上条VSダークプリキュア(ドリーム)です。
あの人もでてきます。
「はぁ〜、やっと終わった〜!」
上条たちはなんとか補習を終わらし、校門の前にいる。
「ワイはやっぱ小萌先生やないと、やる気でぇへんわ〜。」
「あら、私たちじゃ不満ってわけ?」愚痴る青髪ピアスを睨みながら、吹寄が言う。
「いや、吹寄さん?決してそういう訳では…断じて!」慌てて弁解しようとする青髪ピアスを、俺と土御門は笑って見ていた。
「全く…。」
「まぁ、いつもの事ぜよ…。」
「そんなことより。そろそろ帰ったほうが。上条くん、タイムセール、そろそろ始まる。」
上条はただでさえ貧乏学生であるにもかかわらず、今は居候が沢山いるので、タイムセールを逃すのは死活問題だ。
「あっ!そうだった、 ありがとう姫神! じゃ、みんな、またな!」
俺は急いで近所のスーパーに走った。
「ふう…、ここまで来れば間に合うか。」
上条はスーパーまであと少しの所で歩をゆるめた。
が、ある異変に気づく。
(あれ…?人がヤケに少ないな…? ………!この感じ、まさか……人払か!?)
人払い。魔術師が隠密に行動するために使う魔術で、それを使うと、一定の範囲の人が無意識にどこかへ行ってしまうというものだ。
上条は直感的に思う。これは魔術師の使うものではない。おそらくあのベルゼイとか言うやつのものだと。
(ちっ! 昨日は美墨たちがいたから勝てたが……でも、やるしかない!)
上条はとりあえず、周囲を探索することにした。
その時、悲鳴が聞こえた。
「きゃーーーー!!だれかっー!」
(人が居たのか!?行かないと!)
おれは悲鳴が聞こえた方へ走る。
「きゃーーーー!だれかっ!」
佐天涙子は必死に叫ぶ。
涙子は母からもらった大事なお守りを落としてしまい、それを必死になって探していたので、人払いが効かなかったのだ。
「悪いけど、助けはこないわ。貴方には犠牲になってもらう。……死になさい!」
涙子の目の前に立つ人物が禍々しい色の剣を作り出し、彼女に振り下ろす。
(お母さん…私…)
(あれだ!)
上条は声を頼りに少し走り回り、黒い衣装を身に纏った見るからに怪しい人物を見つける。
俺に背中を見せ、誰かに剣を振り上げている。
(ん?あの背中?魔法陣か?そんなことより、……間に合え!)
俺はその背中に浮き出している魔法陣に疑問を抱きながら、襲われそうになっている少女と黒い衣装の女のあいだに割り込んだ。
(もう…だめだ。)
涙子は諦めて目を瞑る。
(………あれ?)
涙子は不思議に思う。恐る恐る瞼を開くと、少年が、黒い衣装の女が自分に振り下ろそうとしていた剣を、右手で受け止めていた。
「上条…さん!?」
その後ろ姿を見て、彼女は大覇星祭での出来事をおもいだす。借り物競争のことや、御坂とのフォークダンスのこと…。
「佐天…さん!?」
俺は驚いた。どこかで聞き覚えがある声だと思ったら、襲われていたのは御坂美琴や白井黒子の友人、佐天涙子だった。
「貴様は…!上条当麻か!?のこのこ現れるとはいい度胸ね!」
黒い衣装の女はもう一度剣を作り出し、真横に振る。
おれはそれを右手で打ち消し、左手で佐天さんを引き起こした。
「佐天さん!とりあえず走るぞ!」
おれは返事も聞かず、佐天さんの手を取り走る。
「…逃げても無駄よ。まぁ、好きなだけ足掻くと良いわ。」
幸い、倒せると思っているのか、ゆっくりと追ってくる。
(とりあえず、身を隠せる所に…)
上条は、近くの路地に滑り込む。
「はぁ…はぁ…。とりあえず、しばらくは大丈夫か…。」
「ありがとう…ございます…!上条さん!死ぬかと思いました。……そんなことより、上条さん。あなた、レベル0じゃなかったんですか?」佐天は上条に尋ねる。御坂から無能力者と聞いていたのだが、あの右手は明らかに能力者のそれだった。
「あぁ、…一応レベル0ではあるんだけど……。いや、今はそんなことは後だ!佐天さん。君はこの場から離れたほうがいい!詳しい話はあとでするから!」
「でもっ!上条さんは?」
「俺は大丈夫だ。……そうだな…。とりあえず、白井たちの所へ行くんだ。俺もすぐに行く!」
俺は佐天さんを安心させるためにそう言った。
「わかり……ました。上条さん、必ず……後で。」
佐天はよく分からなかったが、鬼気迫る表情で言う上条に気押され、反射的にそう言う。
「さぁ、早く!」
俺はそう言い、佐天さんが遠ざかるのを見届けてから、
(行ったか…。さて、これからどうするか…。とりあえず、武器になりそうなもの…は…。)
上条はとりあえず鞄の中をまさぐる。
(使えそうなものは…。シャンプーの試供品、鉛筆、ティッシュくらい…か?)
俺はとりあえず、鞄から使えそうなものを取り出す。
(背中に触れられれば…なんとかなるはずだ…。でもこれじゃあな…………。いや、待て。シャンプー……?これだっ!行けるかもしれない!)
上条はある名案を思いつく。
(でもこの方法を実行するには……。あいつに接近しなければならないか…。よしっ!)
俺は路地から飛び出した。
100メートルくらいに先に、奴はいた。俺に気づき、声を張り上げる。
「ほう…自らを犠牲にし、あの女を逃したか……。なぜ貴方はそこまでするのかしら? 自分の命がおしくないの?」
奴はいいように解釈したらしい。ばれないように話をあわせるか。
「あぁ、そうだ! でも俺は…こんなところでは死なない!負けるわけには行かないっ!」
そう言って上条は、相手に向かって走る。
「無能力者が…近づけばどうにかなると思っているの?それとも気でも狂ったかしら? まぁいいわ。せめて苦しまないように殺してあげる。」そう言って、彼女も剣を地面と水平に構え、地面を蹴り、上条に向かって跳ぶ。
(10メートル…7…3…ここだ!)
上条は相手の目の前に、左手に隠し持っていたシャンプーの試供品を投げる。
「こんなもの、目くらましにもならないわ。」
そう言うと、構えていた剣でそれを突き刺す。すると、中身のシャンプーが飛び出し、相手の目に飛び散る。
「くっ!これは!……目が……見えない!?だがこんなもの!」そう言って、あてずっぽうに剣を振るが上条の右手に打ち消される。
(後は背後を……。取った!)
上条は素早く後ろにまわる。
「これで…終わりだ!」
上条の右手が、相手の背中の魔法陣に触れる。
「うっ………。ゔぁぁぁーーー!」と断末魔の叫びを上げ、倒れる。
「ふう…なんとかなった…か。あとは警備員と風紀委員に任せて、とっとと白井の所に行くとするか。」
相手に背を向け上条が歩きだそうとすると、背後で声がした。
「上条…当麻…と、言ったか…。私を止めてくれて…ありがとう…。」
「!?……どういう事だ?」
俺は倒れている女性に尋ねる。操られでもしていたのかも知れない。
「私は…かつて…プリキュアの敵だった。でも…私と…戦った…あなたが…今一緒に居るのとは別の…プリキュアに〝愛〟と言うものを…教えてもらったの。だから…彼女を守るために、裏切り者になって、自ら盾になって死んだの。死んだはずだった…。でも…気が付いたら…彼の言われるがまま…になっていた…。後は…わかるでしょう?」
大方ベルゼイに命令され佐天さんを襲い、俺を(いや、一方通行や御坂でもよかったのかも知れないが)あぶり出し…今に至るってわけだろう。
「だから…もう一度…私を救ってくれて…ありがとう。」
「……いや、違うだろう。お前を救ったのは俺じゃない。お前自身だろ?」
俺は言う。当然だ。だって…。
相手は尋ねる。
「どういう…意味…?」
「考えてもみろよ。俺は右手以外は生身だ。一方通行や御坂、美墨たちのように、身体全体を狙われて、守ることは出来ない。だがアンタはそうはしなかった。そう出来る力があるはずなのに、わざわざ剣を使って来た。佐天さんの時も同じだ。喋ってないでとっとと剣を振り下ろしていたら、俺は間に合わなかった…。きっと心のどこかに残っていたんだよ。戦ったプリキュアにもらった〝愛〟ってのがな。」
「ふふっ………。やっぱり貴方、変わってるわね…。でも…ありがとう…。もっと早くに貴方に出会っていたら…。あるいは…。」
彼女は微笑んで言った。最後の方は、上条には届かなかったが。
上条は彼女を見ながら、口を開こうとしたが、彼女の異変に気づく。
「おい!身体が…透けてるぞ!」
俺は驚いて言う。彼女の身体が少しずつ透けてきている。
「ああ…。私は一度この世から消えている…。それを無理やり現実世界に留めていたの…。彼の力で…。だから貴方に負けた時、こうなるのは…分かっていたわ。」
哀しげな微笑を浮かべ、彼女は言う。
「…!そんな事って……。クソっ!どうにかならないのか!?」俺は彼女を抱き起こして言う。
「残念だけど…。…私ももう少し、貴方とお話したかったわ…。でも、もう良いの……。」
彼女は首を横に振りながら言うと俺の左手を握り、何かを手渡す。
「これは…私の〝思い〟のカケラよ…。必ず、貴方達の力になるはずよ……。じゃあ…、本当に、ありがとう。」
「待ってくれ!俺はまだ、アンタの名前を聞いてない!」
「そう…だったか…。私は…ダークドリーム。」
「そうか…。……ドリーム、後は任せてくれ。」
「ああ、宜しくね…。」
そう言うと、ドリームは跡形もなく消えてしまった。
(消えた…か。それにしても、戦いたくない奴を無理やり戦わすなんて…なんてやつだ、ベルゼイ…。…………俺もそろそろ、白井たちの風紀委員支部へ行かないとな。いつまでも感傷に浸っている場合じゃないしな。確か…177支部だったか?)
俺は携帯で場所を調べ、177支部へと向かうことにした。
とりあえず今は、俺のすべきことをしなければ。
少し短めですがこのくらいで。
次は上条尋問編です。