幻想郷の接触   作:ゼロ・ワン

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ついに東方の新作が発表されましたね。
どうやら畜生界が関わってくるようなので、作者は存在が示唆されていた畜生界四代組織の四番目が出てくると予想します。
寄生を得意らしい謎の組織のトップがどんな人物なのか今から楽しみです。

ついでですが、最近は評価がじわじわと増えて嬉しいです。


次の準備

月都万象展から暫く経ったある日、2月の節分

この神聖な祝日の中、妹紅は二人の賢者から次の計画を聞いていた。

「さて、さっきまでゆっくり休暇を楽しんでいたんだけど、私は何の用で呼び出されたのかな?しかも賢者二人と同時だなんて始めてじゃないか?」

家でゆっくりしていたと思ったら、突然床に隙間が開いて扉がそこかしこに浮かぶ世界に連れて来られた妹紅は、早く帰るために不機嫌な表情で二人に回答を尋ねる。

「あらあら、そんな不機嫌な表情で急かさなくともちゃんと答えますわ…今日は少し過激な話をしようかと思いまして。」

紫は少し、本当に少しだけだが嫌そうな顔でそう言い、その直後にもう一人の賢者も口を開く。

「何、過激と言っても別に私達が悪事をする訳でもないから気にする必要は無い、安心するといい。」

隠岐奈は少しだけ笑みを浮かべながら、そんなことを言うのを聞いて妹紅は少しだけ違和感を抱く。

『?紫と隠岐奈で少し反応が違うような気がするな、私の気のせいかもしれないけど。』

そんな疑問を抱きつつ、二人の賢者の話に耳を傾ける。

 

「さて次の計画についてだが、その計画のために中心となってもらうある妖怪に協力を申請したんだが、本人も喜んで承諾してくれている。」

隠岐奈が若干婉曲に言う。

「とある妖怪?態々そんな言い方をするって…もしかして大妖怪の一角だったり…するのか?」

もしそうだったら、現在の幻想が満ちているのに対抗手段が無いか未熟な外の世界では恐ろしい事態になる、そんな想像が出来るので妹紅は青ざめながら言う。

「そう大妖怪の一角よ、かつて京都を恐怖に落として討伐された妖怪だけど、本人は『また絶望的な恐怖を与えられるならやりたい、例え後で討伐されるとしても、それも妖怪の本懐だからね』って乗り気だったわ。」

紫がその妖怪の情報を話、更に言葉を口調と声を真似ながら語る。

『どっかで聞いた口調に声だけど…誰だっけ?パッと出ないからよく話す奴じゃないんだろうけど、でも大物だったような気もするけど……取り敢えず相当自信がありそう。』

その真似された声に妹紅は聞き覚えがあるものの、結局思い出せない。

「これは私の個人的な意見だが、今の恐怖させることすら面倒がる幻想郷の妖怪達と比べて、ある種古風な感性の彼女は好ましいよ、計画にも好都合だ。」

怪しい笑みをしながら隠岐奈はそう言うが、今の幻想郷では妖怪の本懐である人を襲うことを、面倒がる者が多いため(神主も言ってた)、楽しんで活動するのは割合として古い妖怪達が多くなっているため、これは本心だと思われる。

 

 

「もう大体分かったよ、それだけ名前を伏せてるのは私に知らせたくないのが分かった、それで、私にはそいつに何をさせるかだけを伝えてくれるんでしょ。」

妹紅はやさぐれながら、また本題を急かす。

「ですから、そんなに急かされなくとも語りますので、では貴女に伝えることですが…その妖怪にはフランスを担当して貰います。」

「あー!?成る程!何で去年急に行かせられたのかと思ったけど、そういうことか…そうか。」

合点がいったので、手を叩きながら興奮したような物言いの妹紅だが直ぐに落ち込む。

『絶対に不味いことになるよね、ラルバの宗教と違って全く文化が違う場所だから、根付くみたいな方向にならないだろうし。』

ラルバの方は根付く形だったためかなり穏当だが、更にこの二人が日本以外を切り捨てる思考をしていると推測される以上、相当な災害になると思い至って落ち込むのは仕方ないだろう。

「ふっ、お前が悪い訳でもないからそんなに落ち込む必要も無いだろうに、なぁ紫もそう思うだろう。」

「…仕方ないことであって、貴女は気にしないでおいて頂戴。」

そんなことを言いながら隠岐奈は紫に視線を向けるが、紫は視線を少しずらしながら気不味そうに言う。

 

『うん、やっぱり紫の方が何か消極的だな、対して隠岐奈は消極的というより寧ろ、この状況が面白くて仕方ないようにすら感じる様な?』

妹紅は先ほど感じていた、違和感を思考の中で言語化し始める。

「それで、どうやってフランスに送るんだ?ラルバの時みたいにお持ち帰りしてもらうの?それともまた外の世界から偶然(笑)で穴を開けるの?」

それはそれとして、職務に忠実に具体的な質問をしていく。

「今度は招いて、そして持って帰って貰う予定だ、外の世界からすればラルバが失敗したとは言っても、不老不死の夢を人間が簡単に諦める訳は無いから、喜んで誘拐してくれるだろうな。」

当然、幻想郷の側には内緒でやるだろう、幻想郷(賢者)の掌の上なことには気づかないで。

「ってことは、今度はフランスを幻想郷に招待するのか、そして私はまた見逃せと、うん分かったよ了解。」

其処までで大まかなことを理解して、妹紅は納得する。

「まぁ外の世界も前回の反省で、持って帰ったら当然のように全力で拘束と監視をするでしょう、…大妖怪としての技術で余裕を持って逃げ出して貰うから無駄なのですけど。」

この逃げ出すと言っている時点で、ラルバとは違ってもっと物騒なことになりそうである。

 

「それで?もう本題を聞いたけど他にも何か聞いておくことはあるか?無いんだったら帰りたいんだけど。」

妹紅はここで聞くことはもう無いだろうと察して、帰還の許可を求める。

「うむ、そうだな、もう話すことも無いしこれ以上居てもらう必要も無いから帰っていいぞ。」

パチン!

隠岐奈が指を鳴らすと共に後戸が足元に出現して、秒も経たず即座に開く。

「え!?またこれ~!!」

そんな叫びをあげながら、空を飛ぶ暇なく開いた後戸に消えていく。

 

 

「それで?急にどうした紫、何故ひよった?私と話し合ってお前は!幻想郷のために外の世界を犠牲とする!その覚悟を決めた筈だぞ。」

妹紅を送還すると直ぐ様、隠岐奈は先ほどから消極的な態度の紫に問い詰める。

「…ご免なさい、…確かに去年に覚悟を決めたと言ったけど、彼女に外の世界へこれからしてもらうことを考えると、こう…どうしても罪悪感を感じてしまって。」

紫は隠岐奈からまたもや視線を逸らして、流し目のようにしながら言う。

「言いたいことは分かったが、これも仕方ないのことだろう、お前の最初の計画だった外の世界との穏健な交流では、外の世界の人間達は確実に幻想郷を食い潰すに決まっている、その前にこちらから外の世界を叩くべきだ。」

隠岐奈は推測を断定しながら、幻想郷は外の世界に食い潰される、と紫の説得を始める。

「それはそうでしょうけど、でも…私の計画でも問題は無かったと思うのよ、元々幻想郷と外の世界への出入りを私達が握って、外の世界からの干渉を制御する予定だったじゃない。」

実際、複数の結界があるから外の世界からでは幻想郷の側からの出入口以外では、観測も干渉もほぼ不可能なため紫が語った方法はかなり有効と言える。

「はっ、前に私は言っただろう、それは飽く迄も現時点ではという話だ、それだけでは足りない。」

隠岐奈は何故そう過激な発想になるのか、その理由を語り始める。

 

「紫の提案である、我々の力で出入口を開いて外の世界との交流を制限するという考えは確かに素晴らしい、裏からの活動というものを警戒しなくて済むからな、今後の計画もこれを主軸に考えて動くつもりではある。」

先ず隠岐奈は、紫の主眼の良さを具体的なメリットを挙げて褒める。

「だがそれも暫くの間だけだろう、幻想郷との交流で遅かれ早かれどう情報を絞っても、外の世界で流出した魔法関係の技術が発展し、彼方から干渉出来るようになるだろう。」

隠岐奈の考えによれば、未来には幻想郷の賢者だけの判断で物理的に幻想郷の出入りを制限される状況、その打開に外の世界は動き出すだろうとのこと。

「でも、所詮は人間でしょう。」

紫も隠岐奈に言われっぱなしではなく、差別ともとれるような反論を始めるが、最後まで聞いてみよう。

「幻想郷に我々の用意した手段以外で出入り出来るのは大妖怪だけよ、幻想郷の結界は簡単に突破出来ない。」

そうである、幻想郷の結界は有名な二つだけではなく無数に存在しており、突破出来るのは本当の実力者だけである。

「人間ではそこまで至らない、人間ではそれこそ、そんな段階の技術や力を得られるのは極一部の、霊夢のような存在でも無い限り出来る筈がない、組織的に動くことは不可能よ。」

霊夢と比べられる、つまり人間として空前絶後の存在と並ぶ訳でもない限り突破出来ないし、霊夢のようにその様な存在は例え現れても、組織的なものは不可能だろうということを紫は言うが。

「お前、わざと考慮に入れていないのか?それとも本気で気付いていないのか?」

隠岐奈はそうは思わないらしく、煽りともとれる文言を交えつつ、隠岐奈は紫の盲点を話す。

 

「霊夢では起きないことだが、人間で無理なら人間を越えれば良いし、その考えで人間を辞める者は必ず現れる、それも人間を辞めても尚、人間社会のためにその力を使うような善人(愚者)或いは自分以外の全てを成り上がりの手段とする悪人(賢者)がな。」

『例えば、白蓮や神子のような私利私欲のために人間を辞めても、理由は各々別だが人間のために力を使う者は幻想郷にも居るからな。』

一言で言えば漫画の中の、スーパーヒーローかヴィランのような超人が現れるということだ。

「それは…」

この盲点については、紫も即座に反論を出すことは出来ない様子。

「私としては只でさえ幻想郷の人間を監視しているのに、外の世界の人間まで監視するなんて非現実的なことより、外の世界の国々の数を絞った上で、文化が近く彼方の偉人を此方が多数抱える日本を依存させた方が楽だと思うがな。」

隠岐奈はそう締めくくって、私は話を終えたという態度を出す。

「…はぁ~、分かったわ私の降参でいいわよ、私も改めて覚悟を決めるわよ。」

その紫の諦めの言葉と共に、賢者達による節分の怪しい会話が終わる。




よく考えたら、妹紅が計画を聞いている描写が少なかったし、賢者達の情報公開をしようかなと思ったので、今回はこんな感じです。

本作品の紫は最初、計画の中に過激な要素は無く、ある程度の幻想を増やす程度の計画でしたが、隠岐奈が計画を修正しました。
修正した隠岐奈の理論としては、それではいずれ外の世界に幻想郷が食い潰されるだろうから、外の世界を崩壊させて、日本を依存させて幻想郷の安全を確保しようという発想です。

因みに、これ後付け設定等ではなく隠岐奈の登場から考えていました。
実際、今までの紫の発言にそういう類いのは無いです。
爆弾の類いも全部隠岐奈とその協力者がしているのであって、紫は少し関与しているだけです。
これは原作設定準拠で、紫がハト派で隠岐奈がタカ派だからですね。
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