ちょっとした説明会です
アイツが外へ出掛ける様になった、ロキシーから貰ったペンダントと杖を持って村へ飛び出した。
基本的にアイツから離れられない俺だがアイツの家には入れるらしい。
俺自身にも俺が何処まで行けるか気になり、何時だったかアイツが寝ている間に村の外へ出ようとしたが気が付くとアイツの隣に転移していた。
昨日ロキシーに連れられアイツが外へ出た時もこっそりついて行ったが、これは上手くいきカラヴァッジョが死にそうになっていたのを間一髪で逃がす事ができた。
この家に縛られていないのも感覚でわかる。
やはり普通のレイスとは違うのだろうか?
アイツ以外には見えないようだし、アイツから魔力を吸っている感覚がある。アイツを依代にこの世界に居るのは確かだという感覚がある。
アイツが外へ出るとパウロに言うとパウロが「身体が弱いんじゃないかと心配してた」と言われ。
アイツはこの通り元気に育っている、心配するなと言ってると。「子供らしくないな」なんて苦笑されていた。
まぁ、中身 前世含めて38歳になるし仕方あるまい。
もう、よく覚えてはいないがそんな会話を俺もしていたと思う。
前世の年齢だけでもパウロより年上なんだと。
38歳児と呼べる様な精神年齢の癖に見下していた。
そこに日本という先進国で上等な教育を受けたせいでソレを助長させ、父親だと口では言っても認識はあの時になるまで無かった。
パウロとゼニスは優秀過ぎる息子から見下されているんじゃないか、と不安になってるのを今では分かる。
子育てなんて殆どした事ない俺でもそれが辛い事だという事は想像に難くない。
…思い出して悲しい気持ちが溢れてくる。
結局俺はただの殺人鬼だった。
父親として何かあの子にしてやった事は何もない。
母親を傷つけ奪って、復讐だ何だと言い訳を並べてあの子から逃げた。
そんな奴があの子の心配をする事すらおこがましいのだろう。
そんな子が産まれるかも知れない運命がもうすぐやって来る。
俺が居ない歴史では5歳になり水聖級魔術師になった俺が泥玉をぶつけられていた、シルフィを助けた所から始まり。
順調に好感度を上げ果には依存関係にまで発展し、別れた後もシルフィは俺を思い続けた。
その後転移事件に巻き込まれて、合計8年もの歳月が経っても忘れずにいてくれて、結ばれた。
あるいはそんな運命がもう起きているかもしれない。
あのクソガキ達がシルフィを虐めているのを見たら確実にアイツは助ける。それはさながら白馬に乗った王子様の様にそこに年齢は関係は無く関係は発展していくだろう…。
ロキシーやエリスとはどうなるのだろうか…。
未だに俺はアイツをどうしたいのか分からないでいる。
魔術師として既に充分過ぎる知識量を与えているし、これからも続けて行くつもりだ。
しかし、それでなんになるのだろうか?
いずれヒトガミに会い、ヒトガミの玩具のような人生を歩みゴミクズの様に死んでいく…。
ソレを防ぐつもりはあるが、俺の様にヒトガミとの闘争に発展し血みどろな人生になっても困る。
そして、そこにあんなに優しく可愛い彼女達や親友達が巻き込まれて良い筈がない。
今もヒトガミはアイツ、ひいては俺を見ているのかもしれない、見て、監視して、どこぞの蛇のようにニタニタと、もて遊ぶ準備をしているのかも知れない…。
…いやそれは大丈夫の筈だ。
もし本当にそうなら俺かアイツのどっちかに声をかけて来るはずだし、それならそれで警戒を促せるし好都合だ。
百聞は一見にしかず百見は一触にしかず。
アイツだって会えば絶対に警戒する。
もしくは俺やアイツを殺す為に使徒を用意しているかも知れないが、もしそうなら迎撃は出来る戦闘力や備えはある。
しかし、アイツや俺を殺したい程恨んでる奴なんて今の時代にいるはずが無い。
昔の俺じゃないんだからミリス教団やその他の冒険者や賞金稼ぎに命を狙われる筋合いは無い。
例えソレがヒトガミの差し金であってもだ。
だから俺はアイツにヒトガミの存在を伝えていない。
ヒトガミとの関係者だと誰かにバレたりしたら、それこそ昔の俺の様にヒトガミの関係者だと殺しに来るやつが現れるかもしれない…。
いや、ならいっそ、逆にヒトガミに恨みをもってる奴、特にオルステッドをおびき出す為に喧伝させたほうが良いのだろうか。
いや危険過ぎる、他に会う方法を考えた方が良いのだろうか?
ヒトガミはオルステッドが見えないと言っていた。オルステッドに会って自分は敵じゃ無いとアイツに伝えさせて。
ヒトガミジャマーの方法を教えて貰う方法を考えた方が良いのだろうか。
しかしオルステッドは神出鬼没だ。何処で会えるかなんて分からないし、オルステッドが良いやつかだって分からない。
七星は懐いていたが俺がヒトガミに騙された様に七星だって騙されていた可能性だってある。
オルステッドに会って助けてもらう事なんて出来るのだろうか、そもそもどうやって会うかだって分からない…。
未だになんの進展もなく、アイツの人生はつつがなく進んでいく。
それに俺が口出しをして良いのかも分からず魔術の腕だけが上がっていく。
しかしそれが思わぬ形でズレるのは数時間後の話だ。