神山高校全日制が、放課後を迎えた。
1年C組、よつばと彰人のクラスにて。
「おい、彰人」
「どーした、よつば」
「この後暇か?よつば、ゲームセンターに行きたい」
「あのな、俺は、いつでも、暇そうに見えるか?
俺はな、音楽活動しねーと行けなかったりするから、
まぁ、今日は、たまたま、何もねー日だから、
付き合ってやるよ」
「よーし!そんじゃ、行くぞ!
ゲームセンターに!」
「へいへい…」
彰人は暇なときは、大抵、よつばと一緒に、
お出かけすることが多い。
というものの、
よつばが、秋彦が暇な時に誘っては、
ゲームセンターに行くのが、お約束になっている。
この前は、昆虫女王メスクイーンといい、
ポケットサーキットといい、プリントシールといい…
どれも、プリントシールを除いて、
高校生が好むとは思えないが…
この前は、よつばがゲームでボロ負けしており、
パンケーキ代は、よつばが払いざる負えなくなったらしい。
「なぁ、よつば、プリントシールが撮りたい!」
「嫌なこった。撮らねぇし!
あの、一目がヤバかった…あっ、クレーンゲームだ。
どうしても、取らねぇと、いけねぇな、こりゃ」
「この、うさぎかか?」
「小豆沢が欲しがっていたからな。
冬弥から取りやすい台や、攻略方法など、
バッチリ予習したからな」
「おーっ!よつばも取るぞ!」
「よつばも、やるのか?
よし、何としてても、あの、ぬいぐるみ、
何としてても、取るぞ!」
お互いに、1000円札を取り出し、
100円玉10枚と両替する。
10円玉や50円玉で遊べる、ゲーム台もあるが、
よつばも、クレーンゲームを、やった後に、
やりたがっていたようだ。
それは、別の機会となりそうだった。
「冬弥に教わったが、冬弥の情報によると、
この台が一番取りやすいらしいぞ?」
「よーし!よつばと彰人とで、やり遂げてみせるぞ!」
「ったり前だ!ホントなら、自分で手に入れたいが…
よつばも、やるって言うし…やってやるか!」
と、彰人とよつばが、10回ずつ、
そのクレーンゲームに挑戦しようとしていた。
1回、2回、3回と続き…
「少しずつ、ずらしておいて、
獲得したらいいって、冬弥が言っていた。
一撃で取れるのは、ほんの一握りの人だからな…」
「よーし!やってやる!」
「歌で心が折れることもある…
もちろん、このクレーンゲームでもだ…
だが、やり遂げるまでは!
せっかく、冬弥からの、攻略方法だ!
必ず使いこなして見せる!」
そう喋ると、彰人の目には、非常に熱い熱意が、
身体から伝わって来た。
「あ、取れた」
「やったぞ!彰人!」
「ほらよ、持っとけよ?」
「はーい」
ぬいぐるみは、無事に入手できたのだ!