幻想郷の接触   作:ゼロ・ワン

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今回は久し振りに一日で出来たので、連日更新です。
タイトルが物騒ですが、内容は過激ではないですよ。


崩壊の始まり

誰かが幻想郷から現れてから、一月後の十一月

ニューヨークの何処かのお洒落なレストランにて、とある身なりのいい投資家が自分のノートパソコンを前に、悩んでいた。

「どうしようか?最近この株は順調に上がっているけど、でもこの会社じゃこれ以上の資金を投入したところで、利益には繋がらないだろうしな、いや後で売って利鞘で稼いで逃げようか?」

その投資家がそう苦悩していると、突如天啓を得る。

 

『いやよく見なさいよ、ここついこの前に最近流行りの魔法関係の事業をする、って言っているわよ。』

「あ!本当だ魔法に関する古文書を買い漁っているらしいな。」

実際にこの会社は魔法の研究のため、魔法に関する古文書を買っていると公表していた。

何故この会社が大々的に魔法の研究をする、と表明しているのか?

そうそれは、幻想郷の登場と共に世界は魔法関係の分野に大きな注目がされていたからだった。

特に、今年に入ってからは日本で実際に五行の書によって魔法の研究が進んでいたこと、

異界玉という本物の魔法の道具が入手出来ること、

魔法そのものがロマンの塊であること、

等々が相まって、世界各地の会社はベンチャーから歴史ある老舗企業まで様々な角度で研究をしていた。

その結果、魔法を調べていますどころか、魔法関係の何かがあるというだけで、株価が上がる魔法バブルというものが完成していた。

 

『それに未だ開拓されていない分野だから、一気に稼ぐことが出来る何かが見つかるかもしれないじゃない。』

「いや、でも見つかるとも限らないぞ、矢張止めてここは無視するべきか?」

投資家は天啓を得たが一旦落ち着いて、冷静さを取り戻して懐疑的に見る。

『でも、ロマンに見せられた馬鹿達が直ぐに買って高くなるから、今買えば売り抜いて勝ち逃げも出来るし、今買わなければ、高くなったここを見て後で後悔するわよ。』

「うん、それもそうだな直ぐに高くなるから買おう。」

結局投資家は、直ぐに冷静さをまた失って、株を買う。

 

『そうそれでいいのよ、貴方はたった今いい買い物をしたのよ。』

「いや~本当にいい買い物をしたな、今後の株価が楽しみだよ、そうだ折角だから他の同じような魔法関係の株を買うか。」

そう言って投資家はその後も、天啓に乗せられて様々な企業に投資をしていく。

 

 

それから暫く後、先ほどのレストランの近くの路地に、まるで八十年代の日本の金持ちのような、派手な服装をした女性が居た。

「うふふっ、今回も上手く行ったわ!あの男絶対に大金持ちだと思った私の勘は正解だったわね!」

そういいながら、その女性こと『最凶最悪の双子の妹』依神女苑は歩き出す。

「さて、今日はこの辺かしらね、姉さんが心配だから帰るかね。」

そう言って女苑は帰路に着く。

 

 

暫く歩いて辺りが暗くなってきたところで女苑は、ニューヨーク郊外の豪邸な一軒家にたどり着く。

「漸く到着だわ、ニューヨークは幻想郷と違って飛ぶわけにはいかないから、不便だわ~。」

そう言いながら女苑は家の鍵を開け、取っ手に手をかける。

「ただいま!姉さん今日は何も壊してないでしょうね。」

女苑は玄関を開けながら、家の中にそう言う。

「お帰り女苑…今日は大丈夫何も壊してないわ安心してよ…!?あっ!あわわ~!」

ガシャン!

 

「あ~やっちゃったか~、で今何を壊したのよ。」

女苑は玄関を閉め、音がしたキッチンに向かい、そこで姉に呆れた口調で説明を求める。

「ご、ご免なさい…女苑がもう少しで帰ってくる筈だと思ったから…夜ご飯の食器を出そうと思ったの…油断して落としてしまったけど。」

そう女苑に申し訳なさそうに言う彼女は、青い大きなリボンと灰色のパーカーと青いミニスカートに、沢山の請求書が貼られた服装をしている。

そんな特徴的な服装の彼女は『最凶最悪の双子の姉』女苑の双子の姉の依神紫苑である。

 

「はぁ~、姉さん箒と塵取り持ってきて、皿の破片をさっさと片付けるわよ。」

そう言いながら、キッチンで飛び散った大きな破片を摘まんで集める。

「分かった取ってくるわね…手間をかけさせてご免なさいね女苑。」

紫苑は罪悪感からそう謝るが、「いいのよ、姉さんがドジなのにはもう慣れているからね、兎に角取ってきて。」女苑はそこまで気にしていない様子。

「は~い。」

そうして、紫苑は今度こそ箒と塵取りを取りに行った。

 

 

夕食後、二人は女苑が買った豪華な高級ソファーに二人で寛いでいた。

なお、このソファーは買ってから未だ数日であり、三代目である。

理由はお察しの事だろう。

閑話休題

二人はソファーの上でとある話をしている、内容は先ほどのフォローである。

「やっぱり、姉さんは便利よね~姉さんが取り憑いているだけで富が集まっても面倒なことが起きないから助かるわよ、本当にね。」

ぶっきらぼうではあるものの、女苑のその言葉には確かに紫苑への感謝が感じられる。

「そう…かしら?確かに面倒なことは起きないけど…でも私が取り憑いている限り、どんどん運が悪くなっていくわ…実際そのせいで女苑は…ただ一人で贅沢するのよりも…もっとずっと沢山の運を回収しているのよ…それに私…ドジだし。」

彼女らが言っていることは一見よくわからないが、それは彼女らの能力が前提の話だからである。

 

『自分も含めて不運にする程度の能力』

これは姉の紫苑の能力であり、自分と取り憑いている者を不運にする効果がある。

だが何故、女苑はこの能力が便利と評価したのか?

それはこの能力には不運になる以外の面倒事、つまり運の関係なしに必然的に起こる筈の困ったことをシャットアウトする効果も内包しているからだ。

その結果、依神姉妹の家は豪邸なくせに防犯機器が何も無いのにも関わらず、強盗が入らないし、ご近所トラブルもなければ、金に釣られて怪しい人間が近づくこともなく、平和に過ごせている。

 

でも、不運には成るのに何故豪邸に過ごせているのか?

それは女苑の『財産を消費させる程度の能力』が関係している。

この能力は取り憑いている者に抗い難い囁きで、財産を消費させる効果と取り憑いた者の運を奪い去る効果を持つ。

この能力で、先ほどの投資家は女苑の言葉で冷静さを失って投資をくり返していたし、更に運がある程度奪い去られていた。

この能力で集めた運を女苑は紫苑の能力のデメリットの中和に使っていた。

それは兎も角、フォローである。

 

「姉さんはそうは言うけど本当に助かっているのよ、少し住んで分かったけどニューヨークは生き馬の目を抜くような場所よ、アメリカそのものが実力主義だから金の亡者が多いからね。」

「え?…女苑がそれ云うの?」

フォローだったが、紫苑は言外に女苑もそうでしょうと言う。

「なによ!言っておくけど私は違うからね!だって他人の金に群がっているんじゃなくて、使わせてるんだから。」

何か違いがあるのかわからないが、本人にとっては違うらしい。

「そ、そう、それで話は変わるけど…この仕事はどう?楽しいかしら?」

「勿論!楽しいわ、気が付かないうちに私に利用されているあいつらを見ていると、笑えてくるわ!あーはっはっは!」

ニューヨークに来てから女苑は日頃、他人に取り憑いて自分の買い集めた魔法関係の格安だった株を買わせて、高くなったところで少しずつ売っている。

因みに、財産の消費は周りに伝染するので、取り憑くのが一人か二人でも伝染の影響で株価が上がっている。

「そう…それなら良かったわ、あの秘神の依頼を受けて正解だったわね。」

「そうね、しかもあの賢者が下準備としてあの悍ましい金と石油をばらまいていたお陰で、皆簡単に財産を消費するから楽で仕方ないわね!」

女苑は金と石油を悍ましいと呼ぶ。

それらはアメリカ政府と隠岐奈との密約で囮のマジックアイテム等と共に交易されていた、罠だった。

 

「それにしても…あの秘神もよく考えるわよね~あの使うだけでも大きなリスクのある地獄がルーツのそれらを、こうして相手を破滅させるために使うだなんて。」

地獄の設備によって生成されていたそれらの原材料は、怨霊だった。

金は怨霊の濃密な浅ましい欲望を、怨霊事地獄の釜で融解することによって生成され、石油は大量の怨霊を投入して溶解させることにより容積が増える血の池地獄を、変換されることによって生成される。

「若干効果を弱めているっぽいけど、あんな物使っていたら忽ち怨霊の欲望に汚染されて、もうまともな精神ではいられないわ。」

「その結果、この幻想のブームによる魔法バブルが加熱されて…更に女苑がそれをエスカレートさせる…そして高くなった株価は後で破滅的な下落が起きる…私達は分かっているから売り抜いてしまえばいいからね…フフッ。」

正に悪魔的な発想だ、隠岐奈は神なのに。

金も石油も、もう現代社会では上から下まで切り離せない。

 

石油は、この現代ではインフラそのもので燃料であり、道路やプラスチックといった様々な物質の材料でもある。

石油に対して金は、現代だけではなく昔から装飾品や財産であり、装飾品や財産としては下は持てない物ではある。

だが、現代では金の持つその圧倒的な電導率からスマホに使用されている。

当然のことながらしっかり金ではあるので、幻想郷から輸出された金は純度を高めるのは兎も角、他の金との違いがあるとは考えずに、混ぜて使っているので汚染は広がっている。

 

「それにしても魔法バブルとか(笑)、人間って愚かよねこれが幻想郷によってわざと作られているもので、崩壊させるために作られたことに気が付かないんだから。」

「まぁそのお陰で…私達はこうして豪邸で高級家具に囲まれて高級食材を買って食べられるから、有難いことだわ。」

そう二人は笑いあって、その日は過ぎていった。




因みに今回のバブルは一昔前にあったアメリカのインターネットバブルがイメージです。
特に新技術に取り敢えず投資しようってところとか。

追記
申し訳ないのですが、何か年末年始の連休以降モチベーションが上がらないです。
一応現在、次のエピソードの文字数は千文字超えているので来月迄には更新出来る筈です。
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