幻想郷の接触   作:ゼロ・ワン

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ぬえのお遊びです。


パリ市のダーククラウド

「私の名前も名乗ったし、先ず説明と行こうか。」

ぬえは、目の前とインターネットを通じた世界中から注目されながら様々な話を始める。

「先ず私がこのグループの会長に成り代わっていたか?についてだけど、実は5ヶ月前の幻想郷とフランスの交流の時に来た外交使節団と、とある契約をしたんだよ。」

ぬえは悲しそうな声音と表情で驚愕な事実を話す。

「こちらの世界で、人間を辞めることによる不老を主題とした妖怪の研究を手伝うこと、その代わりこちらの世界での住む場所と遊びに係る金額等の便宜をとって貰うことにしたの。」

ぬえがこちらの世界に来た理由が遊びの為であり、それで条約を破ったことは擁護出来ないが、それ以上にフランス側が条約を破った理由が不老目当てという時点で、フランスの株が信頼的な意味でも値段的な意味でも暴落する。

だが、それでも気持ちは分かるという擁護の心情が出た瞬間。

「ま、裏切られたんだけどね。」

ぬえはさらりとフランスの裏切りを告げる。

 

「おっと一気に話を進め過ぎたね、もう少し段階を踏んで説明すると、妹紅が外交使節団を帰すために開いたスキマがあったんだけど、それを利用してこっちの世界に繋がっているうちに私がスキマに割り込んでフランスに来たの。」

さらっと言っているが、これは大元である八雲紫でもないかぎり、相当難しいことは想像に難くない。

それを出来るのはもしかして、と一部者が気付いたがぬえの話はそこに着目しない。

「で、フランスに来て約束の研究のために行った研究所でね、睡眠薬をかけられたんだよね、つまり私との約束なんて守るつもりは無かったんだよ。」

その言葉の直後、あ~あと首を振るう。

「一応、契約よりも私が不利あるいは契約に含まれないこともすることも覚悟してたんだけどね、ほら幻想郷からこっちの世界に私達が来ないようにする条約も、一側面として私達妖怪が搾取されることを避ける狙いもあるから、逆説的に破ればそうなるわけだし。」

つまり、ぬえの覚悟を遥かに越える位、梯子の外され方が酷かったわけである。

「で、成り代わりの部分だけど睡眠薬で眠らされたふりをしていたら、偉そうな奴が居たからさっきまで化けてた方法で成り代わったんだよね、私のプライドのためにもね。」

その肝心な方法について、ぬえは説明しないがそれはこの後に説明するのかもしれない。

「だって、私は大妖怪の一角、嘗められたままではいけないんだよ!」

自らの立ち位置をカミングアウトしながら怒りを露にして言ったのは、まるでヤクザかなんかのような理論だが、どの大妖怪もただで人間に嘗められるのは納得がいかないだろう。

 

 

「というわけで!政府の責任は国民にとってもらう!」

怒りの表情からぬえは一転して、笑みを浮かべると宣言する。

「さあ、これよりパリの皆様に通達するはこれから私と皆様でするゲーム、その名も暗黒のハロウィン!そのルールと皆様の勝利条件と敗北条件についてと行きたいけど、その前に前提の話さ。」

生放送を乗っ取ったからかぬえは、敬語なのに何処か嘲るような口調と普通の口語調を混ぜて司会を気取りながら話す。

「さてと、名前を覚えてもらうためにももう一回名乗るけど私は封獣ぬえ、そう知っている人は知っているであろう、平安京を恐怖に陥れたあの鵺と呼ばれた怪異その当本人でございます、なんてね。」

鵺という怪異である、彼女が名乗ったその正体に多くのフランス国民は日本のゲームや書籍でよくその名が出るため認知していたが、ぬえを見てあれがそうなのか?と疑問視していた。

「あっれれ~?皆様疑って居るようだね~鵺とは狸とか虎とか猿とか蛇が入り雑じった姿と認知されているから~かな、もとい、でしょうか?」

ぬえはフランス国民が自分が鵺であることに疑いを持っている、それを自らの存在の揺らぎから気付いた。

 

「それなら、今の私の姿を近くの人とお互いに説明してはどうでしょう、それで私が鵺と呼ばれていた者だと分かるはずさ。」

そのぬえの話にフランス市民は呆れる。

『あいつは何を言っているのさ、さっきまでは会長の見た目だったけど、今はどう見たって皺の多い老婆だろ』

『いやいや何言ってんのよ、どう見たって五歳前後の少女でしょ』

『お前ら何を言ってるんだよ、グラマラスで美人な妙齢の女だろ。』

『『『!?』』』

1分もしないうちにフランス市民は自分と他人が抱いたぬえの印象が、全く異なっていることに気付く。

 

「ククッ、もう分かったでしょうか?私の能力が!」

そう全員が直感的に気付いた、ぬえの能力「正体を判らなくする程度の能力」に。

「私の能力の影響は、先ず黒い蛇の姿で現れるのですが、私はそれを下水道を通じてパリ各地にばら撒きました、そして蛇が対象と同化すると発動条件を満たすのよ、そしていざ発動させると能力に侵された対象からは極一部を除いた知覚情報を手に入れることが不可能になり、その分は知覚した個人の想像力によって補われるのよ。」

その説明を聞いてパリ市民はそれ、そこまで凄く無いのでは?と疑問を抱く。

何故なら、それでは見せたいものを見せるという運用は難しく、使い勝手が悪い扱い難い能力だと思うからだ。

「皆さんの考えは分かるよ、こんな能力では見せるものは指定出来ない、と考えてるんでしょう。」

それは正に、フランス国民の思考を見透かした発言だったが、長年付き合った能力である、ぬえもそれは承知している。

「くふふっ愚かだね~別に組織的な動きをしたいのでなければ、この能力は凶悪、それどころか~組織の崩壊による混乱した世界の完成だって簡単だよ。」

 

何故この能力が組織の崩壊に繋がるのだろうか?番組を乗っ取って話題になって増えた世界中の視聴者は疑問符を浮かべる。

「おや?おやおや!?理解出来てないみたいですね~!見た者によって見た目が変わるってことは、誰の命令を聞くの?」

その一言で頭の良い者は恐ろしいことに気付く。

「自分の上司に見えて実は別人かもよ、なんだったら隣人がいつの間にか殺人鬼と入れ替わっていたりとかも出来るから犯罪もやりたい放題、そんな状況で統率や他人の信用なんて出来ないし、なんだったら機械ですら判別が不可能なのは私が証明しているんですよ~!」

そうだ、組織とはどのような形であっても横の繋がりだけで作るのは纏まりが無くなるため略不可能だ、だからこそ上から下への命令が必要だが、この能力の影響の場合は誰からの命令を聞けばいいのか解らなくなる。

それに組織にしないで、信頼出来る者達との小さな集団として協力することも不可能になる、だって信頼出来るよく知っている筈の人が誰かすら不明になる。

だからこそ、賢者達はこの能力を持つぬえを選んだ、高度で複雑な命令系統のシステムを持つ現代社会に深く刺さるから。

「それに、それっぽく振る舞っていれば他人と成り代わることだって私のように簡単に出来るんですよ、何故なら皆がそうだと認識していることなら疑問を抱いても押し通せる、反論出来る証拠も認識出来ないからさ!」

実際、研究所で拘束具を即座に外して会長と自分の位置を入れ換えた上で、偉そうに振る舞うことで成り代わっっていた。

 

「さぁ本題といこうか!この力で既に!私は!このパリ市内の全住人を侵している!これで貴方達と私とで暗黒のハロウィンを始める!」

ぬえは興奮を抑えきれない表情で、これから行う凶悪なゲームを解説する。

その凶悪な笑みを見て一部の者は恐怖を感じる。

「内容はね、私が説明を終了すると共に貴方達と私を正体不明にするから、正体不明の中から私を探すゲームです、期間は一週間!ハロウィンが終わるまでに私を見つけるのが貴方達の勝利条件。」

つまり、誰も信用出来ない中でぬえとのかくれんぼをするのである。

 

「では次に、敗北条件の説明に移ろうか。」

笑いながらぬえは敗北条件の説明に移る。

「敗北条件は全部で三つございます、一つはハロウィンが終わるまでに私を見つけられないこと!もう一つはパリ市内に居る私の能力に侵された者の数が全体の半分のなること!」

一つ目は先ほども言っていた期間であり、かくれんぼのルール的に当然と言えば当然、二つ目は半分以上逃げたら終わり、いや先ほどの犯罪の件を言った下りから考えて死亡した場合もカウントされるだろう。

 

「あっ、そうそうこれは三つ目の敗北条件と関係するけど、他のフランス国民や外国の誰かが私を探しに来てもいいよ、基本ルールは私とパリ市民の勝負だけど、パリ市に入った瞬間に正体不明にする代わりに途中参加は認めるよ、なんだったら幻想郷とか他の世界の参加も認めるよ。」

それに見ている者はどよめく、ぬえの出身である幻想郷ならこのゲームを即おわらられるかもしれないからである。

そんな期待の通りにぬえは幻想郷を含めた途中参加を認めるが、それでは終わらない、それだけでは条件が緩すぎる。

「だけど他の世界の参加者に関しては制限を付けさせていただこう、何故かと言えばこれはパリ市民の皆さんと私との勝負、最初から部外者に来られても興醒めなのよね。」

そう言って制限の存在を出し、次に条件を言う。

「私は異界との繋がりを感知出来るから、ヨーロッパの何処かにワープして乗り込んで来るとかは止めてね、その程度だったら分かるから、来るなら日本からにしてよね、でないと貴方達は敗北と見なし出ていく…」

そこで一旦話を貯め、少し笑みを浮かべて続きを言う。

「つまり!私はさっさと別の都市に逃げて同じことをする、勿論!これはゲームにさっきの条件で敗北した場合でもそうするし、何より参加者を二度と!正体不明から戻してやるつもりはない!」

つまり、自分のゲームに付き合わない者には、戸籍等によって誰かにその存在の証明と保証をしてもらわなければ満足に生きていけない現代社会的に、死ねと言っている。

「これで説明は以上!」

その言葉と共に、パリ市民は慌てて脱出を図る者、目の前に居るのだから妖怪になんて余裕で勝ってみせると自信満々な者、これから行う犯罪を考える者、そもそもこの放送とか知らない者等に別れて、凄まじい喧騒の渦を作る。

 

「さあ!パリ市民の諸君!隣人すら正体不明となったこのパリ市で!私を見つけてみせろ!!」

その言葉と共にUFOにぬえは飛び乗ると、自らのスペルカードを掲げる。

「『正体不明』紫鏡」

その宣誓と共に、沢山出現させたUFOの一つにぬえがもう一人現れる。

「あ、そうそう最初だけはもう一人囮として私を出すよ!」

その言葉と共に、ぬえのUFOは集まり一塊となってぐるぐる回転し、もう何処に本物のぬえが居るか誰もわからなくなった後。

「さぁ、スタートといこうか!」

バヒューン!

UFOの群れは弾けて四方八方に散っていった。

 

ぬえの宣言と、宣言通り正体不明となったパリ市民達だけを残して。




ぬえの口調がブレブレなのは興奮によるものです。

次回は街の様子を描写します。

一昨年に見たとある動画で、その動画の解説で某死神漫画の章ボスに能力を準えたその後に、見せるものを指定出来ないから使いづらいと聞いて作者は思いました。
ぬえの『正体を分からなくする程度の能力』なら指定しないしその場にいなくても特に問題が無い分、現代社会の混乱に使える特効な能力なんじゃないか?と思い、それ以来書きたい描写でした。

後、評価ありがとうございます。
昨日の投稿から二時間で日間二次創作ランキングで、二十六位に到達しました。
今日も是非ともお願いいたします。

追記
次回の更新はちょっと遅くなります。
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