チョロQの一生は長い、しかしゼンマイに喩えるなら我々が観測できるのはその一生のうちのたった数巻きだけである、その数巻きの内、チョロQが最も輝く瞬間を見ていこう。
チョロQは知っての通り肉食系と草食系に分けられる、今回見ていくのは草食系チョロQだ。
草食系チョロQの主食はチョコスプレーだ、しかしチョコスプレーと言ってもどんなものでも良いというわけではない。
例えばこの真っ赤なチョロQを観察してみよう、草食系チョロQ達は臆病だ慎重に、慎重に見ていこう。
一見チョロQの食べているチョコスプレーはどれも同じに見える、では口元を拡大して見るとどうだろう、カラフルなチョコスプレーを食べているのに口元の色は赤のままである、そうチョロQ達は自分の体の色と同じチョコスプレーしか食べないのである。
この広いチョコスプレー平原の中から自分と同じ色のチョコスプレーを探して食べているのです、チョロQの雌は群れを作るのは知っていると思います、そしてチョロQの群れを見てカラフルだと多くの人が言います、それは同じ色のチョロQが一つの群れに2匹以上居ないからです。
草食系チョロQの暮らしは過酷です、肉食系チョロQに肉食系トミカ、ファービー、プラレールと脅威にはいとまが有りません、脅威から逃げながら飢えずに生活するには苦肉の決断をせざるを得ないのです。
それでは本題に入りましょうチョロQの交尾です、チョロQ達の食性について話したのはそれが交尾に密接に関係しているからです。
緑のチョロQの雄がその身を大きく見せる為にウィリーしながら群れの周りを走っています、しかし群れのチョロQ達は見向きもしません、雄に魅力がないのでしょうか？いいえ違います。
群れの中心に近い位置に緑のチョロQがいます、まだ体が小さく他のチョロQの影になっていて雄から見えていなかったのです、そのチョロQを見た雄はウィリーをやめそそくさと離れていきます。
チョロQの雄にとって一番良い交尾は、群れで暮らすチョロQとの交尾です、その次が自分と違う色で群れで暮らしていないチョロQとの交尾、そして最後に自分と同じ色の群れで暮らしていないチョロQとの交尾です、ですが最後のは最悪ではありません、最悪は交尾ができないことなのです。
さっきのウィリーをしていた緑のチョロQを追ってみましょう、チョロQの雄は繁殖期に入ると気性が荒くなります、そしていつもよりも長距離を走るようになるのです。
あっ！雌のチョロQを見つけました！しかしそのチョロQの周囲を既に2台のチョロQがウィリーをしながら回っています、横から割り込むようにウィリーの輪に入ります、これはQサークルと呼ばれるアピール合戦です。
雌のチョロQの色は青です、ジッと自分の周りを回るチョロQを見て吟味します、ここで見ているのは色ではなく音なのです。
多くの人生経験……おっと失礼……多くのチョロQ生経験を積んでいるチョロQの雌は子育てが上手く大人気です、しかしその分審査のレベルが高くなるのです、ゼンマイの音でその雄の強さが分かるのです。
お眼鏡にかなうでしょうか……
先にウィリーをしていた内の1車がばててウィリーをやめて雌に近付きます、しかし雌はプイと顔を背けて無視します、自然界でも順序を守らない男は嫌われるのです。
そのチョロQが離れて行って少しして雌のチョロQはゼンマイを空回りさせ音を鳴らします、求愛の鳴き声です。
緩やかに速度を落としていき2車同時にウィリーをやめました、これから雌がどちらに鳴き声をかけるかでどっちが選ばれたか分かるのです。
緊張した面持ちで雌を見る2車、選ばれたのは我々が追っていた緑のチョロQでした。
選ばれなかったチョロQは次の雌を見つけるために切り替えて走っていきます野生の男女関係はドライなのです。
緑のチョロQはゆっくりと雌に近付いていきます、選ばれたからといってそれで交尾ではないのです、互いの体の善し悪しを確かめる最終審査があります。
これはチョロQ達の交尾の前戯に当たります、互いの体を確認して病気を持っていないか、大きな怪我をしていないか擦り付け合って確かめるのです。
前戯を終えると周囲を確認します、チョロQの交尾は無防備な姿を晒すので襲われたら一巻の終わりです。
チョロQ同士の体が重なります、チョロQの交尾は人間と比べたら一瞬です、雌の後ろから雄の体が乗り1分ほどで離れたように見えたでしょう、しかしちゃんと交尾できています。
その証拠として雌が雄を突き飛ばしました、雄は完全に出し切るまでその体を乗せてチョロQの交尾を終わらせまいとしていたのですが雌は出されて終わったので交尾をやめたのです。
雄はもう一度しようと求愛の鳴き声を出しますがチョロQの交尾はそう簡単ではありません。
雌は走っていってしまいます、雄はそれを追いかけようとしますが背後からゼンマイを巻く音を聞いた雌が速度を上げて遠くへ行ってしまいました、自然界でもしつこい男は嫌われるのです。