ロキシー視点
ルディは良い子だと思う。
水浴びを覗こうとしたり、スカートを覗こうとしたりで、スケベな事をして来るが、あの年の子供ならよくある事だろう。
しかし、ソレを抜きにすれば勤勉で真面目だ。剣術にだって手を抜かない、大人顔負けの知識があるのに驕りもしない。
今だってパウロさんとの訓練で3回転くらいしても、悔しそうにするだけで、投げ出そうとか不貞腐れたりとかの様子は見受けられない。
「はぁ…」
溜息が溢れる。
自分なんかがあの子に先生と呼ばれる資格があるのだろうか?
最近ではそう思う事が増えた、最初は3歳児に魔術理論が分かる筈ないと思っていた。
しかし、ソレは無詠唱魔術という一時期喉から手が出る程欲しかった技術を事も無げに見せつけられ、その優秀さに認めざるを得なかった。
その時は強がって「鍛えがいがありそうだ」なんて思ったが、ルディはわたしが教えることの殆どを知っていた、予め誰かに教えてもらっていた様に。口には出さないし態度も一見すると勤勉に励んでいる様に見えるが、大体の事は あっもう知ってます…、と関心を感じないのだ。
それなのに急に問題を出題してもスラスラと答えを言い当てるのだ。
所詮わたしの教えている事は、あの子が知っている事をもう一度復習させているに過ぎないのかもしれない。
ここ数年で培われたプライドは粉々に粉砕された。泣きそうだ。
この家、ひいてはルーデウスの役に立ちたい、役立たずのままでは終われない。
全てを賭ける思いで明日ルディに水聖級魔術を教えようとわたしはそう決意する。
ルーデウス視点
「ら〜らら♪ラー♪」
『…随分と嬉しそうだな』
「見てわかりませんか? 嬉しくて小躍りを踊っているんです!」
その日、俺はロキシーに水聖級魔術を教えてもらった。外に出る事を渋る俺に対して、大丈夫だと怖い物など無いと手を引いて馬に乗せ村の外まで俺の世界を広げてくれた。
いつかあの日俺は外に出ないのか聞いて来た老人とは大違いだ。
何故俺はロキシーをこんなしょぼくれた老人の下位互換等と失礼な事を思ったのだろうか?不敬な話だ。彼女は色々言った俺を見限る事なく外まで連れ出してくれた。
嫌な子供だったと思う、ロキシーは家庭教師として色々な事を教えてくれたが、大半の事は老人に教えられていた事だったので態度に見せたつもりは無い、が何処か素っ気ない態度だった筈。
じゃなきゃ授業がつまらないかなんて聞いてくる筈も無い。
なのに彼女は彼女のできることを最後までやり遂げ、俺の世界を広げてくれた。
こんな亡霊もどきと比べてはいけない、彼女はすごい人物で尊敬すべき人物だ。
『よく分かっているじゃないか』
本来なら老人も敬わなくてはいけない存在だろうが、老人は褒めるとキレるタイプのうえ、ロキシーは凄いと褒めて称えている俺を見てむしろ満足そうだ。