暫く更新を開けていましたが、理由としては連続更新をやり切って暫く執筆を控えたかったこと。
東方シンセカイとピクミン4とクライマキナと黄金の国イーラをやっていたこと。
そして、大・東方Project展に行っていたからです。
パリがぬえに占拠された翌日の霜月の始め、もう長袖でも肌寒い中、妹紅はとある小さな同行者と共に幻想郷の妖怪の山を登っていた。
「ミィミィ」
キョロキョロ
「おや?どうかしたかい子猫ちゃん?…!ああ成る程!見たことのない妖怪の山が気になるのか。」
妹紅が連れて来たのは、あの時にパリ市に入った折に出会った子猫である。
そしてどうやら、この子猫は今まで住んでいた大都会パリとは全く違う、深い森林が形成された景色が気になるのだろう。
「好奇心旺盛だね。」
「ミ~?」
妹紅の言葉に呼応して、そうなの?と言うかのように子猫も鳴く。
「でも、今日の目的地は妖怪の山の中だけど、もっと不思議な場所だから楽しいと思うよ。」
妹紅はそう言いながら妖怪の山を登っていく途中で、不意に黒い羽が舞う。
バサッ!
「おや!これはこれは英雄となった妹紅さんではないですか!」
「ミー!?」
黒い羽の持ち主、射命丸文はそんな大声を出して、そのせいで子猫が悲鳴を上げる。
「よ~しよし、落ち着いてこの烏天狗は怖くはないから安心してよ。」
「おや?これは珍しいですね、貴女が可愛らしい同行者を連れているとは、意外ですね。」
そんな風に文が言うが、確かに妹紅のそういうイメージは薄い。
「まぁ特別好きってわけではないけど、私は普通に可愛いがるよ。」
「ミィミィ」
可愛いがると言われて呼応したのか、子猫が甘えるように鳴く。
「うん、可愛い。」
そう言って顔を綻ばせる妹紅。
カシャッ!
その瞬間、その妹紅の油断した表情を文に撮られる。「うん、今日の新聞は『仏蘭西を救った英雄とその日常』と題してこれを表紙にしましょう、あ、微笑ましい姿をありがとうございますね。」
文はいつの間にか構えていたカメラを見ながらそう言うが、妹紅は呆れた表情でそれを見つめる。
「はぁお前な…まぁいいや、それで何の用だ?」
「ミ~?」
妹紅は文のその行動を何時ものことと、再認識してそれはそれとして妖怪の山で天狗に会ったことの意味を考えて質問する。
「いえ、大した理由があるわけではないのですが、妹紅さんを見つけたので新聞のネタにしようかと思ったのと、ついでに何で山に入った理由を聞かせていただこうかなと。」
「妖怪の山の天狗がそれでいいのか?」
基本的に妖怪の山は排他的なので、そのことに関係して警告等を受けるのかと思いきや、新聞のネタがメインで質疑応答はついでとして緩そうな様子。
「今日妖怪の山に立ち入った理由は、パリで見つけたこの子のためさ、見てのとおり尻尾が二つになっていて半妖になっているだろう、だから治療をしてもらおうと思ってな。」
「ミィミィ」
そうだそうだと子猫も頷く。
「そういえば、今の巴里ではぬえさんの妖気に当てられて人間を含めた様々な生物が半妖になってしまい、問題化しているのでしたね。」
「だからこの子を半妖から戻して、幻想郷なら治療は出来るって証明しようかと思ってね。」
実際、この子猫を襲っていた犬等パリ市に居た様々な生物が半妖と化したことにより、全部が全部凶暴というわけではないが生物として強くなってしまい、それらが徘徊するため未だパリ市は危険地帯である。
だが危険とは言っても、それらの対処は基本的に捕獲されている。
一気に鰐等のような飼育を制限される危険生物となってしまっても、ペットだった事実が無くなるわけでもないから、ただでさえ荒んでいる市民の心情をこれ以上にしないため汲んだ形である。
閑話休題
「それで治療についてですが、方法を調べてそれを提示するだけで問題ないのでは?それにどうして妖怪の山に入る必要があるのですか?誰かに治療してもらうつもりなのは理解しましたが。」
文の質問を噛み砕くとそれぞれ、わざわざ実例を出さなくても資料を渡せば解決するのではと、半妖化の治療と妖怪の山に登ることの関連性についてである。
「理由はそれぞれ、実例を見せてから資料を渡した方が話が速く纏まることと、妖怪の山の住人で妖怪変化に否定的で誠実な仙人に頼むつもりだよ。」
妹紅は若干暈してその人物を表現するが、文は即座に誰か特定する。
「成る程、茨華仙に頼むおつもりですね。」
「そう、そういうこと、茨華仙は変人が多い仙人なのにまともで基本的に真面目だからね、事情を聞いたら快く引き受けてくれそうだと思って。」
茨華仙、本名は茨木華扇という。
彼女は妹紅が言う通りの人物であり、今回の件にも力となってくれるだろう。
「ですが残念でしたね、茨華仙は現在不在ですよ。」
「はい?」
「ミィ?」
「先程、摩多羅隠岐奈と共に後戸でどこかに行っていましたからね。」
だが、それは居ればの話だが。
一方その頃場所は変わって、外の世界のとある施設のとある研究室にて、道士服を着た二人が話していた。
「それで、私は何故ここに居るのかしら?そもそも私が必要なことなんてあるかしら?」
「ああ必要だとも、そこに居るお前に借りた雷獣を回収して貰いたくてな、あの幻獣はお前の言うこと以外は基本聞かないからね。」
そう話すのは幻想郷の賢者である摩多羅隠岐奈と、先程妹紅が話していた有角片腕の仙人、茨木華扇である。
「成る程、そこの扉の向こうにあの子が居るのね。」
そこの研究室は、廊下に繋がる扉と隠岐奈が指した飼育用の奥の部屋に繋がる扉があるが、そこに雷獣が居るがそんなことよりも大きなことがある。
「だからこんな惨状なのね、理解したわ。」
その研究室はある程度の広さがあったが、ここはゴミ屋敷と化しており、更に元は雷獣の研究者であったであろう者達がスマホやゲーム、漫画を片手に寝転がってだらけていた。
「そういうことだ、ああそうそう。」
華扇の言葉を認めながら、隠岐奈はニヤリと笑い何かを思いついたようで、研究者達を見回しながら口を開く。
「研究者諸君らに尋ねるが、私たちが雷獣を連れて帰っても問題ないかな?」
嘲るような口調で宣ったその言葉は、まともな人間なら先ず耳を疑いその次に全力で拒否するであろう内容だが、
「どうぞ…好きにしてください、エゴサで忙しい。」
「ゲームしてるから、持ってていいよ~」
「えっと…早く寝たいからすぐ持って帰ってよ。」
「そんなことより、漫画読みたい。」
全員もう正気ではない。
だらけた態度で、折角のファンタジーな研究対象であるはずの雷獣ですらどうでもいいとして、華扇と隠岐奈を含めて興味を示さない。
「死屍累々いや、廃人ばかりね、まぁ雷獣の毒は人間には劇物、ずっと近くにいればこうもなる、か。」
「そうだな、お前から借りたおかげでこの施設を含めてアメリカの政府を含めた幾つかの機能を停止させられたよ、ちなみに停止した分は私が代行しているぞ。」
隠岐奈が大分衝撃的なことを言っていたが、ここで改めて雷獣の能力を振り返ってみよう。
雷獣の能力は主に雷を出す能力だが、その威力は大木を裂ける程の雷すら出すことを可能とする。
驚異の能力であり、隠岐奈はこれをアメリカ政府の者達に見せて、発電の研究をしてみたらどうかと提案していた。
が、これは雷獣の本当の驚異に曝すための用意であった。
雷獣の本当の驚異は、雷獣の雷を見た者を何をするにも怠くて仕方ない、無気力な怠け者にする毒性である。
これによって、アメリカを骨抜きにしていいように利用せる計画を隠岐奈は進行していた。
この計画を聞いた、妹紅は当然のようにこれに反対していたが、計画は順調であり、遂に廃人だらけの場所を生み出すことに成功した。
「それは兎も角、さっさとあの子を回収して幻想郷に帰るわよ。」
そう、言い放ちながら華扇は扉の向こうに入っていく。
それに続いて隠岐奈も雷獣の飼育室に入って行く。
そこには大量に山積みにされたトウモロコシと、その頂上でご満悦な様子の長い爪とバリバリとした鬣を立てた円らな瞳の生物がトウモロコシに噛みついていた。
そうして、雷獣が楽しく食事していると華扇が目に入る。
「!?」
目に入った途端、その豊かな表情を駆使して驚き顔で彼女を出迎える。
「久し振りね、ちょっと太ったかしら?何時ものスラットした姿も素敵だけれど、その姿も愛嬌があっていいわね。」
そう言いながら華扇は両手を広げて、「さあ、帰るわよ!」それに合わせて雷獣もトウモロコシの山から駆け降りて華扇に飛びついて抱きつく。
「さて、再会したところで帰還するとしようか、どうやら妹紅がお前を探しているようだからな。」
そう言いながら隠岐奈が後戸を開いて「あら?妹紅が何の用かしら?」そう言いながら華扇と雷獣が後戸に消えて行く。
そして、隠岐奈が一言「助かったぞ、これで私がいろいろと掌握出来たよ。」そう言って後戸と共に消えてそこには、だらけた研究者だけが残された。
久しぶりに書いて理解しましたが、現在はスランプなので次回の更新も結構空くかもしれません。
(まだ先ですが、エピローグを元の予定通りに、過激にしっかりやるかどうかで悩んでます。)