予防接種に行ったハズなのになんでVtuberになってるの?? ~地味女子JKは変態猫や先輩V達にセンシティブにイジられるそうです~   作:ビーサイド・D・アンビシャス

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第5話 初配信終了!(次回のコラボはヤバい猫⁉)

「戻ったぞ〜〜眷属達よ〜〜、犯人は宵月の娘じゃった〜。聞き苦しいものを公開してしまって申し訳なかったの。後でしっかり削除するでな、安心して……」

 

[ コメント ]   

・やめてぇ!!!

・消さないでぇ!

・聞き苦しくなんかないよぉ!

・控えめに言って天国なんよ

・癒し動画を消さないでぇ!

 

「え、え?え?え? な、なんで? だって下手くそじゃろ、妾の歌⁉︎ 妾、カラオケで下手くそ過ぎて友達いなくなったんじゃからな⁉︎」

 

コメント

・草www

・自分からぼっち暴露していくぅ

・友達いないんですねわかります!

・そんなこと無いけどな〜

 

「良いか、眷属達よ! 具体的にはこれから入学、クラス替えする眷属達よ! ――――親睦会のカラオケでハジけるな‼︎ 死ぬぞ‼︎」

 

コメント

・気迫がすごいww

・遭難かな?

・寝るな死ぬぞ並のガチ感草

・説得力がちがう

 

「と、とにかくもうこの話終わり! 終わりじゃもぅ……でもショート動画は残しとくねそのーーーーぅ、嬉しかった……から」

 途端、コメント欄がすごい勢いで流れていった。カワイイばっかり……っ! 恥ずかしくて顔を覆ったら、ほっぺが熱い! ちらっと指の隙間から見てみたら、たまたま目についたコメントを拾った。

 

「なになに? えーと、妾がどんなバイトを経験されてきたかだと? コンビニである」

 配信前に話して良いことを伽夜ちゃんと決めてて良かったぁ。

 私はウキウキと質問に答える。

「こう見えても妾、棚整理めちゃ得意なのだぞー。お客のおじさんに褒められてなぁー。でもレジ打ちは未だに苦手で……ほんと途中から水道代の紙とか出すのやめてほしぃ……妾のスマイルは商標登録されてないんじゃよぉお……」 

 

 ――ハッ、しまった!

 自慢話(誰も聞いてくれないから)しようとしてたのに、いつの間にか愚痴になってしまった! 今のはあんまり堕天使らしくなかった、どうしよう!

私は慌てて訂正しようと思ったら……

 

[ コメント ]

・公共料金の支払いは最初にやろうね

・わかるマーン

・スマイルで金取りたい

 

 あ、れ? 

 意外と反応が良かった。むしろ共感してくれるコメントの方が多かった。  

 それを見て私は……おそるおそると、アノ事について触れてみることにした。

 

「あの、眷属達に聞きたいことがあるのだが――――店長から『パパ』って呼んで欲しいって言われたこと、ある?」

 

[ コメント ]

・は? 

・え、コンビニだよね?

・きしょいきしょいきしょいきしょい

・ヤベェ職場じゃねぇかww

・すまん、吐いてくる

・パパって呼んで♡(このコメントは通報されました)

 

 自分の顔が一気に晴れやかになるのを感じた。

 

「だよねぇ⁉ やっぱり変だよねぇ⁉ いや私だって変だなーって思ってたの! 『アットホームな職場ってこういう意味だっけ?』って首傾げたもん! ちがうよね、バイトにパパ呼び強制はアットホームじゃないよね⁉」

 

 その時、私の中で何かタガが外れた。

 どうしよう、止まらない。ずっと我慢してたことが溢れてくる。

 伽夜ちゃんが後ろから小突いてるけど、一人称『私』に戻っちゃってるけど、構わず話し続ける。

 みんな、そんな私の愚痴に共感して付き合ってくれるから、ブレーキも利かなかった。

 

「タバコの銘柄とか言われても分かんないよぉ~~! 棚の番号で注文してよぉ~~~! 『マイセン一ミリ』ってなんだよぉーーーー‼」

 

[ コメント ]

・あれ、酔ってる?

・泣き上戸カワイイ

・脳内でアルコール分泌できる天使

・良い大人のみんな、タバコは棚番号で注文しようゼ! 

 

 時間はあっという間に吹き飛んでしまい、伽夜ちゃんがカンペでバァンと頭叩いてくれてやっと正気に戻れた。 

 

「あぅぅうう……えっと、その、取り乱した……ごめんなさい。みんなが優しいから甘えてしまった……ほんとにごめんなさい」

 

[ コメント ]

・⁉ ⁉ ⁉

・何の音⁉

・誰かいる?

・甘えたって……ええんやで

・せやせや

・一向に構わん

 

「~~~~っ! 温かい……みんな温かいなぁ……ぅぅぅごめん、ほんとうにごめん……優しい、ほんとやさしいぃなぁみんなぁ――――おわり、たく、ないなぁ」

 

 じわっと広がる胸の温もりに切なさを覚える。

 あんまり上手くできなかったのに……本当にありがたくて、目が潤む。

 でもさっきからずっと伽夜ちゃんがツンツンと頭をつついている。

滲んだ視界に次回の配信予告について書かれたカンペが映る。

名残惜しさに後引かれながら、配信画面に向き直る。

 

「――――うむ! でも明日もまたみんなと会えるから! だからちょっとだけバイバイなのだ! うむ! という訳で明日はきゃ……【キャスパー】? というVtuberとコラボ……するらしい! 眷属のみんなぜひ来てくれ!」 

 

 最後くらいハツラツに、ハキハキと!

 そう思って元気よく言ったんだけど――――直後、コメント欄に不穏なざわめきが走った。 

 

[ コメント ]

・え

・あっ

・あっ、これは

・うそやん

・初手であれとコラボ⁉

・天使が汚されるぅぅううううう!

・貴重な天使枠が……

・こうしてあの猫の毒牙にかかるのね……

・キャスパァァァーーーー‼

・あの猫はヤバいですよ、レヴィアたん

 

「……え? え⁉ ちょっ、それってどういう……」

 詳しく聞こうとした途端、後ろから伸びた手が配信終了ボタンを押した。

 

「初配信、お疲れ様☆ おねーーちゃん!」

 伽夜、ちゃん?

 振り返って見た私の妹の顔は――――年より幼い、無邪気な笑みを咲かせていた。

 




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