凄い悩んだので少し遅くなりました、お詫びとして今回は倍の量です。
タイトルは曲の懐かしき東方の地の捩り、兼妹紅視点です、妹紅の生まれは飛鳥時代なので。
今回は外の世界の8月5日に19回目として妹紅は滋賀県に出た。
隙間から出るとさっそく、紫の妖気を探してそれを辿る、そんなルーチンワークをしながら妹紅は物思いに耽る。
「前回は遂に近江、今で言う滋賀県に着いたが、もう私の生まれ故郷の直ぐ側だな。」
妹紅はセンチメンタルな気分になっていたが、その思いに反して紫の妖気は奈良県では無く京都府に向かっていた。
『ふむ?妖気が京都に向かっているって事は、私の故郷に行くのは大分後になるのか。』
妹紅は少しがっかりした気分になったが、「まあ、まだ決心が付かないしこれで良かったのかもな。」と思い、その考えを切り替え、妹紅は琵琶湖の上空を飛んで行った。
琵琶湖上空
「琵琶湖に来るのは大体千年振りだが、形が本当に変わっているんだな。」
『幻想郷で調べて来たが、この湖には大量の遺跡が沈んでいるらしいけど上から見ただけじゃ解らないな。』
幻想郷で調べた知識を思い出しながら、独特の目線で見る妹紅。
ちなみにドローンは追って来ているが、ヘリコプターは居らずその理由は、この場所でネットを掛けると湖に沈んでしまうので捕まえるのは禁止とされたのが理由だった。
『よく考えたら琵琶湖を上から見たことは無かったな、空を飛べるようになったのは幻想郷が作られて住み始めてからだしな。』
実は妹紅は幻想郷が明確に作られた時、すなわち幻と実体の境界が作成された約千年前から住んでいて、それ以来都市伝説異変の時まで外の世界に出た事は無かった。
それまでの300年は今と違って様々な術を覚える前なため本当に上空から琵琶湖を見るのは始めてな妹紅だった。
その頃ネットでは
『不死鳥はもう近畿に来たんだな、地元では不死鳥を歓迎する人が大勢いるらしいな』
『それにしても不死鳥は何で、日本の中だけを飛ぶんだろうな?北海道の時はこのまま北上してロシアに行く、と言われていたのに10回目から今度は、日本海側を南下し始めているから日本の中を飛ぼうとしている気がする。』
『不死鳥の今判明している不思議な能力を纏めたぞ、裂け目を作る能力、炎を操る能力、航空力学を無視して空を飛ぶ能力、中身が砂の様に崩れ消滅する能力、消滅してから何も無い場所で爆炎と共に再生する能力、
の五つが現在判明している現代科学では説明が付かない能力だ』
『佐渡島に飛んでった時は、このまま中国や韓国に向かうのかと思ったのに本州に戻って来て、一体何がしたいんだろう』
『能力以外にも不思議な性質がありますよね、
例えば何故か裂け目でしか鳴かないというのや、
裂け目から出る度に炎の部分が大きくなったり、
寺社仏閣をよく眺めているようだったり、本当に不思議な生き物ですよね』
『もう不死鳥は和風ファンタジーな存在、もっと具体的に言うと神道の何かで確定的だろ、だって日本の中だけを飛ぼうとするし、神社を見つめたり探しているし』
『不死鳥の住んでいる世界は、どんな世界なのか名前だけでも判った奴はいるか?』
『不死鳥の住んでいる世界はどんな場所なんだろう、竹以外の情報が無いのに、イラスト投稿サイトに不死鳥の世界を想像したイラストがもう1000枚も超えてるよ、不死鳥を描いたイラストなんて2000枚を越えてるしね』
『不死鳥が今琵琶湖を飛んでるが、北海道の時と違って凄くゆっくり飛んでるよ、勿論そんな事は無いと思うが、実は飛ぶ場所が決まっててそれがノルマで、今ゆっくり飛んでるのは距離が短いからだったりして』
『お寺を見るために不死鳥、がゆっくり飛んでくれているお陰でベストショットが撮れそうだ。』
不死鳥が空を飛ぶのは日常の風景になっていて、今更不死鳥が飛んだ位では皆驚かないが、裏を返せばそれは多くの人間が不死鳥が飛ぶという幻想を認めていることの証明だった。
県境上空
「さて平安京が有った、今で言う京都がもう見えて来たな。」
妹紅は京都の町並みを眺めながら少し歴史を思い返す。
『確か平安京は、私が住んでいた新益京の次の、私の父が主導して作った平城京の後の長岡京の更に後、つまり私からすると凄い新しい都なのか。』
そう平安京は人間からすると古都なのに、妹紅からすると三つも後の新しい首都だったという不思議な場所だった。
新しい都の存在は放浪生活をしていた頃に聞いていたし、幻想郷に入った後兄達の子孫が帝を越える権力を握ったらしいことを聞いた時等、この新しい都の絶頂期を見ておきたかったと思ったが。
「ま、ここが古びているのは事実な上、もう首都は別になっているから気にしても意味は無いか。」
今が絶頂期と言っていい東京を、今度見ることを思い出し考えを忘れる。
『それにしても、古びているとは言ったものの、そんな古びている建物も私達の時代からすると新しい建築様式だったりして、…ああ何か頭が混乱してきたよ、もうややこしいから深く考え無いで観光するとしますか。』
複雑な事は置いておいて仕事兼観光に集中する事にした。
京都市上空
妹紅は京都の町並みや寺社仏閣を、じっくりと眺めては写真を撮る事を繰り返していた。
『平安京と今は呼ばない理由は、もう首都じゃないのを含めても、一番の理由は大規模に拡がったからだな、どう見たって四角い町並みには見えないよこれは。』
四角い平安京の外に作られた筈の寺社仏閣が、多くの建物に周りを囲まれているのを見てそう考える妹紅。
「それにしても、何でこう新しい感じの見た目をした建物が少ないんだろうな?」
派手な色や物凄い高さの建物が少ない事に妹紅は疑問を覚えたが、「これだけ少ないなら何かしら意図が有るんだろうな。」と、そんな考えを思い付く。
そんな考えの他に京都で紫の気配を追いながら『この土地はやっぱり、今までの場所よりも歴史が長いからか信仰が篤いんだろうな、この土地からは弱々しいが数多くの妖怪や神の気配を感じるね。』と、妹紅は考えてその後「だけどこの程度の気配なら、簡単なので良いから変な儀式をした人間でも無いと恐ろしい目に逢わせられないだろうがな。」と、続けて現状を正確に評価する。
暫く京都の上空を楽しんだ後、紫の妖気が途切れたので妹紅は幻想郷に帰ることを決めた。
『う~ん、今日は平安京のことをいろいろ考えたけど、よくよく考えたら話で聞いただけだし感慨も無かったな、帰ったら平安京に居た妖怪の話でも聞こうかな。』
そんな事を考えながら、アビリティカードを振り下ろして隙間を作り、「新益京に行ったら感慨も有るのかな。」と、言い残して隙間に消えて行った。
幻想郷の命連寺で妹紅はとある妖怪を探して聖白蓮と話していた。
「…では妹紅さんは家のぬえを探しているのですか。」
「ああ、外の世界の平安京に行って来たが、私は昔の平安京を知らないから知ってる奴を探してな。」
「成る程、妹紅さんは今仕事で外の世界を廻っているんでしたね。それで気になることが出来た、とそれでですか、判りましたぬえを探してくるので暫しここでお待ちを。」
聖が部屋を退室して、妹紅は部屋に一人となった。
そもそも何故、妹紅が命連寺に来たかというと幻想郷縁起で平安京を知っている妖怪を探した結果、封獣ぬえは平安京を恐怖に陥れた様なので命連寺に来たのだった。
『でもよくよく考えたら妖怪視点だから、私が聞きたい事は聞けないかもな、私が知りたいのは平安京の生活についてだしな。』そんな事を考えながら待っていると。
「お待たせしました、ぬえを連れてきましたよ。」
聖が入室してその後ろから、長身の聖に隠れる程度の身長に不思議な翼をした少女が入室した。
「あんたかい、私の武勇伝を聞きたいってのは。」
「ああ、あんたの話を聞きに来た藤原妹紅だ。」そう自己紹介する。
「私は話の邪魔になるといけないので部屋を少し離れますね、何かあったら大きな声で呼んでくれれば参ります。」そう言って聖は退室した。
「私を訪ねて来たのだから判っているだろうけど、私が未確認幻想飛行少女の封獣ぬえ、さあ今日はよろしくね。」
漢字を書き連ねた二つ名と共にぬえは名乗った。
「自己紹介も終わったし、平安京の事を聞いても良いか?」妹紅はそう問い掛ける。
「良いよ、私が平安京を怖がらせていたのは知ってるんだろうけど、方法は知らないだろうから教えてあげるよ。」
案の定違う部分を教えてきたが、妹紅は黙って聞く。
「私は正体を判らなくする程度の能力、を持っているんだけどね、この能力は具体的に言うと正体不明の種って物を作れて、これを植え付けられると植え付けられたものは、正しい認識をされ無くなるんだ。」
ちょっとよく解らない事をぬえは言う。
「悪い、どういうことかよく解らないから詳しく説明してくれないか?」
「んーーそうだなー、じゃあこの箒を見てくれないかな。」
何処からともなく取り出した箒を妹紅は受けとるが、「この箒に能力を使うのか?」
妹紅は箒を注視して何の変哲も無い普通の箒に見えたからそう尋ねたが、「いーや、もう使っているよ。」と、言われ再度注視するが全く理解出来ない。
「じゃあ答え合わせとして能力を解除するよ。」
そうして解除されるとなんと、箒だと思っていた物は三叉に先が別れた槍だった。
それを見て「ええーー!?どういうことなの!」と、妹紅はキャラ崩壊する程驚いていた。
「おおー、いい驚きっぷりで妖怪冥利に尽きるね。」
ぬえは大喜びで凄い上機嫌になる。
「話を続けさせてもらうよ、この能力を受けたものは見た目から大まかな部分しか判らなくなって、見た者はそこで思考停止して別のものに勘違いするんだ。」
ぬえは話を続ける。
「さっきだと箒も槍も棒状で、それに加えて私がこの槍を箒って言ったから箒だと勘違いしたんだよ。」
「成る程凄い能力だな、あれだけ見たのに全く判らなかったよ。」
妹紅は素直に褒める。
「うんありがと、それでこの能力を自分に使ってね、見る人によって全くの別物に見える怪物として平安京の中で暴れたんだよ。」
それは恐ろしいと妹紅は思う、自分を襲った怪物の話をしても他人は別の怪物の話をしていれば、大量の怪物が都に出現している様に感じるだろう、そうして都の恐怖を独占したんだろうと。
「他にも私は怖がらせ方で特に、鵺の声で鳴くのが好きでね、この鳥は凄い不気味な声で人間達がよく怖がっていたから私も真似したんだよ。」
途中少し気になる事をぬえが言っていた。
「少し待ってくれ名前がぬえなら、鵺の真似とどっちが先なんだ?」
そうなのだ鵺の声真似をしていたと言うが、妹紅が調べたところ外の世界では鵺と呼ばれているのは、目の前にいるぬえの筈だ。
妹紅はてっきり幼い頃の自分も聞いた、恐ろしい鳴き声をする妖怪の名前と聞いていて、目の前の妖怪の筈だと思っていたが違う様子。
「それはね、実は鵺って今は別の名前で呼ばれる鳥でね、当時は鵺の声で鳴く正体不明の妖怪って知られてたのに、時代を経る事に私が鵺って妖怪だと思われる様になったんだよ、本当は一種一個体の妖怪なのにね、でも気にいったから名前をひらがなのぬえって書く名前にしたんだよ。」
本人の能力は勘違いさせる能力だが、本人の種族も勘違いされたらしい。
「ありがとう、それとすまない話を途切れさしてしまって。」
「いいや構わないよ、じゃあ話を最後まで続けるとそのまま暴れてたら強い武士に弓で射られて、討ち取られそうになるまで平安京を襲ったんだよ。」
最後は辛かったのか一気に話を終わらせた。
「凄い面白い話が聞けて助かったよ、これで平安京のことが…いろいろ……判った?」
妹紅はぬえの話を聞いて楽しんでいたが、そもそもの目的を忘れていた事に今気が付いた。
「え、どうしたの急に、体調でも悪くなったの?」
ぬえは心配になってそう尋ねるが「いや違うんだ、ぬえの話が面白くてそれを聞いてたら、本当に聞きたい事を忘れててそれを今思い出しただけだから、心配しなくていいよ。」
そう言われてぬえは落ち着いて、「じゃあ、妹紅は何が聞きたかったの?私が教えられる事は話すよ。」と、機嫌が良いからかぬえはそう言ってくれる。
「そう言ってくれると助かるよ、私が本当に聞きたかった事は平安京の生活とか、私の兄の子孫の話を聞きたかったんだ。」
そう話し始めて妹紅とぬえはまた話を再開した。
明日から忙しくなるので、暫く3日置きに投稿します。
鵺は本来今で言う所の虎鶫ことなんですが、平家物語で語られた鵺の声で鳴く正体不明の妖怪は、いつの間にか鵺という名の妖怪と勘違いされたのは事実です。