ライザのアトリエ~たった一つの魔法の言葉~   作:自給自足すらできなかった敗北者

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序幕
序幕


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――此の戦いは何てことない当たり前のものを守る…あたし達だけの戦い…――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザァ…ザザ…

 

 

 

 

 

波の音が聴こえる…

 

 

 

 

 

 

暑い陽射し、美しく透き通った浜辺の中を一人の女性…いや、まだ大人へと成長しきってない少女が憂鬱気に歩く…

 

 

この美しい景色も、十数年此処で暮らしてきた少女にとっては既知に溢れた代わり映えのしない詰まらないものにしか見えない…

 

 

しかし、思春期で好奇心の塊と言っていい彼女にとっては若干致し方ない事ではあるのかもしれない。

 

 

故に、少女はこの代わり映えしない日々を心より変えたいと焦がれていた。

 

 

 

 

 

彼女の名は「ライザリン・シュタウト」通称「ライザ」

 

何てことない農家の一人娘である。

 

 

 

 

 

 

此処はクーケン島、ラーゼンボーデンと言う特産物など何もない、何てことない村

 

 

その何てことないものの中で子供が大人へと変わっていく出会いと別れ、成長を描く、青春の物語である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――それでね!お父さんが毎度「麦の気持ちを考えろ」って言うから、つい「あたしは麦じゃなくて人間だよ!」って答えちゃったら―――――」

 

 

「分かったよ、どうせ母ちゃんの方に怒られたんだろ?怒るとおっかねぇからなぁ…ミオさんは」

 

 

「そんなことより見てよホラ!少しは意味が分かりそうな図入りの本があったんだよ!」

 

 

「何よ!そんなことって!あたしにとっては――――――」

 

 

 

 

 

一つの小さな円卓を囲んで少年少女の騒々しい声が小さな部屋に響く

 

 

 

一人は赤毛に偉丈夫、精悍な顔つきながらも幼さを残しつつ将来は益荒男になりそうな少年

 

 

彼はまたかと言わんばかりの呆れた顔で少女の話を聞く、彼の名は「レント・マルスリンク」このメンバーで一番の常識人かつストッパーでもあり、そのお人好しさから来る苦労人でもある。

 

 

 

 

もう一人はおどおどした雰囲気に小柄でどこか可愛らしくもある顔つき、金髪でそばかすと大きな丸眼鏡が特徴の少年

 

 

今は新たなる本への興味か、あるいは気心知れた友達しか居ないからか、おどおどした雰囲気は鳴りを潜め、新たなる未知を見つけたことによる興奮で頬を若干染めている、彼の名は「タオ・モンガルテン」小心者で人付き合いが苦手、しかしながら強い信念を持ち本への情熱をささげる村の変わり者である。

 

 

そしてもう一人がこの部屋の主――――の娘である「ライザ」親に怒られた不満を吐き出すように友達へと愚痴るのであった。

 

 

ここはライザの家の屋根裏部屋、少年少女ら4人の活動拠点であり、彼彼女らの小さな聖域である

 

 

 

 

「大体タオあんた、また新しい本を地下から持ってきても書いてある字が分からないんじゃ意味ないじゃない」

 

 

「しょうがないじゃないか、ひいじいさんが読み方をじいさんに教える前に亡くなっちゃったんだから…」

 

 

 

「それでもなんとか解読しようと食い下がる執念には感心するよ…っておい、折角の本が汚れちまってるじゃねぇか、どうしたんだよこれ?」

 

 

「あぁ…来る途中でボオスとランバーに見つかってさぁ…足を引っかけられたはずみで泥の中へドボンと…」

 

 

「全く!あいつら~~~!!威張り散らすだけならまだしもしつこくしつこく嫌がらせしてきて~!」

 

 

「そりゃあ村の生命線である水源を握る有力者のお坊ちゃんだからなぁ…村にいるやつで逆らえるのはいねぇよ…」

 

 

「うぐぐぐぐぐ…やめやめ!こんな話!今日集まったのは島の話じゃなくて島の外への冒険計画の為でしょ!もうすぐ乾季も来るこの季節だからこそ一番の冒険日和なんだから!」

 

 

「自分で愚痴を始めたんだろうが(じゃないか)…」

 

 

 

 

そう言って男二人は同時にため息をつくのであった…

 

 

「それはそうと、島の外といえば今日が外から商人が来る日だったんじゃないか?」

 

 

「そうだね、村中その話で持ちきりだよ、確か野菜だか何かを商いに来るんじゃなかったかな…」

 

 

「外の商人ねぇ…あたし達も見に行ってみる?」

 

 

「は?」「え?」

 

 

「その商人の到着を、あたし達も見に行くのよ!どうせ手続きとか挨拶とかで永遠と船着き場にいるんでしょ!」

 

 

「ええぇーっ!?た、対岸に本当に渡るの!?そ、そんなの聞いてないよ!」

 

 

「何言ってんのよ!今日集まった目的は?島の外への冒険計画の為でしょう!島の!外への!!」

 

 

「あー…ライザに火がついちまった…これはマジで島の外に行かねぇと後を引くぞ…」

 

 

「冒険計画なんだから計画からじっくりと立てないことには――――」

 

 

「船着き場に行って!こっそり船を借りて!対岸に行く!―――以上!!」

 

 

「諦めろ、タオ―――こうなりゃ腹をくくるしかない」

 

 

「さぁ!だらだら話してる暇も惜しい!冒険に行くわよ!!」

 

 

「ま、まってよライザー!それにカイルはどうするのさー!」

 

 

「大丈夫!大丈夫!きっとクーケン港へ行きがてら合流できるから!―――きっとたぶん」

 

 

「おいおいおい…マジで初っ端から無計画じゃねーか…」

 

 

 

 

そうして少年少女らは家から飛び出し、冒険の序幕をはじm――――

 

「待ちなさい!ライザ!またレントとタオにカイルまで巻き込んでろくでもないことしようとしてるわね!」

 

 

「げっ!お、お母さん!?ま、まだ何もしてない…よ?じゃああたし用事があるから!レント、タオ早く行くわよ!」

 

 

「ミオさん失礼しまーす」「しまーっす」

 

 

「あっ!コラー!お父さんの農作業を手伝いなさい!!」

 

 

こうして母親の怒りの声を背に受けながらも少年少女らの冒険が本当に始まるのであった―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライザの家があるラーゼン地区からまっすぐ南に下ったところにこの島の中心ともいえるボーデン地区がある―――ここは町でも一番人口が集まる場所であり中心にある水が出ない大きな噴水が目印でもある

 

 

「小舟~♪小舟~♪小舟があれば~♪対岸までひとっ飛び~♪」

 

 

「ライザ、なんだそのやる気がそがれそうな変な歌は…それに簡単に言ってるが対岸に渡るための舟を借りるだけでも無理難題に近いぞ」

 

 

「そうだよ!特にアガーテ姉さんにだけは見つからないようにしないと…」

 

 

「護り手の中でも、特にあたし達にうるさいからねぇ…まぁ大丈夫、大丈夫!いくらこの狭い島と言えどそうそう簡単に見つかったりなんて―――」

 

 

 

 

 

「――――あぁ、それで構わない、船着き場の手配は終わっているな?」

 

「モリッツさんの指示で、過剰なまでに…商いは第一印象が大事だのなんだので張り切ってます」

 

「ふん、こんな片田舎の村に第一印象もなにもないだろうに…まぁ、これも来客をもてなす一環か…」

 

 

 

―――噂をすれば何とやら、キリリとした目に艶のある黒髪、軽鎧を身に着けた妙齢な彼女こそライザ達が話していたアガーテ姉さんである、この島一番の剣の使い手であり護り手でも特にライザ達悪ガキを目にかけ叱る、お目付け役でもある。

 

故にライザ達は普段の行いから来る自業自得ではあるが今ここで見つかってしまっては冒険が頓挫してしまうのは明白であった…

 

 

「ねぇ、ライザ船着き場がどうこうって聞こえたよ、まずい、まずいよ…」

 

 

「確かに、護り手は島の警備が仕事だし…アガーテ姉さんが船着き場にいるのも当然だよな…」

 

 

「島の外への冒険もいきなり頓挫かぁ…」

 

 

「うぐぐぐぐ…諦めてなるものか!こうなったら奥の手を使うしかないわね!」

 

 

「奥の手?そんなものあるのかよ」

 

 

「もう諦めて帰ろうよ~…」

 

 

「イ~ヤ!このまま帰ったらお母さんに怒られるだけだもの、それならせめて冒険しなきゃあたしの丸損じゃない!」

 

 

「どういう理屈だよそれ…」

 

 

「こっちよ二人とも!アガーテ姉さんに見つからないように静かに急いで!」

 

 

「どこに行くのさ?」

 

 

「こんな事もあろうかと、この前家の近くに秘密の船着き場を見つけたのよ!まさしくこの日のためにあったのよ!」

 

 

「はぁ…?なら何で最初っから―――」

 

「いいから早くいくわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――場所は変わってライザの家から北東に進んだところにある七色葡萄の雑木林を抜けるとソレはあった―――

 

 

 

 

「ふふーん♪どう?我が秘密の船着き場の感想は?ちゃーんと小舟もあるでしょ?」

 

 

「あ、ああ…あるにはあるな随分とボロっちい小舟が…道理で最初からこっちを使わなかったのか…」

 

 

「こんなオンボロで本当に対岸まで行けるの…?途中で沈没したりしたら嫌だよ…」

 

 

「というか此処、秘密も何も島のおっさんどもが釣りの時に使ってる場所じゃねーか…」

 

 

「あぁ…だから小舟が最低限のオンボロしかないんだ…」

 

 

「あー!もう!男二人で何をグダグダと…冒険なのよ、冒険!今行くと決めなきゃ、何も始まらないじゃない!それにカイルなら喜んで賛成してくれるわよ、あんた達と違って!」

 

 

「いや、まぁ…それはそうなんだが…」

 

 

「そのカイルも結局合流できずに置いてきたのはライザじゃないか…」

 

 

「う、うぐ!?…いや、だってクーケン港に行けたら会えると思ってたんだもん…」

 

 

「お前さてはカイルが漁の繁忙期に手伝いに使ってる小舟を目当てで合流しようとしてたな…」

 

 

「そ、そんなことより!まずは対岸に渡るところから冒険は始まるのよ!」

 

「誤魔化したな…」「誤魔化したね…」

 

 

「―――村の連中が行かない場所に挑んだり、街道を辿って先の先まで進んだり、みんなが怖がってる街道の西側を行ったり…」

 

 

「ええぇっ!あ、あの辺りは禁足地じゃないか!?危ないだろうし怒られるだろうし…絶対にダメだよ!!」

 

 

「なーに言ってんのよ!冒険ってのはそういう場所をあえて踏み越えていくから冒険って言うんでしょうが…それに!北の山の果てに輝いて見えるあの塔にだって…行けたら面白そうじゃない?」

 

 

「!!」

 

 

「そう思うでしょ、レント?」

 

 

「―――あぁ…そうだな…冒険して、強くなって…俺の実力を村の奴らに認めさせる…それが…俺の夢だ!」

 

 

「あぁー…レントにまで火が着いちゃった…これは僕も行くしかないのかな…」

 

 

「―――分かったら行くわよ!大いなる冒険の旅へ!いざ!しゅっぱーーつ!」

 

 

 

 

 

 

―――――――――何てことないあたしは今日、遂に一歩を踏み出す…

                当たり前の生活にないものを求めて――――島の外へ!!!

 

 

 

「―――というわけでレントあんたが一番ガタイがいいんだから舟漕ぎ任せたわよっ!」

 

「えぇ!?おいおいそりゃないぜ、せめて交代とか―――」

 

「僕は知っての通り肉体労働は得意じゃないからね―――」

 

 

 

 

 

こうして少年少女らは遂に初めて島の外へと踏み出すのであった―――――

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――序幕 完

 

 

 




〇カイル・シュナイダー
・本作主人公、なのに名前だけで出番どころかセリフすら貰えなかった敗北者

〇ライザリン・シュタウト
・まだただの農家の娘

〇タオ・モンガルテン
・本の虫

〇レント・マルスリンク 
・筋肉




どうしてライザの二次増えないん…?
みんないいキャラしてるのに!太ももとか太ももとか太もも(ry

今投稿時間結構手探りで色々な時間でやってますが、実際いつ頃投稿すると読者が見やすいか…よければ回答お願いいたします。

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