美鈴は紅魔館の門番と同時に庭園の世話をしているので、実は庭師でもあるんですよね。
「少し歩いて来た皆さんには悪いのですが、門は閉じるためにあるので今は見ての通り閉じています。」
紅魔館の門番である彼女は紅魔館そのものと同じ様に、幻想郷的な和風ではないことが名前と服装から分かるが、洋風な紅魔館と違い中華風である。
「なので、今から門を開くので少々お待ちください。」
今軽々と巨大な門を動かす彼女の具体的な容姿は、成人男性の平均身長を越える高身長に、赤髪のストレートヘアーに側頭部を編み込んでリボンを着けていて、服装は緑を主体とした中華服とチャイナドレスを足してニで割ったような帽子と服だが、下は踝まで届いているものだが雪は降っていないもののこの真冬の中何故か、女性らしさが滲み出るように胸元が大きく開いて半袖の服だった。
「それでは、開きましたので庭園をご案内しましょうか。……皆さんどうかされましたか?私の腕とか胸元をそんなに見て。」
その微妙に露出が高い服装をしている彼女を寒そうに外交使節団の多くは見ていた。
「あの、その…この真冬の中でその服装は寒そうに見えるので。」
外務省職員がその季節外れにも思える服装を指摘すると、「そうです!気が付いてくれましたか。」とどこか嬉しそうに返答される。
「実は私、人間そっくりなんですが妖怪なんです。」
「紅美鈴さんも妖怪なのですか!人間だと思っていました。」
本当に人間だと思っていたため、外務省職員はそう答える。
「そうなんですよ、私は妖怪なんですが見ての通り牙とか翼とか獣耳とか生えていないんです、そして今日は皆さんが来るのでこの服装で妖怪だからこの程度寒くないってことを示そうと思いまして。」
そんな風に美鈴が嬉しげに話していると、突如ザクッと美鈴の足元にいつの間にか飛んで来た、紙が巻かれたナイフが刺さった。
「これは…咲夜さんのナイフですね、えーっと何々『美鈴、貴女はいつまでこの真冬の屋外にお客様方を待たせているのかしら?早くご案内して差し上げないと今度は刺すわよ。』ですか、アハハっうちのメイド長に怒られてしまいました。」
そんなナイフに巻かれた脅迫文に対して美鈴はあっけらかんとしている。
その様子を見た外交使節団は流石に冗談ですよねという者達と、様々な部分で私達の世界とは違う幻想郷ならあり得るかもしれないという者達とで、別れたがどちらも目前で起きては欲しくなかった。
『咲夜はあんな見た目をしているくせに、結構荒っぽいからこれは本気だろうね、というかなんだったら後で刺されるかもな。』
「さて、立ち話はこの辺にして皆さんを紅魔館へお連れしつつ話すとしましょうか。」
そうして、外交使節団と妹紅一行は紅魔館の敷地に足を踏み入れた。
門の向こう側
そこは残念ながら今は真冬なので何も咲いていないし、なんだったら全体に薄く雪が降り積もっているが、他の季節には見事になっているであろう庭園があった。
「先ほどの話とも関係することなのですが、私はこの服以外にも似ている服をいくつか持っているんです、例えば長袖だったり、足にスリットが入っていて太ももが見えるのとかですね。」
「確かに幻想郷では自分らしい服装をするのが普通ですが、全く同じ物ではなく少しずつ違うのを複数持っていて、それらを気分等に合わせるのが多いですからね。」
紅魔館の門から入り口に続いている、雪掻きされたレンガの道を歩きながら美鈴の服装の話に妹紅が相槌を打つ。
「そういえば、藤原大使は私達の世界に来る場合夏でもその暑そうな服装ですが、幻想郷では少しづつ違う服を着るのなら、幻想郷での藤原大使の服装はやはり少し違うのですか?」
そんな服装の話になら妹紅はどうなのかと外務省職員が尋ねる。
「そうですね、私はあまり服装の種類が無くてですね、今着ているのくらいしかあの世界に行くのに良さそうなのが思いつかなかったです。」
そんな妹紅の服の話に、美鈴が記憶から別パターンの服を引っ張り出す。
「確か、妹紅さんの他の服はその服と似ているけれど、袖が完全に無くて脇が見えるのでしたよね。」
「それなら、夏も涼しそうなので夏服として着れば良かったのではないですか?脇を出すだけならそこまで露出は多く無いと思いますので。」
「いえ、あの服は袖がズタズタに引き千切れているものなので、あちらに着て行くには向いてないと思いまして、それに私は火属性が得意なので熱耐性の術は強いですからね、そうでないと自分が燃え尽きてしまいますので。」
そんな話をしながら入り口に向かっていると、霧の奥で紅いことしか判別出来なかった紅魔館には窓が驚く程少ないことが解ってきた。
そうして入り口に着いたところで、今まで先導していた美鈴は反転してこちらに向き外交使節団に話す。
「では、入り口に辿り着いたので私の案内はここまでですね、後は紅魔館のメイド長である咲夜さんが皆さんを案内してくれます。」
その一言と共に紅魔館の入り口が、誰も過程に気がつかないまま開いてそこにはメイド服を着た女性がいた。
「あの世界から来訪された皆様ごきげんよう、私はこの紅魔館の主レミリア・スカーレットお嬢様にメイド長を任命されている十六夜咲夜と申します。これから紅魔館の中を皆様にご案内させていただきます。」
咲夜のその一言で美鈴に見送られながら、咲夜に案内役が交代され紅魔館に入館することとなった。
「皆様、異世界から遥々この幻想郷の紅魔館へようこそ来てくださいました。」
十六夜咲夜、彼女は先ほどの物騒な文章を書いたとは思えない程瀟洒な人物である。
服装は袖と裾に白いフリルとスカートが付いた手首まで覆う青い服に白いエプロンという見た目のメイド服を着た美鈴より少し身長が低い彼女に連れられ、一行は玄関からギリシャ文字とアルファベットと幾つもの図形で構成された、回る魔方陣が描かれたエントランスに着くとそこで驚愕する。
「我々、この紅魔館一同皆様を歓迎します。」
エントランスの中央で咲夜が居り、その左右に並ぶようにメイド服を着ている外の世界では妹紅の写真やリリーホワイトとチルノで見たことのある可愛らしい妖精達と、小柄で醜悪とは言わないまでも昔ながらの不気味な見た目の妖怪ホフゴブリン達が居た。
咲夜のそんな歓迎の一言を合図に紅魔館一同がお辞儀をし、その後に外交使節団もお辞儀をする。
「これはご丁寧に、我々は日本からの外交使節団です。」
「では、外交使節団の皆様我々使用人一同に着いて来てください、歓迎パーティーを執り行いますので。」
そうして、外交使節団はエントランスからホールへ導かれ、そこで歓迎の立食パーティーに出席した。
「お嬢様曰く、私の準備が終わるまで暫く紅魔館を楽しんでいって頂戴、だそうなので好きなだけ写真を撮ったり我々に答えられることなら何でも聞いて下さい。」
そんなこんなで、パーティーでレミリアを待ちながらパーティーをすることとなった。
歓迎パーティーでは、外交使節団は各々別々の行動をしつつ楽しんでいた。
例えば、生物学の教授一同は、紅魔館の使用人であるメイド妖精とホフゴブリン達と話したり、本人達の人間とは違う羽等の身体の構造を写真に納めたり、触らせてもらったりして、
民俗学の教授一同は、使用人達に幻想郷の具体的な風俗を多様な視点から聞いていたり、学者一同はこちらに来たことの本分を努めている。
政府からの外交を担当する者達は、幻想郷に馴染むための分析をしている。
そんな、幻想郷との今までで一番大規模な交流の最中妹紅と咲夜はひっそりと話していた。
「妹紅貴女って敬語を使えたのね、意外なものね。」
「全く何言ってるのさ、私こう見えても大貴族の生まれなんだよそれくらい出来るさ、で紅魔館のお嬢様は一体何しているんだ?」
何故、呼んだ側の準備が終わっていないのか妹紅には不思議でたまらない。
「それは、お嬢様がフラン様を止めていたから再生と着替えるのに手間がかかったのが理由ね。」
「フランって言うとレミリアの妹だっけか、私は会ったことないからこれくらいしか知らないが。」
本人のことを全然知らないので、レミリアが再生しなくてはならなかった云々は無視して話を進める。
「あの方はね、お嬢様より吸血鬼らしい性格でその分凄い気紛れな方で、普段は本人曰く快適な地下室で暮らして居るのに、理由となる口実が有るだけで暴れ出す等問題行動が多いんですよね。」
話を聞いていると、レミリアの妹は中々に危険人物であるようだ。
「大体解ったよ、つまりレミリアは気紛れで何するか解らない妹がこちらのパーティーに出席しようとしたから止めようとしたら、戦うことになって止めることには成功したものの、再生しなくてはならない程の大怪我をした、と。」
「あら、貴女思っていたより理解が速いのね…、そして貴女の考えは合っているわ、そういうこと。」
其処まで話したところで、ホールの外から「待ってください、妹様!」「それは嫌というものよ、だってあの世界から来た大勢の人間なんて…面白そうじゃない!!」という声が聞こえて、バタンとホールの扉が開いた。
今回、紅魔館組は基本的に全員初登場時の服装ではないのにしています。
美鈴は智霊奇伝の服装、咲夜は妖妖夢の服装です。
フランとレミリア、皆さんはどちらが好きですか?
作者は甲乙つけ難いです。