ファインモーションがトレーナーをアイルランドへ連れて行く話
婿入りです(重要)

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ファインモーションの所に婿入りですが特に問題…しかないな

季節も秋から流れ、冬の色が日に日に強くなるこの頃、いかがお過ごしでしょうか皆様。

 

あっどうも、俺がファインモーションのトレーナーです。いやー、最近寒くなってまいりましたね。朝起きるのが段々と辛くなってきまして、トレーナーの仕事も増えてき……えっ?今どこにいるのかって?そりゃあもちろん…

 

「アイルランドだよっ!」

 

あっアイルランドらしいです。ということで…えぇーなぜ、私がアイルランドに居るのかって言うと…

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やぁ!俺はファインモーションのトレーナーだ!というか俺の説明はどうでもいい!うちの担当バを紹介しよう!!

 

うちの担当バこと、ファインモーション!

彼女はアイルランドのそれはそれはお偉いとこの、ドのつくお嬢様なんですね〜。

 

だからといって親しみづらいかというと全然そんなことはなく、好奇心旺盛でラーメンが好きだったり、闇鍋とかやったりと意外と庶民派な面もあるんですよね〜。

 

えっ?庶民派と名乗る奴はSPとか付かないって?俺もそう思う。

 

最初に出会って契約を結んだときは、尾ひれのついた噂だったりSPがいたりでだいぶ尻込みをしてしまっていたけれど、3年間トレーニングを通して苦楽を共にし、URAを勝った今では一心同体、いわゆるツーカーの仲ってやつっすよ。へへっ。

 

コンコン「トレーナーさん?ちょっといい?」

 

 

「おぅ!良いぞ開けて入ってくれ」

 

ガチャ「失礼するねー。」

 

私が虚無に話しかけていると、偶然にもうちの担当バがトレーナー室に入ってきました。あっファインめっちゃ綺麗やん…。駄目でしょこんな美の産物現世に持ってきちゃ…。今すぐアイルランド国民全員に一人ずつ感謝を申し上げたい。そう感じさせる笑顔です。(実況:トレーナー)

 

「おう。なんか用でもあったか?」

 

「うん、ちょっとトレーナーさんとお話がしたくってね?それで来たの。」

 

(ジーザスこれは死んだわ、こんな天使のお誘い断れるわけ無いだろ…。常に可愛いオーラを発して俺をどうしよってんだこの可愛いウマ娘はよ……。つーかもういつもトレーナー室にいてくれ。いっそ俺につきまとい続けてくれキレイで可愛い女神よ…」

 

「ト、トレーナーさん?ちょっと心の声漏れちゃってるよ?」

 

「あぁすまんすまん、つい本音が出ちった」

 

「そ、そんな可愛いだなんて……」カァーッ

 

はい天使。俺に7恒河沙ダメージぐらい効いたね。これは。え?ちょっと待って俺の担当バ可愛すぎない?それとも自分が童貞過ぎて何でも可愛いと脳が勘違いしてるのか?いやそれを差し引いても可愛いんだが?語彙力中枢急逝のお知らせなんだが?

 

「ふふ、ファインはいつでも可愛いよ。それより、俺になんか要件があったから来たんだろ?」

 

「あ、そうそう!トレーナーさんに伝えたいことがあって…」

 

「お?なになに?まさか契約解除じゃないよな?」ハハハ

 

俺は今軽く笑ったが、内心は心底焦っている。どれくらい焦っているかって言うと…そうだな、ラスト1分で初めて裏を見た解答用紙ぐらいは焦っている。

 

「もー!そんなことするわけ無いじゃん!いくらトレーナーさんの冗談でも許さないよ。」

 

「はは、ごめんごめん。」

 

はい〜勝った勝った。俺の勝ち!もう万物において俺の勝ち!今なら何だってできる。今なら三徹ぐらい余裕のよっちゃんよ、もう。だって湧き上がるエネルギーが違うもん。

 

「それを伝えたいんじゃなくて…あっそうそう。トレーナーさんと飲みたいやつがあるんだ♪」

 

そう言ってファインは、持ってきていた袋から筒を取り出す。

 

「ん?何だそれ?」

 

「これはね、アイルランドで採れた茶葉なんだ♪トレーナーさんが前紅茶が好きって言ってたから…特別に紅茶の茶葉にして持ってきてもらったの♪」

 

純粋に良い娘!人の好みを覚えててあまつさえ差し入れしてくれるのは純粋に良い娘!誰だよラーメン狂いとか言った奴!純粋に出来た良い娘じゃねーか!良い娘さん持ちましたね国王陛下!お嫁さんにください!(掛かり気味)

 

「おっ好み覚えてくれて嬉しいな。じゃあ一緒に飲もうか。」

 

「うん!じゃあ私が入れてくるね!」

 

「…ん!?大丈夫かファイン!?俺が入れたほうが安全じゃないか?」

 

軽く流しかけたが、真面目な話ファインに手でさえ火傷なんてさせたら一大事だし、それこそ切腹の準備を始めないといけない。

 

「大丈夫!SPさんに淹れ方教えてもらったし…それに私の初めてをトレーナーさんに…ね?♪」

 

「…気をつけるんだよ。なんかあったらすぐに呼んでな。」

 

「はーい♪」

 

そう言って、ファインはキッチンへと向かっていくと同時に、若干心配なファインの初めての紅茶はスタートした。ファインが向こうにいる間は気が気じゃなかったが、数分後には紅茶が淹れ終わったらしい。

 

ファインが持ってきたカップの中を見ると、それはそれはきれいで透き通った紅茶がちゃんと入っていた。まるで前行った店の醤油ラーメンのスープみたいだな…。ん?俺大丈夫?毒されてない?

 

「はい、どうぞ♪」

 

「ありがとう。大丈夫?怪我はない?」

 

「もートレーナーさん心配しすぎ!やけども何もしてないよ♪ほら、私の初めて(・・・)、飲んじゃって?」

 

「ならいいんだが……」ゴクッ

 

そうファインに言われて、というか半ば急かされてグイッと一気に紅茶をあおる。あぁ、美味しい……そう言おうと思った時には、すでに意識は手放していた。

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トレーナーさんが私の出した紅茶を飲んだ瞬間、勢いよく椅子から転げ落ちた。さっきキッチンで入れたおくすりはちゃんと効いたらしい。最近のものはすごいなーと感心しつつ、SPさんに電話を掛ける。

 

「要件は終わったから、今すぐトレーナー室に来てくれる?」

 

「かしこまりました」

 

数分後には、SPさんがトレーナー室に何人か来てくれた。それに大きな楽器ケースをもって。これは多分…アコースティックギターかな?

 

「お嬢様。予定通り、プライベートジェットは呼び寄せております。」

 

「うん、ありがとう。じゃあトレーナーさんのことよろしくね。」

 

「承知しました」

 

そう言って、SPさん達はトレーナーさんの身体を折りたたんで楽器ケースへと詰めていく。あれよあれよと言ううちに、トレーナーさんはケースの中へと入ってしまった。

 

(ふふ…お人形さんみたい♪)

そういった感想が出るほど、トレーナーさんはきれいに収納されていた。普段は心強い存在でとっても頼りになるけど、今は可愛い可愛いただの男の子としか思えない。

 

そういえば…と、ふとトレーナーさんが昔言っていたことを思い出す。確か…そうそう、『他のウマ娘の長所で張り合うと、どうしても負けてしまいがちだ。大事なのは自分の強みで戦うことだよ。』なんて言ってたっけ。

 

 

ねぇトレーナーさん?

私の強み、ワカ(・・)ってくれたかな?

 

 

「お嬢様。準備が完了いたしました。」

 

「わかったよSPさん。えっと…じゃあ大勢で出ると目立っちゃうから、一旦はここで解散ね?一人だけトレーナーさんを持って、他のSPさんは先に空港で待っててね?」

 

「かしこまりました」

 

そう言うと、SPさん達はバラバラにトレーナー室を出ていく。一人だけ残ったSPさんは、トレーナーさんが入ったケースを背負って先に出ていった。

 

このトレーナー室も、出ちゃったら二度と来ることはない。それでも、トレーナーさんがいる。一緒に来てくれる。その嬉しさだけで、私の胸は一杯になった。

 

「トレーナーさん…?もう日本には戻ってこれないけど…ちょっとホームシックになっちゃうかもだけど……向こうでずっと、一緒に暮らそうね♡」

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…と言うことらしいです。ん?ちょっと待って?

 

「ねぇファイン。ちょっと3つぐらい聞きたいことがあるんだけど…いいかな?」

 

「うん良いよ!何でも聞いてね♪」

 

「ありがとう…じゃあまず一つ目。紅茶に何を入れたの?急に意識吹っ飛んじゃうような何かを?」

 

「あれはお父様に頼んだ特別なおくすりなの♪普通に売ってるやつより即効性も持続時間も段違いのやつで、トレーナーさんの為だけに作ってもらったものだよ♪」

 

「ひえぇ…もっと徹夜続きのときに使ってよ…」

 

「ふふ…ごめんね。でもどうしても必要だったからね♪」

 

「まぁいいや、それはわかった。じゃあ二つ目…。なんで俺は楽器ケースに詰め込まれたの?おかげで身体ガッキガキだよ?もっとなんかこう…て言うかSPさんいたなら担ぐなりなんなりあったでしょ…。」

 

「うーん…その案もいいかな〜って思ったんだけど。さすがにトレーナーさんの首にスタンガン当てちゃうのは気が引けたしね〜。」

 

「えっ怖っ……えっ…怖っ…」

 

つまり気絶した俺を担いで運ぶプランもあったのか…確かにそれじゃあいくらファインと言えど違和感は隠せないか。ならまぁ良いかな。いや誘拐の時点で全く良くはないけどね?

 

「うん…うんまぁそれも百歩譲ってOKよ。いや本当は駄目なんだけどね?それより最後に聞きたいからさ…」

 

「うん!最後だし、どんなことでも答えてあげるよ♪」

 

「ありがとう。それじゃあさ…」

 

そこで自分は、一度窓から見える景色をチラと見た。風光明媚な欧州特有の美しい自然。旅行だったらなぁ…と思いつつ、ファインに向かい合い質問を投げかけた。

 

「なんで…なんで俺は王宮へ向かう車に拘束されながら載せられてるの?」

 

そう言って、腕を動かす。しかし、本来の可動域を制御するように両手首についた錠が押さえつける。目が覚めたときからこうだ。ファインが蕩けきった顔をしながら、俺をどう連れ去ったか語っているときもそうだ。もちろん、今も手錠はその存在を主張し続けている。

 

「え?だってトレーナーさんは今から結婚を伝えに行くんだよ?」

 

「……は?」

 

たっぷり状況を理解するのに数秒はかけただろうか。それでも自分には数時間に感じたのだが。

 

「ちょっと待って?…え?誰に伝えに行くの?」

 

「誰って…もちろん私のお父様とお母様だけど?」

 

さも当たり前だというようにファインは簡単に話すが、自分には全く理解が追いついかない。

 

「な、なんで俺が結婚報告に行くんだ?第一俺は誰と結婚するんだ!?」

 

「もートレーナーさん、それは私でも怒るよ!誰って…私とに決まってるじゃん♡」

 

「へ!?お、俺が…ファインと!?」

 

「そうだけど…あ、安心してねトレーナーさん♪国籍の変更とか戸籍の移送とかはもう終わってるし、話もお父様とお母様に粗方通してあるからね?トレーナーさんは婿入りになっちゃったけど…許してくれるよね?」

 

これで、やっと自分は理解した。ファインが俺をアイルランドに結婚相手として連れてきたのだと。

 

俺としては、もちろん嬉しい。嬉しいんだが……少なくともこういう形では望んでいなかった。というか、ファインと結婚していいのはこんな平凡でダサい大人の俺じゃない。もっといい相手が、少なくともアイルランドにいるはずだ。

 

「な、なぁファイン。ちょっといいか…」

 

「?どうしたのトレーナーさん?」

 

「こんな状況で言うのもなんだが……少なくとも、俺よりいい結婚相手がファインにはできるはずだ。こんな冴えない…ヘボい俺みたいな大人じゃなくて、もっとファインを大切にしてくれるいい人が見つかると思う。だからさ…下ろしてくれないか?」

 

「…ふふ、トレーナーさん♪」

 

「は、はい」

 

自分の思いを伝えたファインは、いつもの可愛らしい笑顔で応えた。でも、何かいつもと違う、まるで射殺すようなオーラをゆらめかせていた。

 

「例え私がここではいそうですか…って言ったとしてもさ…この後はどうするの?もしかして、無事に帰れると思っているの?」

 

 

…あぁ、そうか

 

 

「それに…お父様に頼めば空港ぐらいなら閉鎖できるし、列車とか船も止められるよ?」

 

 

俺はもうとっくに

 

 

「もしも万が一逃げて捕まっちゃったら…トレーナーさんといえどどうなっちゃうかな〜って」

 

 

ファインから

 

 

「……♡…分かってくれたんならいいんだよトレーナーさん♪じゃあちょっと早いけど…キスしちゃおっか♪私の初めて(・・・)…ちゃんと味わってね♡」

 

そう言うとファインは、唇を合わせてきた。まるで、大好物を食らう捕食者のように。

 

甘い、甘ったるいファインの唇を重ねられたと同時に、自分はもう戻れない所に来てしまったのだと……いや、自分がファインをそうさせてしまったのだと、少しの後悔を抱えながら思ってしまった。

 

 

 

 

遠くには、それはそれは綺麗な王宮が見えた。

 


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