元気娘の青春   作:アッシュクフォルダー

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第三十話 夢葉の叶わぬ恋

小岩井よつばの友人、富樫夢葉は宮益坂女子学園の高等部の一年生。

あるきっかけで、神山高校の夜間定時制の二年生、宍戸真二と出会い、

いわば、一目惚れで、宍戸真二にメロメロ状態だったが、

しかし、宍戸真二には東雲絵名がいるため、クリスマスの直前に、

夢葉がアタックするが、真二にフラれてしまうのだった…

 

そんな、1月のある日の夕方、夢葉とえむは、神山高校の正門前に来ていた。

 

「おーい!えむ!ゆめはー!」

 

「あっ!よつばちゃん!」

 

「よつばちゃん…」

 

夢葉は相変わらず、浮かない顔をしていた。

夢葉の手が震えていた。宍戸真二に対する手紙を渡そうとしているが、

今一つ、手が自由に動かせれる状態じゃなかった。

 

宍戸真二には、東雲絵名という相手がいるとはいえ…

 

「もうすぐ、夜間定時制の子が来るぞ?」

 

「真二くん、ここに来るかな?」

 

「よつば!探してくる!」

 

よつばが探し出すが、しかし、何故かやって来たのは、

東雲絵名だった…

 

「夢葉ちゃん。真二くんに会いに来たの?」

 

「は、はい…」

 

絵名は夢葉が手紙を持っているところを見ていた。

 

「気持ちは解るけど、真二くんは私の真二くんだからね」

 

「…」

 

「真二くんなら、こっちにいるけど」

 

と、絵名が指を指したところに、夢葉のお目当てである、

真二くんがいた。

 

「じゃあ、私はこの辺で」

 

「絵名さん…」

 

と、えむも、どこかで浮かない顔をしていた。

 

「よう。会いに来てくれたのか?」

 

「だって、好きだから…」

 

「気持ちは解るけど、俺は絵名ちゃんがいるから」

 

「…」

 

「手紙は受け取っておくよ」

 

「読んで」

 

「おう…」

 

なお、夢葉の手書き。

 

(宍戸真二さんへ。

この手紙を書こうか、何度も迷いました。

真二くんには、相手がいるのをわかっていて…

でも、真二くんと一緒に過ごす時間が、とても楽しくて、

自然と笑顔になってしまう自分に気づいたとき、気持ちを伝えたいと思いました。

 

魂が共鳴して、まるで、私の兄の様な人で、どこかで惹かれました。

 

私は真二くんのことをたくさん知りたいし、

もっと話したいと思っています。突然の手紙でびっくりさせてしまったら。

ごめんなさい。

 

ただ、この気持ちを伝えたかったんです。

 

富樫夢葉より)

 

「だから…その、私はえっと…えっと…これ!」

 

と、夢葉は真二に対して、連絡先を渡すのだった。

夢葉のスマートフォンの電話番号とメールアドレスが書かれていた。

 

「真二くんのこと、私はもっと知りたい。

真二くんは、瞳を持つ者だから!」

 

「瞳を持つ者…か。俺もそうだったな…

あっ、そろそろ、授業だから!」

 

と、真二は校舎に入るのだった。

 

公園にて。夢葉はえむとよつばに慰められつつ、泣いていた。

 

「真二くんと一緒に話せて嬉しかった…けど…」

 

「どうかしたの?」

 

「本当は…真二くんと、もっと話がしたい…」

 

と、夢葉は顔に手で隠して、泣いていた。

 

だが、そんな時、えむが夢葉に抱き着いた。

 

「きっと、大丈夫だよ。夢葉ちゃんの気持ちは、

真二さんに伝わっている。必ず絶対に」

 

「えむ…ちゃん…」

 

「えむ…」

 

その時の、えむは、どこかで不思議と慈愛に満ち溢れていた声で、

まるで、いつものえむと比べると、包容力があるような感じだった。

 

えむの包容力で、夢葉を慰めるのだった。

 

よつばは、夢葉の手を握った。

 

「よつばちゃん…」

 

「よつばもいる。これからも、ずっとだ!」

 

と、よつばとえむは、しばらく、夢葉の傍にいた。

 

 

 

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