると、シャニーは隠すこともなく涙をすすって笑い返してくるものだから、彼女も辛抱できなくなってしまう。今日は楽しい場にしようと思ったのに。

 

「あーあ、天馬騎士団に残るのあたしだけかぁ、寂しいなぁ」

 

 何だか湿っぽい空気になってしまった。

 それを払うようにシャニーは頭の後ろで手を組み、椅子を揺らすと独り言のように天井を見上げだした。

 ずっと姉の背中を追いかけてここまで来た。

 もう四月からは追いかける背中はなくなって、本当に一人で飛んでいかなければならなくなる。辛い時に団長室に飛び込んで泣いたりできなくなると思うと不安もあった。

 

 その気持ちはティトも同じだった。今でも……目の前にいる妹は“普通”ではないのだから。

 

「シャニー……その、髪どうしたの?」

 

 ずっと聞こうと思ってきた。けれど、何か聞くのがとても恐ろしくて、なかなか切り出せずにここまで来た。

 十二月に一度見て以来忘れかけていたこの真っ白な髪を改めて間近で見ると、聞かずに別れることが今度は恐ろしくなった。

 何か……妹がどこかへ消えてしまうような、この消えた髪の色のように雪の中へ飲み込まれてしまうような恐ろしい錯覚。

 

「え? これ? 大丈夫、大丈夫! 放っておけば治るからさ」

 

 ところが、夕飯を口に運ぶシャニーの顔はいつも通り朗らかで、まるで気にも留めていない様子。

 そういう問題ではない……放っておかねば治らないような“異常”には首を突っ込んで欲しくなかった。

 騎士である以上、戦いや負傷を避けられないことは分かっているし、そう部下に散々言ってきた。なのに、今ティトの心に渦巻いているものは全くの逆だった。

 

「……あなたはもう一人前の天馬騎士。いえ、天馬騎士団の幹部として見ているから、あれもこれも言うつもりはないけれど」

 

 もう彼女に天馬騎士として注文を付けることは何も無かった。どこに出しても妹だと胸を張って誇れる天馬騎士だ。

 だが、だからこそ……ティトは席を立つと妹の横に立った。

 夕飯を食んで浮かぶ満面の笑みがある。手放したくない──そんな想いが手を伸ばさせる。

 

「びっくりしたぁ」

 

 いきなり頭の上に手が置かれ、シチューを頬張ろうとしていたシャニーはスプーンを落として肩を跳ね上げた。

 見上げれば頭を撫でられていた。

 こんなことをしてもらえたのはいつぶりだろうか。この厳しくて恥ずかしがり屋の姉が……こんな優しさに満ちた目で見つめて撫でてくれるなんて。

 

「シャニー、命を大事にしてね。お願いだから無茶しないでね」

「お姉ちゃん……」

 

 姉から贈られた、何の飾りも無い真っすぐで深い愛の祈り。

 頭を撫でられる感触と共に心へ吸い込まれた祈りが体を包む。その感覚に、シャニーはしばらく呆然と姉を見上げるしか出来なかった。

 今までも散々姉には同じことを言われて来た。だけど、今姉が向ける眼差しは、まるで母に見つめられているかのように心が解けてくる。

 

 その青い瞳を見つめて、ティトは勇気を振り絞った。

 

「大好きなのよ、あなたの事。この一年、あなたの心配をしなかった日は無かった」

 

 これだけの言葉を掛けてあげるのに、どれだけ時間をかけたのだろうか。

 伝えてやれば喜ぶことを知っていたのに、まるで天馬から飛び降りるかのような覚悟を決めた気がする。

 だが、これだけは神に誓って言える。

 家に戻らなくなり、城を空ける日が増え、シャニーがイリアの空を駆ける日が増えても、この朗らかな太陽の無事を祈らなかった日は一日も無いと。世界でたった一人の、世界で一番大事な妹の存在を、忘れたことは一刻とて無かったと。

 

「お姉ちゃんがそんなに心配してくれてたなんて……あたし、知らないで口答えばっかりして」

 

 姉の愛がまっすぐに降り注いで、シャニーは瞳を震わせながら動けなくなってしまった。

 ずっと欲しかった姉からの言葉。だけどそれは考えていたより遥かに深くて、溢れる喜びは姉に抱きしめられているように心を温かく、軽くさせる。

 こんなに苦労させた姉に、今してあげられる恩返しは……。

 シャニーは姉の本当の気持ちを全身で受け止め、今日一番の笑顔を大好きな人に捧げた。

 

「あたしだって、お姉ちゃんの事大好きだよ! うん、大、大、大、だ~いすき!」

 

 ジンと心が震え、ティトはきゅっと唇を噛んだ。

 不器用でうまく表現ができない自分と違い、いつも妹はこうして一番嬉しい事をしてくれる。

 愛おしい。切ない。手放したくない……──ティトは思わずシャニーをいっぱいに抱きしめた。

 

「少し遠くなるけれど、私はあなたの事をずっと見守ってる。困ったら、いつでも言って。力になるから」

 

 どれだけ離れていたって、家族の絆は消えたりはしない。無事を祈る場所が、団長室ではなくなるだけだ。

 

 姉の温もりの中で、シャニーは幸福感に包まれていた。それは柔らかくて、目を瞑って全てを預けられそうな安らぐ温もりだった。

 

「ありがとう、お姉ちゃん……。お姉ちゃんの妹で、あたし本当に幸せだよ」

 

 姉が在任の間では、そんなにたくさんの恩返しは出来ないかもしれない。

 けれど、見守ってくれる姉の心をきっと軽くさせるような活躍をしてみせる。そう誓い、時間の許す限り姉の温もりに甘え、シャニーは傷ついた翼を癒すのだった。

 

 

<第五章 風の魔人 終>

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