ある日、傷だらけの狐を拾った。   作:嘘吐き

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・27日 加筆しました


狐と添い寝した。

 くそぉ、不幸だ。

 シャンプーが目に入って赤くなってる。最近痛みに伴う行動が増えている気がする。これも全部狐のせいだ。

 

 

「ったく、風呂くらいで暴れやがって」

 

 後は飯食って寝るだけだ。

 飯はもう納豆ご飯でいいや。さっさと食べて洗い物も終わり、ベットで横になる。狐のせいで大分時間がズレたが、今はまだ八時だ。寝るには早いし、映画鑑賞はある程度目ぼしいものは見たから余りなぁ。

 

 

「本読むか」

 

 

 俺はベットの横の本棚から一冊を取り出して読み始める。

 おっ、狐が俺の胸元に乗っかる。暇だったのか、毛布から体勢変えてゴロゴロしていたようだが、構ってほしいのか?

 

 俺は無視して、ページを捲る。

 胸元に乗っかっている狐の動きが止まった。ぱらり、とまたページを捲ろうとすれば狐が手でそれを止める。

 

 

「……読めんのか?」

 

 嘘だろ、マジかよ。

 日本語分かる上に文字も分かるのかこの狐。もう頭いいって話じゃねえぞ、化け狐だったりするのか?

 

 

「読み終えたら触れろ、OK?」

 

 コクリ、と狐の頭が動く。

 マジかよ、すげー変な狐だと思っていたけど異端すぎだろ。茶色とピンクの毛並みで日本語分かる上に文字まで読めるとなると、今度は喋ったりして。

 

 まっ、んな事あるわけないよな。

 俺は再びページを捲る。読書はいい、本を通して別の世界を覗いているような気分に浸れて、展開方に胸が熱くなる。

 

 ぱらり、ぱらり、ぱらり、そうして百ページ以上読み続けた辺りから寝息が聞こえた。狐が俺の胸で眠っていた。

 

 毛布で寝ろよ、と言いたいがこのまま下ろすと起きてしまいそうだ。身体も洗ったし汚くはないので、俺のベットの上に毛布を置き、狐をそっと、寝転がらせる。時計を見たらもう十一時だ。

 

 

「続きは明日見るか」

 

 電気を消し、俺は目を閉じた。

 意外と狐って体温あったかいんだな。軽く背中を撫でてると、ふとそう思った。

 

 

 ★★★★★

 

 

 風呂に上がった後、憎しみを堪えて毛布でふて寝する。

 やり返せない自分が憎たらしいし、愛玩の獣として情けない部分はありますが、ムカつくけれど今の私は非力過ぎて厄介です。

 

 稲荷寿司も食べ、毛布に包まってもやる事が無い。

 

 ……テレビをつける?

 いや、あまり人間の番組を観たところで、スプラッターな映画ならともかくつまらなかったりしますしねぇ。

 

 ……。

 …………。

 ………………暇ですね。

 

 やる事があった時は充実していましたが、やる事がないとここまで暇とは。私って案外ワーカーホリックだったのでしょうか?落ち着きませんし、この男に悪戯でもしてみましょうか?

 

 あっ、この男私を無視して本読もうとしてる。

 ふざけんなコノヤロー☆私は男の胸に乗ってゴロゴロと暴れますが、普通に無視。噛みついてやろうかと思いましたが、流石に今やると警戒されかねませんし。

 

 ……そんなにこの本面白いのでしょうか?

 私は興味本位で頭を本の方に向ける。ふむふむ、恋愛小説ですか、反吐が出るような展開が出そうですね。と言うか本棚の中見てもジャンルが一貫していませんね。哲学、推理小説、ホラー、ファンタジー、なんならライトノベルまでありますし。

 

 主人公が鈍感で、ヒロインは声の出せない内気な女の子?あー、展開見えちゃいましたこれ、あっ、ちょ、確認したいのにまだそのページ読んでません。

 

 男はキョトンとしていた。

 

 

「……読めんのか?」

 

 あっ、しまった油断した!?

 つい手で遮ってしまったが、これでは私が読めた事がバレてしまう。怪しむのは当然だ、なんとかして誤魔化さなければ……

 

 

「読み終えたら触れろ、OK?」

 

 

 いや何も聞いてこないのですか。

 この男、案外おバカさん?まあいいでしょう、暇でしたし、男にとって本を読むのに夢中で今はどうでもいいらしい。私も警戒する必要はない気がしてきました。

 

 

 愛の物語。

 主人公は女の子の力になってあげたい。そんな些細な言葉から世界が一変する。それだけで二人の中に愛が芽生える。

 

 くだらない、愛があるから私達が生まれた。

 愛を欲し、愛に苦しみ、愛に嘆くくらいならば愛を与え、愛を不変とし、私の愛の鳥籠に閉じ込め、管理する。

 

 愛玩の獣とは、愛を与え、愛でるが故に愛を否定する。

 私はそんな愛しか知らない。私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その記録の中には傾国の姫としての毒婦という素質がある。

 

 まあ、あくまでガワだが、素養があった。国を滅ぼし、人間を憎み、全てを排他的にしか見れない、どいつもこいつも憎いと思う妲己の思想。貴様らの歪んだ顔を見て心の安寧を齎す。私は妲己の生涯を知っているだけで本質は全く違うが、似たようなものだ。故に愛玩の獣となった。

 

 本当にくだらない。

 私はそれしか愛を知らない。

 

 私は………

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 チュンチュン、と鳥の囀りが聞こえた。

 どうやら眠ってしまったみたいだ。身体が少し軽い。霊基が安定しているのでしょうか?あっ、男が起きた。

 

 

「んあ…おは…よ……っはあ!?」

 

 ん?男が急に凄いものを見たような顔をしていた。

 何ですか突然。幽霊でも見ましたか?そういえばいつもより視点が高い気がしますね。男が縮んで見えます。

 

 

「な、な、お前、誰、いや、その前に服を着ろ!!?」

 

 

 ん?服?……いや待て、男が見ているのは私?

 私は視線を自分の身体に向ける。白い肌、はち切れそうな巨乳、しっかりとした腰のくびれに、形のいいお尻とピンクの毛並みの尾、手が私の思った通りに動……えっ?

 

 ま、まさか私……戻っている?

 

 

「ほらジャージ!素っ裸なの自覚しろ!!」

 

 

 そう男が叫ぶ。

 それを自覚したのか、羞恥心が一気に込み上げてきた。涙目になり、顔は真っ赤に染まり、耐え切れず朝一番に私の絶叫がアパートに響いた。

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