ようこそ天の御遣いのいる教室へ   作:山上真

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9話

 日曜日。今日は休日である。そして休日ということは、そう、一刀くんとのデートだ! ……まあ正確には昨日も休日だったのだが、一刀くんの方に先約が入っていたので仕方ない。中学時代のお友達から誘われていると聞けば、私も大人しく退かざるを得ないのだ。

 その分、昨日は出来る限りの準備をすることにした。手持ちの資本金が有限であり、次の支給が如何ほどになるかの目途もついていないので無理は出来ないが、意中の相手とデートをするに当たって何もしないなど、とてもじゃないが一女子として考えられない。結果、ある程度ポイントを奮発する事になったが、まあ必要経費である。

 待ち合わせの時間までまだ余裕はあるが、だからと言って時間をかけてもいられない。私は手早く昨日の戦利品を身に着けた。鏡で確認する。おかしなところはない。

 待ち合わせ場所である寮前の広場に行くと、一刀くんは既にベンチに腰掛けていた。文庫本を読む姿が様になっている。

 いけない。思わず見惚れてしまった。

 

「おはよう! 待たせてごめんね、一刀くん!」

「ああ、おはよう桔梗。気にしなくていいよ。俺と会うためにおめかしをしてくれた結果だろう? 逆に嬉しいってものさ」

 

 これである。

 中学時代にも男子と出かけることはあったが、お約束の如く『待ってないよ』、『こっちも今来たばかりだから』しか言わないのである。だからこそ、このサラリと告げられる言葉がたまらない。

 

「ありがとう! 一刀くんも似合ってるよ!」

「そっか、良かったよ。俺なりに頑張ってはみたが、桔梗のお眼鏡に適うのかは不安だったんだ」

「それで、どこに行こっか?」

 

 苦笑する一刀くんへと私は訊ねた。デートとは言ったものの、どこに行くかはまるで決めていないのだ。

 ポイントを使いすぎないように注意しなくてはいけないからであり、入学間もない私たちではどこがオススメかなど見当を付けられないからでもある。

 

「それなんだけど、生徒会主催のフリーマーケットへ行ってみないか?」

「生徒会主催のフリマ?」

「ああ。生徒会室で受付をすれば、参加証を渡されると同時に場所を教えてもらえるんだ。そして参加証がないと、売るも買うも出来ない仕組みになってるんだとさ。昨日、章仁に教えてもらってね。いま俺が来ている服も、昨日フリマで買った物なんだ」

「……なるほど。ポイントを使いすぎた生徒への一種の救済処置ってところかな?」

 

 私の頭に浮かんだのはクラスメイトの山内だった。初日に牽制を行ったからこそDクラスは割かし真面目に過ごしているが、もしそれがなかった場合、ポイントを使いすぎる生徒が続出しただろう。中でも彼は欲しかったゲーム機があるとか言っていた男だ。

 そして彼にはホラ吹き以外の特徴がない。少なくとも、今の私にはそれ以上の感想が出てこない。

 欲望のままにポイントを惜しみなく使い、いざ支給ポイントが低ければ大金をはたいて買ったゲーム機であろうと容易く手放すだろう。そのくせして、曰く『世間に乏しい』綾小路くん辺りに高く売りつける。……そんな姿が容易に想像出来てしまった。

 

「おそらくね。ポイントを使いすぎれば個人間で物の売買が行われるだろう事は容易に想像がつく。先生とかに見届けてもらえばその後の問題も起こらないだろうけど、そこに気が付くような生徒だったら、そもそもポイントを使いすぎる可能性は低い。結果として後々問題が起こることも少なくはない。ならばいっそシステムに組み込んでしまえ、と言ったところじゃないかな?

 支給ポイントが減る可能性に気付いてる生徒だったら、たとえ新入生であろうとも早期からポイントを増やす手段を模索するだろう。その結果、フリマに行き着くことはさして難しいことじゃない」

「たぶん、裏事情はそんなところなんだろうね。それを知らなくても、たまたまフリマをやっている場所を訪れる可能性だって無くはないからね。新入生お断り、なんてことは出来るわけないか」

「そういうことだ」

 

 話している間に学校に着いた。内履きに履き替えて生徒会室に向かう。

 

「失礼します」

「はい、生徒会室へようこそ。今日はどういった用事ですか? ――ってあれ、北郷せ……さん?」

「あれ、丙家も生徒会役員だったのか?」

「ええ、まあ。一応書記です。橘先輩の後任ですね。……ところで、そちらは?」

「初めまして。一刀くんのクラスメイトで櫛田桔梗です」

「ああ、あなたが櫛田さんでしたか。チャットではともかく、こうしてお会いするのは初めてですね。丙家深月(みづき)です。よろしくお願いしますね」

 

 丙家先輩は独特の雰囲気を醸し出していた。言葉遣いは柔らかく、お嬢様然とした空気がある。だというのに油断がならないと感じるのは、彼女が糸目だからだろうか……?

 まあそんな推測はおくびにも出さず、私と彼女は互いに一礼した。

 

「それで、改めてお訊ねしますが、ご用件は?」

「ああ、そうだった。フリーマーケットへ行ってみようと思ってさ。その受付に来たんだ」

「承りました。……では、こちらをよくお読みになった上で署名をお願いします。櫛田さんもどうぞ」

 

 渡されたのはA4サイズ程の用紙だった。いくつかの内容が箇条書きで記されており、一番下にはサインする箇所がある。

 記されている内容に特におかしい部分はない。問題を起こさないとか、後々異議不服を申しだてないとか、そんな当たり前のことだ。……が、この学校の食えなさは並ではない。念には念を入れて、隠された意味がないかを確かめるように頭から読み直す。

 そこまでしてから、私はようやく署名した。

 

「ふふ、現段階でこれとは、将来有望な後輩ですね」

「まったくだ」

 

 顔を上げ、そこで初めて私は気付いた。

 一刀くんと丙家先輩が微笑ましそうに私を見ていたことに。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

 フリーマーケットは思いの外楽しめた。特に驚いたのは参加者側に堀北生徒会長の姿があったことだ。

 

「む、一刀か。どうだ、なにか買っていかないか?」

「学? へえ、生徒会役員も参加出来るんだな。てっきり運営だけかと思ってた」

「まあ、生徒会メンバーとてポイントが入用になることもあるのでな。……尤も、今の俺はクラス代表として参加してるに過ぎないが」

「ああ、なるほど。誰もが誰も都合を付けられる筈はないですものね。なら代役に任せるのも一つの手、ということですか……。普通なら代行料とかでいくらかポイントを掠め取られそうなものですけど、生徒会長ならその心配もなさそうですし」

「お前は……櫛田桔梗だったか。鈴音と仲良くしてくれているそうだな、感謝する」

「仲良く、って言っていいのかは微妙ですけど……。それより、私のことをご存じで?」

「悪友もまた友人。遠慮なく言いたいことを言い合える関係というものは貴重だ。これからも上手く鈴音と付き合ってくれると、俺としても喜ばしい。

 質問についてだが、まあ一刀周りの人物は一通りな。元々有望な新入生がいないかチェックしていたこともあるが、コイツから電話で聞かされることも理由だ」

 

 今日は私人としての参加だからだろうか。以前よりもプレッシャーが少なく感じる。むしろ『妹大好きお兄ちゃん』としての面が強い。

 

「それで、どうだ? 俺の一存で安くすることは出来ないが、物によっては交渉に応じるぞ? 中には掘り出し物(・・・・・)もあるかもしれん」

 

 並べた商品を指し示し、生徒会長はそう言った。

 フリマということもあるのだろうが、クラス内から集めただけあって実に雑多な品揃えだ。衣類もあれば小物もある。それも男性もの女性もの問わずだ。

 品物を見ている中、私の視線はある一ヶ所に釘付けとなった。思わず手に取る。

 

「『堀北学写真集』……って、何ですか、これ?」

 

 タイトルを裏切らず、生徒会長が堂々と表紙を飾っていた。

 

「それか……。一年生の時、写真部に入部したクラスメイトから練習がてら被写体になってくれと頼まれてな。それが今となっても続いているのだ。俺にとっては十分と思える出来でも、当人にとってはまだまだなのだろう。それが積もりに積もった結果、写真集として出せるほどになったそうだ。なのでまあ、本としての体裁を整えて、フリマで売ってみようという話になったわけだ。

 俺としては御免被りたいものだが、成長を知っている分、断り難くてな。客観的な評価にも繋がるし、仕方なく折れたというわけだ。売れれば、いくらか俺にも還元されることになっている」

「へえ……」

 

 苦々しい顔で語る生徒会長に頷きで返し、ペラペラとページをめくる。

 何らかの行事の際に、壇上で演説していると思しき姿。これは体育祭だろうか? ハチマキを頭に撒いている姿。そして――

 

「買います! って、いくらですか、これ? 値段が付いてませんけど?」

 

 そのページを見た瞬間、私は思わず叫んでいた。これを誰かに買われるなどとんでもない。……が、よく見ると値段が付いていなかった。いや、正確には『¥1000~』という表記になっているのだ。

 

「それに明確な値段は付いてない。客が値段を付けるタイプの品になるな。この手の品は、設定時間内に最も価値を付けた(・・・・・・)生徒が買えるようになっている。

 こういった商品の販売理由はあくまでも『客観的な評価』を求めてのことになる。また、これの場合は見て分かる通りに最低でも1000ポイントを払わなくてはならない。……この最低額設定で自分ならいくらの値を付けるか。客のそういったデータの収集が主なのだ。なので、他の客が付けた値段を知ることは不可能となっている。

 欲しいのであれば、こちらのID宛てにポイントを譲渡してくれ。生徒会の用意した仮IDだ。買えるにせよ買えないにせよ、どちらの場合も後ほど生徒会から連絡がいく。買えない場合、ポイントはきちんと戻されるから、その点の心配は不要だ」

「なるほど、ではこれで」

 

 譲渡したポイントは5万。今の私にとって厳しい額ではあるが、買えなければ戻ってくるし、買えた場合も出費分を取り戻せる算段はある。

 そしてこれだけのポイントを払えば、おそらくは私が買えることになる。生徒会長は『最も価値を付けた生徒』と言った。『最も高額な値段を付けた生徒』ではない。……たぶん、その生徒の財政状況を加味した上で対象が選ばれるのだろう。でなければ、新入生に不利過ぎる。

 先日、鈴音はお小遣いと称して目の前の生徒会長から手持ちの20%で60万という大金を貰った。その点だけでも、上級生との財政の差が明らかだ。予想通りであれば――Dクラスは分からないが――AクラスやBクラスとの差は雲泥だろう。

 その事実を前にして、『高額な値段を付けた生徒』が選ばれるとは思わない。それ故の『価値を付けた生徒』という言葉遊び。

 私はそう判断した。

 

「一刀くんもどう? 買えるか挑戦してみない?」

「親友とはいえ、男の写真集に興味はないよ。かと言って、これを女の子にプレゼントするのも御免だしな。――いや、まあ、鈴音へのプレゼントとしてはアリなのか……?」

 

 試しに一刀君に訊いてみれば、当然の返事を返した後で少しばかり悩むのであった。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

「ああ……幸せ……」

「そうかい? それなら良かった」

 

 おそらく、今の私は蕩ける様な顔になっているだろう。その自覚はある。

 何をしているか? 一刀くんの膝枕を堪能しているのだ。純粋に枕とするには硬さがあるが、意中の男性だからかそんなことはちっとも気にならない。

 外でのデートを終えた私たちは、一刀くんの部屋にやって来ていた。いわゆるお家デートである。

 一刀くんが相手であるなら私の部屋に招待するのも吝かではないのだが、如何せん寮の規則によって男子が女子の階層に入るのには時間的な縛りがある。ある時刻を境として立ち入り厳禁となっているのだ。当然ながら破れば罰則が適用されるため、ゆっくりと過ごすには男子部屋の方が都合が良い。

 一方で、女子が男子の階層に入るに当たってはその様な縛りはない。まあ、それも仕方ないだろう。女子の階層は上であるのに対し、男子の階層は下である。夜中に勉強していたとして、ペンの芯が切れてしまったら? 寮近くのコンビニに行けば買えるが、そのためには必然的に男子フロアを通らなければならないのである。

 

「さて、幸せなところ悪いが起きてくれ。食事の支度をしないとな」

「あ、私も手伝うよ!」

 

 戻ってくる際、スーパーに寄って食材は購入してある。

 営業時間や距離の近さを鑑みればコンビニの方が便利だが、スーパーにはスーパーの良さがある。単純に無料品の量もスーパーの方が上だし、スーパーである以上はセールもやっているのだ。無料品に対する購入制限もコンビニより緩いし、ある意味ではコンビニ以上に役に立つ。

 

「バイクを持ってくればよかったって、短いながらもここで生活してしみじみ思ったよ。その内、バイクとは言わなくても自転車くらいは買うかな……?」

「あ~、自転車恋しいねえ。どのくらいするんだろ……? 安いのだったら2、3万くらいで買えないかな……?」

 

 得意ジャンルの違いはあれど、私も一刀くんも自炊には慣れている。雑談をしながらも身体は淀みなく動いていた。

 ところで、話のタネに上がった自転車についてだが、たとえ2、3万くらいだったとしても今の私に買うことは出来ない。なにせ今の私の手持ちは2万を切っているからだ。今現在、新入生の中で最もポイントが減っているだろう自信がある。

 いくら節約を心掛けても、ある程度のポイント利用は避けられない。まして今日のデートのために一式を買い揃えたのだ。見栄えと動きやすさを考慮すれば、どれだけ安物を狙っても万は飛んでいく。 付け加えると、狙い通り『堀北学写真集』を買えたことが最も響いている。買ったことに後悔はないが、ポイントの急落は避けられない。

 

「そういや、なんだってまた学の写真集なんて買ったんだ? いや、学がイケメンなのは認めるが、桔梗は別にファンってわけでもないだろう? 鈴音にでも売りつけるのか?」

「まあ、最終的にはそのつもりだけどね。吹っ掛けるつもりはないから安心していいよ。買値そのままか、それより少し安くてもいいくらいで考えてるから」

「ますます分からな――いや、待て。もしかして『掘り出し物』ってそういう意味でもあったのか……?」

 

 流石は一刀くんである。頭の回転が速い。

 

「たぶん、でしかないけどね。……けど、私はそう直感したよ。まあ、詳しくはご飯を食べた後でね?」

「……はいよ」

 

 二人で協力すれば完成も早い。

 ご飯とみそ汁は鉄板として、一刀くん作のチンジャオロースと私作の卵焼きがテーブルの上に鎮座している。……個人的に卵焼きは甘い方が好みである。

 

「美味しいね、一刀くんのチンジャオロース!」

「桔梗の卵焼きも十分美味いよ」

 

 互いの料理を口に運んで、互いの料理を褒めあう。……ああ、本当に幸せだ。

 しかして幸せな時間とは長続きしないものである。美味しいのもあったのだろうが、料理は思いの外早くなくなってしまった。――が、幸せとは何も一つだけではない。次は二人揃って後片付けである。

 後片付けを終えた後は写真集についてのお話だ。

 

「パラ見しただけなんだけどね。私はこのページが気になったんだ」

 

 そう言って私が開いたページには水着姿の堀北会長。正に『水も滴るいい男』を体現していた。……これを見たからこそ、間違いなく鈴音に売れると判断したのもある。

 

「ここ、どう見たってプールじゃないよな? その割に水着は学校指定のそれだ。いくら堅物の学だって、授業に関係なく泳ぐとなれば自前の水着くらい用意する筈だ。単純に考えるなら、この写真もまた授業の一環で撮られたってことになるが……」

「いくら写真部だって、普通の授業で撮影許可は下りないよね? ポイントで許可を買い取ったって可能性もあるけど、普通に考えたらそこまでする意味があるかは微妙だし……。まあ、生徒会長の水着姿にはそこまでする意味があるのかもしれないけど……」

「それよりは、やっぱ体育会みたいな何らかの行事の時に撮ったって考える方が無難だろうな……」

 

 その後も、お互いにあーだこーだと考えあった。大半のページはそこまで気にかかる部分もなかったが、やはり少しは水着ページのように気になる部分があったのだ。

 そして気付けば、すっかり夜も遅くなっていた。時計を見れば、時刻は23時を示している。高校生にもなればまだ起きてる人もいるだろうが、明日も学校があるので眠りに入る人も少なくないだろう。……そんな微妙な時間帯だ。

 

「ねえ、一刀くん。今日、泊っていってもいいよね?」

「いや、流石にそれは……」

「一刀くん、我慢してるよね。自分で自分にブレーキを掛けてるって言ってもいい。

 一度抱いちゃえば、相手に対して責任を取らないといけなくなるって思ってる。そして、一度抱いちゃえば、歯止めが利かなくなるとも思ってる。……だからでしょ? 女好きを公言して憚らないのも。そうしておけば、相手から迫ってくる可能性が減るから。……自分から手を出すことは、耐えられるから。

 分かるよ。一刀くん、優しくて責任感もあるから。――けど、それはとても残酷なことでもあるんだよ?

 女の子にだって性欲はあるの。私は、一刀くんが一番なの。中学生の時は仕方ないって思えた! けど、高校生になったら我慢出来なくなった! 一刀くんを困らせるって分かってる! 分かってるけど! 私は、一刀くんに『女』にして欲しいの!」

 

 気付けば、私は欲望をぶちまけていた。

 王子様に優しくされるのは幸せだ。――けどその一方で、王子様に手を出されないのは酷く辛いのだ。

 

「桔梗……」

 

 一刀くんは困ったように私を見てる。

 それを見て、私の頭は急激に冷えた。

 困らせちゃった。嫌われたらどうしよう。……そんな思いだけがグルグルと回り、視界もろくに利かなくなった。

 そして――

 

「んン……ッ!?」

 

 一刀くんに唇を奪われていた。

 そうしてどれほどの時間が経っただろう。唇を離した一刀くんが言った。

 

「悪いな、自分から踏み込む勇気がなくってさ。壮大な目標を掲げたくせして、『常識』ってやつに囚われ過ぎてたみたいだ。……けど、おかげで吹っ切れたよ。ただ、覚悟してくれよ? こうなった以上、俺はもう、歯止めが利かないから……ッ!

 桔梗だけじゃない。華琳だろうと鈴音だろうと、相手がそれを望むのなら全員俺の女にする。そのくらい突き抜けずして、目標を果たせる筈もないからな。文句があるなら、文字通り『実力』で黙らせてやる。

 ああ、自分でも最低なことを言ってるって分かってる。――だが、いま君に手を出すに当たっての、これがオレの誓いだ……ッ! 君を『唯一』には出来ないし悪いとも思うけど、無理にでも納得してもらう……ッ!」

 

 そうして再び唇を奪われ――

 

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……もう……ダメ……」

 

 簡潔に言うならば、私はこの夜、いろんな意味で『女』になった。

 どうやら私は、目覚めさせてはならないモノを目覚めさせてしまったみたいである。

 文字通り、身体で理解させられた。

 一刀くんからは離れられない……と。

 かと言って私一人では耐えられない……と。

 

(早く道連れを増やさないと……)

 

 薄れゆく意識の中、私はそんなことを考えていた。……私の有様とは裏腹に、未だピンピンとしている一刀くんを視界に捉えながら。




生徒会とか学校側の監視下でフリマとかあってもおかしくないと思うんです。一巻の山内を見てると特にそう思います。なので、本作では生徒会主催のフリマがあります。

原作以上に生徒会長が出張ってますが、まあ主人公の親友ポジなので。在学中は自然と出番が増えます。

写真集はネタであってネタではありません。写真集の他にも、目敏ければ気付く程度にこれからを示唆する物は、描写されない分を含めて用意されています。
それに気付き、確証のない中で対策を練るのも実力ということですね。

漸く種馬の本領が発揮されました。最初の犠牲者は桔梗ちゃん。……誰かR18で書いてくれないかな。

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