PERSONA5:Masses In The Wonderland. 作:キナコもち
お久しぶりです。
今回は以前どこかで匂わせた妙さんルートです。
致命的に終わっています。
ではどうぞ
2010年 2月
とある少女が死んだ。
ハッキリとした原因は大人達には分からなかった。
しかしながら、少女の体力が致命的に疲弊していたことから、衰弱死と公表された。
少女には家族が友人が居た。
少女はそこそこ裕福な家庭で育った。姉との関係も良好で、多くは無いが幼馴染と呼べる者も居た。
少女を知る者にとって、それは大きな損失だった。
しかし、世界にとって、それは小さな損失だった。
月日は流れ、いずれ風化していく【よくある話】
少女が居なくとも、世界は回る。
世界はその在り方を変える事無く、時を刻んでいく───。
──筈であった。
◇◇◇
2016年 4月
少女は起床する。
まず目に入るのは薄暗い見慣れた天井。
上体を起こす。
同時にじゃらりという金属音が鳴る。
「…………」
この部屋には時計は無い。
少女にとって無意味であるから。
この部屋には窓が無い。
少女にとって無意味であるから。
「…………」
少女はただ白かった。
腰まで届く白い長髪、生気の無い白い肌。
他の色は首に巻かれた革製のベルトと、その宝石の様に紅い瞳のみ。
そんな少女は、上体を起こしたままで、次の行動をする素振りすら見せない。
「…………」
部屋は清掃が行き届いていた。
染みが一片も存在しない画用紙の如く、空気は澄んでいて、埃もゴミも落ちていない。
ここは元より妙のコレクションルームであった。
着飾ったドールを飾って、保管する。
少女の世界はそこに宛がわれた。
だから少女の下のベッドも、病床の様に乾いていて清潔だった。
この六畳一間の世界が、少女にとっての全てであった。
少女は自ら外へ出ない。
完成された世界に、自ら変化を起こそうとは考えないから。
だから何時だって変化があるとすれば【彼女】からだった。
何時もと違うタイミング、違う歩幅、違うリズムで外から来る【彼女】
「おはよう、雪雫」
そう言いながら彼女・武見妙はふわりと笑う。
切れ長の眦が和らぎ、ぶっきらぼうな口調も少女・雪雫には向かない。
「おはよう」
そして白い少女は…雪雫はこうして初めて声を発する。
いつだって変化の切っ掛けは妙だ。
──声を発するのも。
「朝ごはん、付き合いなさい」
──こうして部屋の外に出るのも。
・
・
・
部屋を出て廊下を進めば、幾分も広い空間があった。
空間の中央にテーブルが。その上には二人分の食事が。
「さ、食べましょ」
雪雫は頷き、妙は少女を隣に座らせる。
首から伸びた鎖が、妙の手が握るそれが、自然とそう位置付けた。
食べる。咀嚼する。飲み込む。
雪雫の身体には意味の無い行為。
しかし、意味のある行為。
それはひとえに、武見妙がそう望み、喜ぶから。
「……………今日も、遅い?」
「────なるべく早く帰るわ」
再び少女の世界は戻る。
鎖をベッドに括りつけて、またそうしてふわりと笑う。
「今日も、する?」
「えぇ、そうね」
雪雫の世界はこの空間で、人とは武見妙だった。
雪雫は人を受容する。
だから、食事を受け入れる。
だから、鎖を受け入れる。
だから、落とされる口づけを、入り込む舌を、身体を滑る指を──その全てを受け入れる。
「だから、大人しく待ってなさい」
長い年月はその感覚を鈍らせるには十分であった。
その世界は、雪雫を収容するには余りにも狭すぎた。
少女はまるで媚薬の如く、さらに濃色された密度は人を狂わせるには十分なほど。
「……いってらっしゃい」
はじまりはほんの一つのズレ。
ほんの一つの過ち。
小さなボタンの掛け違いで、人は狂い、世界は変わる。
だがそんなこと、少女は知る由もない。
だって、ここが彼女の世界の全てで、武見妙こそが人類なのだから。
続 か な い
こっちの妙さんは色々な論理感が終わってます。
すまん、妙さんファン。
コンセプトは
雪雫の権能が全てひとりの人間に向いたら
です。
需要あったら続く……?
いや、でも他に書きたいのが沢山あるからなぁ……
という事で宣伝で申し訳無いのですが、実はいま短編を投稿しています。
原作:デュラララ ジャンル:オリ主・百合
という超ニッチな所を攻めています。
こっちの主人公は基本アホです。
ギアス完結に向けて製作中の道すがら、箸休めで書き溜めていたやつです。
興味ありましたらどうぞ。
https://syosetu.org/novel/430869/