予防接種に行ったハズなのになんでVtuberになってるの?? ~地味女子JKは変態猫や先輩V達にセンシティブにイジられるそうです~   作:ビーサイド・D・アンビシャス

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第33話 おのれぇぇえくっ殺!(私、2センチ大きくなったんだ?)

「常にオドオドしてるところが可愛い‼」

 バゥンッ!

 早乙女さんの強烈なカーブショット……に。

 

「レヴィアたんみたいな笑顔!」

 スパン。

 軽いフットワークで三波くんは追いつき、返球。

 

「守りたい抱きしめたい撫でたぃぃぃいいいぃいい‼」

 ガォンッ!

 空気を噛み砕くが如き、早乙女さんの絶殺スマッシュ。

 

「レヴィアたんみたいな清楚さ!」

 ポーン。

 その勢いを完全に殺し、コートの奥深くへ返す三波くん。

 

「課題忘れたバカメス生徒にも微笑んで写さしてあげてるの優しい素敵すっっきぃい‼」

 ギュボンッ!

 地響きを起こしかねない踏み込みで、ボールへ追いつき返球する早乙女さん……を。

 

「レヴィアたんみたいな声」

 コン――ッ。

 嘲笑うかのように、ネットぎりぎりにボールを落とし返した三波くん。

 

 三波くんはテニスラケットをくるくると手で回転させ、ビシッとコートに這いつくばる早乙女さんにラケットを向けた。

 

「良いな、早乙女。めば〇こ良い。お前の推し語り――――おかわりだ」

「やかましぃわぁぁあああああああああああああああああ‼」

 

 すぐに立ち上がって、ボルケーノ早乙女は噴火する。

 そんな火花散る戦いの横で……私は悶え倒れていた。

 

「バレてないと思ってましたぁぁぁうわぁーーーーん」

「お姉ちゃんさぁ、そんな悶えるならボイチェン使いなよ最初から」

「合格即デビューさせた口がなにほざいてんのぉ⁉」

 

 そりゃ薄々思ってたよ、三波くんに声で気付かれてないかなって! 

 でも何も言ってこないから大丈夫なのかなって思ってたんだよ! 

 バッチシ大丈夫じゃなかったよ! 

 

15―15(フィフティーンオール)

 

 粛々と試合は続行される。

 三波くんがボールを高く投げて、ぐっと力を溜める。そうして手足のバネを解放してサーブを放つ寸前。

 

「レヴィアたんより、ちょい小さめのバスト」

 

 きらんと目を輝かせた。

 対する早乙女さんは的確なフットワークで着弾点を見極め、バットみたいに豪快に振りかぶった。

 

「Dカップの、美乳ぅぅぅうううううう‼」

 ボゴォン! とサーブをスマッシュで返す、強烈無比な一撃を放った。

 

 

 ――――お前らぁぁぁあああああああ‼‼‼

 さすがに、私も怒った(心の中で)

 

 

 三波くんが返球し、再びラリーが始まる……けど、伽夜ちゃんは「ふんっ」と鼻を鳴らした。

 

「にわかが。お姉ちゃんのバストは一昨日、2センチアップしたわ」

「え、そうなの⁉」

 

 バッと私は自分の胸を見下ろす。

 か、変わってないように見えるけど……?

 

 というか伽夜ちゃん。

 なんで本人も知らない変化をあなたは知ってるの?

 

 もう家に帰って寝たい気分だったけど、やっぱり見届けなきゃいけない義務感で試合を観戦する。今は早乙女さんが優勢で、三波くんは返すので精一杯だ。

 

「おにぎり食べる時、両手ではむはむしてるの可愛い!」

「レヴィアたんより、ちょっと垂れた目」

 

「話しかけられたら、びくって肩すくめちゃうとこ可愛い!」

「レヴィアたんみたいに、通った鼻筋」

 

「どんな用事も笑顔で引き受けてるの偉い1京点!」

「レヴィアたんより、もちもちしてそうなほっぺた」

 

「家がメテオで大変なのに! 毎日バイトと学校頑張ってるの尊いぃぃぃぃいぃ!」

 早乙女サァーーーーーーン!

 早乙女さんの想いに涙こぼれる私。

 

 そんな彼女の想いが乗ったショットは、今までで一番の球威を秘めていた。

 あと三波くん。

 今度会う時、私お面被って会ってみるね?

 若干冷めた目で、早乙女さんのショットを返そうとしてる三波くんを見ていた。

 

「――レヴィアたんみたいな、ささやき声」

 

 どきり、と鼓動が一つ跳ねる。

 小気味の良い、ラケットがボールの芯を捉える音が響き渡った。

 

 滑らかな軌道で返されたテニスボールが、早乙女さんに迫る。早乙女さんがぎりっと奥歯を噛みしめた。

 

「……さっきっから」

 早乙女さんは緩慢に、力強く、居合切りのような態勢を取って――――抜き放った一閃がボールを光に変えた。

 

「レヴィアたんって誰よぉぉぉぉぉぉぉおぉぉおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーー‼‼⁉⁉」

 

 あっ、ごもっともな疑問だと思います!

 

 光線の如きショットを返されて、三波くんは目を見張った。

 その時、私は確かに見た。三波くんがラケットを手放した瞬間を。

 

 直後――――三波くんの掌には、煙を上げたテニスボールが握られていた。

 

 って、え? 私も伽夜ちゃんも早乙女さんも、ここにいるみんな全員目を疑った。

 ぽろりとボールが手の平からこぼれて、コートに転がる。

 

 三波くんはヌゥッと腕を持ち上げ、早乙女さんを指さす。

 

「今、聞いたな?」

「な……に?」

 

「レヴィアたんって誰だ。それは――――姫宮さんの好きなところを言った、とはカウントされないだろぉう?」

 

 戦慄、走る。

 

 ボルケーノ早乙女は膝から崩れて、休火山となる。

 肩を震わせ、「くっ!」と後悔をにじませながら、彼女は叫んだ。

 

「殺せぇぇぇええええええーーーーーーーーーー‼‼‼」

 

「テニスでくっ殺すなぁぁあああーーーーーーー‼」

 私、もう我慢できませんでした。

 

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