前回があんな感じでしたが、残念ながら今回は年末年始の方が来ます。
今回は、本作品最初の謎が回想されますよ。
前回の後書きで、あらすじを変えるのを示唆しましたが、全体を少し書き換えつつ、悩みを解決するために追加の文章を入れる形で変更しました。
「はぁ、もう年末か…今年も忙しかった、来年で多分終わりだが、どうなるかね。」
月の民の記者会見が有った日から少し経って大晦日の夕方、妹紅は去年と違って誰にも呼ばれていないので、独りぼっちで年末年始を迎えようとしていた。
因みに、月都万象展の誘いは日本の側であれこれ準備の時間が係るので、流石に今年中には行うことが出来なかった。
それは兎も角、妹紅は何やら物騒なことを呟く。
『今年で、幻想郷を含めた三つの世界が直接的に関係を持った。』
妹紅は今年のことを振り返り、外の世界から来た二回の外交使節団のことと、幻想郷との交渉で共に動き出した、偶然繋がったことになっている地獄と情勢を鑑みて動いたことになっている月の都を思い出す。
『これらの結果、外の世界では幻想の濃度が世界的に復活し始めているからな、後は外の世界が対応出来るレベルで幻想に慣れる前に一気に崩壊させる筈だ。』
妹紅はこれからのことを考察するが、そこには崩壊というワードが混ざる。
『私の思考が、これを賢者達によって起こされる可能性に至った時、悩みに悩んで辛かったけど、あの時の私を菫子が元気付けて立ち直らせてくれたから、今は割り切れたけどね。』
あの時の妹紅は、隠岐奈が怨霊が原材料な金と石油によって経済システムが麻痺させることを予想していたが、あの後に今までの活動を考えると、それだけであの賢者が終わらせる筈がない、そのことに至って憂鬱になっていた。
『そういえば、あの時菫子には憂鬱過ぎてこれからの予想を語ったが、あれ以来菫子を見てないような?』
妹紅はあの日から約10ヶ月間菫子と会っていなかったが、長生きしていて時間感覚が気長なこともあって妹紅は、今まで気に止めていなかったことに気付く。
『う~ん、最近会わないのは幻想が濃くなったから彼是調べているのかな?それとも崩壊への対策かなんかでもしているのかな?』
そんな考えをしながら、夕方が黄昏ていく。
妹紅がそんなことを考えているその頃
「う~ん、これだけあれば大丈夫かな~?いや未々足りないかな?来年から世界は激変してまともな買い物は出来ないくらい、何でも高くなるだろうし………よし、もっと買うことにしよう。」
ここは、外の世界のとある一般家庭の普通の一軒家、そこの子供である宇佐見菫子は自室で、通販サイトを開いたスマホを見ながらそう呟く。
「でも、お金…足りるかな?最近色々買い過ぎて貯金が無くなってきたんだよね…やっぱお小遣い増やして貰えないか交渉するしかないかな。」
お金が足りないと呟く菫子の部屋には箱買いされた缶詰め等が、積み上げられている。
これらはどう考えたって怪しいくらいに積み上げられているが、実は親には部屋に入れさせないことでどうにかしている。
「でも、貯金は減ったけどあの時にあの話が聞けて良かったよ。」
菫子はあの日、妹紅を励まして予想外のことを知ってしまったことを回想する。
『よし、妹紅の家に着いたし、何でそんなに憂鬱そうなのか聞かせてもらうよ!』
元気な菫子と思い詰めた表情の妹紅、対照的な二人は妹紅の家で話を始める。
『いやだ…言いたくない、言ったら菫子も多分憂鬱になると思う、だから抱え込むのは私だけでいいよ。』
罪悪感と責任感からか妹紅は先ほどから、菫子の提案を断り続ける。
『だから!大丈夫だって!私もこの幻想郷に始めて来てから結構経つんだよ、大抵のことじゃ問題ないよ。』
『いや、それでも…』
それでも妹紅は頑固に断る。
こんな問答をしてから暫く。
『分かったよ…でも聞きたいと言ったの菫子だからね、聞いても後悔しないでくれよ。』
『大丈夫大丈夫!さ!教えて。』
菫子の説得に妹紅は渋々嫌そうにだが、話す気になったらしく妹紅は語り出す。
『先ず結論から言おうか、これは飽く迄も隠岐奈の思考とかを読んだ私の予想だが、幻想郷の最終的な目標は外の世界の現体制の崩壊だろうね。』
『現体制の崩壊!何それ!あんなに仲良くしているのに幻想郷は日本を裏切るつもりなの!?』
当然、現体制の崩壊と聞いて菫子は動揺を隠せない。
『いや、日本じゃない、日本を裏切る訳ないだろうだって、流石にあれだけ仲良くしている相手は裏切るつもりはない、と思うよ。』
日本を裏切るつもりなのか?という菫子の質問に妹紅は否定を返答する。
『じゃ、何処を崩壊させるの?幻想郷が一番関係を持っているのは日本だよね。』
『多分…逆だな。』
『逆?それってどういう…』
菫子は簡単に出来そうという意味で、日本を挙げたが妹紅は逆という回答をして、菫子は困惑する。
『逆というのは、日本以外の全てが対象ということだよ。』
『日本以外って…え!もしかして?まさか…日本以外の国々全部…なんて言わないよね。』
菫子の予想が本当だったら、どれだけの規模で外の世界は荒れるのかもはや想像が付かない程と行っていいだろう。
『うん…そのまさかだと思うよ、数々の大国は崩壊、最低でも衰退を免れないだろうし…その余波で小国の殆どは滅亡するだろうと私は予想している。』
『………!?』
そしてそのまさかであり、菫子は絶句するしかない。
『絶句しているようだけど、このまま話を進めるよ、何故大国の衰退と小国の滅亡がセットで起きる理由だけど、今の世界はグローバリズムが進んで世界の結び付きが強くなっているから、今の外の世界はあれだけの発展をしたけど、逆に何処かが崩れば、幻想郷が後で介入するであろう日本以外、後は連鎖的に終わるんだよ。』
妹紅は外の世界で学んだことを元に、推測したことをつらつらと語っていく。
『なら、前提である大国の崩壊とはどうするのか?それは幻想を濃くすることで活動が可能となった妖怪達によって、対応出来ない様々な怪現象を起こさせるんだと思う。』
『…でも!今の世界は科学も軍事も大幅に発展しているんだよ、それなら倒すことだって!』
崩壊の仕方に絶句から戻った菫子は、そんな簡単にいく訳ないとその要素を挙げていくが、『いや、それも本質的には意味がない、妖怪は精神が主体であるが故に肉体が損傷しても、それどころか四肢が欠損しようとも時間さえあれば再生するし、妖怪は殺されても死なない。』そう無駄な理由を説明されて否定される。
『殺されても…ってえ、妖怪ってそんな丈夫だったの!たまにスペルカードルールの決闘で避けるのを失敗すれば、相手や自分が死にそうな攻撃してるのも?』
菫子は幾つかの殺意の高い段幕を思い出して、そう質問する。
『まぁそうだろうね、私もそういう段幕を幾つか作ったし、で話を戻すと、さっきの理由から物理攻撃より魔法の方が効きがいいし、忘れられないなら妖怪は何度でも甦る、妖怪の死とは世間からの忘却だからね、でも今の世界では便利な情報媒体と対策のための認知でそれも難しくなってるよ。』
妹紅は様々な絶望的な現状をどんどん話す。
それを聞いた菫子の顔は最後、青ざめるしかなかった。
この後も、妹紅と菫子は話をした。
話して情報の共有で気が楽になった妹紅に対して、菫子は話の後気が重くなった。
回想から戻って現在。
「あの日以来、自分でもどうにかする方法を考えてみたけど、多分どうしようもないからこうして、崩壊で物価高騰する前にいろいろ買い込むしか出来ないな、誰も信じないだろうし、あーあ折角聞きだしたのになー。」
菫子はそう自嘲気味に呟く。
「あ、でも秘封倶楽部を利用して他の人にそれとなく物の貯蓄とかを勧められるかも、今の私ってそこそこオカルト界隈で名前が知られ始めてるし。」
そのことに思いついて、菫子は最近低かったテンションを取り戻す。
「よし、新年の抱負はこれにしよう。」
そこで、菫子は来年の予定が埋まるものの、「そういえば、妹紅は今どうしてるんだろう?」ふとそんなことを思った。
視点は戻って迷いの竹林。
もう夜になったこの時間に妹紅は火も灯さず、室内で静かに考えごとをしていた。
「そう言えば、全てはあの日から始まったのか、まさか外の世界に出られるとは思わなかったが、あの理由じゃ仕方ないことだけどね…。」
いろいろと考えて妹紅はあの日のことを、八雲紫に外の世界を飛ぶことを依頼されたあの日のことを回想することにした。
『まあそう邪険になさならいで、理由は説明しますから。』
妹紅の回想は理由を説明する直前から始まった。
『へえ~私を納得させる理由があるなら、言ってみなよ聞くだけ聞くからさ。』
紫の説明を嘘や誤魔化しが混じっていると考えて、妹紅は邪険になさならいでと言われたのに邪険に扱う。
『はぁ…では説明するけど、先ず前提として幻想入りの原理を貴女は理解しているかしら。』
紫は妹紅に外の世界に出て欲しい理由のために、前提知識の確認を行う。
『いや、流石にそれくらいは知っている、ここ幻想郷では忘れられた者が辿り着く場所だけど、その理由は常識と非常識を反転させる幻と現の境界によって、外の世界における現在の存在は常識であるのに対して、相対的に忘れられたものは非常識になっているから、幻想郷に引き込まれるというのが原理の筈だ。』
妹紅も幻想郷に住んで長いため、自分が住んでいる場所の仕組みはある程度説明出来るため、すらすらと語る。
『そして、幻想郷は流れ着く様々な存在によって変化と発展を続けている、というのが今の幻想郷だろう。』
最後にこの仕組みによる恩恵を妹紅が話たところで、紫は満足そうにして話を進める。
『そうそれで合っているわ、分かっているようだから本題に移りましょう。』
そういうことで、いよいよ、一見意味不明に思えた紫の考えが明かされる。
『結論から言えば、この幻想郷の仕組みには限界があってこのままだと幻想郷が滅亡することを、我々賢者は気が付いたのよ。』
紫の一言は衝撃的すぎるものであり、妹紅は大混乱に陥る。
『滅亡だって!?…どうしてそうなる!それに限界というのもなんだ!いやさっきの話と関係があるなら!問題は無い筈だ!何故なら!時の流れの中で人々は様々なことを忘れ去るから、幻想郷に流れ着くことは止まらない筈だ!』
驚き過ぎたからなのか、紫が嘘を付いていると判断したのか、妹紅は矢継ぎ早に質問や幻想郷に問題が無いであろう点を語る。
『…残念ながら限界はあるのです、特に幻想には存在しているの。』
『幻想の限界?それって限界があるのか、人間の想像力は消滅したりはしないと思うけど?』
紫が言う幻想の限界というのを、妹紅は理解出来ない。
『先ず、貴女も知っての通り我々妖怪は基本的に人間の想像力がより集ることで、幻想の一部として生まれる、これは太古から続く人類と幻想の歩みだったわ…』
そこで紫は一区切り付けて、
『でも、徐々に幻想を人は信じなくなったのよね、その傾向はいつまでも止まらない、…さてここで問題よ、もし皆が幻想を信じなくなったら、どうなるでしょう?』
紫が妹紅に、外の世界このままだったらどうなるか問いかける。
『どうなるか、ね…その言い方だと問題があるんたろうけど…!まさか!幻想が完全に消失するのか…?』
妹紅は何かに気付いたらしく、驚愕の声を上げる。
『そう、貴女が今気づいた通り、このままだと外の世界の幻想は二度と生まれない世界となるわ、それはつまり幻想郷の前提が崩れることを意味するのよ。』
そう、外の世界が幻想を信じなくなり続けば、幻想そのものが消滅し、
『その結果忘れ去るも何も完全に居なくなれば、幻想郷にはいつか誰も来なくなる…か、確かにそれなら二つの結界の存在意義もそれぞれ、ただ引き籠もることと外の世界と反転させて幻想を増幅させるだけになるのか。』
そう、その妹紅が今言った通りこの場合幻想郷には妖怪が入って来なくなる。
『…でも、そこまで困ったことなのか?別に外の世界の分の幻想が無くても、幻想郷の中で自然に増えれば良いだけなような?』
『そうよね…それだけなら良かったのにね、…だけど幻想郷はその選択を許されない、あの御方が許す筈がないのよ。』
妹紅は大きな問題でもないから、放置してもいいのではと疑問を浮かべる。
だが、紫は妹紅と違いそうなった幻想郷は何者かによって許されないと言う。
そう紫があからさまに上位者と認める存在によって許可されない。
『お前があの御方なんて…!龍神のことか!!』
そう、幻想郷の最高神格である龍神が許可しない。
『貴女も知っての通り、私たちは明治17年に博麗大結界を張った時に、あの御方は幻想郷と外の世界が隔てられたことに怒り狂って、幻想郷に大洪水を齎しましたわ。』
龍神のことを知らない方に向けて解説すると、幻想郷は基本的に賢者達が責任を持って運営しているものの、トップは別に存在している。
それが、龍神である。
幻想郷を運営していないのなら、普段の龍神は何をしているのか?と言うと、幻想郷を含めた様々な世界を飛んで悠々と暮らしている模様。
閑話休題
『ああ~大体分かった確かあの時は幻想郷をこれで幻想郷を発展させるから、で納得して貰ったから発展出来ないと今度こそ幻想郷が滅亡するかもしれない、という訳か。』
『理解していただけて幸いですわ、それだから出来るだけ早めに活動して、消失しきる前に幻想を復活させたいのです。』
妹紅が納得した様子に紫は笑みを浮かべる。
『そうすれば幻想は消失しないから、幻想郷に色々な妖怪が来て幻想郷の発展が停滞しなくて、龍神も怒らない、か、…成る程、目的は解ったけど何で私に頼む。』
これがあの日、全てが始まったあの時に紫によって語られた、幻想郷が外の世界に出て来たことの原因である。
「はぁ~それにしても何で私なのかな、多分これから悲惨なことになりそうだし、正直この仕事を辞めてこれから起こされる外の世界の変化を、直接見たくないんだけど。」
妹紅は心底嫌そうにそう呟くが、直後にこう付け足す。
「でも、この仕事を引き受けると決めたからには、幻想郷のためにも見届けるしかないんだけどな。」
そう決意を新たにして丁度、除夜の鐘が鳴り響いた。
割と匂わせていましたが、幻想郷が外の世界に出て来たのはこのままだと幻想郷が滅亡するから、それに直面する前に出来るだけ早めに行動したのが理由ですね。
確か、龍神に対して博麗大結界を作った際に、これを使って発展させるからという論調で説得したので、逆にこれで停滞するようなことがあれば怒り狂いそうです。
と、作者は思いました。