伝説のTS魔法少女は他の魔法少女からUMAみたいに言われてる。 作:マッキーガイア
あの金髪が連れ去られて、帰りのショートホームルームを終えた後、今日は部活が休部だと言うことを態々教室内にまで伝えにきた後輩に「先輩があの白石先輩と付き合ってる?ップ、冗談ばっかり〜、先輩陰キャなんだから話しかける事すらできない癖にw」と笑われて数時間、家に帰った僕は泣きながら魔法少女のアクションゲームをしていた。
何故僕がこんなクソゲー(1話後書きを参照)をしているのか…それはこれが僕が辛い事があった時のルーティーンになっちゃってるからである。
つまり、辛い事があったらもっと辛い事を思い出してまだマシだと思い込み、気を紛らわせるのだ。目には目を歯に歯を理論だよ馬鹿野郎ぉ…
さて、このゲーム、キャラゲーとしては最悪な部類だが、実はゲームとしての出来は悪くない。
不細工だがキャラは充実しているし、魔法や能力の再現度は高いし、何よりグラフィックやマップの再現度は頭おかしいと言ってもおかしくない。
事実、魔法少女のゲームだと思わずにやってみると意外にハマるものなのだ。
(因みにこの件で製作側で殴り合いの喧嘩に発展して、多くの入院者が出た事は有名な話。)
僕は今そのゲームの隠しステージである"アルタイル"をプレイしている。
ステージ内容としてはアキバ事件を無双しながら僕と戦うといった物でステージ説明欄には最強の魔法少女を想像して作ったステージとの事、僕と戦うと言っても所詮ゲーム、勝てるレベルであるのだろうなと勝手に想像していたのだが、正直、舐めていた。
今までめちゃくちゃにレベルを上げまくり最高の999レベルまで至り、装備も熟練者ですら滅多に手に入り難い最強の物へと変えたにも関わらず何度やっても勝てない。って言うか、一ミリもHPが減った気すらしない。
僕が使ってるのが"ブラッド・ポピー*1"だからダメなのか!?魔法が使えないただ人間だからダメなのか!?仕方ないだろ!推しなんだもん!!
ちなみにポピーだけがレベル999で他はみんなレベル1か3である。酷い差別を見た。
というのもブラッドポピーだけ頭全てを覆うくらいのマスクを被っているおかげで不細工な顔を見ずに素直にブラッドポピーとしてゲームを楽しめるし、ガジェットを駆使して壁を登ったりロケット噴射で空を飛んだりするのが楽しすぎるのが原因だ、つまりポピーが悪い。
「おにぃ、また何かあったん?」
後ろからそんな声が聞こえる。振り返って声の正体を見た。知ってる顔だ。
声の主はソファーに座っていた妹の明美(14歳)だった。僕の遊んでるゲームを見て察しがついたのだろうか、冬なのにアイスを食べながら偉そうにふんぞりかえっている。
「…パンツ見えてるよ」
「おにぃ本当にデリカシー無いよね。別に誰でもこんなんな訳ないから、おにぃはおにぃだから良いの。」
「小学生並みの感想で草」
「まだ中学生になったばかりだから良いの。」
そう言いながら明美はアイスの棒の表面を見てため息を吐くとゴミ箱にボッシュートした。
「で?何があったのかね?」
「何か…とは?」
「そのゲームを出してるって事はなんかあったんじゃないの?」
僕のやっているゲーム画面を見ながらなんと無しに言い放つ妹に敵わないなと思いつつ、彼女の方へ振り返り見るとマジの目をしていた。
「…まぁ、否定はしないけど…相談できる内容でも無い。」
「へぇ………かなり面倒臭い奴拾ってきたなって事は理解した。」
「察しが早くて助かる。」
そう言うと僕はコントローラーを握る。
「あ、左敵。」
「もう殺った。」
「早っ。」
レベル999を舐めんな。
「あ、アルタ…え?もうゲームオーバー?」
「ァァァァァァァァァァァァァ!!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「キャァァァァァ!!!」
曇り夜の下。
ビルとビルの隙間で1つの叫び声が木霊した。その叫び声は次第に大きくなり、そして、次の瞬間には静かになり、ムシャ、グシャアっと何かの咀嚼音に変わる。
その咀嚼音の正体は影であった。地面に落とし穴の様に開ききった影だ。その影の口だと思える場所は未だに蠢いていて気持ち悪い。
瞬間、プッと、何かが影から飛び出て空を舞うと地面にボトリ…と落ちる。
それは『ドガァァン』という爆音と共にあたり一面を照らす。影は驚き、別の影に隠れようとするが、もう遅かった。
影はあたり一面をライトアップで照らされ
何処にも暗闇が無くなる。
「貴様が食ったのはドール…人形だよ。お前の大嫌いな対魔力液を塗った閃光弾入りのな。と言ってもお前に何を言っても理解できないだろうがな。」
瞬間、ザシュッという音と共に影から血の様な緑の液体が流れた。
白石舞は魔法少女である。
といっても魔法は使えないし、超能力だって無い。何も無いけれど周りから認められているれっきとした魔法少女である。
だが、大前提に言うと、この世界で魔法少女という名を冠する者は別に魔法を使える少女でなくてはならないと言う訳ではない。基本的に魔法少女とは世界を守る少女の全般を呼んでいるにすぎないし、その中でたしかに魔法を使えない魔法少女も居る。
例えば魔法少女E、別名extraterrestrial being 略称エイリアン
彼女は違う星からやって来て、宇宙の超科学を使った武器を使い様々な方法で敵を蹴散らす魔法少女だ。元々は宇宙防衛軍に属する軍人で此処に来たのも宇宙人から狙われている星、地球を守る任務のためらしい。
つまり、魔法や超能力も無く、秀でた科学力で敵を圧倒する。本来だったら銃やロケットを使っても倒せない相手を殺せるだけの武器を持ったヤバいやつである。
彼女とは何となく昔から交流があり、今でも時々ご飯を食べにいったりしている。
そして、元祖魔法が使えない魔法少女、魔法少女B、ブラッド・ポピー
つまり、私である。
ブラッド・ポピーはアキバ事件の際に出てきた化け物の遺体を解剖し何処をどうすれば化け物の身体が壊れるか等の、身体の仕組みを知り尽くした少女(当時小学5年生)である。正確に弱点を狙いガジェットや格闘技を用い、化け物を殺す。
その為、魔法少女の中で魔法少女Aの次に最も化け物を殺した魔法少女とも呼ばれているが、逆に魔法少女の中で最も弱い魔法少女でもあるのだ。
例え他の魔法少女と一対一の試合をしたとして、事前に準備をしていたならまだしもいきなり突き出されて純粋なパワー勝負を始めたりなんてしたら負けるのはブラッド・ポピーである。
それはそうだ、彼女は人間だ、
どんなに頭がよくても、どんなに技術が優れていても、どんなに精神が人外染みていても。死なない限り彼女は人間だ。
他の魔法という人間の域を超えた力を持つ者とは違い、戦う事に関してなんの才能も貰えなかった少女が、白石舞という少女だった。
「お嬢様、お付き合いしている殿方が出来たとか…」
親が実業家だった為に無駄に広くなってしまった家というよりも西洋風の屋敷の自室で学校の課題をやっていると、となりで私の魔法少女用の衣装を見繕っていたメイドのアストレアがそう問いかけてくる。彼女はいつも私を心配している。少し申し訳なく思いながら、視線を彼女に向ける。
「…それに関しては私が悪いから気にしなくて良いわ。それにどうせ理由もわかっているのでしょう?」
「ええ、ですが。そう言う訳にもいきません。仮とは言えもしかしたら我が家の当主になるかも知れないお方。少しは気にもなります。」
「…当主って…私が彼と結婚する可能性があるみたいな言い方ね…」
私がそう言うとメイドはあっけらかんとした表情で
「あるんじゃ無いんですか?」
と言い放った。ちょっと気まずくなって課題に視線を戻す。
「有り得ませんわ。そんな事…」
「そうですか?
お嬢様だってお年頃なんですから。彼氏の一人や二人出来たって良い頃なんですよ。」
ちらっとアストレアの方を見ると銀色の髪を揺らしながら私のコスチュームを眺めていた。もう30代を過ぎているのに美しさは変わらない。
「それに、もう貴方はもう十分やってきたじゃないですか。小学生なのに…友達と遊んだりすることも無く、たった一人で自衛隊ですら太刀打ち出来ない相手と戦い続けて…
正直、お嬢様にはこんな戦いに参加してほしくないんです。お嬢様が戦わざるを得ない世界なんて…別に滅んだって良いんですよ。」
「アストレア…」
それは彼女の本心だろう。だけど、
「分かってます。私だってそんな事を言ってもお嬢様が止まってくれない事くらい。
復讐が意味がない事なんて言いません。それが本当に今のお嬢様に必要なんだったらそれは意味がある事なんです。でも、それが終わった後、誰もお嬢様を救い出さなかったら。
一体いつお嬢様の幸せが訪れるのでしょう…?」
幸せ……
6年前、それはここに知っている形で確かにあった。父がいて母がいて、無いものはなかった筈だ。
私はソレに思い出したように呟くしかなかった。
「まだあの音が聞こえるの…」
「…音ですか」
「ええ、母さんの身体と父さんの頭がすり潰される音。
あの化け物の咀嚼音。」
少女は肉が嫌いになった。魚が嫌いになった。まるで両親を食べているような気がして、口に物を入れる事自体が嫌いになった。
「私はね、アストレア。ちゃんと生きるためには殺さなきゃならないのよ。奴らを殺す度に私はあの感覚を忘れられる。
きっと、母さんは怒るでしょうね。父さんは幻滅するでしょうね。でもやるしか無いの。アレを忘れるにはアレ自体を殺さなきゃ無理なの。」
久々の素の口調に少し驚きながらも淡々と呟く。知っている。あの
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すいません、色々忙しくてちょっと投稿遅れます。