ある日、傷だらけの狐を拾った。 作:嘘吐き
エロ編です。(大嘘)
ピピピ、とアラームが鳴った。
スマホを手に取るともう九時だ。まあ休日だし、問題はないだろう。二度寝しても構わないが、とりあえずベットの下で毛布にくるまっている狐を見る。
「ん…ああ、そういや動物病院だったな」
もう少し寝たいが、身体を起こす。欠伸しながら冷蔵庫へ向かう。とりあえず昨日の稲荷寿司がまだ残っている。狐のはこれでいいだろう。俺はどうすっか。うどんにするか、鍋に水を入れ湯を沸かす。その間にスマホで動物病院を検索する。
「土日空いてねえじゃねえか」
あと二日は行けないのか。
つっても月曜日勤務だし、しぶとい狐だとしてもなぁ。とりあえず夜に予約入れておくか。
「おっ、起きたか」
自分の手で目を擦っている。器用だな。
包帯に血が滲んでないところを見る辺り、少しでも回復しているのだろう。とは言え、まだ身体が重そうだ。
「寝たけりゃもう少し寝てもいいぞ」
おお、毛布に戻った。
うどんのつゆをあっためて鰹出汁の素入れて、ほうれん草のおひたしが確かあったな。あと半熟卵も。それを添えて、完成だ。天ぷらがあったら最高だったが、そこまで作ると面倒だ。
「んまい」
ズルズル、といい音を立てて俺の腹の中に収まっていく。うどんはいい。コスパ最高だし。普通に美味しい、流石俺。
とりあえず、休日だしゴロゴロしていようか。
狐に構わなきゃいけないし、昨日の出勤で十時間パソコンと睨めっこで目と頭が疲れているから二度寝してもいいのだが、変に目が覚めてしまった。
仕事はやる気にならねえし、本も映画も目を使う行動はあまりしたくない。買い物もまだ必要ねえし、掃除は行き届いている。うわー、やる事ねー、とグダリながらベットに横になる。
しっかし、この狐。
毛並みにピンクが混ざって、明らかに俺の知っている狐と違う気がする。狐の種類を探すが、大した結果は得られない。まあ先ずピンクの狐ってのが稀な話だ。アルビノとか、色素の病気があったらあり得る話かもしれないが、そんな様子もない。だって異常に生命力が高いもん。
まっ、いっか。別に困る事でもねえし。
「しゃーね、音楽聴きながらボーッとするか」
やる事がないのでリラックスの時間にした。
耳にイヤホンを付け、俺は見慣れた天井を見ながら静かに瞳を閉じた。
★★★★★
目が覚めると、ベットの上で男が眠っていた。
今世紀一大のチャンスだった。男の首を噛み切って、魔力を補給出来る絶好の機会。私はベットの上に乗り、男の胸元に乗っかる。
愛玩の獣を辱めた屈辱を晴らそうと、私は口を大きく開けた。すると男は片手で私の胴体を鷲掴んだ。
「ん?飯か?」
なっ、しまったこの男。眠っていない!?
私がこの男を殺そうとしたところがバレて、いやこの際玉砕覚悟でこの男に噛み付いた方が…!
「ん…、ちょっと待ってろ」
眠そうな顔をしながら冷蔵庫を開け、稲荷寿司を皿の上に置く。…どうやら、私がこの男を殺そうとした事に気づいていないようだ。ひとまず安心した。
「食えるか?」
馬鹿にしないでください、
そのくらい私にかかれば食べれます。しっかり寝て、しっかり食べて、霊基の損傷はともかく、傷の大部分は回復した。私は両手で稲荷寿司を掴み、口に運ぶ。うん、普通です普通に美味い。
「傷、もう治ってやがる。どうなってんだ?」
男は首を傾げるが、神秘に今まで触れてこなかったのでしょう。分かるわけがない。仮に喋れた時にはこの男がどんな反応をするのかが少し楽しみです。
「包帯、もういいのか?」
もう血も出てないですし、もう煩わしいだけです。
痛みこそまだあるが、身体が小さい狐姿であるおかげで少ない魔力でも全身に回復に回せる。まあ狐姿では生み出せる魔力は雀の涙程度ですが。
「うわ、マジで塞がってる」
ふふん、私はこれでも愛玩の獣。
残滓といえど生命力はサーヴァントと比べ物になりませんし。軟弱な人間とは違うのですよ。
「よし、じゃあ風呂入るか」
………ゑ?
★★★★★
「おい暴れるな。って、痛えっ!?この、大人しくしろ!」
昨日タオルで拭いたとはいえ雨の中で道路にいたのだ。乾いたせいか汚れが床につく事はなかったか、血もべったりついていたし、傷口が塞がっているなら洗い流すのが1番だ。お湯沸かしであったのを再び追い焚きし、俺も風呂に入る。
「おら、ジッとしろ。下手に動くと眼球にシャンプー入るぞ」
ピタッ、と動きが止まった。
何で狐がシャンプーが目に入ると危険な事知ってんだ。アレは痛い。涙ぐむだけじゃない絶望的な痛みだ。去年目に入ったから分かる。
「毛並みは綺麗だな。それにしっかり手入れされてたみたいだし」
誰かに飼われていたのか?
まあ、どうでもいいか。足、両手、背中、お腹、お尻、尻尾、頭、耳、を泡立てたシャンプーで洗う。タオル使うと痛いだろうし、とりあえず優しく洗う。おい、ジタバタするな。
最後に胸元を洗うと、さっきより暴れ出し、纏っていた泡が拡散する。
「暴れ、っ!?んあああああシャンプーが目に入った!?」
目が、目がああああああああああっ!!!?
★★★★★
んきゃああああああああああっ!!!
何で私はこの男と一緒に風呂入っているんですか!!しかもこの男意外とデカ……いえ、それはどうでもいいのですが!!!!
私の身体を物凄いまさぐったような洗い方に思わず叫ばずにはいられなかった。元人間体だけあって羞恥心は最高潮と言っていい、ゾワゾワするし身体が小さい分、抵抗出来ない。
んあっ!?そ、そこ敏感なとこです!!
て、手付きが優しいせいか地味にイヤらしい!!
あっ、そこ尻尾!!
今は超敏感なのにっ!!今度は胸まで、ん、んきゃああああああああああああああっ!!!!
結局、男の猛攻は私の反撃したシャンプーの泡が目に入るまで続いていた。ザマァと言いたいですが、それ以上に疲れ過ぎました……。ゼーゼーと息を切らしながら桶に貯まったお湯で泡を洗い流す。
……コノオトコ、イツカコロス!
愛玩の獣の名にかけていつか絶対屈辱を与えてやるぅ!そんな復讐心を掲げながら今は当然ながらそんな事出来ないので、私は大人しく桶のお湯に浸かり始めた。