幻想郷の接触   作:ゼロ・ワン

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タイトルでバレバレですが、前彼女が言っていたことに繋がります。


希望の星は青霄に昇る

地獄の女神ヘカーティア・ラピスラズリ

彼女の記者会見は元々、地獄の存在証明によって動揺していた世界に衝撃を与えた。

その衝撃的な発言は去年、記者会見を開いた妹紅の時の記者会見を凌駕する程、と言ってよかった。

以下ネットの反応

 

『いやー地獄の女神様は恐ろしい方でしたね、それにしても何で豹変したんだろう、それまで機嫌が良さそうだし、あんなこと言うとは思えませんでしたね』

 

『ヘカーティア・ラピスラズリの言ったことを、一神教では魔女の戯れ言として無視するべきだ、と下の方では言われているけど、上の方は沈黙しているらしいな』

 

『比較しているのが悪いかもしれないけど~幻想郷って友好的というか優しい世界だったんですね~地獄は厳しい世界なようですね』

 

『ヘカーティアが言っていた、東の聖人が言っていたこと云々って本当らしいな、仏教の最初の教えを復元するとそうなるらしい』

 

『ヘカテーって、ギリシャの女神でしょ?それが閻魔達の所属する是非局直庁のトップだったとか、実際の関係は信仰地域とは関係ないんですね』

 

『はぁ~うちの弟は地獄で元気にやっているかな、いや行った時点で元気じゃないでしょうけど、沢山副葬品を持たせてやったんだから上手くやってるといいなー』

 

『私、正直に言ってあの記者会見に行ってた人達が羨ましいです!だって!圧倒的上位者に威圧されるなんて経験!なかなか得られないんですから!』

 

『ヘカーティアさんの本体の一人、貴方達が気付いていない世界のヘカーティア、と言ってましたけど、あれって月ですよね?月って世界だったんですか!?』

 

『ヘカーティア様の言っていた、自己と法に従えって話、人外に人間の何が分かるって話の返しとして、上手かった(笑)ですね、自分達の基準で悪なら地獄に堕ちることも不当ではないですからね』

 

『地獄に一番偉い女神様が居るのなら、幻想郷にも一番偉い神様は居るのかな?一番権力を持っているのは賢者達で横並びみたいだけどね』

 

『地獄があるのなら、逆に天界もあるんだろうな、というか六道に送ることもあるとか言ってたから、あるんだろうが、それなら天界に行きてーよー』

 

『ヘカーティア様麗しい方だったな~あの御方と共に居られるなんてピースちゃんが羨ましい~』

 

このように、外の世界は地獄やそれに類する話で持ち切りなままに迎えた、8月の初め。

妹紅は政府職員と共に一見一般的な車のようだが、横の窓から中が見えない車でとある場所へと向かっていた。

その車内は、呆れた表情の妹紅と申し訳ない表情で縮こまっている政府職員、そして絶対に関わるものか!と運転する運転手と、暗い雰囲気だった。

「ではもう一度だけ確認しますが、貴女方が今年の初めに幻想郷行った際に、ついうっかりエタニティラルバが付いていたのに気付かずに、彼女が日本政府の秘密の魔法研究所に五行の書とともに移送した結果、よく分からない宗教団体の常世教団が完成していたと、これでよろしいですか?」

この長い確認の言葉に政府職員は返答する。

「はい、このことを知らなかった政府官僚にはそう説明して、一般人には内密にさせていただきます。」

政府職員は本当に申し訳ない口調で今後の対応を話す。

現在、妹紅と職員が話している内容は、日本政府が条約を無視して幻想郷から持ち帰った、エタニティラルバの情報についての今後の取り扱いについてだった。

閑話休題

 

『これからラルバを回収しなきゃだが、あいつ教団なんて作っていたのか…絶対にラルバを出した原因はそれだな。』

会話の最中に妹紅はラルバが出された理由を考察する。

「あのこれは個人的なことなのですが、我々がエタニティラルバを持ち帰ってしまって本当に申し訳ありません、私もどうにか出来ればよかったのですが。」

妹紅がそう考察をしていると、少し上の空になったのを不満から話す気が失せた、と解釈したのか政府職員が謝罪を始める。

「いえ、お互いに上の意向があるので仕方ないですから謝らないでください、実際のラルバの扱いも魔法の知識を聞いただけで別に手荒な扱いはしていないようですし、紫が内密かつ不問でいいと言っているので、それで手打ちです。」

妹紅はこう言うが、職員は妹紅の発言に対して気まずさを感じたので、話を続ける。

「これは言い訳に聞こえるかもしれないのですが、実は1月4日の時、私は幻想郷から妖精を持ち帰る作戦について認識していませんでした、どうやら私には情報を回さないようにされていたらしく、止めることが出来ませんでした。」

そう言いながら職員は頭を下げると、妹紅は狼狽える。

「い、いえ頭を上げてください先ほど言いましたが、貴女が悪いのではなく黙って持ち帰ることを計画した方々が悪いのですから。」

そんなことを話していると、車は元々蜜柑果樹園の魔法研究所兼聖域と呼ばれる場所に到着した。

 

 

妹紅達が研究所に着く直前、研究所の入り口にて。

「ごめんね~皆、皆のことを導いたくせしてたった半年で帰りたい~と言いだして。」

「いえ、どうか頭を上げてください貴女はただ、使命感を胸に自己犠牲に来ただけなのですから。」

信者達を向いてラルバは謝罪をするが、信者達の中で手前に居た教祖が、貴女は悪くないと言う。

「自己犠牲なんて~そんな別に、大それたことではないのよ、それに貴女達のおかげで結局のところ覚悟は要らなかったわ。」

「そうですか…ここでも特に要求をしなかったり、やはり貴女は謙虚ですね。」

教祖はこう言うが、実際に彼女は殆ど要求をしていない教団を作ろうと言い出したのも、目の前に居る教祖だ。

「謙虚ってそんな~こうして帰ろうと言い出してるしね。」

そんな話をして、話は少し変わる。

 

「それにしても、運が良かったよね~私がホームシックでどう帰ろうかな?と思い始めたと同時に地獄が見つかるなんて好都合だったわ。」

「そうですね、お陰で我々のことを政府に開示した上、帰るための協力を取り付けることが出来ました。」

ラルバと教祖がこう言う通り、地獄の存在が証明されたことによって政財界はラルバをバラソウなんて、考えていないし、それどころか帰還に協力するなんて善行もしているんだ、と言うために幻想郷と協力して帰還させてもらえることとなった。

ちなみに、それだけではなく常世教団の信者達が株の売買によって大株主になるなど、大きな影響力を持ち始めていたこともある。

そんな風に話していると、いよいよ時間が迫ってきた。

 

「さてと、そろそろ妹紅が来るよ~だって強い火の魔力を感じるからね。」

そのラルバの言葉に信者達はいよいよかと、寂しさと悲しみと喜びの入り交じった複雑な表情を浮かべる。

「い、いよいよですか…覚悟していたとはいえ、もう貴女と会えなくなるのは、心にくるものがありますね。」

「もう、皆私が好きなんだから~♪今さら駄目だよもう直ぐそこまで妹紅が来ているのよ。」

実際その言葉通り外からは車の停車音が聞こえてきた。

「もう会えないと言っても大丈夫よ~皆のことは私の分霊がいつまでも見ているからね。」

そう言い終わると玄関に手が掛けられる音がする。

「それにお姉さんは違うでしょ♪」

 

ラルバのその謎めいた一言を言い終わると同時に「失礼します!おっと、そこに居たのか、これなら大声はいらなかったかな?」妹紅が玄関から顔を覗かせた。

 

 

「さて、帰ろうかラルバ。」

妹紅がラルバにそう呼び掛けると、「じゃあね~本体は離れても私は貴女達を観ているから~。」手を大きく振りながら、妹紅が『画面の境界』で作った隙間に入って行く。

「あれ?今の何だ?」

妹紅もラルバに続いて、隙間に入ろうとするが何故か立ち止まる。

「どうしたの妹紅?帰ろうよ。」

「えっうん、帰ろうか。」

妹紅は帰る直前何か不思議なものを見たが、見えたのは一瞬だけで、隙間から顔を出したラルバに帰ろうと言われたので、気のせいと思って隙間に入った。

 

妹紅達が帰る直前、教祖の背から揚羽蝶の羽が見えた気がした。

 

 

隙間の中

妹紅はラルバに常世教団の設立目的を聞くことにした。

「なんでラルバは再び神になろうと思ったんだ?一度は邪神として扱われたんだろう。」

「あれ~どうしてそんなこと聞くの~?」

妹紅の質問にラルバは頭に疑問符を浮かべる。

「いや、昔は排斥されたようだから、もう神として振る舞いたくないのが、普通な反応だと思うから、なんでかな?と思って。」

「成る程ね、確かにちやほやされたいだけでやるんだったら神なんて~強くても簡単には外せない呪いの装備のようなものだけど、私の目的のためにはこの地位は必要なのよ~。」

ラルバは何か目的があって神に戻った様子。

「どんな目的があるんだ?文脈からして個人的な理由じゃないようだけど。」

ちやほやされたいなら呪いの装備と言っている以上、個人的な理由ではなく、何か大きな目的のためだろう。

それの回答としてラルバは、「今後の外の世界には妖精のために尽くしてもらおうかな~と思ってね。」と、少し抽象的なことを言う。

「尽くしてもらう?どうやって?」

「いや、この後外の世界は大変なことになる予定でしょ~。」

「まぁ、そうだけど…。」

大変なことになる、と言われて妹紅は気まずそうに肯定する。

 

「そんな時、高い魔法技術と奇跡を操る集団が居たら~助けてもらう代わりに~従ってしまうでしょ。」

「それで、妖精に尽くしてもらうという要求を通すのか、でも本人が居ないんじゃ暴走するんじゃないのか?昔みたいに。」

妹紅は昔と同じになったら、失敗する可能性を指摘する。

「それは大丈夫、私の分霊が霊夢を通じて軌道修正するからね~。」

この場合の霊夢とは博麗霊夢のことではなく、有難いお告げの夢のことだ。

「でも霊夢だと、はっきり覚えてなかったりするだろ、少し確実性が薄いような。」

「それは大丈夫よ~もっと確実性のある方法として、私の代弁者は私の思う通りに受け取れるから~だって…」

ラルバがその後に言ったことは、妹紅の先ほどの疑問の答えだった。




作者この作品を書くにあたって、色々な思いがありまして。
東方の書きたい描写が先ずあり、それを全部やっても違和感のないように頑張って目的を決めました。

次に、やりたい描写が一つ一つ色々と違うので章ごとに描写の種類を分けることにしました。
一辺にやると違和感が凄いので。
だから、最終章は前回のように残酷な描写がたまにあります。
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