世界をさまよう少年~リリカルなのは編~   作:十文字@クロス

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第八話『魔法少女の誕生』

 

 

店員「アランドロンフザイデシタ~。ムラオコシクルスタン・ハセン~」

 

佑介「ここにもなかった…」

 

何故か今日に限って飲みたい飲み物が売り切れ。他のみんなに頼まれているのは普通に見つかったのに俺が飲みたいのがいつもの商品の棚にはなかった。普段なら有り余っているはずなのになぁ…

 

既に2件目のコンビニを出て次のコンビニを探している。別に他のでもいいとは思うのだが…なんだろうね、一度欲しいと思った物は諦めたくない、出来る限りのことはしたい時ってあるよね?俺だけじゃないよね??そのために俺の欲しいものを探すために荷物になると思ってみんなに頼まれた物を一先ず買わず、コンビニを探しているわけだ。だって買う時は一遍に買いたいんだもの…

 

佑介「諦めなければきっと三度目の正直があるはず!」

 

一瞬、脳裏に二度あることは三度あるという言葉が浮かんだが、気にしない方向で頼む。つか、誰に言い訳をしているかとツッコミが来そうだ。

 

佑介「ま、次で最後にするかぁ」

 

次のコンビニで目当ての物があろうがなかろうがそこで終わりにするか。さっさとみんなの分を買わないと、あまり時間を掛けすぎても皆に心配されるだろうしn―――

 

『聞こえますか、僕の声が―――』

 

佑介「あ?」

 

3件目のコンビニに向けて歩いているところに聞き覚えのある声が頭に響いた。

 

『お願い、僕の所へ!時間が、危険が、もう―――』

 

んなこと言われても場所とか言わないとわからないだろ。可能性があるとしたらあの魔力を持ったフェレットか?と、思っていたらポケットに入っていた恭兄さんから借りたケータイが鳴り出した。

 

恭也『佑介、なのはは近くにいるか?』

 

佑介「なのは?いや、一緒じゃないけど?」

 

ケータイを取り出して電話に出ると、開口一番に恭兄さんが少し早い口調で聞いてきた。

 

佑介「…何かあったの?」

 

恭也『いや、なのはが急に家から飛び出してな。今は美由希と探している所だ。済まないが佑介も見つけたら連れ帰ってくれないか?』

 

今現在も走っているのかケータイから恭兄さんの声と風の音も聞こえる。

 

佑介「……わかった。一つ心当たりがあるから今から行ってみるよ。大丈夫、必ず見つけるから、恭兄さん達は先に帰ってて」

 

恭也『……わかった。…なのはを頼む』

 

まっかせて、と言って電話を切り、ケータイをポケットに入れる。

 

佑介「さてと、信頼してくれた恭兄さんの為にも、早く見つけないとな」

 

なのはが急に飛び出した理由としては、先程の念話が原因だろう。タイミング的にもほぼ間違い。

 

佑介「(……)」

 

目を瞑り、能力でなのはの現在位置を探る。

 

佑介「(見つけた…お、あのフェレットも一緒か)」

 

俺がコンビニへと向かった方向とは逆の方向にいるなのはを無事に見つけることができたが……移動速度が早い。これは歩いているような速度じゃない。走っている、のか?

 

佑介「(何かから逃げるように走って―――ッ、こいつは!)」

 

なのはの後ろから追いかけるように飛び跳ねている、人とは思えない動きをする謎の物体の存在を感じ取った。こいつはあの時、あの林で調べた魔力と似ている…間違いない、やっぱり生きていたか。

 

佑介「(このままだとなのはが危ない……『アレ』を使うしかないか)」

 

普通に走っていたんじゃ間に合わない。が、俺にはそれを間に合わせることができる方法がある。

 

佑介「(この世界に来て初めて使うなぁ…)」

 

俺は能力で周りから認識されぬよう存在を消してから仕舞っていた刀を取り出して抜刀し、心の中で『宣言』をする。

 

変剣『エクゼドライブ』

 

刀の色と形が変わり、蒼い剣へと変わる。そして地面を蹴るように走り出し、一瞬にして『音速』の領域に入ってなのはの所へと駆け抜ける。

 

 

 

 

 

佑介「(見つけたッ!)」

 

走り出してから数分も経たず、なのはを視界に入れることができたが、まだ少し距離が遠い。

 

なのは「―――この手に魔法を!レイジングハート、セット・アップ!」

 

一方なのははというと、赤い宝石を握りながら手を天に向けて突き出していた。

 

何か呪文みたいなことを口にしたと思ったら、そこから制服に似たような服へ身を包み、なのはの手には魔法使いが使いそうな杖をやや機械的にしたような物を握っていた。

 

なのは「うそ!?なんなのこれ」

 

突如姿が変わってしまったせいか、状況が飲み込めずにあわあわと慌て出す。そこにチャンスだと言わんばかりに謎の黒い物体がなのはへと飛び掛かる。

 

佑介「させるかッ!!」

 

 

 

 

 

なのはside

 

なのは「へ?」

 

一瞬の出来事でした。

 

フェレットさんの言う通りに言葉を復唱したら、突然服が変わってしまい、驚いているところを怪物が飛び掛ってきたと思ったら綺麗に横半分に切られていました。

 

なのは「え、え?」

 

私の口から再び呆けた声が漏れる。何が起こったのか今一つ理解していないからである。

 

今この場にいるのは私とフェレットさんだけのはず…フェレットさんがやったのかと思ったけど、私と同じ何が起こったのかわかっていない様子でした。それじゃ、誰が…?

 

??「大丈夫か、なのは!」

 

私を心配するような声と共に目の前に現れたのは、私がよく知っている人。

 

なのは「ゆ、佑…介…くん?」

 

恐る恐るといった風な感じに私とお化けの間に立っている少年の名を呼ぶ。

 

佑介「無事みたいだし、なんとか間に合ったな」

 

佑介君は顔だけ振り向き、ニッ、と優しく柔らかな笑を向けてくれた。その笑のお陰で先程まで状況が掴めずに不安だった私をひどく安心させてくれる。

 

佑介「さて、やっぱ簡単には終わってくれないよなぁ」

 

私の安否を確認した後、佑介君は視線を怪物の方へと向け、持っている蒼い剣を構えた。

 

私も佑介君が見ている先を見ると佑介君に切られた怪物がまるで逆再生でもしているかのように、切られた箇所が修復していた。

 

佑介「まーこちとら大事な家族が襲われそうだったし、簡単に終わっても困るけどな」

 

顔は怪物の方向へと向いていたため見えなかったが、言葉の後半には怒気が感じられました。そんな佑介君を見て少し怖いと感じたが、もしかして私のために怒ってくれていたら嬉しいなと思ってしまう私がいた。

 

思念体「―――――――!」

 

傷が完全に再生し終えたお化けが聞いたこともない声を出しながら佑介君に向かって今にも飛びかかる。が―――

 

佑介「おせーよ」

 

目の前にいたはずの佑介君が一瞬消え、気がついたらお化けの後ろに剣を振り下ろした状態で立っていました。

 

思念体「―――!―――!」

 

急に悲鳴みたいに苦しみの声を上げたと思ったら、怪物の体には数箇所が切り裂かれていた。

 

フェレット「す、すごい…!」

 

私の近くにいたフェレットさんも驚きの声を漏らす。正直に私も驚いた。一瞬過ぎて目では全く捉えられなかったのだから。

 

思念体「―――!」

 

しかし、怪物は切り裂かれている箇所を再生しつつ、佑介君に向かって触手を使って反撃し始めた。

 

佑介「再生するんじゃ、切りがねえな」

 

貫こうと真っ直ぐに伸ばしてくるが、佑介君は楽々と躱して襲ってきた触手を切り落としていく。

 

フェレット「そ、そうだ!あの人が引きつけている今のうちに封印を!」

 

私たちが佑介君が戦っていることを見ている中、フェレットさんが思い出したかのように言った。

 

なのは「で、でも、一体どうすれば…?」

 

フェレット「心を澄ませて、心の中に浮かぶはずです」

 

言われた通りに目を閉じて心を澄ましてみる。そうしていると頭の中でどうすればいいのかが浮かんできた。

 

なのは「佑介君ッ!」

 

佑介「了解!」

 

私の掛け声に2、3回切りつけたあと、佑介君が後ろへと大きく下がる。まるで私が何かするのを分かっているかのように。

 

なのは「リリカル、マジカル」

 

佑介君が離れたと同時に頭に浮かんだ呪文を唱える。

 

フェレット「封印すべきは忌まわしい器、ジュエルシード!」

 

なのは「ジュエルシード、封印!」

 

私の手に持つ杖から光の帯が伸び、怪物を縛るように拘束をする。拘束された怪物の額に【ⅩⅩⅠ】という文字が浮かび上がった。

 

なのは「リリカルマジカル。ジュエルシードシリアルⅩⅩⅠ、封印!」

 

呪文を唱え終わると怪物がもがき苦しみながら光の粒子となって消え、代わりに綺麗な青い宝石が残った。

 

フェレット「あれがジュエルシードです。レイジングハートで触れて」

 

言われた通りに青い宝石に近づいて杖を突きつけると、ジュエルシードは浮かび上がってレイジングハートへと吸い込まれていった。

 

レイジングハート《No.ⅩⅩⅠ》

 

封印し終わると私の格好が元の私服へと戻り、レイジングハートも元の小さな宝石へと戻った。

 

なのは「あ、あれ?終わったの?」

 

佑介「みたいだな」

 

私が呟くと後ろから佑介君の声が聞こえ、振り向けば先程まで持っていた蒼い剣から初めて見せてくれた刀へと戻り、鞘に収めている佑介君の姿があった。

 

フェレット「はい、あなた方のお陰で、ありが、とう…」

 

私と佑介君にお礼を言うと、フェレットさんが倒れた。

 

なのは「ちょ、ちょっと大丈夫!?ねえ!」

 

疲れと怪我で限界だったのか、倒れたフェレットさんに近づいて抱き上げると意識はないが呼吸音だけが聞こえる。

 

佑介「なのは。とりあえずはそのフェレットを連れてこの場から逃げるぞ」

 

なのは「え?なんで?」

 

佑介「周りをよく見てみろ」

 

そう言われ、周りを見渡してみると、先程の戦闘の(殆どはあの怪物が暴れた)せいでコンクリートに穴があいていたり、電柱が倒れて電線が切れていたりと、かなりひどい状態だった。

 

なのは「…もしかしたら、私達ここにいると大変あれなのでは……」

 

佑介「もしかしなくても、間違いなく警察沙汰だな(笑)」

 

私が冷や汗を掻いていると、佑介君は楽しむかのように笑っていた。

 

佑介「お?サイレンの音が聞こえてきたな」

 

なのは「と、とりあえず。ご、ごめんなさ~い!」

 

私たちはフェレットを連れて、逃げるようにこの場から離れた。

 

 

 

 

 

俺達はあの後、公園へと移動した。

 

なのは「はぁ、はぁ…」

 

公園までノンストップで走ってきたため、なのははベンチに座って息を整えていた。俺は特に疲れてはいないので、近くの木に背を預けて腕を組んで立っている。

 

そして今回の原因と思われるフェレットはなのはの膝の上に乗せられていた。

 

佑介「(さて、これからどうしますかぁ)」

 

フェレット「すみません…」

 

もう少し落ち着いたら恭兄さんに連絡しないとなぁ…と、この後のことを考えていると、なのはの膝の上に乗っているフェレットが起き上がり、開口一番に言った。表情を見てもいまいち分かりづらいが、その声からは罪悪感が伝わる。

 

佑介「(やはり、あの夢とあの念話の声の主はこのフェレットからか)」

 

戦闘中にもこのフェレットとなのはの会話を聞こえたが、今の声を聞いて改めて思った。

 

なのは「あ、起こしちゃった?ごめんね乱暴で…怪我、痛くない?」

 

フェレット「怪我は平気です。もうほとんど治っているから」

 

フェレットはそう言うと、自分の体を細かく振るって包帯を外す。その体には最初見た時よりも傷の跡がほとんど治っていた。

 

なのは「ホントだ。怪我の跡がほとんど消えてる……すごい」

 

包帯の取れたフェレットをなのはが持ち上げて傷跡を見ている。

 

フェレット「あなた方が助けてくれたお陰で、残った魔力を治療に回せました」

 

なのは「よくわかんないけど、そうなんだ。ねぇ、自己紹介していい?」

 

フェレット「あ、うん」

 

えへん、となのはがわざとらしく咳払いをする。

 

なのは「私、高町なのは。小学校三年生、家族とか仲良しの友達はなのはって呼ぶよ」

 

ユーノ「僕はユーノ・スクライア。スクライアは部族名だから、ユーノが名前です」

 

なのは「ユーノ君か。可愛い名前だね」

 

なのは達が自己紹介を終わると、黙っている俺を見る。

 

なのは「ほら、佑介君も自己紹介しないと」

 

『次は佑介君だよ?』と言わんばかりの顔を俺に向ける。

 

佑介「あ、あぁ。俺は秋月佑介だ。えと…ユーノ、でいいか?」

 

なのはに言われ、俺も自己紹介をする。

 

ユーノ「はい、構いません」

 

俺とも自己紹介を終え、ユーノはなのはに向き直り、唐突に頭を下げた。

 

ユーノ「すみません、あなたを…あなた方を……」

 

なのは「なのはだよ」

 

なのははユーノが言い切る前に、そっと抱え上げる。

 

ユーノ「あ、なのはさん達を巻き込んでしまいました」

 

ユーノはそう話すと、沈んだ声で頭を垂れる。

 

なのは「あ、その……えと、多分、私平気!」

 

そんなユーノを見てか、なのはが笑顔でそう告げる。

 

佑介「気にすんな、巻き込まれることには慣れてるから」

 

可哀想とか元気づけるとかじゃなく、マジで色んな世界に巻き込まれているからなぁ…俺って。

 

なのは「ゆ、佑介君?」

 

ユーノ「あの、大丈夫ですか?」

 

佑介「あぁ、ちょっと昔を思い出してな…」

 

アハハ、と遠くを見つめる俺をなのは達は何とも言えなかった。

 

なのは「そ、そうだ!ユーノ君怪我してるんだし、ここじゃ落ち着かないよね?とりあえず、私達の家に行きましょ。後のことはそれから!」

 

なのはが話題を変えようとユーノに話を振る。

 

ユーノ「そ、そうだね。でも…いいんですか?」

 

佑介「いいんじゃないか?遅かれ早かれ、ユーノを引き取る予定だったしな」

 

いつまでも黄昏ているわけにもいかないので俺も会話に入る。

 

佑介「あ、そういえば俺、コンビニに行く途中だったんだ」

 

なのは「そうだったの?」

 

なのはがユーノを抱えて立ち上がり、いざ帰ろうとしたところにふと思い出した。

 

佑介「ああ、ちょっと飲み物を買いにな。帰りに寄っていこうぜ?好きなもの買ってやるから」

 

なのは「ほんと!?わーい!」

 

佑介「ユーノも遠慮しなくていいからな?」

 

ユーノ「あ、ありがとうございます」

 

この後公園を出て近くのコンビニを見つけ、頼まれた物と一緒になのは達の分も買って家へと帰宅した。ちなみに俺が飲みたかった物を運良く見つけ、内心舞い上がったのは秘密だ。

 

 

 

 

 

恭也「こんな時間にどこにお出かけだ?」

 

案の定。家に帰宅すると恭兄さんが玄関の前で仁王立ちをしていた。

 

なのは「あの、その、えっと…」

 

美由希「あら可愛いー」

 

恭兄さんの気迫にたじろぐなのは。その後ろに美由姉さんが声かける。

 

なのは「お、お姉ちゃん」

 

美由希「あら?なんか元気ないね。なのははこの子が心配で様子を見に行ったのね?」

 

なのは「えーと、その、あの…」

 

美由姉さんの言葉にも答えることもできないなのはにそろそろ助け舟を出すことにした。

 

佑介「実はそうなんだよ。俺が見つけたときは既に一緒だったけど、話を聞いたら逃げ出しているところを偶然見つけて保護したんだってさ」

 

そうだろ?と、なのはに顔を向け、『話を合わせろ』と目で訴える。

 

なのは「う、うん。そ、そうだよお兄ちゃん!」

 

俺の言いたいことが伝わったのか、なのはも俺に便乗する。

 

恭也「気持ちはわからんでもないが、だからと言って内緒でというのはいただけない」

 

美由希「まぁまぁ、いいじゃない。こうして無事に戻ってきてるんだし、それになのははいい子だし、もうこんなことしないもんね?」

 

美由姉さんはそう言うと、なのはにウインクをする。どうやらこちらを庇ってくれるらしい。今度、お菓子でも作ってあげようか。

 

佑介「そのことも含めて俺が説教しておいたからもう勘弁してあげて?」

 

なのは「その、お兄ちゃん。内緒で出かけて、心配かけてごめんなさい」

 

恭也「…まぁ、これからは気をつけろ。何かに巻き込まれたんじゃ遅いからな?」

 

なのは「わかりました…」

 

佑介「(もう巻き込まれてるけどねー)」

 

美由希「はい、これで解決。もう遅いしから家の中に入ろ?」

 

美由姉さんが手を合わせ、恭兄さんの説教タイムは終わった。

 

 

 

 

 

 

桃子「あ~ん、可愛い~♪」

 

家に入り、士郎父さんと桃母さんに事情を説明した。その後で、なのはは改めて皆にユーノを見せた。

 

桃子「ほんと可愛いわね~♪」

 

そのユーノだが、今はテンションが一気に高くなった桃母さんに可愛がられている。

 

士郎「ふむ、中々賢そうな…鼬鼠じゃないか」

 

美由希「フェレットだよ、父さん」

 

美由姉さんが代表で士郎父さんにツッコミを入れる。

 

士郎「何か芸とかできるのかな?ほれ、お手」

 

ユーノ「……」

 

ユーノが俺の方にどうすればいいのかと目で訴えてきたが、『とりあえずやっとけ』と頷いて答える。

 

そしてぽふっと士郎父さんが差し出した手に手を載せるユーノ。そのお陰でさらに盛り上がる二人。

 

なのは「あ、ははは…」

 

俺達はユーノが可愛がられるのをただ見ていることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

佑介「ふー、今日は疲れたなぁ…」

 

あの後、ユーノのご飯とか寝床とかなど、そのほか色々と皆で話し合いをし終わり、今は自分の部屋のベッドに座っている。

 

佑介「あ、そうだ。そういえばあの指輪について聞くのを忘れてた」

 

あの時拾った指輪がユーノの落し物かどうかを聞こうとしたが…まぁいいか、明日で。今日はユーノのことでドタバタとしてたし、なのはもユーノも疲れているだろう。

 

俺は立ち上がり、ハンガーに掛けてある制服のポケットに入れた指輪を取り出す。

 

佑介「しっかし、相変わらず綺麗な指輪だよなぁ」

 

人差し指と親指で挟んで持ち、部屋の蛍光灯で透かすように見上げた。

 

―――認証完了

 

佑介「…え?」

 

??《ふぅ、ようやく完了致しました》

 

……………………………………………………………………は?

 

??《やっとお話ができますね。初めまして我があるj

佑介「うおッ喋った!?」

 

??《痛ッ!何をするのですか!》

 

突然持っていた指輪が喋りだし、驚きのあまり落としてしまった。

 

佑介「あ、ご、ごめん」

 

俺は落としてしまった喋る指輪を拾い、掌に載せる。

 

??《まったく、ユーノもレイジングハートも喋っていたではありませんか。何故今更私で驚くのです》

 

指輪から女性のような声が聞こえる。

 

ユーノは分かるが…それにレイジングハートって、もしかしてなのはが持っていた杖のことか…?

 

佑介「いや、指輪からいきなり話しかけられて驚かないやつなんていないだろ」

 

そもそも指輪が喋るなんて誰が思うか。

 

ヴェル《まぁ良いでしょう。あ、紹介がまだでしたね、私の名はヘルヴェル・アルヴィトと申します。気軽にヴェルと呼んでください。我が主佑介》

 

佑介「…なんで俺の名前を知っているのかは置いておくとして。まず、お前は何者なんだ?」

 

ヴェル《私はデバイスと言われるものの中の人格型のインテリジェントデバイスです》

 

デバイス?インテリジェント?

 

佑介「なんだそりゃ」

 

ヴェル《主に自分のマスターをサポートして単独的に魔法を使ったり、会話や助言で精神面を支えたりと、要は相棒みたいなものです!》

 

なんか元気がいいなこの指輪。

 

佑介「はぁ…それで?さっきヴェルが言っていた『言われるものの中の』ってことは、ほかにも種類があるのか?」

 

ヴェル《流石私の主、察しがいいですね!他には純粋に魔法を使うための非人格型のストレージデバイスに魔法サポートは劣りますが武器としての性能を重視したアームドデバイスなどがあります!》

 

佑介「なるほど…んで、次はなんで俺の名前を知っているんだ?それに『やっとお話ができる』って、まるで俺を待っていたかのようだが?」

 

『それは…』と先程まで元気に喋っていた指輪―――ヴェルの声が小さくなる。

 

ヴェル《申し訳ありませんが、そのことについては今はお教えすることができません……でも一つだけ言えるとしましたら、『私は貴方を知っている』とだけ》

 

俺を知っている?どういうことだ?

 

佑介「…はぁ、他にも聞きたいことが多くあるが、まぁいい。続きは明日にしようか。もう眠い」

 

今質問をしてもきっと知りたい答えが帰って来るとは思えないし、今日は色んなことがあったから精神的にちょっと疲れた。今は寝ることにしよう。

 

ヴェル《はい!お休みなさいませ、主!》

 

取りあえずは無害と思われるヴェルの声を最後に、電気を消してベッドに入る。

 

佑介「(魔力を持った喋るフェレットに襲ってきた謎の黒い怪物、そしてデバイスと呼ばれる喋る指輪…これから大変なことになりそうなだぁ)」

 

そんなことを考えながら俺の意識はそのまま闇へと沈んでいった。

 

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