帰り道の時。
これだけ、大きなぬいぐるみだから、
視線は当然、釘付けだった。
こはねの為の、ぬいぐるみを、無事にクレーンゲームで、
獲得できたのは、良かったが、
その代わりに、トータルで、1800円も、
使ってしまった。
(よつばと彰人、各9回ずつ、
クレーンゲームに、チャレンジしていた)
すれ違った、小さい子に指を指されて、
同年代の学生たちから、何気に賞賛を頂いた。
ぬいぐるみを持っている、よつばよりも、
彰人の方が、恥ずかしい表情をしていた。
「…?」
大きなぬいぐるみの隙間から、ちらりと見ると、
ふんわりとした、紫色のポニーテールを揺らして、
こちらに向かって、歩いてきた。
「コイツ…姉貴の…?」
「まふゆちゃんだ!」
「バカ!大きな声を出すな!よつば!」
彰人の優男モード発動。
「こんにちは。偶然ですね」
「あ、こんにちは、確か絵名の弟さんの…」
そう言って、挨拶する、彰人の顔は、
他人行儀な笑顔が貼りついていた。
「よつばだ!彰人の友達で、恋人だぞ!」
「恋人じゃねぇし…」
「ふふ、二人とも仲良しなんですね。
それにしても、大きな、ぬいぐるみ…」
「彰人が、持てって、うるさいからな~」
「おまっ、誤解を与えるだろ!
まぁ…友達宛てにって、感じで…」
彰人の優男モードは、すぐに解除された。
よつばによって。
何かを焦る必要があるのか、彰人は、
横から、慌てて、訂正に入る。
「それじゃあ、わたしは、この辺で…」
「いつか、遊ぼうな!」
「そ、そうだね…よつばちゃん…」
二人は、まふゆと別れた。
「何て言うか…疲れた…思いっきし…」
「もっと、話したかったな…」
「バカ言うな、朝比奈さんは、予備校で、忙しいの!」
「そうか」
「そーだ。俺等みてーに、
いつも、遊んでいるわけじゃねぇだろ?」
「そーだな、まふゆと遊びたいな、いつか!」
「先輩なのに、呼び捨てかよ…
お前も、距離の詰め方も、どうかと思うけどな…」
「ほー」
「絶対に、理解してねーだろ…よつば」
よつばは、身長をはるかに超える、
ぬいぐるみを抱えて、彰人と口論していた。
それでも、よつばは、彰人と一緒にいる、
この時間が、最高に楽しくて、幸せだと感じている。
「おい!あの50円ゲーム、やるぞ!」
「財布には、優しい方だな…
にしても、50円ゲームか…
何だったら、10円ゲームまであるし…
ゲーム機が、沢山あるんだな、趣があるっていうか…何ていうか…」
二人は、50円ゲームと10円ゲームで遊んだ。
10円玉か50円玉、1枚で、プレイできるため、
やる人が絶えないらしい。