答えとアンケートについては後半で。
フランスの外交使節団が幻想郷に行ってから、そこそこ経った10月26日。
「どうして、こうなった。」
妹紅はスマホ片手に頭を抱えていた。
『残念なことにこれは現実に起きています!失礼を承知の上で頼みますが出来るだけ急いで!幻想郷からの対応を伝えて下さい!もう既に取り返しのつかない事態で状況は加速度的に悪くなっています!』
そのスマホからは何時もの政府職員が、怒鳴るかのように催促をしているがそれは仕方のないことだろう。
「ええ…此方も状況を理解しましたが、大事過ぎて頭痛が、まさか…」
妹紅はショックの大きさから少し躊躇いがちに溜めて言う。
「パリが占拠されるだなんて。」
そうパリが占拠されたのだ、他ならぬ彼女の策略によって。
こうなったのは、かなり遡って彼女が眠らされた時から始まる。
幻想郷から来た彼女は、研究所にたどり着くと共に睡眠薬で眠らせられ、拘束具をつけられてストレッチャーで運搬されていた。
「話を聞いた限りだと、思っていたより簡単に捕まえられましたね、確か眠らなかったら高圧電流を流す予定でしたっけ。」
彼女を寝かせたストレッチャーを運搬する二人の研究者のうちの片方が、彼女の顔を覗き込みながらそう言う。
「おいおい黙って運べよ、万が一こいつが目覚めたら大変なことになるかもしれないし、今日は会長が見に来ているんだぞ。」
その言葉通り、ここの研究所を所有する会社の会長が来ていた。
「ああ会長、確かにあの人恐ろしいですからね、それにしてもこれからは人体実験をされるってのに、楽しそうな寝顔ですね呑気なもんですね。」
そんな話をしながらもストレッチャーは進んでいく、その最中も彼女の寝顔は先ほどからずっと笑っている。
その後、ストレッチャーは研究室に運びこまれて研究者達に囲まれるが、その研究室の上の一面はガラス張りとなっており、そこでボディーガードを両脇に立たせた車椅子の老人が居た。
「ふむ、これが妖怪か、間近で見ると一見只の非力な人間に思えるが、そんな背中から生える異形の翼からどう見ても妖怪であるようだな。」
その老人は彼女を見てそう呟く。
その瞳には彼女に対する、いや彼女の研究への期待の色が見える。
「フフッ」
バッ!
その時彼女が眠りながら笑い、その声にその場に居る全員の視線が集まる。
「なんだ!…いや笑っただけか。」
車椅子の男の通り、彼女は眠りながら笑っただけであり一瞬警戒した空気が緩む。
「フフッフフッ!」
「また、笑って…」
二回の笑い声で集中した視線と彼女が眠っていることから弛緩した空気の中彼女は、
「フフッフフフッ!ハーッハハ!」
「こいつ目を覚まして!」高笑いと共に、
ピカーンッ!
一瞬強烈な光を発した。
「それにしても、さっきのはなんだったんでしょうね?あれに気を悪くして会長も退出してしまいましたし。」
先ほどまで、彼女の発した光に目を焼かれていた研究者達が不思議そうに話す。
「そうだな、光った時はあんなに不敵に笑ってたのに光終わったと思ったら、不思議そうに辺りを見回したと思ったら、急に暴れだしたからな、何がしたかったのかよく解らん。」
その研究者の言葉通り、先ほどまで拘束具を外そうと暴れていたが疲れたのか直ぐにぐったりとして、即座に増設された拘束具でより厳重に声も出せないように捕らえられていた。
「本当にそうですよね、でもなんであんな直ぐにぐったりしたんでしょう?確か妖怪って人間よりも肉体的に強いんですよね。」
「さあな、理由を調べるのが俺達の仕事だ、だからほら、幾ら会長が退出したからってしゃべるのはこの辺にして、さっさと仕事を始めるぞ。」
その言葉通りに色々な検査装置やメス等の医療道具を用意しつつ、そう言う。
「~!~!!~~!」
その研究者達の会話の最中も精一杯声を上げようとしていた。
まるで、頂点から底辺に一瞬で引き下ろされこれから地獄を見せられるかのように。
それから約5ヶ月後の10月初旬、研究所を所有するグループの中央の会議室にて。
「それでは今回の会議でこの件は解決とする、これにて解散として、私は退出させてもらう。」
この会議の調停者の言葉と共に会議が終わり、調停者が即座に電動車椅子を動かして退出する。
調停者が去った会議室にて、役員達は好き放題に調停者の話を雑談していた。
「それにしても会長最近変わりましたよね。」
「そうね、妖怪に成る前に人間としての感性を覚えておくためだとかで、よくルーブル美術館に入り浸るようになったわよね。」
「それに、ルーブル美術館に行くから活動的になったかと思いきや、それ以外では死なないために妖怪に成るのに、その前に死ぬなんて馬鹿なことになりたくないからって部屋に籠って誰にも会おうとしないし。」
「実は、誰かが成り代わっていたりして(笑)。」
「フッそれはないだろう、確かに別人みたいだが会長の私室は会長の指紋と網膜を認証するか、中から開けない限り開かないからな。」
「それもそうですね。」
そんなことを言って笑っているが、役員達は知らない。
自分達の会長が何かに、すり替わっていることに。
それから暫くして、10月25日アメリカの大規模な名門カジノにて。
「ほらほら!また当ててやったわよ!今日はツイてるし最高級のシャンパン持って来なさい、いや!なんだったらここ全員の食事代全部出してやるわ。」
『…凄い凄い!…女苑もっと当てちゃおうよ!』
そこで依神姉妹は、紫苑がその姿を隠しながらディーラーを含む周囲の運気を下げながら、女苑が溜め込んだ運気でどんどん賭けを当てていた。
暫くして、カジノの帰り道
「ふ~儲かった儲かった、さあさっさと帰るわよ今日は家でやることが沢山あるわよ。」
女苑は笑いながら、横を飛ぶ紫苑に語りかける。
『…うんあの後皆がガンガン飲み食いしたと言っても、回収しきれない大赤字な位を当てたものね…それにしてもどうして今日はあんなに当てたの?…いつもは日によって程々に買ったり負けたりしているのに?』
その紫苑の疑問の通り、今まで女苑はカジノで勝ちすぎることを戒めていた。
何故なら、紫苑が悪縁の発生を抑制出来てもカジノからの評判が下がり、最悪出禁になるからだ。
「もう、終わりだから最後に目一杯稼いで帰るからよ、だから家に着いたら今まで買った株式も全部売っ払って幻想郷に向かうわよ。」
女苑のその急過ぎる発言は紫苑を驚愕させる。
『…え!…何でよ!…何が理由なのよ!』
「最近株式の上がり方が曲線を描くように鈍化しているのよ、まるでどこかの金持ちな団体がもう上がることはないって分かってゆっくりと売っているかのようにね。」
女苑は驚愕する紫苑に考察を交えながら、確信を持って説明をする。
『…いやそれは可笑しいわよ、…バブルは鋭角で終わる筈だから曲線なら未々伸び代があるか、軟着陸して高止まりするから問題無いよ、…それにそんな未来予知が出来る金持ち達が、…しかも団体になって株式を売る訳…。』
紫苑の言う通り、普通そんな夢物語のような団体が居る訳がない。
「姉さんの言う通り普通はそうだけど、それが居るのよ、幻想郷が動いて作った、自分たちの思い通りに動かせる金持ちの団体がね、それに未来予知をしている訳じゃないわ、これは確定事項よ、なんだったら予兆が他にも…!。」
そう言って女苑は徐にスマホで予兆を紫苑に見せようと開くが、ふと目に入ったそのニュースを確認して、「不味い!遅かった!!」その内容に叫ぶ。
『…え?…どうしたの急に叫んで、…何があったの?』
急に叫びだした女苑にぎょっとしつつも、話を聞く。
「もう終わりが始まったのよ、姉さん急いで家に向かうよ、悠長にしている暇はないわ!」
『!待ってよ~置いていかないで~!』
女苑は紫苑を置き去りにしそうな勢いで走り出す、そんな女苑のスマホには「妖怪がパリでヨーロッパに宣戦布告か!?」と題されたニュースが写っていた。
その直前のパリでは、研究所を所有するグループが出資した、超一流病院の開院式が行われていた。
尚、不思議なことにこの式はインターネットやニュースで大々的に公開されていて、その上更に不思議なことに、この病院には現時点で世界中から大金持ちの老人が、未だ開いていないのに入院の予約を入れていた。
「それでは、開院式の最後としてこの方本病院に出資してくれた✕✕グループ会長、◼️◼️◼️◼️様からのスピーチです。」
進行役の言葉のとおり、グループの人員が集まっている場所から車椅子に乗った人物が、出て来る。
「!?」「え?なんで?」「もしや、あのグループの秘密の研究の噂は事実だったのか?」「なんで?どうして?」
開院式に出席していた者が軒並みざわめきだすが、それも仕方ないだろう。
老齢で車椅子を使わなければ移動出来ない人物が、歩いてマイクに向かっていたからだ、それもしっかりとした歩みである。
その人物はマイクに着くと先ずこう言った。
「先ず始めに私は✕✕グループ会長、ではない。」
「「「!?」」」
その一言で会場に激震が走る。
「第二に人間でもない。」
その言葉と共にその人物は畳んでいたその異形の翼を展開する。
「第三に、私は今怒りに燃えている。」
その言葉と共に妖怪は、他者への認知を狂わせる自らの能力を弱め、その本来の姿をある程度公開する。
「だから私は言いたいことがあるんだけど、その前に宣誓しよう、今この時からこの番組はこの私が乗っ取らせてもらう。」
会長の男もとい、その妖怪は正体を明かしつつ舞台の中心に立ちそう宣言する。
「貴様!会長をどこにやった!直ぐに取り押さえてやるからな!」
ぬえの宣言から直後血気盛んそうな会長の側近がそう言って、彼女を取り押さえようとするが、「おっと邪魔しないでくれないかな、無理みたいだし、いけ。」彼女はそう言って掌から小さなUFOを作り出して突撃させる。
「うぐっ!」
小さいながらも固いUFOに追突され、側近がふっとばされるのを尻目に巨大なUFOを幾つも展開する。
「さ、今のは手加減したけど次は手加減しないから、後は分かるよね。」
つまり次下手なことをすれば、死人が出るだろう。
「さてこれから私が話すのは、さっきまで私が化けていた男とその会社、更にそこの利害関係のある連中が私に舐めた態度を取ったことへの復讐についてさ。」
彼女はそう言うが直ぐに少し違う話を怒りを露にしながらする。
「本当にさぁ舐めてくれちゃ困るよ、あの程度で平安京を恐怖に陥れたこの私が捕まると思ってたなんて、ね。」
そこまで言って彼女は表情を変えて、「おっと、話しが逸れたね、でもそうだまだ名乗ってなかった、私は今の時代で言うところの中世の世の平安京で恐れられていた妖怪…」そこで彼女は一息溜めて言う。
「鵺と呼ばれし存在、その名を封獣ぬえ!覚えておくといいよ!いやむしろ!これから貴方達は!忘れたくても忘れられなくなるだろうからさ!」
今この時からフランスの長い一週間が始まった。
前にルーブル美術館で妹紅が幻想を感じていたのは、ぬえの補給場所としての伏線です。
妖怪は幻想が無いと消滅するのでね。
研究所の会社のイメージは傘ですね。
アンケートの結果は下の順位から射命丸文、アリス・マーガトロイド、多々良小傘、同率に伊吹萃香、八雲藍。
そして、答えである封獣ぬえが過半数の票でしたね。
割とぬえのヒントをちゃんと書けて良かったです。
アンケートは暫く、具体的には次の事項の最後まで残します。
後、今回含めて5日連続投稿するので高評価とお気に入り登録、そして感想もお願いいたします。