遊覧飛行の40回目、大阪府に妹紅は出現した。
「前回は淡路島からこの国で第二の都市とされ、天下の台所と呼ばれた大阪に来たんだよなー!」
妹紅は巨大なビルが立ち並ぶ大阪に大興奮する、何故なら大阪は妹紅が今まで見て来た街の中で、最も巨大な大都市だからだ。
「最近は百年単位で昔に建てられた、歴史を感じる建物ばかりでそういうのも見ていて面白いけどさ、やっぱり外の世界に来ているからには最新の建物を見たいからな。」
妹紅は楽しそうに飛びながら写真を撮影していく。
大阪市を約一時間程かけて撮影した妹紅は「充分楽しんだし、そろそろ紫の妖気を探すかな。」と言って妖気を探る。
ちなみに妹紅がこんな長く一つの場所を観光していた理由は、大阪市が大都市な事と、西日本に入ってからは飛ばなくてはならない距離が縮まって飛行時間が短縮された事、紫も日付さえ守れば時間は問わないと言っていた事の三つが理由だ。
「うーん、南東に続いているのか……今日はもう覚悟しないといけないか、まあ南西に向かってから折り返していた時点で、そろそろだろうと思っていたしな、だからこそ位置関係に関しては最近調べていたしな。」
先程まであれだけ楽しそうにしていた妹紅だが、紫の妖気が南東に向かっていることに気付くと、しんみりし始めた。
「まあ仕方無い、覚悟を決めて故郷に向かうか。」
そう覚悟を決め妹紅はゆっくりと、ではあるが奈良県に向かう。
奈良県県境上空
「この辺は…良かった大阪程ではないけど街が広がっているな、奈良もしっかり繁栄しているみたいだな。」
妹紅は久し振りに来た奈良を見て、予め幻想郷で調べていたとは言え、廃れているのではない事が確認出来てほっとしていた。
「まだ、故郷に近いだけの場所だけど何も無いとかではなくて嬉しいな。」
妹紅の故郷はこの地点から更に南東に行った位置にあるが、そこまで遠くないので今の時代なら何も無いなんて事は無いと思う妹紅。
「そうだこの方角から新益京に向かうなら、少しそれれば平城京が有った場所だし、行ってみるか。」
そう言いながら平城京跡地に向かう妹紅。
「平城京か…確か父が平城京へ都を移す計画を進めたんだっけな、何でまだ作りかけの新益京を放置して遷都したんだろう?私は理由をよく知らないんだよな…遷都する前には人間を辞めたから家を出てたし。」
ちなみに新益京とは藤原京の元々の名前である。
そんな疑問を考えながら三十分程飛んでいると、平城京の跡地に着いた。
「確かこの辺の筈だが、何か普通な町に見えるな。」
平城京の跡地は遺跡の様になっている場所が所々あるものの、妹紅が今まで沢山見て来た様な普通な町になっていた。
それを見て妹紅は「そういえばこの辺は、遷都した後は農村に変わったんだっけな、幻想郷に入る少し前にそう聞いた憶えがある。」と、過去を思い出していた。
「でも、もう1200年は前とは言え首都だった場所が、普通の町なのは何か時の流れを感じるな。」
少し感傷に浸る妹紅だが「何も無い訳ではないから、これはこれで良いのかもしれないのかな。」そう言って今度こそ藤原京に妹紅は向かう。
藤原京跡地上空
妹紅は自分の故郷の跡地を見て驚愕していた、理由は自分が生まれ育った都が有ったその場所は平原の様になっており、観光客と思われる人々が居たがそれ以上に発掘中の遺跡が目立っていた。
「近付けば近付く程少しずつ建物が減っていたから、薄々気付いていたとは言え、実際にここまで荒廃した様子を見せつけられるのは…辛い…な。」
妹紅が先程の平城京跡地を見た時と違って、ここまで動揺している理由は発展度合いと幼少期の記憶が原因だ。
平城京跡地は発掘調査をしている様子こそ有ったものの、中心部からは外れているものの普通の町になっていたが、
藤原京の跡地は現在住宅地が藤原京の西半分に存在するものの、東半分は田んぼに変わって、跡地に隣接する部分は森の様になっていたりこれまた田んぼになっていた。
これに加えて妹紅が幼少期に過ごした大都市だった当時の記憶は、噂話で聞いていただけの平城京と違って大きなショックを与えていた。
「はぁ……おっと、驚き過ぎていつの間にか紫の妖気が途切れている場所を通り過ぎていたか、今日はもう写真を一枚撮ったら帰ろう。」
妹紅は気落ちしつつも藤原京跡地を撮ると、アビリティカードを振って作った隙間で幻想郷に帰った。
翌日幻想郷の人里
妹紅は昨日の衝撃でまともに睡眠が取れなかったが、外の世界に行って翌日に慧音に外の世界で撮った写真、を見せる約束をしていたため寝不足ながらも慧音の家に向かって歩いていた。
「ふわぁ~、眠いが慧音との約束は守らないとな、それにしても昨日の光景はかなり心にきたな、それと昨日最後に撮ったこの写真は慧音の目にはどう映るんだろうな。」
考え事をしながら歩いているうちに妹紅は慧音の家に着いた。
「お~~い慧音いるか~今日も写真を持ってきたぞ。」
「ああ、今出るから待ってくれ。」
数秒後
「今日も妹紅を待っていたよ、ってどうしたんだその顔凄い隈が出来ているぞ。」
「いや、これは昨日少しあっただけだから、大したことじゃないから。」
「いーや、その顔は大したことが有った顔をしているよ、取り敢えず家に入ってくれ、お前がそんなになるなんてよっぽどのことが有ったんだろう、家で昨日の話を聞かせてくれ。」
「心配かけてごめんな慧音。」
慧音の家
妹紅は慧音に昨日撮った写真をテーブルの上に置きながら、その中央には昨日最後に撮った写真が置いて有った。
「成る程、詰まり妹紅は昨日見た故郷が、過去の栄華からは考えられない程衰退していて、それを見た衝撃で眠れなかった、と言うことか。」
「ああ、大体その認識で合っているよ、今まで見て来た首都だった場所は大体どこも昔以上に発展していたから、無意識に私の故郷も発展しているものだとばかり思っていたから余計に…な。」
「そうか、辛かったな」
「いや、良く考えたら私の故郷は遥か昔の都市だから、忘れ去られていても仕方なかったんだ。」
妹紅は今にも泣き出しそうだった、それを見て慧音は今の妹紅を元気付ける良いアイディアを思い付いた。
「なら、妹紅の故郷に関係する物を探すのはどうだ、幻想郷には忘れ去られた物が流れ着くからな。」
それを聞いて妹紅は「そう…だな、うん、そうしようか。」と元気が湧いたようだった。
「まあ、その前に私の布団を使って良いから、私が寺子屋の授業をしている間だけでも寝ていけ、今の妹紅は見ていて不安だからな。」
「助かるよ慧音、お言葉に甘えさせてもらうよ。」
そうして妹紅は慧音が帰るまで暫く眠りに付いた。
正直に言って、今回のも含め元々考えていなかった部分を書くのは大変でした。
次回で全国遊覧編が終了します。