幻想郷の接触   作:ゼロ・ワン

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そういえば、東方の月って幻想郷と外の世界のように裏表になっていて、空気や水の無い表の月と、空気があって水で出来た海があって植物があって都市のある、そんな月の都という関係になっているようですね。


浄土の月と穢土の地上

テレビで生中継され、記者達や政府の職員が集った会場にて。

 

前々回は幻想郷、前回は地獄の記者会見をしたここで、今度は月の都による記者会見が行われようとしていた。

後記者会見が始まる直前の時間になるまで、誰も来ないが地獄も同じ様な感じだったので、皆黙って待っていると。

シュッ

こんな音がして、地獄と違い何の演出も無く三人の女性が急に現れる。

「それでは、私達三人が揃ったので記者会見を始めましょう。」

と、唐突に記者会見が始まることとなった。

 

これを言ったのは、短めの白髪に加えて白い鳥の翼を右側に片翼として生やした月の賢者、

「それでは先ず自己紹介から、私は月の政治を運営する賢者の一人にしてその名を、稀神サグメという者よ、この世界では天探女と呼ばれる神である。」

サグメのその容姿はまるでビジュアル系のようであり、それでいて可愛らしさのある顔、片方の翼の神々しさも相まって、記者達やテレビを通じて見ている人達の中には、男女問わず恋をする者がひっそりと現れていた。

閑話休題

 

サグメは中央におり、その両脇に二人の女性が立っていて、そのうちの向かって右側が、「それでは、次は私ね。」と名乗り出す。

その女性は扇子を持ち、長い亜麻色の髪をして大きなリボンの付いたつばの付いた帽子をして、白いシャツに大きなベルトとスリットのように生足が見える青いスカートをしている。

「私の名前は綿月豊姫、月の民の一人であり、月の防衛を担当している軍団のリーダーを妹と二人でしている者です、此方では豊玉姫と言った方が通じるかしら?」

豊姫は少し首を傾げ、問いかけながらそう自己紹介する。

この豊姫の軍団のリーダーという話を聞いて、そんな人物が来てるとか、今何か問題が起きたらどうするんだろう?と一部の人は疑問を抱く。

「軍団のトップの私達が此方に来ていますが、特に問題は起きないでしょうし、万が一私が居ないと不味い事態になったとしても、ありとあらゆる場所への転移を可能とする私の能力、山と海を繋ぐ程度の能力で直ぐに到着するので問題は無いですよ。」

そんな疑問は豊姫の説明で即座に解消する。

 

月から来た三人のうち二人が名乗ったので、次で自己紹介は最後になる。

その女性は、帽子は無く薄紫色の長い髪をポニーテールで纏めていて、顔から下は先ほどの豊姫とは対称的に青い部分が赤くなった服装をしていて、その服装は豊姫と対の存在であることを伺わせる。

「最後は私ですね、私は綿月依姫、名前で分かる通り貴殿方から見て右側に居る綿月豊姫の妹であり、姉妹で月の防衛軍のリーダーをしています、確か此方では玉依姫と呼ばれていましたね。」

綿月姉妹を見ていた人々は、大体は豊玉姫とか玉依姫とか言われてもよく分かんない、が大半だったが神話に詳しい者は、姉の息子と結婚した妹というある意味狂った関係な神、その本人達なのか!と驚く。

「此方でも知られているので一応言っておきますが、私の夫は確かに甥っ子でもあります、ですが何か問題でもありますか?私は人間ではないので近親に弱い生物ではないですし、愛があれば問題無いですよね。」

まるで狂った存在のように見られているを感じたのか、依姫は不満気な顔で何か文句でもあるのか!という圧力を出しながらそう言う。

 

「では我々の自己紹介も終わったので早速、今回我々が来た理由を説明しましょう。」

サグメがそう言ったことで、記者達は気を引き締めて一言一句漏らさないようにするが、その直後のサグメの発言は耳を疑わざるを得ない内容で、「結論から言いますが、もう貴殿方は月に来ないで頂きたい。」そう、はっきりとした拒絶をサグメは告げる。

「「「「!?」」」」

テレビを見ている者も記者も、その発言には驚愕するしかない。

「おや?どうされましたか?質問ならば特別に許可しましょう。」

驚愕から立ち直った記者の一人が手を挙げたので、サグメは発言を許可する。

「許可をありがとうございます、では二つ質問させて頂きたいことがあります。」

「いいでしょう、内容も予想出来るのでどうぞ言ってください。」

記者は二つの質問をしたいとのことだが、サグメは先ほどの発言に関係する質問だろうとあたりを付けて許可する。

「では、何故我々が月に来ないで欲しいのでしょうか?それと月に来ないでとは、今回が特別なだけで交流もしたくないのでしょうか?」

記者はかなり踏み込んだ、いや、この場で聞いてはいけない、と言ってもいいほどのことを尋ねる。

この質問に各地の地上の人間は息をのみ、豊姫はあらあらと言わんばかりに扇子で口元を隠し、依姫は真面目な表情を崩さないものの、手が力んでいる。

 

そんな質問をサグメは淡々と答える。

「先ず一つ目の質問ですが、我々月の民が貴殿方地上の存在に月へ踏み入れて欲しくない理由ですが、一言で言えば浄土である月に穢土である地上に住まう存在が踏み入れることで、穢れが移るのです。」

穢れが移る、一見差別に聞こえるこの発言に多くの者が憤慨するが、それを見越してサグメは解説をする。

「今貴殿方はこの私の発言を妄言や差別として捉えて、怒りを覚えているのだろうが、そうではない、穢れは実在する、丁度良い例として此方には幻想郷から送られた蓬莱の玉の木の盆栽があるでしょう。」

そう言われて人々は、そう言えば穢れを吸って成長するというあれがあったことを思いだし、一旦怒りは沈静する。

「穢れは物体の変化や劣化に作用する、そのため物体は壊れ、変化し、腐る、我々はそれを嫌ったため、穢れの存在しない浄土の月に住んでいる。」

サグメの話は多くの者にとっては共感できるものである。

何故なら、誰だって大事なものは壊れて欲しくはない、だが時間の経過でどんな物も劣化して壊れ行く、それが嫌だから穢れを持って来ないで欲しいという理屈は出来る。

「逆に絶対に穢れを含まない物質ならば、絶対に壊れなくなります、月では実際にそんな物質を完成させていますよ。」

サグメの穢れの説明に加えて、豊姫が逆に穢れを含まない物質の説明を始める。

 

シュッ

そんな先ほども聞いた音と共に、豊姫は先ほど説明した山と海を繋ぐ程度の能力で、長い紐を自分が握っている状態で転移する。

「これが実物の穢れを絶対含まない物質、我々がフェムトファイバーと呼んでいるもので、我々は古くから沢山作っているのでこれは差し上げます、これはどんなことをしても壊れないので、逆説的に穢れの力を知るといいと思いますよ。」

そう言って、彼女は優しそうな笑みを浮かべて座っていた政府の職員に手渡す。

これらを聞いて、本当に壊れない物質があるのかという反応と、壊れない物質を作れるとか月って凄いなーというに分かれる。

 

豊姫がフェムトファイバーを手渡して直ぐ、

「先ほど質問は二つと言いましたが、追加で質問させてください、これ程までの技術を持つ貴女方が月に来ないでくれ、と言うことは浄土は少ないのですか?。」

先ほどの記者が質問を追加する。

「それも答えましょう、穢土は幻想郷、地獄、地上、貴殿方が今までに認知してきた世界を含めた殆どの世界であり、主な浄土は死ぬことで肉体と共に穢れを捨て去った霊達の世界である冥界と月程度、浄土は希少と言っていい、それならば尚のこと我々は浄土の月を手放すつもりはない。」

ここで、地上で始めて冥界という世界の存在が明かされるが多くの者はそこに気付かず、月の民が本当に浄土に執着していることを実感する。

 

「とは言っても穢れを無くす方法は無い訳ではなくそれどころか、複数存在しているので浄土を保てているのですがね。」

サグメの話の直ぐ後に、月の民は天敵と言ってもいい穢れに対応出来ないと思われたくないのか、依姫が自慢気な表情でサグメの話を補完する内容の話をする。

「具体的に言えば、蓬莱の玉の木を植えて常に穢れを吸わせていますし、私の神霊を呼ぶことが出来る程度の能力で穢れの浄化を可能とする、神を神降ろしすることでも可能です。」

それを聞いて、月にとっては其処までは切羽詰まっている訳ではないことを察する。

「とは言っても、態々浄化する手間が発生する場合があるので止めて下さい、特に大人数の場合は持ち込まれる穢れの総量も増えるので我々には迷惑ですがね。」

依姫の話で穢れが入り込んだ後の問題は解決可能と示した直後、迷惑だと辛口なことをサグメが言う。

 

「では二つ目の質問ですが、基本我々は浄土を守るために他の世界と交流していないです。」

そう言って、地上の人々はがっかりし出す。

サグメに恋をしていた者達は特に。

「ですが、例外的に幻想郷にはある程度の交流があり、更に永遠亭に八意永琳、蓬莱山輝夜という二人の月の民が暮らしている関係で月の都の文物を展示する、月都万象展という催しをしています。」

そのサグメの言葉に皆おや?と少し希望を抱く。

「なので、幻想郷と協力して地上でも出来るかもしれないので、貴殿方が合意さえすれば我々との交流が出来ないという心配は無用ですよ。」

記者会見の場では流石に居ないが、テレビの前の人々はおおー!!という歓喜の声を上げる者が続出する。

「我々としても、月に辿り着いた貴殿方との交流の場を無くすのは嫌なので、地上での月都万象展の開催出来ることを楽しみにしていますね。」

サグメがその言葉と共に薄い笑みを浮かべて、最初は友好的でありながら険悪に終わった前回の地獄とは対称的に、最初は険悪に最後は友好的に終わった。




依姫の甥っ子との既婚者ネタはちゃんと原作通りですからね。
永琳が言ってました。

サグメが口に出すと事態を逆転させる程度の能力を持っているのに、ペラペラ喋っています。
ですが、あの能力は進行している事態に言及することで結末を逆転させる能力です。
なので、本作品では月に移住することを計画しているようですが、とかの進行している何かに言及していませんよ。

来週にカービィwiiのリメイクが出るので楽しみです。
当日に有給も入れているので、暫く遊んでます。

追記
投稿する前に気付かずに、サグメの最後の方の文言が能力に引っ掛かる内容になっていたので、多少変えて引っ掛からないよう内容を少し曖昧にしました。
ミスに気付かずすみせん。
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