彰人は、暇そうに、ファッション誌を読んでいた。
「なに、この、白い、フワフワ!」
「ウェディングドレスのことか?
んなことも、知らねーのか、ダッセーな」
「うるさい!彰人!バカ!早く教えろ!」
「人に頼む態度じゃねーだろ!」
一々小馬鹿にする、よつばに腹を立てつつ、
彰人は続けて、話す。
「結婚だよ。花嫁さんだな」
「結婚か!きいたことあるなそれ!」
ふんふんと頷いて、
よつばは食い入るように雑誌を見る。
「きれいだなー」
小岩井よつばは、やはりどんだけ、
ボーイッシュでも、女の子である。
いくつでも花嫁には見とれるもんなんだなぁと、
彰人はこっそり感心した。
「よつばもきれるの?」
「あ?…あー、大人になって、相手がいて金があったらなー」
夢がないとは言ってはいけない。理想と現実を、
しっかり認識することは大事である。愛だけでは食っていけない。
彰人の言葉に、よつばは、ますます首を傾げる。
「あいてって?」
「結婚は男と女がするもんだから。
まぁ、でも、結婚は男にとって人生の墓場だからなー」
「はかば!?しぬのか!?」
「そうだなー、男は死ぬのも同然だ、
俺は死んでも、よつばと結婚するのは、御免だけどな!」
夢がないとは以下省略。
「どうぜんなのかー」
うーんと、よつばはしばらく考え込んだ後。
ハーイ!めいあんです!と、
元気よく手を上げて立ち上がった。女の子は忙しい。
はいどうぞーよつばさん、と適当に乗ってやって、
彰人は返したら…
「じゃあ、よつば、彰人とけっこんする!」
は、と口をぽかんと開け、彰人はよつばを見た。
それも気に止めず、よつばは彰人をぽかんと見る。
「あのな…俺はよつばと結婚なんて、出来ねーよ!」
「なんでだ!」
「しろいふわふわ、きてなー
あいての男が、しぬんだろ?」
「だから、俺は死ぬのかよ!?」
「あきとー」
「なんだよ?」
「20さいまで、あと、4ねんだぞー」
「あー、そうだなー」
「いやなら早く彼女見つけろよー」
「あー、うん」
「本気だからなー、よつばは」
「そうかー」
「聞いてんかー?」
「聞いてる聞いてる」
「ほんとにほんとに本気だぞー」
「…オレだって本気だよ」
「ほー」
「俺はな…結婚相手がいるんだよ!」
「ほんとか?」
「あぁ、本当だ、今度、会わしてやるよ!」
「じゃあ、彰人は、死ぬんだな!」
(一体、俺は何回死ぬんだよ…)
「おい、周りが見ているから、
俺まで、恥ずかしい思いをするじゃねーか」
「そっかー、ごめん」
「やっと、観念したみてーだな」
「じゃあ、彰人のバーカ!」
「なんでそうなる!?」
彰人は、ホッとするのだったが、
よつばの扱いに、不安を募らせるのだった…。