※この作品は、せと。さんの主催されている「#モンハン愛をカタチに2021」の企画小説です。
素晴らしい企画に参加させて頂いた事をこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。
人間の暮らしに深く根付いた獣人族。アイルー。
彼ら彼女らは高い知性と持ち前の勇敢さを以て多くの仕事をこなす。
給仕や受付、あるいはオトモアイルー。様々な仕事を請け負う彼らの仕事の中で最も危険と言われる仕事をご存知だろうか。
オトモアイルー?違う。でなければハンターを狩場まで送る竜車の御者か?それも違う。
正解は『ネコタク』だ。
怒り狂うモンスターの攻撃をくぐり抜け、負傷したハンターをベースキャンプまで送り届ける。自分、そしてハンターの命に関わる危険な仕事だ。
読者の中にハンターをやっている方がいるのならば、何度かお世話になった事もあるかもしれない。しかし具体的にどんな事をしているのか知らない方も多いだろう。
しかし今回、我々『月刊 狩りに生きる』編集部はなんと、水没林のネコタクの仕事現場に密着する許可を頂いた。
知らされざるネコタクの一日を赤裸々に暴いて行こう。
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<朝 四時>
ネコタクアイルーの朝は早い。水没林に住むアイルー達の集落で、十数名のアイルーが活動を始める。
ーこの方達、皆さんネコタクなのですか?ー
シャトー「違うにゃ。ネコタクやってるのはオレとコイツ。他のはサポートにゃ」
答えて下さったのは、今回密着するネコタクの「シャトー」と「ブラン」だ。
ーサポートというと?ー
ブラン「各エリアを見張って、どこにハンターがいるかをオイラ達に知らせる係にゃ。いくらオイラ達が速くても、ハンターの場所が分からなきゃ駆けつけられないにゃ」
ーなるほど。ネコタクの活動にはサポートの皆様の力が欠かせないという事ですねー
シャトー「その通り。さて、準備が出来たから出発にゃー!」
アイルー達「「「「にゃーー!」」」」
今日の仕事はクエスト中にハンターが力尽きた際の運搬とのこと。
私は特別に、サポートとネコタクが待機する秘密の場所へ案内して頂いた。
私が案内して頂いたのはエリア6の近く。「リアン」というサポートのアイルーに密着した。
ーこんな所に道があったんですねー
リアン「下手に動くにゃよ?もしモンスターにここがバレたら大変にゃ」
ー肝に銘じておきます……あ、ハンターが来ましたねー
シャトーが不思議な音色の角笛を吹いた。
ー角笛なんて吹いて大丈夫なんですか?ー
リアン「この角笛はモンスターには聞こえづらい音をしているにゃ。アホほどデカい音を出さない限りは大丈夫にゃ」
ーすごいですねー
笛を吹いてから間もなく、シャトー達がやって来た。今のはこのエリアにハンターがやって来たことを知らせる笛だったのだろう。
シャトー「様子はどうにゃ」
リアン「今のところ大丈夫そうにゃ」
しかし、その後ハンターはモンスターの猛攻に晒されて危機的な状況に陥ってしまった。
ーハンターが危ないですねー
リアン「んにゃ。でも今おれ達にできる事はないにゃ」
ブラン「ハンターが動けなくなってから、それか仲間がもう無理だと判断してからがオイラ達の仕事にゃ」
ーなるほど、独自のポリシーがあるのですね。無闇矢鱈に救助する訳ではないとー
シャトー「その通り。命を懸けた狩りに水を差す訳にはいかないのにゃ」
リアン「あ、そろそろ出番のようだから、二人とも準備するにゃ」
シャトー&ブラン「「んにゃ」」
ハンターが吹き飛ばされて地面に突っ伏すや否や、シャトーとブランが荷車を押しながら飛び出した。
シャトー「ぃにゃっはーーッ!爆速前進にゃーッ!」
ブラン「ぅにゃっはーーッ!激烈逃避行にゃーッ!」
ー……ええと、お二方がまるで人が変わった様に飛び出して行ったのですが、アレは……?ー
リアン「ああ、アイツらはモンスターから逃げる時みたいな危機的状況に興奮する質タチなのにゃ。いうなればスリルジャンキーにゃ」
ーな、なるほど、少々変わった方々なのですね……ー
リアン「んにゃ。でも、危険とは切っても切り離せないネコタクの仕事をするにはピッタリだにゃ」
ー確かに、とても適していますねー
その後、復帰したハンターがモンスターを倒し、ネコタクの本日の仕事は終了となった。
ー今日の仕事はこれでお終いですか?ー
シャトー「そうにゃ。クエストはハンターやモンスターによってかかる時間が違うにゃ。半刻とかからずに終わるかも知れないし、丸一日かかるかも知れない。だから、仕事は一日に一つだけなのにゃ」
ーなるほど、仕事は一日一件とー
本日の仕事を終え、アイルー達は集落へと帰還した。今から夕食らしい。彼らの厚意で、一緒に食べさせていただける事となった。
ーわあ、とても豪華ですねー
シャトー「ネコタクの仕事は体力勝負にゃ。こうやって毎日エネルギーの付く料理を用意してくれるみんな達には感謝しかないにゃ」
ーサポート然り、料理然り、ネコタクは様々な方の協力があって成り立っているんですねー
ブラン「その通り。食材の調理も、荷車の整備も、自分達だけじゃ出来ないことなのにゃ」
シャトー「そんなことより早く食べるにゃ。折角作って貰ったのに冷ましちゃったらいけないにゃ」
ーそうですね。頂きましょう!ー
シャトー&ブラン「「いただきますにゃ!」」
美味しい料理を堪能させて頂いた後、私は最後のインタビューへと移った。
ー本日は密着させて頂きありがとうございました!ー
シャトー「こちらこそありがとうなのにゃ!」
ブラン「これでネコタクの仕事が世に広まったなら嬉しいにゃ!」
ー最後にお聞きしたいのですが、お二人にとって''ネコタク''とはなんですか?ー
ブラン「うーん……難しいにゃ」
シャトー「オレにとっては『天職』にゃ」
ー天職ですか?ー
シャトー「んにゃ。オレはモンスターから豪快に逃走するのが好きにゃ。だから、人を乗せた荷車を押しながら逃げるこの仕事はまさに天職なのにゃ!」
ーなるほど、自分の好きなことをしつつ人の役にも立てる。一石二鳥ですね。ブランさんはどうですか?ー
ブラン「うーん。強いていうなら……『生き様』にゃ……?」
ーおお、生き様ですかー
ブラン「にゃ。シャトーと同じく、オイラもモンスターから逃げるは好きにゃ。それと同じくらい人助けをするのが好きにゃ。逃げる事と助ける事を両立するネコタクは、まさにオイラの生き様と言える……かもしれないにゃ?」
ー自分の好きなことを反映した仕事……素敵ですね!ー
ブラン「なんか照れるにゃ」
モンスターからの逃走と人助けに命を懸けるネコタク。彼らの逃避行はこれからも続いてゆくのだろう。
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ー以上で取材は終了となります。本当にありがとうございました!ー
シャトー「良いってことにゃ」
ブラン「そういえば、記者さんは今から帰るのにゃ?」
ーそうですね。今日は最寄りの村で一泊する予定ですー
ブラン「でももう暗いし、一人で帰るのは危ないように思えるにゃ」
ー確かにそうかも知れませんが……ー
ブラン「じゃあオイラ達が村まで送って行ってあげるにゃ!」
ーえ、良いんですか!?ー
ブラン「勿論にゃ!ネコタクを広めてくれるお礼にゃ!シャトーも良いにゃ?」
シャトー「当然にゃ!」
ー何から何まで、ありがとうございます!……ん?でもシャトーさんとブランさんが送ってくださるってもしかして……ー
シャトー「荷車持ってきたにゃ!」
ーや、やっぱりネコタクですか!?ー
ブラン「当たり前にゃ!さあしっかり捕まるにゃ!」
ーちょ、ちょっと待って下さい!まだ心の準備が!ー
シャトー&ブラン「「爆速前進にゃーッ!」」
ーひぃぃ〜〜っ!!ー
[完]
どうも皆様おはこんばんにちはございます。LeaFと申します。
今回は力尽きた時にお世話になるネコタクに焦点を当てて書いてみました。楽しんで頂けたら幸いです!
それでは皆様、良いクリスマスを!