予防接種に行ったハズなのになんでVtuberになってるの?? ~地味女子JKは変態猫や先輩V達にセンシティブにイジられるそうです~   作:ビーサイド・D・アンビシャス

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第8話 マジできつい淫乱猫(女子のみんな、逃げるよ!)

「どう? レヴィアたんの寝言。本当ふにゃふにゃでかわいいよね。ちょっとしたASMRだよ。ぜひとも寝起き凸配信をやってほしい」

 

 はぃぃ、分かりました、一考しておきます……。

 

「? なんで顔隠して小刻みに震えてるの?」

「か、かわいすぎてぇ! つらぃなぁ!」

 

 ヤケクソ気味の自画自賛に、当然だけど彼は気づかず、むしろ指をぱちんと鳴らす。

 

「分かりみが深い。尊みの過剰摂取だよね、見た者を心肺停止に追い込むなんてさすが堕天使、罪深い」

 

 冤罪だよぉ‼ 

 わたしそんな悪くないよぉ! 諸悪の根源、私の妹ぉ‼

 

「? なんで口パクパクしてるの?」

「……(真実を伝えられなくて)つらたん」

「ね、つらたんだね、プリティはギルティだね」

 

 プリティギルティレヴィアちゃんってか? こいつぁ傑作ダゼこんちくしょうめ。

 体育座りしてた私は、両ひざの間に顔をうずめた。

 

 伽夜ちゃ~~~~ぁン! 幾らなんでも投稿し過ぎでしょうよぉ!

 帰ったら妹が痙攣するまでくすぐろうと思った。

 そんな風に復讐の決意を固めてたら、ふと三波君のスマホ画面が目に入った。

 

 宵月レヴィアのチャンネルに今夜の配信のリマインダーが表示されている。

 サムネにいるレヴィアと猫のアバターを見ながら、私は三波君に聞いてみようと思った。

 

「ね、ねぇ三波君。キャスパーってどんな人? い、いやね? 今夜、あの人とレヴィアちゃんコラボするじゃない? 私、他のVtuberは詳しくなくて」

「あー……キャスパー、ね。うん……あれは、個人で活躍してるVtuberでね」

 

 あ、あれ? なんだろう? テンションが露骨に落ちてるような。

 明らかにローテンションだけど、三波君は語ってくれた。

 

 キャスパー。

 私みたいに企業とか事務所に所属していない、個人で活動しているマスコット系Vtuber。

 白くてモフモフの毛、ぴょこんと立った長耳に……子猫特有の、あの魔性の魅力を秘めたプリティフェイス!

 

「かっ、かわ! かわいぃーーーー‼」

 

 キュンッと胸の中が絞めつけられて、声が絞り出される。可愛すぎてぱたぱたと悶えてたら、三波君が「猫好きなの?」と尋ねてきた。

 

「うん! だいす……き」

 

 パァッと心の底から笑顔になれそうだった私は……額を抑える三波君を前にして、しりすぼみ的に声が小さくなった。

 

「そっか……そっかぁぁぁ~~~~~~」

「え、え? ど、どうしたの?」 

 

 なんだろう、なんかこの反応見たことある気がする。少し思い返せば、すぐに思い至った。――昨日のコメント欄とまったく同じ反応してる⁉

 

 同級生に他人の寝息を聞かせてきたあの三波君が、躊躇いながら聞いてきた。

 

「……知りたい? どんなVtuberか」

「え、う……うん、知りたいよ。だって……」

 

 だって今夜話す相手なんだもの。

 

 なのに昨日のコメント欄しかり三波君の反応しかり……どんどん怖くなってきた。

 でも、このまま何も知らずに、その人とコラボする方が――――よっぽど怖い!

 

「分かった。じゃあ、キャスパーのBwitter(ブイッタ―)のアカを送るよ」

 

 ほどなくして、さっき交換した三波君のBINE(バイン)から、URLが送られてきた。

 あれ? 話してくれないの?

 

 私がそう思ったのが伝わったのか、彼は念を押すように言った。

 

「いいかい、いくら俺でも同級生の女子にアレを見せるのは躊躇うんだ。見るなら自己責任で見てくれ―――俺には荷が重い……」

「こ、ここまで恥ずかしい思いさせといて……今更躊躇う……だとっ⁉」

 

 思わず本音が漏れてしまった。

 私は慌てて首を傾げた三波君からスマホの画面に目を移した。

 そしておそるおそる……URLをタップ。

 キャスパーさんのBwitterのアカウントに飛んだ。うん、プロフもアイコンも別に普通……………

 

『ぼんような猫ならたべてねるだけだろうけど、吾輩はおなにーもできるえらいねこだ。にんげんよ、ほめたたえよ、しこしこできてえらいねってほめたたえよ』

『ねこのにんしんりつは百パーセントなのだ。つまり吾輩のちんちんはNTRの竿役に適役なのである』

『クレアちゃんによしよしびゅっびゅっされたいよーー、ステラちゃんのちっちゃい手でもふもふしてもらったあとにぎこちなくしこ

 

 スマホを投げた。

 今までこんな剛速球投げたことないってくらい、ぶんなげた。

 140キロはかたかった。

 

 肩が震える息が荒い。

 がたがたと肩を両手で抑える私を、三波君は優しい目で見守ってくれてる。

 

「ご……ごめっ、なっ……ごめなさい。こ、こんな時……どんな顔したらいいか……分からないの」

 

 息絶え絶えに、でも私はやっと言葉を紡げた。

 三波君は私のスマホを取ってくると、優しく微笑みながら、

 

「笑えばいいと思うよ」

 と、スマホを渡した。

 

 その言葉は、動揺した私の目を覚ましてくれた。

 ばきばきのスマホを握りしめて、私は目に涙をためたまま、彼を見上げた。

 

「笑えないよぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーー‼‼‼‼‼」

 

 今夜21時、キャスパーとコラボします。眷属のみんな、見に来てね

 

                  19時23分 宵月レヴィアのつぶやきより

 


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