予防接種に行ったハズなのになんでVtuberになってるの?? ~地味女子JKは変態猫や先輩V達にセンシティブにイジられるそうです~   作:ビーサイド・D・アンビシャス

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後輩(同期)と初コラボです!(うぐいすパンになりたぁい)

壺〇じとは。

 壺に下半身ハマったおじさんがピッケル一本で崖を上り、やがて宇宙へと旅立つ壮大な感動スペクタクルSFゲームである。

 ピッケルを崖の凹みに引っ掛けて登る独特の操作感に、私は心折られた。

 

 何が辛いって……っ! セーブポイントが……無い! 

 だから一生懸命進めても、一瞬のミスでスタート地点まで落ちることがざらにあるの。珍しくないの。知ってるの。

 

 なぜって?

 

 朝の8時からやってたからだよ。

 なんならマキナちゃんの初配信直前(夜の20時)までやってたからだよ。

 

 そんな鬼畜ゲームをモデルにした、マキナちゃん自作のゲームを今、私はプレイさせてもらっている……ンダケド。

 

「マキナちゃぁん……」

「はいっ! なんですか?」

「ピッケル、不定形なんだけど」

「ショゴスですね! 漆黒の粘液上生物です!」

「後ろから青いヌルヌルの犬が追いかけてくるんだけど。嚙み殺されるんだけど」

「ティンダロスですぅ♡! ローションじゃなくて青い脳漿ぉ♡! 呑みたぁい!」

「     」

 

 まぁ、良いよ。

 

 追い立てられるプレッシャーでミス連発するけど、それは他のゲームでも見られる娯楽性だもの。

 分かる、分かるよ?(どうしようクリアできる気がしない)。

 だけどね? 

 

 ――リスポーンする度に、だんだん操作が効きにくくなってる気がするんだ?

 

「そりゃそうですよ。何度も死んで人間の心が正常でいられるとでも? 人間の心は普通『死』に耐えれるよう出来てないんですよ」

 

「要らんリアリティを求めるなぁあああああああああああああ‼‼‼‼」

   

 つる! 指が! 

 力入れ過ぎて指がつりそうだよぉぉぉおおおおおーーーーーー!!!!

 

そうこの壺〇じ(邪神)は任〇堂が出したプログラミング学習ツールで作られてる。

したがって操作はS〇itchもといジョイコンなんだけども………………

 

 私は今、ZL・ZR・L・Rボタン同時押しで右スティックをぐるぐる回しながら薬指でAボタンを押し続け――――あ。

 

 一瞬、手元が緩んでボタンから指が離れる。

 瞬間、ピッケルの形になってくれてた粘液生物がばしゃりと溶けて。

 

『ぐぁあああああああああああああ‼‼‼‼ あっ! あっ、あぁ! うああああああああああーーーーーーー痛ってぇえええええええええぇえええええ! またかよぉおおおおおおああああああああああああ‼‼』

 

 壺〇じに襲い掛かった…………。

 そしてまさかの――――壺〇じ、CV付き。

 

 壺〇じの悲鳴が黒い粘液に沈んでいった。

 アイルビーバックはしてくれなそうだった。

 

「あー駄目ですよ先輩。ショゴスをピッケルの形に留めるには、ZL・ZR・L・R・Aボタン同時押しで右スティックを回し続けないと! でないと殺されます」

 

「……それをしながら左スティックで登り続けるんだよね?」

 

「はい! 左スティックの操作は従来の壺〇じ感覚です。ただ左スティックを動かす度に8%の確率でお腹から触手が孵化して爆散します♡! 頑張ってクリアしてくださいね、レヴィア先輩‼」

 

 にっぱぁ!

 マキナちゃんがすっっごく人懐っこく笑いかけてくれた。

 ――――すぅっ。

 

クッッッッッソゲーだコレェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼‼‼‼

 

 クソ! これはクソ! なにこれ本家の壺〇じがヘブンズに見えるくらい鬼畜! いや混沌《ケイオス》!

 

 ていうかなんで壺〇じにCV付いてんのぉ!? だれよ、この声!?

 声質的にぜったいに声優さんじゃない。純然たる一般人なんだけど……一つ一つの声にすごく実感がこもってるのだ。

 

『痛ったぁ……え? 痛い。痛い、痛いよ? え? へ?え・え・え? 痛いよ? 痛いよぉ? ねぇなにこれめちゃ痛いよぉ?』

『ぅ~~っ……なんだよぉ、またかよぉ……なんでこんな目に遭うんだよぉ……俺なんか悪いことしたぁ? 呪われてんのぉ?』

『あーーー死にた! もーーー死にたーーー! はーーーうぐいすパンになりてぇ』

 

 プレイミスする度に、これ聞かされるのよ。

 死ぬ度にうぐいすパンなのよ。

 地獄なのよ。

 

 なんかもう、リスポーンの度にすごく申し訳ない気持ちになるのよォ!

 

「ね、ねぇマキナちゃん。このおじさんの声……だれ?」

「吾輩の叔父さぁん」

「叔父さぁん⁉⁉」

 

 まさかの親戚⁉

 びっくりして聞き返すと、マキナちゃんは「うん!」と元気よく頷いてくれて。

 

「叔父さん、よくタンスの角に足の指ぶつけて骨折れるからその時の声録ったのぉ。連続記録は7本だよ」

「叔父さんをもっと心配したげなよぉっ‼」

 

「そんなことよりそんなことより――――どうですか? 吾輩のゲーム! 楽しい? 楽しーいぃ?」

 

 その声は……とても無垢だった。

 初めてお手ができて、褒めてもらえるのを待ってる子犬のような。

 そんな無邪気な声で、邪気が宿った目で、にぱぁと笑ってみせるマキナちゃん。

 ――――言えない。

 

 この笑顔を前に! クソゲーだなんて言えなぁい‼

 

「ぅ……うん! すっごい楽しいよォ! と、とってもやりがいあるしねぇ~~! やりがいに至っては、もはや本家超えてるよぉ~~~~!」

「ほんと? やったぁ♡! よかったぁ~~~!」

「だ、だからね? これクリアしたら妾のこと先輩って呼ばないでもら」

 

『おいおいおいおい、またかよぉ~~~‼‼ またこれかよぉ~~~‼ いい加減にしてくれよマジでよぉ~~~‼ 痛ってぇなぁ!』

 

「チッッッッ! クッッッs……」

「え? 先輩、いまなんて」

「ソ面白いなぁ~~~! ほんと、思わず汚い言葉使っちゃうくらい面白いなぁ~~~! クッッソぉぉおおおおおお!!!!」

 

 そうして山頂《ゴール》近くで蛇の化け物に喰われた頃、窓から差し込む日輪が気絶した私を迎えてくれた。

 

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