予防接種に行ったハズなのになんでVtuberになってるの?? ~地味女子JKは変態猫や先輩V達にセンシティブにイジられるそうです~   作:ビーサイド・D・アンビシャス

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第11話 お〇っこ我慢ス〇ブラ決着!(もぅ……むりッ!)

リスナーさんから一気飲み禁止が出た。

 『やめなさい』の一言がぶわぁぁぁと流れる様子は圧巻だった。

 

 でも一気飲みはやめるけど、飲む量(500ミリリットル)は変えなかった。

 そうしてスマブラ5本勝負再開。 

 キャスパーは強かったけど、なんとか最終戦にもつれこませた――――ンダケド

 

「キャスパー⁉ ちょっとこれ何の音⁉ 何の音流してるのコレェ‼」

「コップにお茶注いでる音だが?」

「まだ勝負終わってないでしょおがぁあーーー⁉ 喰らえぇえぇええ‼」

 

 棒立ちしてるプ〇ン目掛けて思いっきりスマッシュをかます。試合はタイム制だからいくら倒してもプ〇ンは復活してくる。

 

 キャスパーの可愛い猫顔がニヤニヤ不細工になっていく。

 

「いやいやいや~レヴィアたん強いからさ。僕は負けを悟って、お茶の準備をしてるだけだよ? 何も怪しいことはしてないサ」

「うそ! ぜっったいうそだぁ! だってさっきから何ッ回もゴポゴポ音してるもん! ねぇ! コップ二つ用意してるでしょ⁉」

 

 こぽこぽとお茶がコップに溜まる音に、背筋がぞくぞく震える。

 音が止んだと思ったらまたこぽこぽとお茶が注がれる音がするんだけど……その時ね聞こえるんだよ。

 

 キンッ、てコップとコップがぶつかる音が!

 

「なんのことかわかんないなぁ~~~~?」

「わぁあああーーーーー‼ しらじらしい! 白々しすぎるよぉ‼」

「キャスメロ、猫だからよくわぁかんなぁい♡」

「んにゃぁあああああああああああああああああああああああああ‼‼‼‼」

 

 叫んでもキャスメロディへの怒りは少しも減らなくて、私は配信の机をダララララッ‼と叩きまくった。

 

 ――――それが、いけなかった。

 

 ブルッと自分の意志関係なく、肩が震える。

 それは下腹部からやってきて……次の瞬間、私の意識は一気にお股に持っていかれた。

 

「あ」

 

 コンマ何秒で私はコントローラーを離し、両手で抑える。

 ゴトンと落ちるコントローラー、制止するル〇レ。

 

「ぃや」

 

 きゅっと爪先を丸めて、尿意を抑え込む。

 けれど、この時には、もう。

 

「――さて、取り返しますか」

 

 キャスパーが動いていた。

 今やってるスマブラの設定はタイム制。制限時間以内なら何度でも復活するけど、勝敗を握るのは【相手を倒した数】。

 

 キャスパーがお茶を注いでる間、私はプ〇ンを5回倒した。圧倒的に私の方がリードしてるのに。

 

「ほい」

 

 バシン! と、プ〇ンの小っちゃい拳で華奢なル〇レが空中へ浮き上がる。

 そこに叩き込まれる、必殺技。

 

 プ〇ンの目蓋が落ちた瞬間――――カキ―ン‼ と甲高い雷鳴がル〇レが粉々に消し飛んだ。

「あと5回かぁ、ちょっと急ぎ目に殺《や》ろうか」

「ぅ、ぅうううう……させるもんかぁ!」

 

 コントローラーを手にして言ってみるけど全然だめだった。

 こっちの攻撃は全部ガードされるか躱されて、向こうは次々と当ててきて。

ピンチが迫り寄ってくる。

 ゲームも――――私の膀胱も!

 

「ああーーー! うぁん! やっ、ちょっ、ムリィ‼ もうムリィ……む、り」

 

 フーフーと荒く息をする。

 もじもじ足を組み直すけど、どんどん内股になっていく。

 

「あっれぇ? ちょっとプレイが、お粗末になってきたなぁ~~~?」

「もうっ、あたっ、当たってよぉ‼ なんで当たんな……あっ、もぉおおおお!」

 

 途切れることのない攻撃の果てにスマッシュを決められて絶叫する。

 

[ コメント ] 

・追いつかれたぁーーー!

・せっかくのリードが

・こっからこっからぁ!

 

「みんなぁ……っ‼」

 

 応援のコメントに涙がにじむ。

 そうだ、私はまだ負けてない! お腹はタプタプだし、今にも決壊しそうで、操作もおぼつかないけど! 

 

「ありがとぉ、眷属ぅ! 見てて! 私ここから勝ってみせるから」

「――なぁ、ちょっと。良いのか眷属」

 

 え? パチクリと瞬きする。

 キャスパーはあろうことか、唐突に私の眷属《リスナー》に声を掛け始めた。

 

「僕が勝ったら、レヴィアたんのシチュボ聞けるんだよ? しかも朝チュンだよ? 決してR18ではない、しかし想像搔き立てるには充分なボイスだ。それに――――あと一押しでコイツ漏らすぞ」

「キリッとした顔で何言ってんの、この汚物猫⁉」

 

「あらゆる女性Vにおもらし企画を仕掛けてきた僕だから分かる。さっきの吐息の感じからして……あと一杯でレヴィアたんの聖水が聞けるんだぞ」

「今すぐ辞めろぉ! 全ての女の子のために引退しろぉ‼」

 

 このゲスマスコットめ‼ 

 全然可愛くないゲスマスコットは熱烈に私の眷属に言葉を語り続ける。

 

「僕が勝てば朝チュンと聖水だぞ⁉ いいか眷属! 

 僕がお前らの希望なんだぞぉ⁉」

 

 私はため息をついた。

 ホント何言ってるんだろう、このゲスコットは。そんな言葉にみんなが乗せられるわけないのに……。

 

[ コメント ] 

・キャスパーがんばれぇぇーーー‼

・がんばれキャスパー

・勝て、クソ猫ぉ!

・罰ゲームひっどいww

・そこだぁ、飲ませろぉーーーー‼

 

「みんなぁ?」

 

 応援のコメントに涙が枯れる。

 味方だった筈なのに……コメント欄のキャスパーコールがすごく辛い。

 

「ぃよぉお~~~~~しぃ! 絶対勝つぞォ‼ 強くなれる理由を知ったぁああああああああああああああああああああああ‼‼」

「そんなもんで強くなるなぁぁぁぁああーーーーーーーーーー‼」

 

 飛び掛かってくるプリンの圧に、私は絶叫して逃げる。

 どうしようどうしようどうしよう⁉ 倒した数(スコア)のリードは潰されてるし、私のPSじゃキャスパーから一本は取れないし、それに……。

 

 キュゥゥゥッ、と爪先を丸める。

 

「あぅ、ふっ……はぅ」

「ヘイヘーイ! 我慢してるぜェ~⁉ その吐息最高にセンシティブぅぅううううン‼」

 

「うるっさい‼ 黙れ、クソ猫ォ‼」

「おほいおほい、乱暴な物言いだなぁ⁉ 初配信の清楚さはどうしたんだぁあい! 余裕の無い証だねぇ、エッチだねぇ‼」

 

「もぉおおおおやだぁあああああ‼ だいたい何なの⁉ あんたもみんなもぉ‼ 私がも……漏らして何が嬉しいの⁉ 汚いだけじゃん⁉ ていうか音しか聞けなくない⁉」

「え、なにその言い方? 音じゃ満足できないでしょって? 出すとこ見せてくれるってこと? 直飲み許可ってこと?」

「あんたぜっったい許さないかんな‼ ぜっっったいボコボコにしてやるからぁああ‼」

 

 逃げても、勝ちは拾えない! 

 私の膀胱も羞恥心も守れない!

 ル〇レを反転させて、プリンに立ち向かっていく。

 

一撃離脱を意識した立ち回りに徹する。確実に入れられる瞬間に一発だけ入れて、即逃げる。

 これを繰り返す。

 

 それでもダメージは入れられるけど……落とされることはない。お互いにジワジワとダメージが蓄積され、だんだん勝負が分からなくなってきた。

 

「フー! ウー! グルルルフシャーーーー‼」

「レヴィアたん⁉ せめて人の言葉喋って⁉ 猫《ぼく》の立つ瀬が無いよ!」

「うるしぇーーーーーっ!」

 

 こっちはもう限界なの‼ 爪先の丸み具合も内股の絞めつけ具合も最高潮。

 別に好きで唸ってる訳じゃないの普通にもうヤバいの!

 

 一発……お互いにあと一発入れたら、飛ばせる。

 前のめりになって配信画面に映るゲーム画面を見つめる。

 目をギラギラさせて息を浅く繰り返す。

 

 一挙手一投足を見逃さない……ぽよぽよと煽りスクワットされても気にしない。

 露骨な誘いだ。

 向こうも焦ってるんだ、時間がもう無いから。

 

 試合時間《タイムリミット》が迫る。

 すると――向こうのプ〇ンがじりじりと歩いてきた。誘いかと思ったけど……皮肉かな、プレイを通してキャスパーのこと分かってきた。

 

 私もル〇レをじりじりと歩かせる。

 操作キャラが一秒二秒と時間を踏み潰すにつれて、プレイヤーの緊迫が高まる。

 配信にあるまじき沈黙が降りるけど、コメントは変わらず流れている。

 

 ………………ル〇レの間合いに入った。

 

 画面右上を一瞥してから、私はカッと鋭くスティックを倒す。

 細い腕の先に伸びた雷光纏う剣閃が大気を焼く!

 完全にこっちの間合い、向こうは手足が短いから攻撃は届かない。

 

「やっ……ッ!」

 

 ひらりと、跳躍する桃色の球体。

『ぷいっ』と可愛い声で放たれた絶死の一撃が……ル〇レの体躯をくの字にへし折った。

 

 カキィンと甲高いエフェクトが鳴って、野球ボールみたいに私のル〇レが場外に吹き飛ばされる。

 

「いよっしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーー‼‼‼‼」

 

『 SUDDEN DEATH GO! 』

 

「えぇええええええええええええええーーーーーーーーーー⁉⁉⁉」

 

「うらぁあああああああああああああーーーーーーーーーー‼‼‼」

 

 この時、プ〇ンを吹き飛ばした私のドスが利いた声は、以後『堕天使の断罪咆哮(ギルティロア)』として定着することになるのだった。

 




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