前回の書き換えに合わせて、こっちも合わせるのはけっこうきついですね。
タイトルは中盤のことです。
「グワッグワッ!」
「ピー!」
「バウッバウッ!」
「ヒョーヒョー!」
「ニャーニャー!」
「はぁ~、私はこれからどうすればいい…もう六回斬殺され、十回撲殺されて、四回銃殺されたというのに、ぬえの居場所が検討つかないよ。」
10月29日の夜。
様々な鳴き声が響くなか、そんな風にぼやきながら溜め息を付くのは妹紅である。
他にも、数には含めていないが他人に襲撃されることを恐れておおっぴらに出歩かなくなった人間に代わり、妖怪と化した生物にも襲撃されていた。
因みに、その十四回は人間の襲撃であり、その場合では妹紅は一回も反撃せず、相手が死んだと思ったら、即座に再生して治りかけの状態で腕を掴んで脅かす、肉体を脱ぎ捨てて別の場所で再構築する等、相手を傷つけない方法でどうにかしていた。
『ここに来て、もう四日が経つけど難し過ぎるよ、ぬえの性格とかそんなに知らないし。』
パリの扉が破壊され物があれこれ盗まれ、誰も居なくなった民家にお邪魔した妹紅は一人考え込む。
『う~ん?ぬえが何処に居るかこのまま考えても埒が明かないし、これまでの動画で情報を再確認するか。』
そう思い立ち妹紅は安全だと思われるここで、動画を再生する。
『ヤッホー、ぬえだよー、二回目の動画投稿ですよ~っと、いや~皆お気に入り登録ありがとうね!アカウントのバンとかもされなかったね。』
ぬえのこの発言は、どう考えても色々と不味いものが映るだろうが、バンした場合ぬえがヒントを流せなくなるので動画投稿サイト側が、EUが責任を持つことにしてもらい、我々には責任が無いとした苦肉の策である。
『さて、今の私はバスティーユ広場に居るよ、ここって二百年以上前から現在に至るまで、政治に反対する人が集まるらしいね。』
恐らくぬえが言っているのは、ここが牢獄だった際に現政権に反対する人や物を何でも収容する施設だったため、襲撃した時のことやデモのことだろう。
『そういえば今日、妹紅が参加したけど妹紅は私を見つけられるかな?まぁ我々大妖怪にも匹敵する人(EXボス)である以上、ここでも危険は無いだろうし期待してるね。』
来る前に動画で流したとはいえ、ぬえは当然のように妹紅の参加を認識しているようだった。
『さて、話はこの辺として、カウントだけど挑戦者の比率は対して変わって無いようだから置いておいて、敗北条件のカウントは逃亡者の割合が二割五分、死亡者が五分だね。』
つまり残りは七割、敗北条件の半分まで後少しということだ。
『もっとやる気を出してよね、君達が負けたら次はコペンハーゲンにでも行こうかな?』
この言葉を残して二日目に撮影された動画が終了する。
「さて次はどんなのだっけ?」
『やぁやぁ、パリの皆元気かい?私は皆の恐怖と絶望を食べて元気!』
いきなり相当酷いことを言いながら動画が始まるが、ぬえが右手に水晶のように透明で、更に0と数字の書かれた玉を持っていた。
『今の私はルーブル美術館に居ます、いやーここは綺麗で良い美術品があっていいよね、私が成り代わっていた間も諸事情でよく来たけど、こうして見ても美しい。』
割と楽しそうに、ぬえは美術品を眺める。
だが、美術館の中は動物や妖怪等が跋扈していた。
『あ、そうそう成り代わったけどあの会長さんね、未だ生きているんだ。』
この動画が投稿された際、一部の人々が特定の場所に向かう動きが見られた。
『人間であることがバレないよう、私がとあるマジックアイテムを幾つかあげて、結構身体を再生するようにしてあげたのよ。』
「私のカード、だろうね。」
妹紅はそのアイテムが自分のアビリティカード『不死鳥の尾』だろうと辺りをつける。
『多分、未だ研究所に居るんじゃないかな?彼処もパリだからね。』
元凶の一人に復讐するため、研究所にはこのゲームでは珍しく人集りが出来ていた。
『じゃ、カウントだよ、元々の挑戦者が八割になったよ!凄いね危機感からなんだろうけどこんなに命を掛けて、ここに入って来た人がいるとは予想外だよ。』
二日目の動画による減少に様々な者が危機感から、三日目からはパリに入って来る者が増加していた。
『次に逃亡者が二割八分、死亡者が七分だったけど、皆この中での生活に慣れて覚悟も決まったのか、母数が増えてることもあって微増に留まってるね。』
前日までの増加ペースならこの日の翌日には敗北していただろうが、これなら取り敢えず時間いっぱいまでは持つことを当時の皆が希望を抱いていたが、直後の発言で絶望が大きくなる。
ぬえが片手に持つその玉を見せながら言う。
『そういえばこの異界玉だっけ?どうやらさっきカウントが0になって手順さえ踏めば誰でも異界を開けられるようになったらしいね、後ろに居るのは私が試しにこれ使って異界から呼んだ連中だよ。』
そう、一回目は地獄が開き二回目はよく分からず三回目が開いたら、当たり外れ関係なく異界が開くようになるそんな仕組みがあった。
『これあると、前提条件が破壊されるんだけど異界から自主的に来る訳ではないから、特殊な条件をつけるよ。』
元々、妹紅が飛行機で来たのも
『先ず、知能が低い妖怪に関しては放置するけど、参加者としては絶対に扱わない、次に知能が高い奴も放置するけど、私を発見した場合は始末するね、参加者に教えられても困るし。』
ここだけならば、大して問題な情報でもなかったが、
『でも、幻想郷とかの妖怪と違って容赦なく人間を襲うと思うよ。』
敵が増えた、それも場合によっては人々の恐怖に刻み込まれたぬえクラスの大物が徘徊する可能性もあるだろう。
『じゃ、皆頑張ってね。』
これで、三日目つまり27日の夜に撮られ、昨日の昼に投稿された動画は終わった。
「はぁ~情報は沢山あったけど、動画内容ではぬえの場所に想像が付かないぞ。」
動画を見終わって、妹紅は溜め息を吐きながら悩みを強くする。
「ピー!」
「グワッグワッ!」
「ニャーニャー!」
「ヒョーヒョー!」
「バウッバウッ!」
だが、妹紅が悩んでいる最中も街を我が物顔で練り歩く獣の声に「ああ!五月蝿い!私は今考え事をしてるんだよ!」妹紅がキレる。
「全くもう、鳴き声とは言え五月蝿いんだよ!…ああ、もう無視して!…?そういえば…ぬえって鳴き声に関する話があったような?」
そこで、妹紅は大きな気付きを得た。
異界玉が10月27日の後半に当たりが引かれ、世界中で異界への扉が開け放題になったが、では最後の当たりは何処の誰が、何処の世界に繋げたのか気にはならないだろうか?
「まぁ、私の力である仙術の知識が欲しいのですか?」
舞台は中国のとある都市のとある組織が運営するとある建物。
そこで怪しいが貫禄を備えた男が彼の持つ組織と当たりの異界玉によって開いたある世界、仙界からの来訪者と話していた。
「ええそうですとも、我々は是が非でも貴方から仙術を習いたいのですよ、そう、かの高名な仙人である霍青娥殿にね。」
その来訪者の名は、霍青娥、彼女は透き通るような青い髪に簪を刺した髪型に、目が釘付けになるようなその顏により、その名が美しさの代名詞にもなった程の美貌を持つ邪仙である。
「あらあら、高名だなんてお上手なこと。」
「いえ事実ですよ、霍青娥の名を知らない者はこの中国においてはよっぽど学の無い者だけでしょう。」
仙人の霍青娥として高名なのかどうかはさておき、実際のところこの発言は間違っていない、美しさの代名詞すら知らないのは、学が無いと言われても仕方ないだろう。
「うふふっ、そこまで言われて悪い気はしないですわ、いいでしょうこれから貴方達のうち仙術を習得したい者に私の知識を伝授してさしあげますわ。」
そんな、若干詐欺みたいな文言の真実を知ってか知らずか定かではないが、青娥は気を良くして彼等の師匠となることを決める。
「おおそれはそれは、早速習得させたい者を直ぐに連れて来るよう。」
そう言って、男は人を集めさせる。
「ええ、私の弟子になる方々が楽しみですわ。」
喜色満面な青娥はこれから仙術をこの場所で教えるのだろう、そうかつての弟子に教えたように。
その頃、先ほどまで青娥の居た仙界こと神霊廟では、強いカリスマによるオーラを放つ、とある人物が青娥のことを考えていた。
「さて、師匠はこれから楽しくやっていけるかな?屠自古はどう思うかい?」
青娥を師匠と呼ぶこの人物は豊聡耳神子、かつて日本を三頭政治で導いた古代の政治家であり、仙人にして神の種族の聖人である。
「楽しくはやっていけるとは思いますが、出して良かったんですか?幾ら隠岐奈の頼みとは言えどやって良いことと悪いことがあると思うんですが。」
こうして神子の質問に答えながら、青娥の人格を鑑みてそう発言するのは、歴史の中では神子の妻とされた蘇我屠自古である。
「別にいいだろう、確かに師匠は邪悪だが自らの性癖に合致する者を裏切ったりする性格ではないからな。」
「性癖て、まぁそうでしょうがそうでなくてもろくなことにはならないと思うのですが。」
青娥は邪仙である、だから屠自古の危惧は最もな意見だ。
「だからだよ、現在外の世界の大国フランスが大打撃を受けているそうではないか、他の大国にも打撃を与えたいからな。」
だが、神子はそうさらりと返す。
「いや、それは幾ら何でも過激な発言でマスコミにバレたら不味いですよ。」
天狗と言わずに屠自古の言う、マスコミは何を指しているのだろう?
「別に問題は無いであろう、ここに聞かれて困る部外者はいないし、これから今の不甲斐ない連中を間接的ではあるが指導しつつ、日本を抑圧する者、脅威となる者、その全てを排除するのだからね。」
神子のその発言には、まるで覇王のごとき矜持と傲慢さがあった。
視点はパリの妹紅に戻る。
昨日、とある気付きを得た妹紅はこの前の親善で来た場所に、真夜中また赴いていた。
「私の予想が正しければ。」
その言葉の直後、とある鳴き声が聞こえてくる。
「ヒョーヒョー!」
「!やっぱりそういうことか!」
何処からか聞こえてきた、その特徴的な鳴き声に反応する。
「何処だ!何処に居る!」
そう叫んでぬえを探す妹紅だが、ぬえはもう場所を変えてしまったらしく、この日は発見することが出来なかった。
翌日、最終日であるハロウィンの正午
妹紅はこの前とはまた別の民家で昨日の推理が正しいかどうか、確かめるために動画を見る。
『ヤッホー、今私は凱旋門に居ます。』
そこまで見て妹紅は確信を抱く。
「やっぱり!昨日のあれはぬえだった!なら今日の夜は間違いない!とまでは言い切れないが彼処に居るはず。」
その予想を胸に妹紅は向かう、昨日の確認によって保証が得られたこれまでのぬえの行動基準から予測した場所へと。
「ヒョーヒョー!」
そして、ゲームが終わるハロウィンの夜。
例年ならば、ワイワイ賑わっていたはずのとある広く開けた空間にて、羽を羽ばたかせる影が降り立つ。
ハロウィンを楽しめるはずだったこのパリを、恐怖のゲームの舞台へと変えた大妖怪封獣ぬえである。
ぬえは、懐から取り出したスマホを器用にUFOに乗せながら言う
「さ~ってと、結局誰も私を見つけられなかったか。」
期待外れのゲームに対する、ぬえのその発言にはがっかりという感情がありありと込められている。
「思ってたより今の人間ってこんなに不甲斐ないんだね、あの源氏のおじさんは私を討伐したというのに。」
ぬえが自らを封印した武士と比べながらそう言った直後、「なら、今の人間じゃないからお前を見つけられたわけだ。」後ろから声をかけられる。
その言葉にぬえは、嬉しそうに笑いながらゆっくりと振り返る。
「やぁおめでとう妹紅、こんだけ人間が居る中で私を見つけるのが幻想郷から派遣された妹紅だなんて、理由を聞きたいところだけど少し待ってくれないかい?」
ぬえは、UFOに乗せたスマホを弄りながら妹紅に頼む。
「いいけど、逃げようとしたり、約束を守らなかったら燃やすから。」
脅しつつ、妹紅はぬえの頼みを許可する。
「うん、ありがとうね、今から私が負けたって生放送で言おうかと思ってね、妹紅は今直ぐするけど他は生放送の中で解除するし、そこで妹紅の推理もお願い。」
それから暫くして。
ぬえの生放送を二人で始める。
「ヤッホー、ぬえだよ、ほら妹紅も名乗って。」
「藤原妹紅だ。」
ぬえの顔と共に妹紅が映る。
「何と私、見つかっちゃった!そこで私の敗北宣言とどうやって私を見つけたのか?それを私の発見者である妹紅に解説してもらうよ。」
その言葉と共に、あれだけパリに居る様々な人間が探しても見つけられなかった、ぬえを発見した妹紅の推理が語られる。
「なら解説するけど、そもそもぬえの動画の舞台は初日を除いて、全部地理的に有名な場所だったでしょ。」
その通りである、バスティーユ広場もルーブル美術館も凱旋門も、何れも有名な場所である。
「だから最後はこの場所、パリで最も有名と言っても過言じゃない、だから最後はここ、エッフェル塔に居ると思ったよ」
そう今居る開けた空間とは、世界で最も有名な歴史ある塔、エッフェル塔だ。
「ふ~ん、合ってるちゃ合ってるけど、流石に私が来て直ぐに見つけた理由は無いじゃない。」
ぬえの言う通りである、それだけの理由で張り込むには弱過ぎる。
「それだけじゃないさ、私は後二つの見つけられた理由があったよ。」
「え、何々教えて!」
ニコニコという、擬態語がつきそうな笑みで続きを催促する。
「さっき、私は最初の動画以外はと言ったが最初の動画ではお前、空を飛んでいたじゃないか、つまり、空を飛んでいても違和感がないものに化けていたと考えるべき、つまりは鳥として羽ばたいていた、違うかな?」
妹紅は問い掛けるようにしてぬえに言う。
「正解!なんだったら人間を正体不明にしたのは人間の中に紛れ混んでいるって、ミスリードさせる面もあったからね。」
妹紅の予想通り、先ほどのぬえは必要無いにも関わらず、翼を羽ばたかせながら着陸していた。
「でも、鳥はこの辺にいっぱい居るけど、どうして真っ先に私に声をかけられたの?」
現在、パリは人間の都市としでありながら、人間の活動が消極的になった結果野生動物の活動が活発化しており、当然このエッフェル塔に鳥が沢山いた。
「思い出したんだよ。」
「思い出した?」
妹紅は、三日前に思い出したそれを言う。
「鵺の鳴き声だよ、ヒョーヒョー!この特徴的な鳴き声を何回も何回も、ここでも鳴いていただろう。」
「フフッフフフッ、ハーッハハッ!」
パリの人々がぬえを見つけられなかったのはこれもあるだろう、妖怪鵺の鳴き声なんて殆ど誰も知らなかっただろうし、動物の鳴き声なんて一つとっても言語ごとに全く違う擬音表現をされる。
日本の文献等から鵺の声をフランス語訳しても、実際の「ヒョーヒョー!」を訳した鵺の鳴き声であると認識出来なかったのだろう。
「ええそうよ!貴女の推理は全部当たっているわ、私の完全敗北よ。」
自分の撒いたヒントを確り回収して導き出された答えに、ぬえは大笑いしながらそう世界に発信した。
文章の後半は駆け足になってしまいましたが、これでぬえのこのゲームは終わりです。
ぬえが自分を鳥に見せ掛けることも最終日の隠れ場所がエッフェル塔なことも最初から決まっていました。
次回連続投稿の最終日ですよ!
ゲームが終わったはずなのに存在する、次の投稿をお楽しみにして是非、読んでいっていただければ。
後、高評価にお気に入り登録、感想もお待ちしています。