予防接種に行ったハズなのになんでVtuberになってるの?? ~地味女子JKは変態猫や先輩V達にセンシティブにイジられるそうです~ 作:ビーサイド・D・アンビシャス
私:姫宮紗夜が【宵月レヴィア】になってから一月が過ぎた。
地面に落ちた桜の花びらがどこかに消えた頃。世間は来るゴールデンウィーク(今年は5連休!)を楽しみにしている頃合いに。
「ウェイウェイウェェェェェイ‼‼‼‼‼ 喜べ、ちゃんレヴィ、君の同期のデビューが決まったんだ☆ぞぉい♡!」
「「「 遅すぎんだろ
「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああ‼‼‼‼‼‼」
「
ヘブンズライブの代表取締役社長(仮)に、所属Vタレント3名(明星ステラ・鳴神クレア・旭日リエル)のトリプルキックが突き刺さった。
えっ、すご! 私アン〇ンマンでしか見たことないよ、あんな飛び蹴り‼
先輩達、カッコいい‼
「おせぇよ
「だからあんたは
「ねぇ社長(笑)としてどうなのそれ。ちゃんとプロデュースする気ある? ……掘るよ?(ゴーヤで)」
「アッーーーーーーーーー‼‼‼」
お股を抑えて先輩達に足蹴にされてる合谷社長は、まるで木の棒でめっ叩きにされてるアザラシみたいな悲鳴を上げてた。
私はスマホに視線を戻して、うちの社長が女の子になりそう、というつぶやきをSNSに投稿した。
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ヘブンズライブの社長:
私が『お医者さん』だと勘違いしてた、あの面接を担当した人。
愛称は【ゴーヤ】。
そのイジラレ具合は『フリー素材』、『サンドバッグ』『困ったらゴーヤイジリ』と、ぞんざいというか愛されてるというか……不思議な立ち位置の人です。
「で? その新しく入ってくる新人二人はどういう扱いになるんだよ」
「はぃ……宵月レヴィアの同期として、その【ヘブンズライブ二期生】的な……」
「だったら尚更デビュー時期合わせるべきだったでしょ? なにしてんの? ねぇなにしてんの?」
「だ――――だぁって! お金が! お金が(ヾノ・∀・`)ナイナイ!」
「もう事務所移ろうかな……ハロライブとかよじごじに」
「やめてぇ……泣いちゃう……」
な、なんて顔してるの社長……お目目うるうるハムスターみたいな目になってる社長に私は微笑みかける。
「大丈夫ですよ、ゴーヤさん。私はずっとここにいますから」
「ちゃんレビぃ……っ! ありがとぉ、でも俺ゴーヤじゃなくてあいたに……」
「まぁ、たしかに合格通知届いた瞬間デビューさせられてそこからコラボラッシュの配信ラッシュで忙殺されたし、先輩達はすごく優しくて沢山支えてくれたけれど、同期とか全然いなくてホンッット大変だったし、挙句の果てには
天使スマイル! にこっ!
「ぐはぁああああああああああああああああああああ!!!!!」
相手は吐血する。
この吐血量からして……ふむ。伽夜ちゃんこと【コロリン】との修行で得た『笑顔毒舌』の切れ味は申し分なかった。
先輩たちは倒れた社長をチラ見した後、私に向かって拍手を送ってくれた。
「すっごぉ~~い! あなた、もう罵倒ができるVになったのね!」
クレア先輩は某フレンズのように褒めてくれて、
「妹さんとの特訓の成果だねぇ! ……同業者として羨ましいやぁ、その強さ」
リエル先輩は『力が欲しいか』と怪しい勧誘を受けそうな目になって、
「へへっ……成長したな、娘よ。――あぁっ、だめだ湿っぽいのは嫌いなんだがな」
ステラ先輩は母性の発露か、何故か涙ぐんでいた。
――――私がVtuberになってから一月が経ちました。
どんどん
なんだか、得るものはたくさんあったけど、失ったものもあるような……失った何かに気づけてないのが我ながら一番ヤバいなぁと思った。
あぁ……遠くに……来ちまったなぁ…………っ(遠い目)。
自分の成長の方向性に迷いを覚えてると、ふと社長(へんじがない。しかばねのようだ)の懐から何か出てるのを見つけた。
なんだろう?
まさぐって取り出してみると、それは四つ折りにしたA4用紙だった。開いてみてみれば、それは
「こんなもん、懐に入れとくなよ」
「なんでわざわざ印刷するのよほんと不用心ねぇ」
「だからいつまで経ってもゴーヤなんだよ……で? どうかしたの姫宮ちゃん。固まってるけど」
わいわいと私の周りに集まって、スケジュール表をのぞき込む
でも私は、それどころじゃなかった。
原因はスケジュール表に記載された――――【宵月レヴィア】のGWの予定表だ。
「お? 例の新人、GWの最初にデビューすんのか」
「なになに? 一人目が5月1日、二人目が5月2日か。まぁ、良いタイミングじゃないかしら」
「そうだね、なんたって今年のGWは5連きゅ……っ⁉ 姫宮ちゃん⁉ なんで震えてるの⁉ ってウワ、冷や汗やばっ‼」
「耐久です」
「へ?」
カチカチと歯を鳴らしながら喋る私の声に、リエル先輩は困惑気味に眉を上げた。
でも、私は、それどころじゃなかった(二度目)。
「
私は!それどころじゃ!!なかった!!!(三度目だ、あとは分かるよねぇ?)
あっ、だめだ……先輩達が……すごく可哀そうなものを見る目になってる……!
力を入れてないと膝が赤ちゃんになりそうだった。
「なんでぇ? ず、ずっとって、え? 24時間? いや5日間だから……ひゃく」
――アッ、だめだ、計算できない。脳みそが掛け算を拒否してる。
でも私の都合なんて知らずに、死の淵から蘇った
「120時間だね。リスナーとの疑似同棲生活。ぅん――
「――なんでぇ?」
私は深い深い絶望をたたえながら、ごきりと首をねじり、シャ〇度で尋ねる。
そしたら両腕を広げて後光を放つ
「え?
刹那、脳裏に走る
思い出すは一か月前、予防接種と間違えて受けたヘブンズライブの面接!
『そうですね! 週に幾つ入れるかは分かりませんが(他の店員との兼ね合いもあるし)やったらだいたい十は固いと思います!』
『やだなぁ。大丈夫ですよ、前にもしましたから(十連勤)』
あの頃の自分を絞め殺しくなってきた。
でも今は殺意を滾らせてる暇はなくて!
私は汗だくだくで社長様に慌てて言い募る。
「ぁっ! あの! ちがくて! あれはシフトと勘違いしてて! そのっ……」
「楽勝っしょー、半分だし。デビューする二期生の初配信を同時視聴するもよし、さっそくコラボするもよし、なんなら眷属と相談するのも良いかもね! ハハッ! 期待&楽しみにしてるよ! じゃあ、俺これからスポンサーとの会合だから!」
どっかのネズミみたいな、やけに高い声で笑いながら合谷《ゴーヤ》は去った。
こうして私のGWの予定は、我が家を潰した隕石の如く……配信によって押し潰された。