予防接種に行ったハズなのになんでVtuberになってるの?? ~地味女子JKは変態猫や先輩V達にセンシティブにイジられるそうです~   作:ビーサイド・D・アンビシャス

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第31話 悪役令嬢:早乙女さん⁉(まってちがうの、誤解なの!)

「こぅいぅ……感じ?」

 練習をしたかった。

 

 配信前にメスガキムーブって言うのを。

 だって配信でいきなりやってスベるの嫌だし。

 

 そういう、至極マジメな想い――――だったんですよ。

 

「あんた達、ここで何してんの?」 

 

 私達を見下ろす瞳孔ガンギマリの早乙女さんに、私はそう心の中で語り掛ける。

 

 手からなんかポタポタ垂らしてる……え何なのそれ返り血? の割には白いし。

 え、ほんとに何⁉

 

「あんた達、ここで何してんの?」

「お? どうしたんだ早乙女。昼飯買えたのか?」

 

「あんた達、ここで何してんの?」

「早乙女さ……ち、ちがうの! これはその、普通に一緒にご飯食べてただけで」

 

「き・さ・ま・ら・こ・こ・で・ナ・ニ・ヲ・シ・テ・オ・ル・?」

 

 語るにつれて人間辞めていってる声してるぅ!

 なんか言い方も尊大になってる気がするぅ!

 ていうか駄目だ、私の話も三波くんの話も聞いてない!

 

「あたしさぁ、見てたんよ。なんかぁ? 姫宮さんがさぁ? 三波に近づいてさぁ。もぅすっげぇ近づいてさぁ。まぁすぐ離れたから良いけど……三波の面がさぁ、明らか何かあった顔っつーかさぁ」

 

 天界から脳天へピキューンと危険信号が走る。

 堕天使六感(センス)が言っている。

 あ、これ――――最大最悪の勘違いされている! 

 私は勢いよく立ち上がって、早乙女さんに詰め寄る。

 

「ちがうのちがうのちがうのぉ‼ 早乙女さんが考えてることなんかしてないよ‼⁉ だって私と三波くんだよ⁉ なにかある訳ないじゃない!」

「……うちが考えてることってなに?」

 

 怪訝な目に見下ろされて、私はぴしっと固まった。

 あっれ~~~~~? 墓穴掘った気がする~~~~?

 

 早乙女さんはドンッと胸で私を押し出して、問い返してきた。

 

「ねぇ? 何がないの? 姫宮さんと三波との間に、何かあるの?」

「あっ、それ俺も気になる。どういうことなの、姫宮さん。そんなことって何?」

 

 あーんたは何でそっちに加勢してんだぁあぁあああーーーーー‼

 やめてよ! 二人して私の墓穴ほじくり返さないでよ⁉ 

 

 そうして二人からの追求にあわあわしてたら……学校のチャイムが鳴った。

 

「仕切り直しね」

 仕切り直すんですか。

 

 早乙女さんはフンっと鼻白んで、大人っぽい巻き髪をなびかせた。

 ずだんずだんと足を踏み鳴らしていって、途中で振り返った。

 火矢かと見間違える程の眼光に、私は怖くて肩が跳ねた。

 

「いやぁ~~えらく睨まれたなぁ」

「……どぅしよう」

「?」と横で三波くんが不思議そうな顔をする。

 

 地味で暗いのが私らしさ、おとなしくて便利なのが私の役割。

 そんな私が、クラスの中心の三波くんとこっそり会ってた。

 

『なんか姫宮さんらしくないね』

 きっとまたそう言われる――――あの時の、親睦会《カラオケ》の時みたいに。

 

「終わった……私の学校生活……終わった」

「んー、別にそこまでの事態じゃないと思うけどなぁ」

 

 能天気な三波くんの言葉を無視して、私達はタイミングをずらして教室に戻った。

 

 席に着くと……斜め前から火矢の視線を放たれた。

 

 早乙女咲良さん。

 テニス部のエースで学校の成績も優秀。街に遊びに言ったら読モの勧誘受けた、だなんて話しょっちゅう聞くくらいスタイル良い美人。

 廃部寸前のテニス部を都大会常連まで押し上げた才女。

 

 ――――もし、三波くんとこっそり会ってたのが彼女だったら。

 

「なんにも問題ないのになぁ」

 

 けど、問題は私だから。

 姫宮紗夜だから。

 私がらしくないことをしたから――――今、早乙女さんにめちゃくちゃ睨まれてるんだ。

 

 …………こわいこわいこわい! じわわっと涙出てきた。

 

 この後、私に何をする気なの? 

 私、何されるの⁉

 増すばかりの不安で視界はぼやけて、その間も早乙女さんの視線が突き刺さっていた。

 

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