空想ヒーロー   作:UFOキャッチャー

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【14】擬魅の過去と体育祭

USJ襲撃事件の翌日。雄英高校は臨時休校となった。襲撃に遭った1年A組の生徒たちが心身を休める中、1人病院に運ばれた擬魅はというと…

 

擬魅「いやーマジで死んだかと思ったわー。だけど俺の(タゥマシィ)ィ~が強靭なおかげで元気ピンピン丸よ。伯父さん」シャクシャク…!

 

擬魅伯父「なにが(タゥマシィ)ィ~が強靭なおかげだまったく。心配したこっちの身にもなれ」シャクシャク…!

 

擬魅「ごめんて」シャクシャク…!

 

自分の保護者である伯父が見舞いに持ってきたリンゴを頬張り、むしゃむしゃと食べながら他愛ない話をしていた。

 

医者「幸いどこも異常はありませんので明日から学校へ行っても問題ありません。ですがもし何かしら違和感などを感じたら来てください」

 

擬魅「分かりました」

 

擬魅伯父「先生、ありがとうございました」

 

医者「ではお大事に」

 

擬魅を診た医者が病室を後にする。それと入れ替わるようにオールマイト、相澤そしてオールマイトの古くからの友人であり警察官である塚内刑事が入って来た。

 

マイト(オール)「擬魅少年!目が覚めて良かった!元気そうでなによりだ!」

 

相澤「起きたばっかで悪いが少しいいか?事件のことで話がしたくてな」

 

マイト(オール)「擬魅少年、紹介するよ。こちらは私の友人で刑事の塚内くんだ」

 

塚内「初めまして擬魅くん。塚内と申します。事件のことで少し話をしたいんだがいいかな?」

 

擬魅「ええ、別にいいですよ。あ、こちら今の俺の保護者で伯父です」

 

擬魅伯父「初めまして皆さん。伯父の擬魅真似(しんじ)です。白郎がお世話になっています」

 

挨拶を済ませると真似は席を外し、塚内はA組生徒にも聞いた内容を擬魅にも聞く。がだこれは建前で本当に聞きたいことは別にあった。

 

塚内「じゃあ擬魅くん…君が脳無という敵にしたことについて聞いていいかい?」

 

擬魅「……そのことなんですが実は記憶が曖昧というか…夢を見ていたような感じでハッキリしないんですよね…」

 

マイト(オール)「覚えていないのかい…?」

 

擬魅「相澤先生。自分どんな風にしてました?」

 

相澤「…脳無に殴り飛ばされたお前は………」

 

相澤から自身の行動を一通り聞いた擬魅。彼は薄々分かっていた。ただこの事を放しても信じてもらえるか分からないため話すことを少し躊躇う。だが今後似たようなことが起きた際のことを考え話すことを決めた。

 

擬魅「今から話すこと…信じにくいかもしれませんが聞いてもらえますか…?」

 

塚内「もちろん」

 

マイト(オール)「もちろんだとも!擬魅少年!」

 

相澤「俺はお前の担任でお前は生徒。本来は守らなくちゃならない存在だ…だから今度は俺の番だ」

 

相澤の言葉に安心感を覚えたのか擬魅は話を始めた。そしてそれは約2年半………擬魅が中学1年生のときまで時間は遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2XXX年7月。日に日に暑さが増すこの季節。期末テストが終わり両親と外食に出かけていた擬魅。その帰り道、美味だった食事の感想を車の中で話していると衝撃が襲う。突然だった。車は宙を舞いながら地面に叩きつけられる。

 

追いつかない思考と霞む視界。思い通りに動かない体を動かしながら車の外へ出ようとする。割れた窓から何とか上半身を出して外を確認する。そこには自身が乗っていた車と同じような事になっている光景が広がっていた。

 

擬魅「一体……なにが……?」

 

炎上する車。散乱する車の破片や部品。自身と同じように倒れている者たち。爆発でも起きたのかと思っていると下品な笑い声が聞こえる。

 

「ヒャハハハハハハッ!!俺は最強だーっ!!かかって来いヒーローどもぉぉっ!!!」

 

擬魅「なん…だ…アイツ…」

 

刃物系の個性を発動させ振り回す男。悲鳴を上げながら逃げる市民。まともな思考が出来ない現状でも分かった。あの男が原因だと…周りをよく見ると大型トラックが1台転がっていた。

 

擬魅「あれか…クソが……っ!母さん!?父さん!?」

 

痛む体を無理やり起こし両親の安否を確認する。声を掛けるが返事は小さい。安全な場所に移動させようと、個性を使って歪んだドアを取ろうとする。すると…

 

「なんだぁお前ぇ…?何してんだぁァア゛~~っ!?」

 

擬魅「クソっ…!」

 

刃物を振り回していた男が擬魅に気づき向かってきた。擬魅は個性を使ってどうにかしようとするが、状況が状況だけに行動が遅れる。もうダメかと思ったその時、炎を纏った者が現れ刃物男を殴り飛ばした。

 

エンデヴァー「大丈夫か?」

 

擬魅「エ…エンデ…ヴァー…?」

 

エンデヴァー「すぐに俺のSK(サイドキック)が…」

 

バーニン「エンデヴァー!」

 

エンデヴァー「来たか…バーニン!ここは任せるぞ!俺はあの(ザコ)を仕留める!」

 

バーニン「了解です!君、大丈夫!?私の言ってること分かる!?」

 

擬魅「…母と父…両親……を…」

 

バーニン「ちょっ!?君しっかりして!オニマー!キドウ!」

 

ヒーロー来たことで緊張の糸が切れ意識を失う擬魅。彼が次に目を覚ましたのは病院の病室だった。

 

擬魅「っ………?」

 

看護師「あっ!先生、目を覚ましました!」

 

医師「脈拍…呼吸…その他も異常はないね。良かった意識が戻って…!」

 

擬魅「ここは…?」

 

医師「ここは病院だよ。君は敵が起こした事故に遭ってここに運び込まれたんだ」

 

擬魅「………母さんと…父さんは…?」

 

医師「…大丈夫。君のご両親も別の治療室に…」

 

いつもなら気にも留めないがこのときの擬魅は虫の知らせ、野生の勘、第六感、など言い方は様々だが医師の言葉に違和感を抱いた。そして気づけば擬魅はベッドから起き上がり動いていた。

 

医師「ちょっ…君!動いちゃいけないって!!」

 

タッタッタッタッタッ…!

 

擬魅「ハッ…ハァッ…ハッ!(病院…治療室……集中治療室は…………あっちか!)」

 

ギロギロの能力を発動させ両親のいる場所に向かう擬魅。看護師たちが止めようとするが相手は患者…下手に止めようとして新たに怪我をさせてしまうのではないかと思い止められずにいた。そこに事故に遭った者たちの様子を見に来たエンデヴァーのサイドキック達が擬魅の前にたまたま現れた。

 

看護師「あ、丁度良かった!ヒーローさん!その子止めてー!」

 

オニマー「へっ…!?」

 

キドウ「あの子は確か…」

 

バーニン「ちょっ君!なんで動いてるの!?止まりなs…!」

 

バーニンが止めようと前に出るが、擬魅はモクモクの能力を発動させて3人の間を通り抜ける。

 

オニマー「嘘ぉっ!?」

 

キドウ「マジかよ!?」

 

バーニン「呆気に取られてないで追うよ!」

 

だが追いかけることはすぐに終わる。擬魅が集中治療室前に着いたからだ。息を切らしながら治療室に入り両親の姿を探す。そして母の姿を見つけるとすぐさま駆け寄る。

 

擬魅「母さん!母さん大丈夫!?」

 

医者「ちょっと君!勝手に入っちゃ…!」

 

看護師「擬魅さん!お気持ちは分かりますがアナタまだ動いちゃダメだから!」

 

擬魅母「っ………白…郎?」

 

擬魅「母さん…!良かった!体は大丈夫!?あ、俺は見ての通り元気満々だから心配ないよ!」

 

擬魅母「よかった…白郎が無事で…」

 

母の手を握り涙を浮かべながら擬魅は少し安堵する。だが父の姿が見えないことに疑問を持ちふと母に尋ねた。

 

擬魅「母さん…父さんはどこにいるの?あ、もしかして軽傷だったから別の病室に…」

 

擬魅母「白郎…」

 

擬魅「ん?」

 

擬魅母「父さんは……お前をずっと見守ってるって…」

 

擬魅「……………………え?」

 

思考停止…そして加速。だが処理しきれない感情と情報が涙と不安定な笑顔を作る。

 

医師「っ………」

 

擬魅「は……ハハハ…何言ってんだよ母さん…そんなわけ……」

 

擬魅母「白郎…あなたのその力は多くの人々の為に役立てなさい…頑張って…あなたなら…」

 

擬魅の母はそう言うと容態が急変した。集中治療室の外に待機していたオニマーとキドウが、処置の邪魔になると判断し擬魅を廊下へ連れ出した。廊下の長椅子に座り母の回復を祈る。だが…医師と看護師の懸命な処置も虚しく擬魅の母は帰らぬ人となった。

 

エンゼルケアを行うため別室へと搬送される母の姿を見送ることしか出来ない擬魅。彼はそのままふらふらと歩きだし病院の屋上へ出る。バーニンたちや看護師たちが止めようとしたが出来なかった。屋上に出ると外は雨が降っていたが気にはしなかった…いや気にならなかった…

 

そのまま屋上の床に膝をついて座り天を仰ぐ。そして心の奥底からグチャグチャの感情が溢れた。

 

擬魅「ァ゛あ゛ァ゛………ァ゛ア゛あ゛あ゛ア゛ア゛ァ゛ぁ゛ア゛ア゛あ゛ア゛ア゛ッッッ………!!!

 

天を仰ぐ顔を両手で覆いもはや言葉では形容しがたい声を出し慟哭した。擬魅の後を追ってきたバーニンはどうすることも出来なかった。彼女に出来ることはタイミングを見計らい、擬魅を病室へ戻させることぐらいだった。そこに1人の男が息を切らしながら階段を上って来た。

 

擬魅祖父「白郎ーーっ!我が孫よーーー!!どこじゃー!?」

 

バーニン「うえっ!?だ、誰すか!?」

 

擬魅祖父「むっ!?その姿はヒーローか?わしは白郎の祖父!つまりじいちゃんじゃ!!お前さん白郎を知らんか!?階段を昇って行ったと聞いだんじゃが…?」

 

バーニン「彼ならあそこに…」

 

バーニンは顔を擬魅の方へ向ける。擬魅の祖父は階段を上り切りバーニンが向いている先を見る。

 

擬魅祖父「白郎…!?白郎ーーーーーっ!!!」

 

タッタッタッッタッタッタッ!

 

擬魅「………じい…ちゃん…?」

 

擬魅祖父「大丈夫か白郎!?こんなところで何をやっとるんじゃ!風邪をひいてしまうぞ!」

 

擬魅「……俺の…せ……

 

擬魅祖父「ん?なんじゃって…?」

 

擬魅「俺のせいで…!母さんと…父さんが…!」

 

擬魅祖父「…っ!な、なにを言うとるんじゃ白郎!?お前のせいなんかじゃない!悪いのは…!」

 

擬魅「俺があのとき…!個性を上手く使えていれば…!!」

 

擬魅は自身の肩を掴んでいた祖父を突き放し個性を発動する。その能力はジキジキの能力。屋上にある金属製の物は磁気の力によって歪み壊れていく。

 

ギギ…! キイィィィ…! バキン! バゴン!

 

擬魅「ア゛あ゛ア゛ァ゛ぁ゛ア゛ア゛あ゛ア゛ッッッ………!!!

 

擬魅祖父「や、やめるんじゃ白郎!!そんなことをしては…!」

 

バーニン「なっ…!?(もしかして複数の個性持ち!?)」

 

擬魅「ア゛ア゛ア゛ぁ゛ア゛…………あ゛…

 

暴れていた擬魅の動きが突然止まった。そして操り人形の糸が緩くなると態勢を崩すように、擬魅も同じようにその場に膝を着くように崩れ意識を失った。しかし目は白目をむき口からは唾液が垂れかかる。

 

擬魅祖父「マズいっ!(まさか精神が…!?このままでは命が…!)」

 

擬魅は祖父に担ぎ上げられ医者のもとへ急いで運び込まれた。医師の処置のおかげで容態は安定し、擬魅が目を覚ましたのは3日後であった。その後、事故の傷は癒えたため退院。一応心身は安定を保ってはいるがとりあえずといった状態だった。精神が回復する前にまた多大な負荷をかけるようなことが起きれば、どうなるかは分からないと医師から告げられた。

 

因みにバーニンは一度お見舞いに来たが、擬魅がまだ眠っていたため祖父に一言挨拶をし、彼のことを気にしつつ仕事に戻っていった。

 

その後、葬式やその他諸々の手続きを済ませたあと、祖父母は一緒に暮らそうと提案したが擬魅はこれを断った。理由としては早く立ち直って安心させ、祖父たちに迷惑をこれ以上掛けまいと思ったからだ。なら中学生にして1人暮らしなのかと思えばそうではない。親権は父親の弟の伯父が持つことになり、普通なら伯父と暮らすことになるのだが…

 

「野郎と一緒に生活はしたくねえから白郎!お前1人暮らししろ!今後の為にもなる!ああ、安心しろ!金とかその他いろいろはちゃんとするから!」

 

なぜ伯父がこのようなことを言ったかと言うと理由は2つあった。1つは仕事。伯父の仕事はほとんど家を空けるため、一緒に住んだとしても実質1人暮らしになる。2つ目は擬魅に顔をあまり見せないようにするためだ。伯父と擬魅父は兄弟なのだが顔が双子並みに似ていた。伯父は自身の顔を見るたびに父親を思い出し、それが心身に負担をかけるのではないかと思ったのである。以上が伯父の真意なのだが擬魅がこの真意を聞くのは少し先のことになる。

 

伯父の言葉に呆気に取られるのだが、この時の擬魅としてはそちらの方が良かった。今は誰かといるより1人でいる方が気が楽だからだ。だがこのとき擬魅は思ってもいなかった。まさか自分の体にあのようなことが起きようとは…

 

通学を再開した擬魅。クラスメイトから色々と心配されるが、擬魅は心配させないように振舞った。だがクラスメイトもバカじゃない。擬魅がその様にしていることなど薄々気づいていたがそれを言うのも野暮である。なのでクラスメイト達は一定の気を使いつついつも通りに接した。擬魅も逆にクラスメイト達が気を使ってくれていることに気づいていたがありがたかった。こうして擬魅は少しづつ心身が回復していくかと思われたが、それをぶち壊す者たちが現れた。

 

事故から1週間がたったある日。下校時間になり校門を出ると数人の人影が擬魅に駆け寄って来た。

 

読読(よみよみ)新聞の者です!(ヴィラン)が起こした事故から一週間経ちましたが今のお気持は!?」

 

擬魅「うえっ!?」

 

「ネット情勢ニュースの者です!ご両親を亡くされたそうですが敵に対して何か言いたいことは!?」

 

「NHAです!事故現場でヒーローの不備などはなかったですか!?」

 

擬魅に駆け寄って来た人影がマスコミだった。世の中の出来事をニュースとして伝える存在だが、非常識な取材行為も多くネットではマスゴミと言われ叩かれている。そんな存在が新たな獲物(ネタ)として擬魅に狙いを定めた。

 

擬魅「ちょ…やめてください…!」

 

「一言!一言でいいから!」

 

「ちょっと!私たちが先よ!ヒーローに何か言いたいことはありますか!?」

 

相手への配慮など知ったことかと思わせる態度と好奇心の目。目の前にいるのは人の皮を被った何かではないかと思い擬魅は恐怖を感じた。擬魅は彼らを押しのけてその場から全速力で逃げた。マスコミは擬魅を追いかけようとしたが、生徒によって教師がその場に呼ばれたため一目散に逃げたのであった。

 

自宅であるマンションに着いた擬魅は、ドアを開けて入るとバタンを閉めて鍵をかけた。息を切らしながらその場に座り込む。

 

擬魅「ハァ…ハァ…気持ちわりぃ……」

 

この日から擬魅に対するマスコミの過激な取材行為は6日ほど続いた。そして1週間を迎える7日目…擬魅の身に変化が起きた。いや…起きてしまった。7日目の早朝。学校へ登校しようと自宅のマンションを出たとき、マンションの出入り口周辺で出待ちをしていたマスコミの記者が現れた。

 

そして記者が声を掛けた瞬間…決壊した。表面張力で張っていた水がこぼれたのではなく、堰き止めきれずに水が溢れ出てしまった。擬魅はその場に倒れそれに驚いた記者は光の速さでその場から逃げた。その後、擬魅はマンションの住人が救急通報し病院に運ばれた。病院から連絡を受けた伯父と祖父母は即座に駆けつけた。

 

祖父「我が孫よー!孫はどこじゃー!?」

 

伯父「オヤジ。ここ病院だから静かにな?」

 

祖母「真似の言う通りだよ。まったく……まぁ、声が大きくなる気持ちは分からなくもないけどね…」

 

医師「擬魅白郎くんのご家族の方ですね?こちらへどうぞ…」

 

3人は医師の案内のもと擬魅がいる病室に足を運ぶ。病室に着くとそこには虚ろな目で外を眺める擬魅がベッドに座っていた。

 

伯父「白郎…!」

 

祖母「白郎ちゃん!」

 

伯父と祖母が擬魅に駆け寄り、祖父は擬魅に何があったのか聞き出した。

 

医師「目立った外傷は倒れたときについたであろう額の擦り傷ぐらいです。CTスキャンもしましたが異常は見られませんでした。恐らく擬魅くんが倒れた原因は精神的なものかと…」

 

祖父「精神的なもの…じゃと?」

 

祖父は思い当たる節がいくつも思い浮かんだ。祖父は医師に礼を言うと擬魅のもとに行った。

 

祖父「白郎…大丈夫か?」

 

擬魅「……おう」

 

祖父「…?(なんじゃ?いま何か…?いや、今は…)何があったんじゃ?」

 

擬魅「…なんでもねぇ。ただちょっとふらついちまっただけだ…」

 

祖母「ふらついただけなんて…そんなわけないでしょう…!?」

 

伯父「マスコミか…?」

 

擬魅「…まあ…それもあるかな」

 

この言葉に3人は全てを察した。ほぼ家を空けている伯父もマスコミのことは気にはしていたが、まさかここまでするとは思ってもいなかった。

 

祖父「なるほど。事の問題は分かった……」

 

伯父「マスコミの方は俺が対処する。親父たちは白郎の…」

 

祖父「その前に確認したい……白郎…お主、白郎か…?」

 

祖母「………あ、あなた何を言ってるのよ!?この子が白郎ちゃんじゃなければなんだと言うのよ!?」

 

祖父「すまん。言葉が足りなかったな。儂は別に白郎が偽者と言うとるんじゃないじゃ。じゃが何か違和感を感じてのぅ…こう…いつもの白郎と……」

 

伯父「おいおい親父。もしかして白郎が漫画やアニメであるようなもう1つの人格が生まれたとでも…」

 

擬魅「…よくわかったな」

 

「「「………えぇーーーーーーーっ!!?」」」

 

あっさりというか軽いというか…左から右に流れるように認めた擬魅。そしてそれに驚く3人の声が病院中に響き渡るのであった。病院関係者に謝罪をしたあと家族による取り調べが始まった。

 

祖父「まず確認なんじゃが…お前は白郎でいいんじゃな?」

 

擬魅「ああ。あれこれ聞かれるの面倒だから初めに言っておくが俺はいわゆる二重人格という奴だ。俺は裏で表の俺はいま心の中で寝てる」

 

伯父「ホントにあるんだな…」

 

祖母「心の中で寝てるって…それはいつかは起きるの?」

 

擬魅「ああ、これはいわゆる防衛本能ってやつだ。精神が壊れないように体が起こした行動。始まりがあれば終わりもある」

 

祖父「なるほどのう…なら儂たちがすることは限られるのぉ」

 

伯父「と言ってもやることは1つだ。親父たちも白郎もゆっくりしててくれ」

 

その後の伯父の行動は早かった。自身が持つコネクションをフルに使い擬魅に付きまとうマスコミ関係者を排除していった。ある者は左遷…ある者は業界からの追放などなど…

 

それから約半年の時間をかけて擬魅は心身を回復させていき、中学2年になる頃には親の死を受け入れ乗り越えた擬魅の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

擬魅「っとまあ…こんな感じですかね?」

 

塚内「…なるほど」

 

相・オ「「…………」」

 

擬魅の中学時代の話を聞いた相澤とオールマイトの顔は重かった。まさか自身の教え子にここまで重い過去があったなんて誰が想像できようか。

 

相澤「よく話してくれたな。擬魅」

 

マイト(オール)「ありがとう擬魅少年。塚内くん、擬魅少年についてだが…」

 

塚内「ああ、こちらでうまく処理しておくよ。国内外で似たような事例は過去にもあったはずだから大丈夫さ」

 

マイト(オール)「すまないね」

 

擬魅「えっと……自分はお咎めなしってことですか?」

 

相澤「そういうことだ。だが事が事だ。強引かもしれないが正当防衛で通すことも出来る…」

 

擬魅「だいぶ強引すね…それ」

 

マイト(オール)「大人はこういうことが出来るのさ…!まぁあまり見習ってはいけないけどね!ハッーハッハッハッ!」

 

塚内「オールマイト、ここ病院」

 

マイト(オール)「あ、ごめん…」

 

相澤「まったく…それじゃ擬魅、また明日学校でな。もし遅れたりするようなら連絡してくれ」

 

擬魅「了解です!」

 

マイト(オール)「お大事に!擬魅少年!」

 

塚内「お大事に」

 

3人はそう言いながら病室を後にした。3人が廊下に出る前、擬魅の病室のドア近くから立ち去る1つの人影があった。その人影は耳たぶがイヤホンジャックという個性の少女…そう耳郎である。彼女は擬魅のお見舞いに来ており、病室に入ろうとしたらオールマイトたちの存在に気づいたのである。一旦出直そうかと思ったが彼女の個性柄、室内の会話が聞こえてしまったのである。そしてそのまま盗み聞きしてしまい今に至る。

 

耳郎「(擬魅(あいつ)にあんな過去があったなんて………もしかしてあのとき(・・・・)…)」

 

耳郎は擬魅と障子でマスコミの波を突破した時のことを思い出した。学校の敷地内に入ったあと擬魅は何かに怯えるような仕草をするも、すぐに元に戻り何事もなかったかのように振舞った。

 

耳郎「(ウチ…擬魅のことなにも知らないな…)」

 

耳郎はそう思いながら自宅に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

――翌日――

 

――A組教室――

 

相澤「体育祭が迫っている」

 

「「「「「クソ学校っぽいのキタあああっ…!!!」」」」」

 

上鳴「待て待て!」

 

耳郎「(ヴィラン)に侵入されたばっかなのに開催なんてして大丈夫なんですか!?」

 

尾白「また襲撃なんてされたら…」

 

相澤「逆に開催することで有英の危機管理体制が盤石だと示すって考えらしい…警備は例年の五倍に強化。ないより雄英の体育祭は…最大のチャンス…!敵ごときで中止にしていい催しじゃねぇ」

 

ガラッ!

 

擬魅「その通っーーーり!!」

 

大きな声を出しながら擬魅が教室のドアを開けて入って来た。

 

切島「うおっ擬魅じゃねぇか!?お前もう大丈夫なのか!?」

 

擬魅「もちこーす!」サムズアップ

 

「「「「「復帰早ぇーーーっ!!」」」」」

 

蛙吹「けろっ…元気になって良かったわ」

 

芦戸「ホントだよー!超心配したんだからー!」

 

擬魅「ごめん&ありがとう!あと相澤先生すいません。ちょっと遅れました!」

 

相澤「問題ない。事前に連絡は貰っていたからな。それより早よ席に座れ。説明はまだ終わってない」

 

擬魅「ラジャっす」

 

昼休み。相澤の体育祭についての説明を聞いたA組生徒は盛り上がていた。雄英体育祭は言わばヒーロー科が主役の場。この体育祭でプロヒーローに活躍を見せる事ができれば、その後の選択肢が広がるため皆意気込む。

 

そして放課後。行動が早い者はさっそく訓練施設を借り、個性の特訓をしようとしたが教室を出ようとしたら廊下は他クラスの生徒で溢れていた。

 

 

 

 

 




この調子で書き続けたい(゜-゜)
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