アークナイツを最初期から遊んでいて大好きなのですが、物語が完成されすぎていること、キャラが多すぎることから二次創作小説を書くことをためらっていました。
今回クリスマスに乗じて短編二次創作小説を書いてみました。
普段は有名小説とvtuberグループの『にじさんじ』のキャラでのオマージュした二次創作(個人的には二次×二次で四次創作とか思っています)を投稿しています。
今回も『アークナイツ』と映画『戦場のメリークリスマス』のオマージュ作品になります。
解釈違いなどあると思いますがどうかお許しを...。
私は家族と過ごすクリスマスと言うもの知らなかった。
「メリークリスマス」
その言葉を教えてくれたのは二人目の父ボジョカスティだった。
暖かな蝋燭の灯と豪華な料理に煌びやかに彩られたクリスマスツリー。
私が今まで体験してきた暗く、極寒の世界とは別次元の様な世界にどうしたら良いのか分からないという戸惑いと、心の底から込み上げてくる不思議な暖かさに動けずにいる私へボジョカスティは小さな木箱を手渡した。
「メリークリスマス。メリークリスマス。エレーナ。」
訳も分からぬままに木箱を開けてみると、中にはキラキラと輝くとてもシンプルな髪留めが入っていた。
それが私の人生で初めてのクリスマスプレゼントだったのだが、同時に最後のクリスマスプレゼントでもあった。
それからはボジョカスティの元で戦士としての才能を開花させて行き、自分よりも古参の隊員を率いるリーダーに任命される。
スノーデビル小隊の指揮官『フロストノヴァ』
私は彼ら同胞たちと幸せに暮らせる場所。理想郷を探し求めた。感染者たちが救われて幸せになれる世界を求めて、あらゆる苦痛の中、あらゆる寒さの中を正義と希望を胸に歩き続けた。
ある年のクリスマスの日の出来事だ。
今日もレユニオン・ムーブメントの指令に従い、スノーデビル小隊を引き連れて非感染者が牛耳っているという都市部へ向かっている道中に感染者たちが身を寄せ合って暮らしている小さな集落へ偶然辿り着いていた。
季節は冬だと言うのに住居と呼ぶには余にも荒廃した家屋で震えながら身を寄せ合っていた。
彼らが震えている理由が寒さなのか、私たちに対する恐怖なのかは分からなかった。
勿論、私は彼らに危害を加えるつもりなど毛頭無いのだが、我々の見てくれでは無理もないことだろう。
私が何気なく視線を向けた先に崩れた壁を盾にして、こちらをジッと見つめている少女と目が合った。
少女は怯える子犬のようにブルブルと震えながら私を睨んでいる。
私は何も言わずにゆっくりと彼女に近づいて行き、私たちの距離は崩れた壁を挟んで手が届くところまで歩み寄った。
「こんにちは。」
「...お姉さん。兎さんなの? 」
無表情で挨拶をする私のピクピクと動く耳を少女は興味深そうに見つめながら小さな声で尋ねてきた。
「...違うわ。」
「えっ? 」
私はポケットに入っていた幾つかの飴玉と身に着けていた白いアウターを脱いだ。
「私はね。サンタクロース。」
「えっ!? サンタさんなの。」
私の言葉を鵜呑みにした少女が壁の後ろから飛び出すと、少女は目をキラキラと輝かせながら私の足元まで近付いて来たのだ。
私は少女の肩にアウターを被せ、傷だらけの小さな右手の掌の中に飴玉を握らせた。
「メリークリスマス。メリークリスマス。今日はクリスマスだよ。」
私はそれだけ伝えて少し離れたところで待機していたスノーデビル小隊の元へ歩き始めたのだが、背後から少女の大きな声が聞こえた。
「ウサギのサンタさん! 私の所にまた来てくれる? 」
「...君が希望を持ち続ける限り、私たちは必ず駆け付ける。必ず。」
私は振り返らすにそう言い残して、小さな感染者の集落を後にしたのだった。
私たちの理想は...。私達の希望は...。
世界はどうしてこんなにも感染者を虐げるのだろう。
異国の地である龍門で私を『姐さん』と呼び慕ってくれていた兄弟姉妹を失った。
そして、感染者たちの居場所も守れなかった。
私の身体も限界を迎えようとしている。
ロドス。黒兎のアーミヤ。それにドクターと名乗る人物。
彼らは強い。
私たちの負けず劣らずの信念を持っている。
非力なぼろぼろの私一人ではどうすることも出来ないかもしれない。
それでも...。
私が諦める訳にはいかないのだ。
スノーデビル小隊の指揮官『フロストノヴァ』として。
一人の感染者として。
私たちが抱いていた希望を、夢を諦める訳にはいかないのだ。
『自由になったら、その時大声で泣けばいい。荒野で、雪原で、高く積もった藁の上で、泣き叫べばいい! 』
そう。まだ泣く時ではないのだ。
どうして立てているのか。
どうして動けているのか。
ロドスの面々も驚きの表情を浮かべているが、一番驚いているのは私自身なのかもしれない。
「自分が敗北したらロドスに加わる」
これが私の決意表明だ。不甲斐ない私に科せた約定。
さぁ。始めようか。
見ていてくれ。
兄弟姉妹同胞の皆。
これが私の出した答えだ。
とあるクリスマスの日。
アーミヤは龍門の街を訪れていた。
そこはドクターと私が見守る中でフロストノヴァさんはロドスへの加入を約束して、旅立った場所だ。
「私がお前の隣に居る」
フロストノヴァさんの最後の言葉。
私の中で何かが変わった気がした。
スノーデビル小隊の指揮官の身体の温もりが、未だに両手に残っている。
この暖かさを。
彼女の強さを。
想いを。
私は確かに受け取った。
私が立ち止まる訳にはいかない。
彼女と共に歩み続けなくてはいけない。
アーミヤは迷った時、自身が無くなった時にここを訪れるようにしていた。
「ねー! ねー! 」
その時、背後から女の子の声が聞こえてきた。
振り返ると、白いボロボロのアウターを着ている少女が満面の笑みで立っている。
感染者の少女のようだが、アウターのサイズが合っていない。見るからにぶかぶかだ。
アーミヤが耳をピクピクと動かしながら首を傾げていると、少女はクスクスと嬉しそうに笑っている。
「メリークリスマス! メリークリスマスだよ。お姉ちゃん! 」
そう言いながら少女がアーミヤに差し出したものは小さな飴玉だった。