予防接種に行ったハズなのになんでVtuberになってるの?? ~地味女子JKは変態猫や先輩V達にセンシティブにイジられるそうです~   作:ビーサイド・D・アンビシャス

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堕天使さん、二期生オーディションです(妾は二期生なんだが⁉)

『それでは宵月レヴィアさん。あなたの志望動機を教えてください』

 私は首を傾げて思った。

 あれ、【二期生】に志望動機っているの? と。

 

 5月3日、GWの折り返し。

 全身軋む筋肉痛に耐えてお布団から這い出て、マイ〇ラ配信をしてたら……クロアちゃんからお誘いチャットが来たのだ。

 

[同期3人でナカヨシマルチしませんか♡?]……だって! こんなのっ! 出ないわけにはいかないよぉっ!

 口では二人とも否定してたけど……二人も本当は分かってくれてたんだ! 

 

 私、宵月レヴィアも――――ヘブンズライブ二期生なんだって! 

 大切な【同期(なかま)】なんだって!

 

「そう……思ってたんだよ」

『レヴィアさん? 早く答えてくださいレヴィアさん、答えないと―――僕の広背筋から火矢が吹きますよ?( -`д-´)キリッ』

「そう! 思ってたのにィィィィィーーーーーー‼」

 

 面接会場という名の見覚えのない建物に入った私を、邪神(マキナ)ちゃんと魔女(クロア)ちゃんが矢を構えて出迎えてくれた。

 

「ひどいよぉおお~~~~! こんなのあぁんまりだぁ~~~~~‼‼」

 

『甘い! ココアプロテインよりも甘々ですよ、レヴィア先輩‼ 何かを欲するならば、それを得る資格を証明しなければならないのです! ですよねマキナ面接官!』

『ハーベストたべたぁい』

 

『うん、美味しいよねハーベスト。でも今は面接中だからね? しっかりやろうね?』

『ん~~~……わかた!』

 

 幼児かな? きちんとクロアちゃんに言い含められたマキナちゃんは、こくりと力強くうなずいた。

 

『ハーベスト買ってきたら面接ごうかくー』

 

「うっそほんとに⁉ ちょっ妾、今すぐ買ってくる‼」

 

『台本守れよ邪神キッズぅぅぅぅーーーーー‼‼』

 

 筋肉……あなた意外と真面目なんだね?

 マキナちゃんには今度私の作ったビスケットを持ってく約束をした。

『やっったー』とマキナちゃんは駄々こねなくなった所で、面接は仕切り直した。

 

『良いですか! 二期生に必要なのは『ダークさ』! 邪神と魔女に並ぶ『闇の深さ』を僕達に見せてください!』 

 

 や、闇の深さ⁉

 その字面にまず困惑した。なに闇の深さって……そんなの分かんないよ。

 ただいつも配信でコメントくれてた眷属さんがコメントしなくなったらBwitterのアカ見つけてどうしたのか過去ツイで確認したり。

 ガチ恋勢(パパたち)が他の女の子可愛いって言ってたらそのつぶやきを無言でいいね押したりしてるだけだから……

 

「妾には深い闇なんて何もないよ!」

『思ったんより濃いめの来たんですが⁉』

 

「え? なんで? 普通だよね? だって眷属のみんなは妾にとって大切な存在だもんだからコメントしなくなったら心配するじゃないそれに妾という娘がいるのにどうして他の女の子可愛がるの?おかしいじゃない?それでも妾縛りたくないから何も文句言わずにいいね押してるだけだよ?これのどこが闇が深いの?教えて?ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ」

 

『こわいよぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー‼‼‼』

 

『さすがレヴィアせんぱぁい! 生贄にふさわしい狂気! だてにクロ〇ちゃんパンツ履いてる訳じゃない! 吾輩、ヘブンズライブに入れて良かったぁ!』

 

「クロ〇ちゃんパンツが決め手でヘブンズライブ入ったのマキナちゃん⁉」

 

 そっちの方がよっぽど闇深いよ! まさか自分の履いたパンツが原因で人生動かしてしまったなんて⁉⁉

 私は自分の闇の深さより罪深さに打ちひしがれそうになった。

 

『くそぉ……突っぱねてやろうと思ってたのに割とガチでビビってしまった……マキナ面接官。これはもう採用では?』

 

『いや! まだだ! まだおわってなぁい! 次は吾輩からの質問です!』

 

 そう言ってカクカクしたアバターの銀髪白衣少女が降りてきた。マキナちゃんが私のカクカク堕天使の周りを『ふむふむ』と回る。 

 

 私はごくりと唾をのんだ。キッズムーブでかわいらしいけれど……マキナちゃんの本質はやはりいあいあだ。その狂気の塊が繰り出す質問を聞き逃さないよう、私は耳を澄まして身構えた。

 

『――――おっぱいが大きい! 採用!』

『なんでだぁあああああああああああああああああああ‼‼‼』

「育乳してくれてありがとぉおおおおステラママぁぁぁぁあああ‼‼‼」

 

 二期生になれた嬉しさと共に蘇るのは、ステラ先輩との育成の日々……。脇の肉寄せて何になるんだと思ってたけど……ばんざぁい! ばんざぁい!

 やっぱりおっぱい! おっぱいが全て解決する!

 

 両手を上げて喜ぶ私の後ろでは、二人の面接官が取っ組み合っていた。

 

『台本にない流れしないでよマキナちゃぁん‼ 生贄なら僕でも良いでしょお⁉』

『嫌だよぉ! だってクロア、ムキムキじゃあん! ぺったんこじゃぁん! 大きい乳房の方が生贄として上等……』

 

『――――ン?』

 

 その、たった一音が面接会場を凍らせた。く……クロアちゃん? 

 震える私とマキナちゃんに、クロアちゃんのかくかくアバターが迫る。

 

『今、なんて言ったのかな? どこを見て、何を比べたのかな?』

 

 顔の影を濃くして、ほんわかしてたイケヴォに凍えるような圧を宿して。

 

『僕の大胸筋(ファミリア)はぁ‼ ぺったんこなんかじゃなぁあああああああああああああああい‼‼‼』

『うるしぇぇええ! このムキムキがぁ! 腹筋バキバキ魔女ぉ!』 

「ちょっ! まっ、やめて二人とも! ここ室内! 室内だから! 火矢を撃ち合わないで――――あちゅっ⁉」

 

 気付いた時には……もう遅かった。

 喧嘩する邪神と魔女、引火する火矢、燃え移る堕天使。

 そうして燃え広がる面接会場が崩れ落ち―――――その瓦礫をもって二期生の墓標とした

 

 墓標にはこう刻まれている。

[ ちっぱいはアドバンテージ ]と。

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