波乱の展開で妖夢の一位からまさかの四位陥落と、フランの五位からの悲願の一位でしたね。
東方ステーションでも言ってましたが、インターネットサバイバーと剛欲異聞のおかげですね。
「どうもこんにちは妹紅さん、そんなに大きな隈を作って今日はどのような要件でしょうか?成る程、一昨日に隠岐奈さんが金の輸出を決めたことを聞いて、それについて悩みに悩んでまともに眠れなくなったので、もういっそのこと直接金の生産をお抱え事業とする地霊殿の主である私の意見を聞きたいと、先ず建前としては何に使うかは知りませんが、隠岐奈さんは社会的立場が高く信用があるので、売るのは吝かではありませんし問題は起きないことでしょう、本音としては外の世界に出すのは知っています、私の思いとしては元々の計画で使うことは知っていましたし、それで外の世界に大きな影響を出して妖怪が暮らせる世界にしたいですからね、喜んで渡しました、それ以外にも外の世界は我々覚り妖怪を毛むくじゃらと思っていたり、幸運で撃退する話ばかりで頭にくるので私怨というのもあります、いい気味というやつです。」
開幕からこうして会話にならない会話を一方的にしているのは、地霊殿の主の古明地さとりである。
話を聞きに来る度にこうして心を覗きながら喋り倒されるので苦手意識から接触を最低限にしていた妹紅だが、今さとりが言ったとおり隠岐奈の話に悩みに悩んだ結果、昨日大きな隈を作る程一晩考え込んでしまっていた。
そして、朝に妹紅が作った隙間を通って出勤した妖夢が驚きながら、「!?どうしたんですか!?妹紅さん!そんなに大きな隈を作って!しかも残っているってことは一晩中なにかしていたんですね、再構築する暇も無いくらい、それならば本日の大使館業務は妹紅さんがやらなくてはならないもの以外私がするので、妹紅さんはゆっくりしていてください。」と心配されてしまった。
しかも、昨日の日中もずっと考え続けていたので隈は治らず、「ああ!?治ってないってことは休んでないですね、駄目ですよ不老不死とは言え妹紅さん疲れるんですからね、いいですか明日は休みなので寝てください、いいですね!」とも言われてしまったが、この苦悩を解消するためさとりに話を聞きに来たのだった。
「それで妹紅さんはこれらの回答で満足でしょうか?はぁ満足ではないが聞きたいことは聞けて助かった、ですか…こうして態々地霊殿の主が疑問に答えているのにその態度は何ですか?もう少し喜んでは如何ですか?え?何々、喜んで欲しいなら心を読まずにいてくれ、そうするなら喜んでいる表情を見せてもいいのだけど…ですか、嫌です、私はこいしと違って自らの象徴を捨てるつもりはさらさらないですね。」
そんなさとりの長い独り言のような会話を聞き続けて会話して妹紅は「もういいよ…家に帰るから。」とやさぐれて足早に去っていった。
妹紅が去って暫くして、「あらら、苛め過ぎたかしら?いつもより疲れていたようでしたし、優しくすべきだったかしらね、でも今言ったことに嘘なんてないし、幻想郷のためには外の世界を変えないとね、それが外の世界をどれだけ苦しめることになっても。」彼女は無表情なように見えて少しばかり罪悪感を感じさせる表情でそういったが、それは妹紅を苛めたことについてなのか、幻想郷のために外の世界を犠牲にすることなのかは分からなかった。
「ねえねえお姉ちゃん、金をどうするの?」
「!?ビックリした!あんた帰っているなら早く言いなさい!私完全に誰も居ないと思って独り言言ってたじゃない!というか何時から居たの!」
妹紅が言って直ぐ、さとりはこいしに後ろから話し掛けられ、先程の無表情からは考えられないような驚きを見せる。
「うん、ごめんね、妹紅が帰るちょっと前かな、それで金なんて人間の欲望の塊をどうするの?教えて教えて。」
「 全く、さらっと流さないで反省しなさいよ、で金をどう使うのか…よね。」
先程との妹紅の時とは違ってさとりは普通の会話をしているが、それは無意識を操るこいしの心を読めないからだ。
閑話休題は兎も角、さとりの話だ。
「あれは少し細工をするようなのだけど、そんなに変えていない状態で人間に渡すことで欲望を刺激するのよ。」
「へ~そんなことしたら、人間は破滅しちゃうね~。」
こいしはさとりの話を聞いて思った人間の破滅を思い浮かべて楽しそうに笑う。
「あら、楽しそうね。」
「だって少し待てば出られるもの、しかも出られる頃には破滅が到来していると思うから、今から楽しみで仕方ないの。」
そんな物騒な会話を古明地姉妹は話していた。
さとりとの会話を終えて地底から地上に出た妹紅は、疲れから飛行するのを止めて一人トボトボ歩いて帰路についていた。
「はぁー。」
『私はこれからどうしようか、いやどうするも何もどうしようも無いが…なぁ~。』
歩きつつも彼女は酷く苦悩を続けていた。
『…確かにあの日、『画面の境界』を見ていたあの時に紫から話を聞いて、それでも外の世界に行くことを決めたのだから諦めるべきなんだが。』
そんな風に歩いていると迷いの竹林の手前に到着すると、「あ!見つけた!ヤッホー妹紅ー久し振りー。」少し遠くからそんな声から聞こえてきた。
「ヤッホー久し振りだね、どう元気してた?って!?どうしたのその隈!?大丈夫?何か辛いことがあったのなら相談に乗るよ。」
そんな声の方向に向かって妹紅が歩いて行くと、その声の主は先ず久し振りの再会を喜んで次に妹紅の隈に気付くと驚いて、妹紅を心配する。
「アハハー、私は大丈夫だから気にしないでくれないかな菫子、見た目には辛いようにも見えるが私は直ぐ治せるからさ。」
久し振りに再会した菫子に妹紅は心配をかけまいとするが、「そんな空虚な笑いでは誤魔化されないんだからね、立ち話にしようかとも思ったけど、何があったか妹紅の家で詳しく聞かせてもらうよ。」と菫子は真剣そうな顔でそう話す。
「大丈夫だから、心配しないでくれ、私は立場から言えないことが多いんだ。」
「それでも、言える範囲でいいから!さ!行くよ。」
「いや大丈夫だからさ!待って引っ張るな!お願いだからさ、待ってくれ!」
そうして、二人は妹紅の家に向かって行った。
さて、妹紅が菫子によって少々強引ながらも、ストレスの原因の情報を少し暈して吐き出している頃。
後戸の国で車椅子に座る隠岐奈と隙間に腰掛けた紫が側近も無しに話をしていた。
「さて最近はお互い交渉で忙しかったが、またこれから忙しくなるが気分はどうだ紫?……紫?物思いに耽ってどうした?やっぱり疲れているのか?それなら後は私がしようか?」
「…え?…ええ大丈夫よ、いえ最近他の世界との最後の擦り合わせをしていたら、思ったより忙しかったけど、そこまででは無いわ。」
妹紅が全国を遊覧飛行していた頃にはよく妹紅と会っていた紫だが、それ以降妹紅の前に現れることが減っていたその理由はここに有った。
「そうかそれはすまなかった、どちらかと言えば私の仕事の方が軽かったな。」
「気にしないで頂戴、貴女は貿易の交易品を集めた上でアメリカと交渉していて、そしてこの後の大仕事も残っているのよ、どちらにしろ大して忙しさは変わらないでしょう。」
隠岐奈が紫を労ったことから二人はお互いの活動を少し話し合ったが、話題を変えて最初の話題を戻る。
「では改めて最後の確認として、これから起こす外の世界改造計画の後戻り出来ない最終段階の覚悟は出来ているか紫。」
「ええ、こうして様々な世界を駆けずり回ったんだもの、当然出来ているわよ。」
「フッ、妹紅とは違ってお前には愚問だったな。」
隠岐奈は一昨日の件から随分気に病んでしまった妹紅を思い出す。
「そうよ、だからこうしてこの大量の異界玉も二人で用意したじゃないの。」
紫は隙間から濃い紫色の液体と濃い緑色の液体が決して溶け合わず、けれどもマーブル状に混ざりあったものが入りそしてその表面に3と書かれた水晶玉のような物を取り出しつつそう言う。
「まぁこれからも、暫く作り続ける必要はあるが、そうだな。」
「最近までとこれからの仕事の忙しさは矢張、これに関係するものばかりだけど、逆に言えばもうその段階に来たもの。」
二人は暫く異界玉関係のことを話し合ったが、お互いに分かっているからか、それの効果と運用については何も言わなかった。
異界玉関係の話から暫くして二人はまた話題を変える。
「それにしても、まさか幻想入りのシステムにあのような欠陥があるとは、盲点だったな。」
「そうね、あの欠陥に気付いたから我々は閉じ籠る訳にはいかなくなった、運次第で何もしなくてもいい可能性はあったけれどね。」
二人の新たな話題は、幻想郷が外の世界にその存在を表したその原因に移る。
「私もつい最近までは、お前による幻と現の境界と博麗の巫女による博麗大結界で幻想入りに問題は無いと思っていたが、前提が崩れることを考慮していなかったな。」
「ええ、私も気付いていなかったわ、気が付いていたら外の世界の幻想の否定の力を反転させる機能なんて、後で態々削除する必要のあったものを付けなかったわ。」
二人が言う欠陥、それは先程の異界玉のようにお互いが理解しているから具体的なことは言わないが、雰囲気から幻想郷にとっては大きな問題になるようだ。
「だが、その欠陥ももうすぐ気にしなくてよくなる。」
「そうね、その欠陥はこれから始まる外の世界改造計画の最終段階、これさえ終わればもう関係ない、そうして幻想郷には真の繁栄が訪れるわ、だから外の世界との交易頑張ってね。」
「紫もこれから起こるであろう世界間の確執の対処を頼んだ。」
二人はそう言って話し合いを締め括った。
次回で今回の章は終了です。
それにしても漸く前々から設定等を考えていた、本作品のオリジナルキーアイテム異界玉について言及出来ました、思い付いてからここまで長かったです。
本作品の活動目的である幻想入りの欠陥は前に作者は気付きましたが、実は原作である秘封で解決していることでもあります。
実際に運なのかは分からないですが、本作品では確実性を感じられなかったという設定で、秘封での解決方法を選らばなかったということで。