外の世界はエイプリルフールのジョークより派手な大事件とされた前回を越えた騒ぎとなっていた。
これはとある、テレビ局のバラエティー番組
溌剌そうなアナウンサーが言う。
「昨日、なんと不死鳥が再度確認されました。」
「不死鳥は昨日まで偶然この世界に来ただけであり、裂け目の向こうに帰って、もうこの世界に現れ無いと考えられていました、そんな中での出現で日本は大盛り上がりです。」
アナウンサーは楽しそうに言う。
「しかも、複数の新情報が発見されました。」
何も写って無かったモニターに裂け目から出た不死鳥が大きくなる動画が映される。
「このように不死鳥が大きくなりました。」
「この動画、加工等は一切行っておらず不死鳥の大きさは嘴~尾羽まで4メートル程だったのが、5メートル程に、両翼は5メートルから6メートルへ大きくなる等、全体的に一回り大きくなりました。」
「他にも諏訪湖で新しい様子を見せてくれました。」
モニターが切り替わり諏訪湖の上空を滞空する不死鳥が写し出される。
「不死鳥は諏訪湖の中心で止まると、ドローンが近付くまで諏訪大社の方を見ていました、ネットでは諏訪大社の神々を見ていたのでは無いか、とも言われているようです。」
「最後に不死鳥と裂け目に付いての新情報ですが、集合体恐怖症の方はお気を付けください。」
モニターがとある動画を映す。
「なんと、裂け目に侵入することに成功したドローンがあったのですが、当番組はそのドローンの所有者から映像を入手することに成功しました、では映像をどうぞ。」
短い動画だった、裂け目を通る不死鳥の後ろを追って多くの目と手が蠢く裂け目の中にドローンが入ると、不死鳥が『フーー』と鳴いた、そこで一旦動画が停止した。
「なんと、不死鳥の鳴き声を記録していたのです、不死鳥の鳴き声はまるで少女の溜め息のようです、今まで不死鳥は鳴かなかったため、発声器官も存在しない炎の塊と考えられていましたが、鳴いたため中身がある可能性が高くなりました。」
アナウンサーは興奮しだして、少し早口になりながら続ける。
「さらにこの映像を詳しく見ると、奥に竹のような物が見えます、本当に別の世界に繋がっているようです。」
アナウンサーの言う通り、不死鳥の後方に竹のような物体が何本か生えているように見える。
「この後の映像も興味深いです、映像をどうぞ。」
ドローンが急に落ちてコトン、と音が鳴るそれに気が付いた不死鳥が振り返ると、ドローンはさらに落ちて夜の景色が映った。
「映像のこの部分の興味深いところは、ドローンが落ちたこと、そして音が出たこと、最後に不死鳥が振り返ると裂け目から追い出されたことです。」
アナウンサーは一つ一つ解説していく。
「ドローンが落ちた理由はどうやら通信が途絶えて、墜落したようです、つまり、裂け目はこの世界とは隔離されているようです。」
「音が出たことから、地面が無いように見えて、存在しているようです、それも硬くて平らな地面が。」
「不死鳥が振り返ると裂け目から追い出された、ということは不死鳥は意識的に裂け目を操れる、つまり偶然でも何でもなく自発的にこの世界に来ているようです。」
「今回の件でわかった多くの新情報を元に考察をしていこうと思います。」
こんな番組があったり。
以下ネットの反応
『不死鳥がまた現れてくれた、つまりこれからも俺たちの世界に来てくれるってことだ』
『今回ドローンを裂け目に入れた奴は有能』
『不死鳥の鳴き声は可愛らしいものでしたね』
『不死鳥は炎の塊が鳥の姿をとっているけど、中身があるってことは本体はどれ位の大きさなんだ、少なくとも前回は分からなかったから、見た目よりかなり小さいんだろうけど』
『不死鳥ってどういう原理なんだ、本体が有るとしても炎を鳥の姿にするって』
『不死鳥が大きくなったみたいだけど、この世界に来るのは成長のためかな、ペースが速いけどそれはこの世界の生き物じゃないってことで』
『諏訪大社を見ていたから和風ファンタジーな存在だっりしないかな』
『不死鳥が現れるのは秘密結社の陰謀じゃないかな、何したいか全くわからないけど』
『ドローンが入れたから、人間も入れそう、地面もあるみたいだし、出来たら異世界に行けそう』
『不死鳥が普段住んでいる世界は、どんな場所なんだろう、私たちの住むこの世界からすると不思議な生き物しかいないのかな』
『不死鳥の中身はどれ位の大きさなんでしょうか、元の大きさと遠目からは中身に気付かないことから考えると、どんなに大きくても3メートルは無いと思います』
『不死鳥に関係しそうな文献を探しているが、炎と鳥の要素はよく見つかるのに裂け目の要素が無くて、それっぽいのが見つからない』
『中身が有るなら、耐熱性素材のネットで捕まえられないか』
新しい情報が分かって、不死鳥や裂け目、裂け目の向こうの議論や考察が世界中で盛り上がった、どこかの国や組織による陰謀も考えられたが、陰謀論は現代の技術であんなことを出来る訳が無いため、かなり少数派だった。
一方、妹紅の家
妹紅は昨日、ドローンが入るハプニングで慌てて疲れたため家に帰るとすぐに眠ってしまっていた。
「ん~あ~~、よく寝たな~、あれ?この紙はなんだ?昨日はこんなの無かったはずだけど。」
それは二つ折にされた手紙だった、妹紅は開けて読んでみる。
『貴女がこれを読んでいると言うことは、目が覚めたのでしょう、貴女は私と会いたく無いようなので手紙にしました。』
『今回の失敗で、貴女という中身が有るという推測が立ちましたが、貴女は蓬莱人だから何処に捕まっても脱出が可能だから大したことない上、初回なので不問とします、次回からは起きないよう注意なさい、貴女に任せた仕事は重要なのですから。』
『八雲紫より。』
妹紅は何か感じたら起きれるよう座りながら眠っているが、この手紙が届いたことに気が付かなかった、紫はやはり底知れないと感じる妹紅。
失敗に関しては自分が悪いので、深く反省することにした。
「紫も許してくれたが、もっと気合いを入れて外の世界に行かないと。」
「切り替えてっと、また慧音のとこに行かないとな、今回も写真は何枚も撮って来たからな。」
そうして人里に向かう妹紅だった。
今回の失敗は外の世界では話題に成りましたが、紫からすると大したことない問題でした、なのでお咎め無しという結果です。