正確にはガイドノイドTtalkですが該当する原作がないためボイスロイドにしております。お許しください…
盆栽を貰ったら妖精がくっ付いてきた。
言葉にしても頭に「?」しか浮かばないような状態だが、それが目の前に現実として存在している。
濃い桃色と綺麗な紫の髪の二人。ただし身長は小型犬より小さいくらいしか無い。
くるくると足元を回りながら私の顔を見上げてくる桃色の子と、ソファーの影から心配そうにこっちを見てくる紫の子。そして困惑して動けない私。
「どうして…?」
脳内に宇宙を背景にフレーメン現象を起こした猫の表情を思い浮かべながら、それしか私は言えなかった。
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高校を卒業して県外就職した。田舎の普通高校出身の平凡な学生によくある境遇ではあるが、やはり大卒と比べるとだいぶ悲しいお給料である。
それ故に週末に何処かに出かけたり、といったことは滅多に無く、代わりに同年代の中ではちょっと変わった趣味を持つようになった。
そう、盆栽である。正確に言えば植物観察が好きなのだが、その派生で小さい木を見るのが好きだった。
おそらく元凶は祖父なのだろう。幼い自分の質問に一つ一つ丁寧に答えてくれた祖父の記憶は今でもしっかりと残っている。その影響で盆栽を見るのが好きで、そのまま引き継いだのかもしれない。
今回の週末は近くの公園で盆栽のイベントがあり、なんとなーく冷やかすつもりで見て回ろうと思ったのがきっかけ。
ウロウロと出店している人のところを回って良さげな鉢を見ては離れる。買おうと思えば買えるのだがきっちりとした世話ができるかと言えば怪しい。それ故に購入を迷ってスルーしているのがほとんどであった。
だがしかし、最後の最後で見かけたブースの盆栽が目に入ったとき、他の盆栽とは「何か」が違うと感じた。
何が違うのか、それを具体的に言葉にすることはできないのだが引っかかる。離れるのがもったいない、そう思わせる何かがある。
そしてその盆栽をじーっと見つめる私が気になったのか、店主のおじいさんが私に声をかけてきた。
「この梅が気になるのかね?」
「うぇっ、へぁっ!?」
「ほっほっほ、若いのに随分と珍しいな」
「い、いやー、祖父がよく盆栽に触っていたので…その影響を受けたみたいで」
すごくびっくりした。まさか声を掛けられるとは思わなかった。いや、じっと見ていれば購入希望者と判断するはず、迂闊だった。
それはそうと、どうやらこの盆栽の木は梅らしい。確かに花が付いている、のだがその色が見たことのある梅より濃いので梅っぽい別の物かと思っていたのだ。
梅の盆栽自体はそう珍しいものではない。色もピンクや白といくつかあるし、今の時期ならば咲いているのも普通。しかし目の前の梅はピンクにしては色が濃い、というよりもかなり鮮やかというか艶がある、そんな感じなのだ。その鉢が二つ、綺麗に並んで咲いているのだ。
今まで見たことのないような色付きなのが気になったのだろうか。しかし値札が張られておらず、買おうにもとんでもない金額を提示されたらショックで引きずりそうである。
「(うー、どうしよう…すっごくほしいんだけどなぁ…)」
「お嬢さん、この梅が欲しければあげようか?」
「…え。いいんですか?」
「条件はあるがね」
渡りに船、というには少々怪しいがこのチャンスを見逃すのも惜しい。どんな条件が出されるか、と戦々恐々としながらも私は首を縦に振った。
「この梅の鉢二つを揃えて持っていくこと、毎日話しかける事、そして何があっても大切にすること。それが条件じゃよ」
「それだけ、ですか?」
「ほう、今の条件が『それだけ』と言えるのかね?毎日木に話しかけるなど、他の人からすればおかしなことだと思うがの」
「んー、あまり抵抗ないですね。それこそ祖父の家で見てましたし、私自身見てるのも好きですから」
「…そうか。なら持っていくと良い。
「ありがとうございます!」
ちょっと変わった条件だと思ってはいたが、一生後悔するよりはましだと思ってその時は深く考えていなかった。うっきうきで鉢二つを抱えて帰路に着いた私は、しばらくしてあのおじいさんが「何があっても」の部分を強調した理由を知ることとなった。
動画作る気がないのにボイスロイドいっぱい買ってるぅ…ニコ生くらいでしか使う予定ないのにね…