幻想郷の接触   作:ゼロ・ワン

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最近の話が暗いことに気付いたので、今回は明るい内容です。


自由の国へ

「到~着~!っと、『私が飛ぶより飛行機って速いけどそれでもかなり長かったな~っと、そうだ!』ボンジュール。」

テンション高めに飛行機から降りたのは、日本から遠く離れたこの国と交流を結びに来た妹紅だ。

「楽しそうですね、やはり長生きしていてもヨーロッパは始めてだからでしょうか?」

「そうですね、でもヨーロッパというよりはそもそも大陸に来たこと自体始めてですね。」

妹紅は約1400年程生きているが、その人生の過半は幻想郷で過ごしていたのでヨーロッパはおろか大陸に来たことはなかったのだ。

因みにこう言ったのは妹紅に着いてきたいつもの日本政府職員である。

そんな話をしつつ、妹紅は飛行機から降りて行くとそこにはこの国の政府職員が妹紅に対して歓迎しながら現れる。

 

「フランスへようこそ藤原妹紅大使、お会い出来て光栄です。」

流暢な日本語で彼女が言うようにここは自由の国フランスである。

 

 

 

「先ず藤原妹紅大使をご案内するのはここ、パリの中心に聳え立つパリの象徴の一つ!エトワール凱旋門です。」

妹紅が今日フランスに来た目的は親善の観光が目的である。

なので、妹紅は今フランスの首都パリの観光地をフランス職員に案内されていた。

因みにいつもの日本の職員は本人が別の仕事で別行動をしている。

「凱旋門は数あれどそれらは遥か昔のローマ帝国の物が殆どなのに対して、このエトワール凱旋門はフランス皇帝の戦勝を記念してローマ帝国の物を手本として建造された物です。」

「ローマ帝国ですか…私よりも昔の国とはもうまともに想像できない領域ですね、そしてそのような時代の伝統の建造物と聞くと古臭いという方もいるでしょうが、このエトワール凱旋門ではそんなことは言えないくらい豪華絢爛ですね。」

『実際凄いな~これ、でも門というけど実際には飾り以上の意味は無いんだろうね、そもそも閉じることが出来ないようだし。』

妹紅は自分の倍以上昔の帝国の建築様式の凱旋門を美辞麗句で褒めつつ、凱旋門の実用性の無さを考える。

妹紅はこんなことを考えているものの、実際のエトワール凱旋門は白く巨大で、美しい彫像が彫刻されていて見ているだけで面白いだろう。

「これは余談ですが、皇帝の名で建設が始まったこの凱旋門は、結局当時の情勢不安等が原因で完成まで三十年以上かかったため、皇帝の存命中には完成しませんでした、というオチがあります。」

「それは、折角作らせたのに完成しなくて皇帝も無念だったことでしょう。」

『本当、こんなに凝った建築物の完成が見れないなんて、当時は皇帝もこの国も大変だったんだろうね。』

そんなことを考えていると、「では、次の場所に参りましょうか。」と、別の場所へと促される。

『次はどんな場所だろう?私、詳細は聞いてないから楽しみだな!』

妹紅はワクワクしながらフランス職員に付いて行く。

 

 

昼頃になって妹紅は巨大な建物の前に立っていた。

「ここは、どのような場所でしょうか?ここはまるでお城のようです。」

「察しがいいですね!そうここは昔ルーブル城と呼ばれた城であり、今はフランスが誇る世界屈指の美術館!ルーブル美術館です!」

そうここは、フランス職員が言うとおり世界屈指の美術館であり、世界中から集めた六桁の収蔵品を誇る場所である。

「では解説は、中に入ってから致しますので、早速入りましょうか!」

「世界屈指の収蔵品、今から楽しみですね!」

そうして妹紅達はルーブル美術館に入って行く。

 

 

入って少し歩いた所で、フランス職員がルーブル美術館の解説を始める。

「現在貸し切りさせてもらっているここルーブル美術館は、人類の歴史上の様々な物品を集めており収蔵品はそれぞれ

古代オリエント美術部門、

古代エジプト美術部門、

イスラム美術部門、

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門、

工芸品部門、

彫刻部門、

描画部門、

素描・版画部門

の八つに分けられています。」

「流石、六桁も収蔵する美術館なだけあって、八つに分類出来るんですね。」

妹紅は反応が若干生返事だが、理由は彼方此方に幻想郷では見ないような様々な美術品が展示されていて、目移りしているからだ。

『半分の部門は西方で残りはその他という感じがするのは、やっぱり西洋の美術館だからかな?でも凄いな、遥か昔の美術品が沢山あるだけあって、幻想郷よりは薄いけどパリのどこよりも幻想の気配が濃いな。』

ただ目移りしているだけではなく、様々な幻想の品々に反応していたようだ。

 

暫くルーブル美術館を案内され、絵画が立ち並ぶエリアに来ると。

「そこで少しお待ちを、今から持ってくるとある絵画を幻想郷に運んでいただきたいです。」

「とある絵画…ですか?一体何故でしょうか?」

ある場所に差し掛かると、フランス政府職員が妹紅を止めて頼み事をする。

「あの実はですね、藤原妹紅大使には今から運んでもらう絵画をとある方々に渡して欲しいのです。」

「とある方々…ですか?」

今一要領の得ない回答に妹紅は首を傾げる。

「直ぐに説明いたしますので、もう少しお待ちを…あっ!到着しました。」

美術館の奥から、ここの職員と思われる六人が三枚の絵画を運んで来た。

「!?これはプリズムリバー三姉妹!いやオリジナルのプリズムリバー四姉妹ですか!」

運ばれた絵画に描写されていたのは、ルナサ、メルラン、リリカ、のプリズムリバー三姉妹が普段からは考え付かないような、落ち着いた服装かつ大人になった姿だったので、妹紅はそれを直ぐに三姉妹のオリジナルだと看破する。

「はい、どうやらプリズムリバーの皆様は自分のオリジナルの軌跡を探されているご様子でしたので、我々も探してみたところ、ルーブル美術館に三人の絵画が収蔵されていましたので、我々フランス政府とルーブル美術館の合同で渡させていただきたいです。」

「それはそれは、三人も嘸お喜びになることでしょう、それで三姉妹のオリジナルはどのような人生を送ったのでしょうか?」

フランス職員のサプライズに妹紅は有難いと思いつつ、三姉妹が気にしていたオリジナルのことを尋ねる。

「そのことにつきましては、大まかにですが説明しますと、別々の家に引き取られ改姓もした三人は一人でプリズムリバー邸に残ったレイラのことを案じながら、また会いに行くことを考えていたようですが…。」

「邸宅ごと、レイラは幻想郷に行ってしまって、もう会えなかった、ということですか。」

説明の途中で少し歯切れの悪くなった理由を妹紅が当てる。

「その後、三人は普通の貴族として過ごし子供も生まれて、その後普通に寿命が尽きたようです、これらの絵画はその子孫の方々が寄贈したようです。」

結局、オリジナルは邸宅ごと行方不明となった妹が居たことを除いて普通の人生を送ったようだ。

『末っ子は数奇な運命の下、幻想郷に流れ着いて苦労の末の不思議な人生、三人の姉が辿った普通の貴族としての普通の人生…か、私も生まれに少し問題はあったけど、蓬莱の薬を呑まなきゃそんな人生だっただろうし四姉妹はどっちが良かったんだろう?まぁ今の私だったら自信を持って数奇な方がいいと言えるけどね。』

妹紅はプリズムリバー四姉妹のうち、数奇な人生のレイラと普通の人生の三人に自分を重ね合わせ選択の良し悪しを考えるが、今が楽しい妹紅は自分は数奇な方で良かったと結論付ける。

 

「因みに私も子孫の一人です、しかも三人全員の子孫でもあります。」

「!?本当ですか!?」

妹紅が考察していたところで、フランス職員から衝撃の発言が飛び出す。

「はい、本当ですよ、実際この三枚の絵画と私の容姿が似ていると感じませんか?」

『あ!本当だ!目元がよく似ている!』

先ほどまで気にしていなかったフランス職員の容姿を、そう言われて絵画と見比べてみると確かに似ている。

「確かに似ています、…では絵画と一緒に貴女を写真に納めてもよいですか?三人も自分達のオリジナルの子孫を一目見たいと思いますから。」

「はい構わないですよ、綺麗にお願いしますね。」

三姉妹に見せるための写真を撮るための許可が取れたので、妹紅はカードを使ってカメラを隙間から取り出す。

「では撮りますよはい、チーズ。」

 

パシャリ

 

「どうですか?綺麗に撮れたでしょうか?」

フランス職員の質問に妹紅は「はい、綺麗に撮れましたし、絵画と並ぶとよりそっくりで本人達も大喜びするでしょう。」

妹紅の言うとおり綺麗に撮れており、一昨年に妹紅が沢山写真を撮った経験が役に経ったと言える。

「それでは、この絵画は幻想郷に運ばせていただくので暫しお待ちを。」

そう言って妹紅は絵画を持って隙間の中に入って行き、約三分後に戻って来た。

「お待たせしました、次はどこに行くのでしょうか?」

「では、次はこちらです。」

妹紅はまたルーブル美術館を案内され、その後もエッフェル塔等の名所を案内されて日が暮れた。

 

 

フランス親善観光で思う存分楽しんだ夕方、妹紅はホテルでゆっくり休んでいた。

「はぁ~、今日は楽しかったな~。」

『急にフランス語を日常単語だけでも覚えろ、と言われたときはどうなるかと思ったが、フランスの人達が日本語で話してくれて助かったよ。』

そんな風に物思いに耽っていると。

コンコン

「藤原様、日本政府から緊急の電話だそうです。」

『緊急?なんだろう?』

そんな言葉と共に、ドアをノックしたフランス政府職員の話を聞いて、電話に出ることにした。

 

「はい、もしもし藤原妹紅です、緊急の用事だそうですがどのような要件でしょうか?」

『ご休憩のところすみません、大きな事件が起きたので報告させていただきます。』

妹紅が電話に出ると、別の場所に滞在している筈のいつもの日本政府職員が電話に出て、大きな事件が起きたという。

「失礼なことを聞かせていただきますが、何故貴女なのでしょうか?一緒にフランスに来られましたよね。」

妹紅は単純な疑問を尋ねる。

『国際通話より、同じ国で通話する方がいいからという理由と、私も少し連絡が来ただけですが、既に世界中で話題になっていて直ぐに分かることだからです。』

直ぐに分かることと言われて、妹紅は納得してその事件について尋ねる。

「その世界中で話題の大きな事件とはなんでしょうか?」

『異界玉のカウントが1になりました、ほぼ確実にどこかの世界とこの世界が繋がりました!』

「え!?」

妹紅は驚きで一瞬放心してしまう。

『藤原大使、この世界は他の世界の情報がほぼ無いので、今後一緒に対応に当たって欲しいです。』

「は、はい私も幻想郷の賢者達と相談させてもらい、対応に当たります。」

それから、少し話して直ぐ通話は終わった。

 

 

一度地獄とこの世界を直線繋げた異界玉、条件さえ整えば他の世界とこの世界を繋げるこの道具は、下手な世界と繋がると危険だからと、世界中の政府が強制的に買い上げることになっていた。

もっとも、ボーダー商事は神出鬼没であり、ボーダー商事がいつの間にか売買している以上、様々な者が政府に黙って所持している。

そのため、ボーダー商事はオカルト界隈や各国政府が血眼で探る存在であり、何故そのような技術を所有しているのかもわからない謎である。

『と、外の世界は思っているけど、正体は幻想郷の賢者達で、異界玉で開く世界は賢者の思うがまま、今度は何をするつもりなんだろう?』

幻想郷の作戦を知らないから、外の世界に幻想郷の作戦であると思わせないことが役割の妹紅は、今回も聞いてない作戦のことを考えながら一晩過ごした。




最後は若干暗かったですが、暫くの話は明るい予定です。

前のプリズムリバー三姉妹の下りは、ヨーロッパにてオリジナルの軌跡を知らせるために入れました。
今回、それを回収しました。
オリジナルの人生は捏造ですが、そこまで可笑しくはないと思います。
絵画がルーブル美術館にあった理由ですが、こんだけ収蔵品があれば持っていても可笑しくなそうと思いました。
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