「だった」
これは過去形である。
そして、これは誰もが迎える可能性である。

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世界は終わる

清掃が行き届いた部屋。

壁には海図が掛けられ、部屋には机が置かれ、片隅にはジュークボックスが置かれていた。

黒髪の、どこか薄幸そうな見目麗しい女性が呟く。

「提督が姿を消してから、深海棲艦は活動を停止。

大本営と全ての鎮守府との通信途絶。

鎮守府海域から出て他所に連絡を取りに行くことも出来ない。

私たちはいったいどうなるのかしら・・・」

この部屋の主はかつて、艦娘に全幅の信頼を寄せ、大本営からの無茶難題をこなしてきた。

そんな彼に、艦娘達も応え、大本営からの無茶難題をこなし、今では百戦錬磨の強者となった。

「提督、早く帰って来て下さい」

部屋に1人残された艦娘の目から涙がこぼれ落ちる。

鎮守府の港では、激務から解放された一部の艦娘達が、降って湧いた休暇を楽しんでいた。

彼女は知らない。

提督は世界が終っても戻ってくることが無いことを。

 

全体的に白い部屋。

机が有り、ベットが有り、観葉植物も有る。

この部屋には入居者がいたが、私物が少なすぎる。

そんな部屋に手にガントレットをはめた水着姿の女性が、ベットに腰掛けて呟く。

「ほんっとうにマスターたら、私を置いて何処にレイシフトしたって言うのよ!」

女性の拳がベットを粉砕する。

ノウムカルデアにおいてマスターの少年が姿を消してから、文字通り全てが観測不能となった。

そして、この女性もまた、マスターが消えてから酷く情緒が不安定となった。

彼女は知らない。

マスターは世界が終っても戻ってくることが無いことを。

 

青い空、青い海、何処かの港。

雷のように眩い金髪の幼女が紫電を迸る。

「指揮官・・・ダッコして・・・」

幼女の指揮官は、疲労骨折になろうとも、求められるがままにダッコし続けた。

そんな、優しい指揮官が、今では見当たらない。

幼女は知らない。

指揮官は世界が終っても戻ってくることが無いことを。

 

蛍光灯が照らす司令室の卓上には書類や地図で埋まっている。

赤い星の髪止めをした、ツインテールの少女は今日も司令室に訪れる。

我等が頼れる指揮官は今日も不在。

売られて流れ着いた自分達を受け入れ信頼してくれた指揮官がいない。

幸いにも鉄血も、軍も沈黙している。

不気味なくらいに。

「指揮官・・・」

司令室の角で、両膝を抱えて座る。

彼女は知らない。

指揮官は世界が終っても戻ってくることが無いことを。

 

ピンクの髪の少女が走る。

馴れないターフをひたすら走る。

馴れない2,500Mを、ひたすら走る。

彼女のトレーナーは涙を流し、えずきながらに言った。

「有馬記念。絶対1着をとろう。」

お互いに涙したあの日を少女は忘れない。

だから少女は走る。

トレーナーが帰ってきたら見せつけるのだ、自分の脚を。

そして、言うのだ。

「有馬記念。絶対1着とろうね。」と。

彼女は知らない。

トレーナーは世界が終っても戻ってくることが無いことを。

 

決して交わることの無い物語。

しかし、そこには接点があった。

なぜ彼女達の提督、マスター、指揮官、トレーナーが姿を消したのか?

それは彼女達の知るその者は、物語に介入し進行させる存在であるからだ。

そして、この介入者は、1人で4つの世界に介入していた。

扶桑の主砲がボスゲージを砕いときには発狂し。

マルタさんの鉄拳制裁に驚愕したいがために。

エルドリッジを存分に愛で。

56式がrealにswordで好きだから。

ハルウララちゃんを勝たせたい一心に。

ひたすらイベントに育成に頑張った。

それが作業になり、惰性になろうとも。

ただ純粋に、好き「だった」からつづけた。

 

そして、ある日。

 

なんの前触れもなく全てに興味が無くなってしまったのだ。

だから、

提督も、マスターも、指揮官、トレーナーも、

きっと彼女達の元に、世界(サービス)が終わるときも、戻ってくることはないのだろう。

 

 




コロナ禍で同人イベントとか行けないのと、15年ほぼ無責任に仕事して、出世したとたんに責任のし掛かって心労にやられたせいか、突然同時に全てのソシャゲを何故か引退してしまったので、書いてみました。

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