予防接種に行ったハズなのになんでVtuberになってるの?? ~地味女子JKは変態猫や先輩V達にセンシティブにイジられるそうです~ 作:ビーサイド・D・アンビシャス
「こぅいぅ……感じ?」
練習をしたかった。
配信前にメスガキムーブって言うのを。
だって配信でいきなりやってスベるの嫌だし。
そういう、至極マジメな想い――――だったんですよ。
「あんた達、ここで何してんの?」
私達を見下ろす瞳孔ガンギマリの早乙女さんに、私はそう心の中で語り掛ける。
手からなんかポタポタ垂らしてる……え何なのそれ返り血? の割には白いし。
え、ほんとに何⁉
「あんた達、ここで何してんの?」
「お? どうしたんだ早乙女。昼飯買えたのか?」
「あんた達、ここで何してんの?」
「早乙女さ……ち、ちがうの! これはその、普通に一緒にご飯食べてただけで」
「き・さ・ま・ら・こ・こ・で・ナ・ニ・ヲ・シ・テ・オ・ル・?」
語るにつれて人間辞めていってる声してるぅ!
なんか言い方も尊大になってる気がするぅ!
ていうか駄目だ、私の話も三波くんの話も聞いてない!
「あたしさぁ、見てたんよ。なんかぁ? 姫宮さんがさぁ? 三波に近づいてさぁ。もぅすっげぇ近づいてさぁ。まぁすぐ離れたから良いけど……三波の面がさぁ、明らか何かあった顔っつーかさぁ」
天界から脳天へピキューンと危険信号が走る。
堕天使
あ、これ――――最大最悪の勘違いされている!
私は勢いよく立ち上がって、早乙女さんに詰め寄る。
「ちがうのちがうのちがうのぉ‼ 早乙女さんが考えてることなんかしてないよ‼⁉ だって私と三波くんだよ⁉ なにかある訳ないじゃない!」
「……うちが考えてることってなに?」
怪訝な目に見下ろされて、私はぴしっと固まった。
あっれ~~~~~? 墓穴掘った気がする~~~~?
早乙女さんはドンッと胸で私を押し出して、問い返してきた。
「ねぇ? 何がないの? 姫宮さんと三波との間に、何かあるの?」
「あっ、それ俺も気になる。どういうことなの、姫宮さん。そんなことって何?」
あーんたは何でそっちに加勢してんだぁあぁあああーーーーー‼
やめてよ! 二人して私の墓穴ほじくり返さないでよ⁉
そうして二人からの追求にあわあわしてたら……学校のチャイムが鳴った。
「仕切り直しね」
仕切り直すんですか。
早乙女さんはフンっと鼻白んで、大人っぽい巻き髪をなびかせた。
ずだんずだんと足を踏み鳴らしていって、途中で振り返った。
火矢かと見間違える程の眼光に、私は怖くて肩が跳ねた。
「いやぁ~~えらく睨まれたなぁ」
「……どぅしよう」
「?」と横で三波くんが不思議そうな顔をする。
地味で暗いのが私らしさ、おとなしくて便利なのが私の役割。
そんな私が、クラスの中心の三波くんとこっそり会ってた。
『なんか姫宮さんらしくないね』
きっとまたそう言われる――――あの時の、親睦会《カラオケ》の時みたいに。
「終わった……私の学校生活……終わった」
「んー、別にそこまでの事態じゃないと思うけどなぁ」
能天気な三波くんの言葉を無視して、私達はタイミングをずらして教室に戻った。
席に着くと……斜め前から火矢の視線を放たれた。
早乙女咲良さん。
テニス部のエースで学校の成績も優秀。街に遊びに言ったら読モの勧誘受けた、だなんて話しょっちゅう聞くくらいスタイル良い美人。
廃部寸前のテニス部を都大会常連まで押し上げた才女。
――――もし、三波くんとこっそり会ってたのが彼女だったら。
「なんにも問題ないのになぁ」
けど、問題は私だから。
姫宮紗夜だから。
私がらしくないことをしたから――――今、早乙女さんにめちゃくちゃ睨まれてるんだ。
…………こわいこわいこわい! じわわっと涙出てきた。
この後、私に何をする気なの?
私、何されるの⁉
増すばかりの不安で視界はぼやけて、その間も早乙女さんの視線が突き刺さっていた。