「さて、本日は我々命蓮寺が仏蘭西の皆様を歓迎させていただきます。」
そんな歓迎の一言を告げるのは「おっと申し遅れました私は、命蓮寺の住職をしている聖白蓮という者です。」そう、命蓮寺の名前の由来となった伝説的な僧侶、命蓮の姉にして大魔法使い聖白蓮である。
「本日は私共が幻想郷をご案内する予定です。」
その言葉から少しして、白蓮は様々な説明を始める。
『さて、結局誰が賢者達に頼まれた奴なんだろう?スマホでいろいろ調べたけど、京都やその近辺で暴れた大妖怪は伊吹萃香とか複数人が該当する上、該当する連中は大体が妖怪としてのプライドを持っているから絞りきれなかったんだよね。』
そう、白蓮が説明する裏で外交使節団の隣に居る妹紅は考察を続ける。
現在の状況は、妹紅が賢者達とフランスを招待するという話をした節分の日から、四半期経った本日五月六日。
幻想郷とフランス双方の準備が整い今日日本のときのようにまた妹紅の『画面の境界』によって外交使節団が幻想郷に招かれた。
閑話休題
「では、先ず最初にこの命蓮寺を皆さん好きに別れて観光していってください、何かあれば近くの人、妖怪を問わずに何でも聞いてください。」
『おっと、一旦命蓮寺見物の時間か、まぁ誰が行くのだとしても、私は知らないし、気付かない、そういう振りをするんだけどね。』
妹紅は白蓮の言葉と共に、思考から引き戻されるがそれだけではなく、その思考に意味が無いからという理由もある。
『さて、私は暫く敷地内で散歩でもしようかな?見つけられるかもしれないしね。』
そうして、白蓮の言葉通りに各々別れて観光を始める外交使節団とも別れて妹紅は散歩をすることにした。
『おや、あれは外交使節団とこの寺の。』
散歩を始めて数分後、どうやら妹紅は命蓮寺のとある妖怪と外交使節団の一人の会話を物陰から観察することにした様子。
「こんにちは、質問をしてもいいですか?」
「どうかされましたか?」
外交使節団の一人が、妹紅が注目したその妖怪の話かける。
「先ほど、住職の聖さんに聞いたのですが、ここのお寺にはご本尊が居ると聞いたのですが、もしや貴女では?ないですか?」
『やっぱりそうか、派手な格好の彼奴はこの寺のご本尊の…』
そう、二人の話と思考の通り、彼女はこの寺のご本尊である毘沙門天の代理、「はい、この寺の本尊をしている、寅丸星です。」そう、この妹紅が派手な服装と評した彼女はこの命蓮寺の本尊、寅丸星である。
「おお!やはりそうですか!この幻想郷には実際に神仏が居ることは知っていたのですが、実際に見ると思っていたのとは違って怖くはないですね。」
使節団の一人は、実物を怖くないと言うがそれも仕方ないことだろう。
「あ~、確かに宗教によっては厳しい表情や異形の姿の神仏も多いですからね、でも私は見てのとおりそういうのではないですよ。」
『まぁそうか、あっちは一神教の信者が殆どだから価値観の違いはあるのか、一神教の信者のわりには嫌悪があるような感じはないけど、そういう人間が選ばれてるんだろうな。』
そんな妹紅の考察を横に二人は様々な話を始める、それを妹紅も端から眺める、そんなことをしている一方その頃。
命蓮寺敷地内のとある場所で、世界を変える出会いが起きていた。
周りに誰も居ない命蓮寺の隅っこで、彼女はぼやいていた。
「あ~あ、詰まんないな~何か面白いことは無いかな?この退屈をしのければ何でもいいからさ。」
彼女は、今はフランスからの外交使節団が来ているというのに退屈だとぼやく。
「あの~、不躾ですが退屈なのですか?」
バッ
「!?おっと、聞こえてた?」
さっきまで誰も居ない隅っこだったが、彼女の後ろから声がかかり、彼女は勢いよく振り向いてそう尋ねる。
「あ~はい、聞こえてました…それで、貴女は今退屈なのですか?」
その人間は、若干の気まずそうな様子だが、それを振り払って彼女の発言を確認する。
「うん、そうなんだよね、今は貴方達が来ているからましになるかもだけど、それだけじゃ満たされないくらい最近ずっと暇なんだよ、ねぇ貴方何かないかな?」
彼女の言い分としては、最近ずっと暇だから今日だけが楽しくても、とのこと。
「暇なのですか?…これは大きな声では言えないのですが、少なくとも暫く退屈しなくても済む話が有るんですよ。」
彼女の言葉に対して、その人間はとある提案をする。
「え!何かな?大きな声では言えないことなんて面白そうだね。」
彼女はその言葉に飛び付いた。
命蓮寺に居たときから、結構経って黄昏時。
勝手に隙間に入ったり、不意に何か入らないようにフランス政府の建物で妹紅は演説する。
「それでは、本日の幻想郷の案内はここで解散とさせていただきます。」
妹紅が先ほど外交使節団と共に通った、隙間を背にして解散の宣言をする。
『結局、誰だったんだ?それっぽい妖怪は見かけてないよね?一緒に隙間を通るかと思ったんだけどね。』
宣言の裏でそう考えていたが、結局何も起きなかったので、「それでは、私はこれで帰りますね。」妹紅はそのまま隙間を通って幻想郷に戻る。
シュンッ
「やぁ妹紅、私行ってくるよ。」
シュンッ
「!?はっ!今のは?誰だ?というか馴れ馴れしいな本当に誰だ!」
隙間の中で、何者かが突然現れそしてそのまま消えていった。
「やっほー、私!到着!」
隙間が消えた直後、隙間が有った場所に彼女が現れる。
「!?本当に来ていただけるとは、命蓮寺のとき以降いくら探しても居なかったので、嘘かと思いましたよ。」
彼女の出現によって、外交使節団全体に衝撃が走るが、彼女と交渉した人間が直ぐに落ち着いて、彼女に話かける。
「いや、さっき言ったじゃない、私は空間に対して干渉する能力を持っているから、世界通しで繋がっているなら来れるからそんなに気にしなくていい、ってほら。」
彼女は質問に対して気楽にそう答えるが、つまり隙間の繋がりに介入して、外の世界に来たことになる。
「え、ええ、でもこんなギリギリになるとは思わず、驚きました。」
「まぁ、それはいいじゃない、それで私は何処に行けばいいの?ほらバレるとお互いに不味いしさ。」
彼女がこう言う理由は、ラルバの例のように幻想郷の住人を本人の同意があっても勝手に連れて行ってはいけないのである。
「ええ、では此方へ。」
そう言ってその人間は彼女を案内する。
「ふ~ん、ここがパリか。」
「ええ、ここがパリです。」
彼女は、移動の途中に建物の窓からパリ市を眺める。
「フフッ、ハーハッハ。」
それを、建物の上空から後戸を通して見ていた隠岐奈は笑う。
「フフッ、幻想を流布して暮らしやすくした準備の分、外の世界を乱してくれ、お前のこれからの行動で全てが始まる。」
笑いながらも、実はこうして彼女をフランスが持ち帰るのを見守っている程度に隠岐奈は不安を感じていたという事実がある。
「まぁ、この様子なら問題は無いだろうし、幻想郷は安泰だな。」
そう言うと、隠岐奈は後戸に手を翳して後戸を閉め、その直後後戸が外の世界から消える。
一方その頃の彼女はというと、パリ市の夜景を眺めつつ、フランスの用意した車に外交使節団をしていた者達と共に乗り込もうとしていた。
「それでさ、これから私はどこへ行くの?確かこれからの私の住みかになる場所へ先ず案内してくれるんだったっけ?」
彼女は異形の翼を畳みながら、車に乗り込むと共に自分を連れ出した人間達に尋ねる。
「目的地は貴女との約束通り、研究の手伝いをしていただきたいため、郊外にある研究所です。」
「そういえばそうか、研究するんだから研究所になるに決まっているよね。」
そう、約束通りにこの車は研究所に向かう予定である。
「では、出発しましょう。」
車に一緒に乗った使節団の言葉で運転手が車は発車させる。
パリの市内を走る車の中で、彼女は窓を眺めながら楽し気に話す。
「それにしても楽しみだな~!ほら私って日本の妖怪だから、西洋の方に来るのは始めてなのよ。」
彼女の表情は本当に嬉しそうで、まるで今が絶頂期の様にすら見える。
「それはそれは、それなら是非とも窓からではありますが、私達フランス国民の誇りであるパリを観ていってください。」
「そうさせてもらうよ、それにしてもパリの人達って何かお洒落な服装の人が多いね、流石は芸術の街ってところかな。」
彼女は窓から観てパリ市民の服装に彼女は言及するが、それと同時に前情報から納得する。
「それなら貴女も今後パリを楽しんで行ってください、研究所があるのは郊外と言ってもそんなに遠くないので、車なら何時でもパリの中心にまた来れます。」
「うんうん、いいね!折角来たんだから遊びたいよね。」
そんな風に話をしていると、郊外の大きな研究所に到着する。
研究所に到着すると同時に彼女は興味深いものを見るかのように、研究所を見つめる。
「へえ~ここがこれから私が住むことになる研究所か、かなり無骨だけどこれなら私が居ることもバレないだろうし、いいね。」
そんな風なことを言いながら、「それでは此方へ、この研究所の入り口へ案内します。」使節団の人間に着いて行く。
「少しここでお待ちを、ここはセキュリティが高いので入るのに確認作業が必要でして。」
そして入り口にたどり着くと、確認作業が行われるので待つ。
「それでは、これを。」
彼女と共に来た人は警備員にセキュリティカードキーを渡す。
「はい、承合して確認します、…確認出来ましたお返しします、ところでそちらが幻想郷の妖怪でしょうか?」
解りきっていることではあるが、警備員が尋ねる。
「そうですね、今からここの住人ですね。」
「そうですか…可憐な容姿ですね。」
警備員は微かに憐れみの表情を浮かべつつ、そう評する。
「?…そうですね、それ以上に美しい方だと思います。」
何故か、そこで彼女の印象が噛み合わなかったが、深く気にしないことにしたらしい様子で彼女に向き直る。
「それでは、此方へ。」
ブーン
そう言った直後に自動ドアのロックが解除されて開き、レディファーストなのか先に自身は入らず、研究所に入るように掌を向けて案内される。
「さあ!これから!私の此方での生活の第一歩だ、なんてね。」
と喜んで入った瞬間、
ガシャン
「!?」
凄まじい勢いで自動ドアが閉じて、
「……クッ、騙したな!」
彼女が直ぐ様振り向いて怒りの声をあげるが、
プシュー
何かのガスが壁から即座に噴射されて、
「今すぐこんな…ドアを…破って……スー……」
そのガスを吸い込んで、彼女は抵抗する間もなく寝入ってしまう。
「スースー」
約1分後
再び自動ドアが開きそこからガスマスクを着けた人物が入って来る。
「眠っているな、例え妖怪であってもこれだけの濃度なら流石に眠るか。」
その人物は彼女を連れて来たあの人物だったが、彼女に気遣う必要もないため口調が砕けている。
「だが、流石は妖怪というべきか、例え象であっても致死量の数倍の濃度の睡眠薬だった筈なんだが、普通に眠っているだけだな。」
妖怪については通常の生物より強靭であること以外殆ど詳細不明であり、そのことから睡眠薬が効くかどうかも不明だったため、超純度の睡眠薬を用意していた。
「それにしても、楽しい夢でも見ているのかね、まぁどうでもいいが、早く来てくれないかな。」
そう言ってドアの奥、彼女より奥の研究所の側へと移動して、彼女に着ける拘束具と運ぶ人員を待つ。
「フフッ」
そう表現されたとおり、いやそれ以上に、彼女の口は本当に面白可笑しそうに歪んでいた。
元々、楽しみだったから後半のフランスの部分はさらさらいけましたが、前半がきつかったです。
久しぶりにアンケートを取りましょう。
ヒントを渡し過ぎてもあれなので、名前は出さないですが、ある程度特定出来る情報から投票をどうぞ。
次回からラルバの回辺りから書いてきた、エピソードを出します。
追記
アンケートの協力ありがとうございます。
結果は次回に書いてあります。