1.26
この世に出身と天賦を問わないのは微塵門のみだった
あの万刀山を乗り越えたら、内門に入ることができる
1.27
あれは私が人生で歩んできた中最も長い道であるに違いない
なぜ自分が刀山を登っているかすら分からなくなってしまった
最後、腕で体を引きずりながら前へ進んだ
刃先が体の隅々まで傷口を切り裂き
意識を失うほど痛かった
しかし、この万刀山さえ乗り越えたら
彼の跡を辿ることができるの
彼と一緒に並んで立ちたい
1.28
後になって知るようになった
微塵門は天下一の門派であることを
この世に微塵門の右に出る宗門はなかった
それは、微塵門には二人の上尊が鎮座しているからだ
それぞれは天下一の剣使いと
天下一の人間だった
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n.22
「上尊、
「万刀山を一回だけ渡るというのは微塵門の決まりだ。」彼女は無関心に聞き流した。「一回渡ったものは、もう渡らなくて良い。」
「そんな?!」微塵門についてはある程度耳にしているが、この規則は初耳だった。「聞いたことがないのですが?」
「あ、決まったばっかりだ。」と彼女が言った。「私が。」
n.23
彼女が贔屓してくれる姿はカッコよかったが
私は……万刀山を渡ったことがないはずだが?
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1.29
殿中で跪いていた
万刀山を渡った身体にはほぼ白骨しか残らなかった
あれは初めて上尊を目にかかる日だった
灰色の袍を纏い、髪飾りもたったの小枝一本しかなかった
有髪の尼かと思うぐらい、とても素朴だった
ただ、彼女の瞳は秋の水のように澄んでいた。あれは見たことのないこの世に一番優しい瞳だった、とでも誓おう
彼女の美しすぎる顔立ちを無視させるほどに
1.30
「こんなに伸び代のある子は本門久々だ。」
「師兄の下にまだ弟子はいないはずだ。」と彼女が言った
「いかが?」
1.31
主席上の人は骨がないかのように、泥みたいに席にもたれかかっていた
彼にさりげなくチラッと見られただけで、背骨から頭にとっさに悪寒が這い上がった
気がついたら、先ほどはまさに生死の船に何回か乗せられたような感じだった
「妥当ではなかろう。」あの人がこう言った
1.32
「そうなのか?」上尊がため息をついた
「この小娘は心性絶頂だ。私につくには惜しいもんだ。」
1.33
あの華やかに着飾った男は聞いた末に再び私を見つめ
しばらくしたら頷いた
「ならば、本座の門下に入れよう。」
そして、私は微塵門掌門の直伝弟子となった
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n.24
初めて師尊を目にかかる時、彼はブドウを食べていた
孔雀青の袍を纏い、その上に金粉をかけられ、銀糸で織模様を紡いでおり、席の下に敷いてある絨毯まで鮫王紗で作られていた
甚だしい贅沢で煌びやかな格好だ。少なくとも人間の帝王では叶わない
こんな素朴な上尊とは同じ師兄妹であることは実に想像しにくい
n.25
「綺麗な妹ちゃん。」上尊が私を持ち上げながら彼の前で自慢した
n.26
孔雀男が私をてっぺんからつま先まで品定めした。「伸び代のある子だ、俺にくれ」
「ほう?この子、剣に向いてる?」
「無駄口を叩くな。」
「心性上等?」
「絶頂。」
「あげない。」
「……もう下に付く子は足りただろう、これぐらい俺にくれても別に困らないじゃないか?」
n.27
やだ!この派手な孔雀には興味がない!
聞かない聞かない!上尊に弟子入りしたいんだ!
そして上尊に頭を撫でられた
気がついたら、私はもうすでに掌門に弟子入りしてしまっていた
n.28
……チッ