変な老人に取り憑かれたらしい。   作:オスミルク

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友達

ソマルの所の母親が怒鳴り込んできた。

俺は現場を殆ど見た事がないが最初はこんな感じだったらしいのかと感心した。

 

確かにソマルの目元には青タンが出来ていた。

 

事情を知ってる俺からすればあの母親はネット掲示板のヤベェ母親にしか見えない。

しかし、一方の主張を声高に叫ばれ迫真の演技で詰め寄られたパウロがその主張を信じてしまうのも分からないでもない。

 

パウロは息子の暴力行為を謝罪し二人は帰っていった。

 

しかし、こんな事をして彼女になんの得があるのだろうか? 彼女がパウロを好いているのは知っているが、貴方の所の息子に息子が酷い事をしただから責任を取って私を慰めてとか言うつもりなのだろか?

意味不明だ。

そんな事をするより、うちの子が貴方の所の息子に酷い事をしたと頭を下げ、うちの子はヤンチャで貴方の息子を見習わせたい、とか言って教育方法とか聞く名目でパウロの懐に潜り込んだ方がよっぽど芽がありそうなモノだが、そこまでは狙っていないのだろうか?

 

 

 

パウロは門前で少し思い悩む様にう~んと頭を捻っては考え、捻っては考えていた。

悪い事をした息子をどう叱ろうか悩んでいるのだろう。

ソマル達が帰宅して2~3時間程経過してアイツが家に帰ってきた。

 

ルンルン気分と言うのだろうか、中身40近くの癖に、ああ見ると年相応に見えるのだから少し面白い。

パウロは近づいてくるアイツに気付くと立ち上がり、仁王立ちしようとして眉を顰めた。

 

俺の記憶ではその後問答無用に怒鳴りつけられ、叩かれた。その後このまま素直に謝ればパウロの為にならないと自分の正当性を煽る様に言い放ち、パウロに頭を下げさせ、パウロは俺を優秀な息子と誤解した…。

 

 

しかし、パウロは眉を顰めた。

アイツ…の隣に居たシルフィの母を見て眉を顰めたのだ。

彼女もパウロに気付くと、うちの子を助けてくれてありがとうございます、とパウロに頭を下げていた。

その後シルフィの母がシルフィとアイツから聞いた事のあらましを説明していた。

 

集団で泥玉を投げつけられていたシルフィを庇い、投げつけられてくる泥玉を魔術で作った泥玉やら水玉で応戦し、助けてくれたうえ、集団を追い払った後も守る為に門限まで遊んでくれたと。

涙ながらに語った。

 

アイツ自身5歳にも満たない子供を一人で帰らせるのに抵抗があったからか、門限になった所をシルフィを家まで送り届け、その足で帰宅しようとしたが、同じ理由でシルフィの母に送り届けられたという感じらしい。

 

パウロは最初こそ呆気に取られていたが、すぐに事情を察して、アイツを褒めていた。

 

シルフィが虐めを受けていたのは周知の事実だ。

何回も止めるように周囲に呼びかけたが虐めは止まらずどうすれば良いか分からないとロールズが頭を抱えていたのをパウロは知っている。

シルフィを助けた、とその母親に涙ながらに言われれば誰が悪いかなんて火を見るより明らかだ。

 

危うくパウロは無実の息子を怒鳴りつける所だった、とこっそり安堵していた。

 

俺もあの誰も幸せにしない出来事が起きなくて良かったと安堵する。

 

「ただいま、爺さん、聞いてくれよ今日初めてシルフって友達が出来たんだぜ!」

 

とアイツは子供の様にはしゃいで今日の出来事を語り始めたが、とても中身がおっさんとは思えないと俺は内心で苦笑した…。

 

 

 

 

 

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