もとから考えていたのですらすらと書けて、1日早くて尚且つ文字を多く書けました。
3月30日の朝4時前幻想郷の迷いの竹林で、妹紅は八雲紫と最終確認をしていた。
「さあ、これから貴女は東京の大きなビルまで飛んでもらうわよ、いつも通り私の妖気が導くわ。」
「そこで暫く正午まで留まるが、お前が私の耳元で隙間を使って合図するから、私が時間を気にする必要は無いって事だよな?」
「ええ、それで合っているわ、正午になったら隙間は閉じるから後は予定通りにね。」
「分かっているよ、それで私はいつ出ればいいのか?」
「外の世界の時間で朝4時に合わせるから、後15分後ね。」
等々妹紅と紫は確認を進めて行く。
最終確認も終了してどちらも出発の準備を始める。
「これで確認も終了したわ、今回は失敗出来ないから隙間は私が開くわ、貴女は今から私が出発の時間までを数えるから零になったら飛び出して頂戴。」
「分かった、今から出るために炎を纏うよ。」
そう言われ妹紅は炎を気合いを入れるためにゆっくりと纏っていく。
「30」
炎を全身に纏い終え、炎を不死鳥の姿にしていく。
「15」
不死鳥の姿にした炎を大きくする。
「10」
炎が前回、外の世界に出た時の大きさに近付いていく。
「5」
前回より一回り大きくした所で炎を大きくするのを止め、空中に飛び上がる。
「3」
宙に浮かびながら前傾姿勢へ移行する。
「2」
前傾姿勢から身体が地面と水平になる。
「1」
移動を始める。
「零」
移動を始めた妹紅の眼前に隙間が出現し、妹紅は隙間の中に消えて行った。
「この幻想郷の使者として働いて来て下さいな。」
紫は妹紅が消えた隙間に向かってそう言い、その隙間を消した。
不死鳥の知性はどれ位あるのか、ある人は烏と同じ位と言い、またある人は鯨と同じ位と言い、専門家の中には人と同じと言っている者もいた。
この話題に繋がる有力な情報として、前々から冗談の様な話として存在する、不死鳥がある県に隣の県から入った次の週にその県から別の県に移動する原則、
この原則によって導き出された不死鳥は都道府県の概念を理解している、という可能性は3月に入る少し前から東京都の周辺の県を東京都を囲む様にして飛ぶ、
という都道府県を理解していないと出来ないこの飛び方によって確実となった、不死鳥の話は今ネットでかなりの大盛り上がりとなっていた。
『不死鳥はどうやって都道府県なんて知ったんだろう?』
『県の境界線なんて川も有るけど、川の先が全て境界線ではないのにどうして正確に飛べるんだろう?県の大きさに合わせて飛ぶ時間と速さも変えている様だしさ』
『東京都を囲む様に飛んでいた、ってことは次回飛ぶ東京都で何かするのかな?次で一年に1日足らないだけで52回目ですしね』
『私は不死鳥が今までと違って、まるで東京都で何かしますと言わんばかりのあの行動が気になります、ああ、なんで私は明日仕事が休めないんだろう、不死鳥が来るから繁忙期なのは分かっているんですけども』
『不死鳥が時期的にも行動的にも最後の出現をするかの様で、世界中から不死鳥を見に東京都に人が集まっているよ』
『私は東京のお洒落なレストランで働いているのですが、店長に明日は忙しくなるからと言われて店員が全員働く予定で、その代わりにボーナスを出してくれるらしいです、来週はこのボーナスを使って旅行に行きたいですね!』
『最後だから不死鳥の正体が判明しないかな、せっかくだから現在判明している情報を一つ一つ纏めるよ、
この世界に来る度にこの世界で大きくなって今は嘴~尾羽まで約25メートル、広げた両翼の大きさは約32メートル、
通常の温度は約1000度だけど実は火力をもっと上げることが可能、
中身が存在していて中身は大きさが変わらず約150センチ~170センチ程と推定されている、
中身は身体を砂の様に崩して、何も無い場所で炎と共に再生することが出来る、
何故か不死鳥だった砂は例え完全に密閉しても時間と共に急激に消失する、
濃い紫色をして中に大量の眼と手の様なものが浮かぶ不気味な空間の穴を開けられる、
その穴は通称裂け目と呼ばれていて不死鳥は裂け目の中で無いと鳴かない、
実際に記録された不死鳥の鳴き声はまるで少女のようだった、
改めて文章にしても正体が全く分からないよ』
『寝付けなくてニュースを見ていたら、速報で朝4時丁度に不死鳥が出現したんだって、今まで不死鳥がこんな朝早くに出現したことなかったよな』
『不死鳥は東京都の各街をグネグネと曲がる様に通りつつ東に向かっているよ、どこが目的地なんだろうね』
昼11時50分東京都庁
今この場所には多くの人が押し寄せ上を見上げていた。
「視聴者の皆さん見てください!!現在の東京都庁は信じられない事が起きています。」
見上げていた人々の中にはテレビ局のレポーターやカメラマンも混じっていた。
「驚くべきことになんと!!不死鳥が東京都庁の上空でこちらを見下ろしながら滞空しています。」
そうなのだ、朝4時ピッタリに裂け目から出現した不死鳥は東京都の主だった各都市を巡った後、東京都庁に着いた途端に何かを伝えるためなのか、滞空し下を見下ろすことを11時30分から続けていた。
「そして不死鳥に東京都庁が写真映えするので、多くの方々が写真を撮っていて、私も大きな声を出さなくてはいけない程です。」
周りに居る人々が沢山写真を撮っているため、カシャカシャと音が鳴り止まない。
「不死鳥はいつまで、留まってくれるのでしょうか?移動するとして何処に行くのでしょうか?」
そうレポーターがカメラに向かって話している。
一方その頃妹紅は
「ああ、写真を撮る音がカシャカシャ五月蝿いな。」
妹紅は待機している自分を多くの人が写真に納める音にうんざりしていた。
「あら、そんなこと言わないでくださいな、貴女が今から行う仕事に役立ってくださるのだから。」
妹紅だけではなく、紫の声が聞こえるがその理由は、妹紅の耳元から口元にかけて紫が隙間を開いて会話をしていたからだった。
「そうは言っても、五月蝿いものは五月蝿いし、いつまで私はこうしていればいいんだ。」
「後5分で正午になるからもう少しの辛抱よ、そんなことより貴女、この後のことを任せたのだからしっかり達成してきてくださいな。」
「先月から練習して、今朝も練習したから大丈夫さ。」
等々話をしてその時を迎える。
「さあ、もう数字を数えて零になったら正午よ。」
「分かった。」
時間になり妹紅は覚悟を決め準備する。
「十、九、八、七、六、………」
またレポーターに視点を戻そう
「後少しで正午です、不死鳥はいつ動くのでしょうか?」
レポーターがそう話しているうちに正午になる。
「そろそろ皆さん落ち着いて来て………え……不死鳥が動きました…地面に垂直となって落ちて来ます、このままじゃ不死鳥とぶつかってしまいますよ!!」
そうなのだ、不死鳥が地面に頭を向け垂直に落ちて来たのだ、これを見て東京都庁周辺は大騒ぎになるが。
「どういうことでしょう?、不死鳥が小さくなっていきます。」
不死鳥は落ちるにつれて徐々にしかし、明らかに小さくなっていく。
「このまま小さくなれば、謎に包まれていた不死鳥の中身について何か判明するかもしれません!!」
それに気付いた人々は落ち着きを取り戻し、期待に満ちた眼差しで不死鳥を見つめる。
「不死鳥が初めて出現した時の大きさになりました、中身がもう判明しそうです、さあその中身はどう…なっ……て……。」
レポーターの言葉が尻すぼみになったその理由は、
不死鳥のその中身は予想外なことに、出て来たのは少女だったからだ、
遠目に見えるその少女は東京都庁に背中を向けていて、その見た目は、
背中に炎の翼を生やし、
大きなリボンを着けた白髪のロングヘアーで、
白いカッターシャツと、真っ赤なもんぺの様なズボンをサスペンダーで吊っていた。
「不死鳥の中から女の子が出て来ました、不死鳥の中身は女の子でした。」
これにはレポーターも大慌てでカメラに話し、周りの観衆も困惑している様子だった。
そうこうしているうちに妹紅は、地上から10メートル程の位置で頭から地面にまっ逆さまなその姿勢を、後ろに蹴りを入れその反作用で身体の向きを反対にしてから、人々の方に顔を向けた。
「私は、この世界から物理的な方法では決して行くことが出来ない異世界、幻想郷の使者として任命されこの世界に赴いた者です。」
そう言うと妹紅は自分の少し上に炎の術で、幻想郷、と書いた。
妹紅の演説を聞いて尚且つ、炎で空中に文字を書いている様子を見て観衆はどよめいた。
「幻想郷とはこの世界から忘れ去られたものが集まる、人と妖怪が仲良く暮らすそんな世界です。」
「私の名前は藤原妹紅と申します、私が今まで不死鳥の姿でこの日本を横断して迷惑と感じた方々もきっといらっしゃるでしょう、しかし異世界の住人がいきなり使者として参りましたと名乗っても誰も信じないでしょう、なのでこの様な手段を取らせていただきました、これから使者としてどうぞ良しなに。」
そう言いながら先ほど書いた、幻想郷の文字の下に少し小さく、藤原妹紅、と書いて話が終わると仰々しくお辞儀をした。
先ほどから観衆は驚き過ぎて声を出せないでいる中、妹紅は話しを続ける。
「急にこんなことを言われて使者として迎え入れる等、出来る筈が無いでしょうから、今日はもう幻想郷に帰らさせていただき、また明日の正午にこの場所に出ようと考えています。」
そう言うと妹紅は後ろに振り向いて、懐からアビリティカード「画面の境界」を取り出し、カードを振って隙間を作り出した。
「では、私を使者として迎え入れるかどうかご検討をお願いいたします。」
こちらに振り返ってそう言うと妹紅は隙間の中に消えてゆき、妹紅が隙間に消えて行って暫くするとその隙間も閉じた。
暫く、皆放心していたがレポーターが言った「我々は世紀の瞬間を目撃したのかもしれません。」この一言がこの静まり返った空気に良く響いた。
妹紅が敬語使っていますが、元々は大貴族の娘である以上妹紅はこういう良識が有る、と作者は勝手に思っています。
次は妹紅が使者としてばりばり働く章になる予定です。