二回目の外の世界への遊覧の翌日、妹紅は慧音の家で写真を見せた後、慧音と楽しく会話していた。
「いやー、あの時は慌てたよ、まさか隙間の中にあの機械が入ってくるなんて思わなかったからさ。」
「そんなことがあって、八雲紫はどう言っていたんだ、計画に支障をきたすから、処罰されても可笑しく無いもんだが。」
「朝、紫から手紙が届いていたけど、手紙には外の世界に中身が有ると勘づかれたが、初回だし私は蓬莱人だから捕まっても、すぐに古い肉体を破棄して新しい肉体を作ることで脱出可能だから許された。」
妹紅は蓬莱人だから不老不死だが、蓬莱人の不老不死には二つの原理が存在する。
一つは今残っている部分から肉体全てを再生するというもので、四肢を欠損しても数日で治るし、何だったら髪の毛一本からでも再生することが可能だ。
もう一つは古い肉体を破棄して、新しい肉体を魂を起点に構築するというものだ。
こちらの方法は蓬莱人の魂が不滅であるため、死なず自動的に新しい肉体を構築する。
妹紅は魂だけで動き、術を行使することも可能という特技を持っており、好きに移動して安全な場所で新しい肉体を作れる、服とかは張り付けている御札のお陰で、妹紅と連動して着た状態になっている、魂が抜けた時点で古い肉体は即座に灰になる。
つまり、網か何かで捕まってもすぐに古い肉体から抜け出して、少し離れた場所で新しい肉体を作ればいい、古い肉体は灰になるから気にする必要は無い。
「全く、お前も八雲紫の怒りを買いたくないだろう、だからもう少し注意して欲しい、親友が辛い目に会って欲しくは無い。」
「私もこれからは気を付けるさ、私も不老不死だが精神的苦痛は感じるからな。」
そう言うと、妹紅は「そろそろいい時間だし、慧音も寺子屋の授業だろうから私は帰るよ。」
「ああ、なら今度また写真を撮って来てくれ、楽しみに待ってる。」
妹紅は慧音の家を出た。
妹紅は昨日、気になったことを聞くため守矢神社の巫女、東風谷早苗を探していた。
「さて、守矢神社の巫女は何処かな、今日位天気が良ければ人里で布教してそうだけど。」
人里の入り口近くまで行くと、人里の外から飛んで来る本人を見つけた。
妹紅は飛んで早苗の所まで行くと、「やあ、元気かい守矢神社の巫女。」と、声をかけた。
「はい、妹紅さんもお元気そうですね、本日は何か御用ですか?」
早苗は尋ねる。
「いやー、実はお宅ら守矢神社がなんで幻想郷に来たか、外の世界の守矢神社を見て気になったんだよ。」
「よく知られている通り、信仰が少なくなったからですが。」
少し不思議そうな声音で答える早苗。
守矢神社が幻想郷に来た理由は、信仰が少なくなったから、このままだと消えかねないので、守矢神社の祭神が幻想郷に行くことを決めたと、知られている。
「そうなんだけども、外の世界の守矢神社はまだちゃんと祭司を執り行っていたから、聞いていた状況と違うと思って。」
そうなのだ、諏訪湖には御柱がしっかりと立っていた、それなら全体的な幻想の肯定は薄くとも、守矢神社に向けられる信仰はまだしっかり有った筈だ。
「成る程、そういうことですか。」
納得が出来たようで、うんうんと頷いて早苗はゆっくりと語った。
「実は、信仰が少なくなってピンチになったことは本当ですが、少なくなっても信仰はまだ充分有ったのも本当です、でも消えそうだったのは幻想郷に入ることを決めた神奈子様、ではなく諏訪子様です。」
早苗によると、表の祭神で神霊だった八坂神奈子は信仰が少なくなっても、問題無く弱体化するだけだったが、裏の祭神で八百万の神だった洩矢諏訪子は、信仰が減ると消滅してしまう。
そのため本人は消滅しても構わなかったが、神奈子は親友に消えて欲しく無かったから幻想郷に来たらしい。
「成る程、じゃあまだ信仰は有ったけど親友のために、早めに来たって感じかな。」
「はい、そういうことに成ります。」
「なら、どうして早苗ちゃんは外の世界から来たの?」
それなら、守矢神社の祭神と一緒に早苗も付いて来る必要は無い筈だ。
「私はお二方が昔から見えていたので、そんなお二方ともう会えなくなるのは寂しいと思ったからですね。」
「早苗ちゃんはそういう理由で来たのか、幻想郷には馴染めたかい。」
「最初は守矢神社の風祝としての責任感で、今の自分が考えてもお堅い雰囲気でしたが、今は自然と馴染めました。」
「うんありがとね、それと引き留めて悪かったね、聞きたいことは聞けたから、さようなら。」
「はい、ではさようなら。」
そう言って早苗と妹紅は別れた。
時は流れて外の世界の暦は5月27日
妹紅は9回目の遊覧飛行の準備をしていた。
『この仕事ももう9回目だが、あちこちに行くからこの仕事も全然飽きないよ、確か前回はこの仕事で初めて海を越えた、外の世界は昔と比べると暖かくなっていたが、北の方に行くとやっぱり涼しいな。』
妹紅は隙間にドローンが入る問題が起きた2回目から既に、6回外の世界に出ていた。
移動の順番は
3回目に群馬県から栃木県、
4回目に栃木県から福島県、
5回目に福島県から宮城県、
6回目に宮城県から岩手県、
7回目に岩手県から青森県。
8回目は青森県の下北半島を通って津軽海峡を越え、函館から北に内浦湾を通って室蘭に入り苫小牧で幻想郷に戻った。
『前回は今までで一番長かったな、気紛れで朝早くに出たのに、真夜中寸前まで時間がかかるなんてな、これなら多少見逃しても、速く飛んだ方が良かったな。』
前回、妹紅は長い距離を飛んで酷くうんざりしていた。
帰ってから、外の世界の地図を調べたら今回の方が長そうなので、今回は速く飛ぶことを妹紅は決意していた。
ちなみに外の世界に出る度に幻想は肯定されていき、今は幻想郷を1000とすると30程になっていたので、妹紅の不死鳥としての姿は大きくなり、嘴~尾羽まで10メートル両翼の幅は12メートルになっていた。
『順調に目立って、今は菫子から名前を聞いたドローンって機械以外に、ヘリコプターとか言う乗り物も追いかけて来るようになったな。』
不死鳥はどれだけ追いかけても逃げるだけで、攻撃する素振りを見せないため、人を乗せたヘリコプターでも安全なのでヘリコプターで近付く者が増えた。
妹紅自身は傷付けると使者として働く時のために、危ないことをしようとしなかった。
「さあ、そろそろ行くか。」
妹紅はアビリティカード「画面の境界」を取り出しながら炎に身を包む。
カードを振り下ろして隙間を作り、「出発だ!」そう言って外の世界に出て行った。
52回も同じことを書いても、詰まらないし、まだまだメインイベントが後に控えているので、重要な回以外は飛ばします。
三が日は忙しいので更新は難しそうです。
追記
全体的に文章の雰囲気を修正しました。